東北大学 院試 過去問 解答例
東北大 工学研究科 応用物理学専攻 応用物理 2024年度 院試 解答例・解説
東北大学 工学研究科 応用物理学専攻 応用物理 2024年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針と確認点を解説。全5問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。
最終更新:
設問ごとの解法方針と確認点を公開しています。
続きの途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。
第1問 — 力学
方針
平面の小問は角運動量保存だけでほぼ決まる。円錐面では、力を鉛直・水平成分で処理すると符号を誤りやすいので、母線方向に射影して垂直抗力を消すのが安定である。
検算
とすれば円錐面は平面に近づき、伸びの式は に戻る。これは平面内の向心力条件と一致する。
典型ミス
ゆっくり引く過程で保存されるのは力学的エネルギーではなく角運動量である。外部が仕事をするため、エネルギー保存を使うと の係数を誤る。
第2問 — 電磁気学
方針
起電力は磁束の時間微分、力は 、仕事と発熱は でつなぐ。各小問は同じ電流 から一列につながっている。
符号の扱い
符号は「誘導電流は磁束変化を打ち消す」と決めると安全である。力の向きは必ず運動に逆らう。ここで正の力を出してしまうと、外力の仕事とジュール熱が一致しなくなる。
試験で書くべきポイント
は与えられる量ではなく、 から出す。ここを省くと後半のローレンツ力の根拠が弱くなる。
第3問 — 量子力学
方針
選択則は計算量を減らすための道具である。角度積分、パリティ、 の保存を順に使うと、最後に残るのは 行列だけになる。
検算
は空間反転で符号を変えるため、同じパリティの状態の対角成分はゼロでなければならない。対角成分が出た場合は、体積要素の または角度積分を見直す。
典型ミス
動径積分の添字は である。 が を一つ、体積要素が を一つ与えるため、 の積分になる。
第4問 — 統計力学
方針
気体と吸着サイトは同じ化学ポテンシャルで接続された二つの大正準系として扱う。気体側で と を結び、吸着側で と被覆率を結ぶのが全体の流れである。
物理的意味
は吸着状態のエネルギーを下げるため、 が吸着を促進する。低温または吸着エネルギーが大きいほど、半分被覆に必要な圧力 は小さくなる。
典型ミス
吸着粒子のエネルギーは なので、大正準重みは である。ここを とすると、温度依存性の解釈まで逆になる。
第5問 — 物性物理
方針
電子だけのDrude模型で抵抗率テンソルを作り、逆行列で伝導度へ移る。二キャリアでは電場が共通なので、足すべき量は抵抗率ではなく伝導度である。
検算
とおくと二キャリアの式は となる。これは二つの伝導経路が並列に流れる結果であり、よい検算になる。
典型ミス
電子のホール係数は負である。符号を途中で曖昧にすると、 と の反対称性や二キャリア式の を再現できない。