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大阪大学 院試 過去問 解答例

阪大 情報科学研究科 情報数理学専攻 専門科目(情報数理学) 2022年度 院試 過去問 解答例・解説(全4問)

全4問。数学1問。テーマタグは8件(フーリエ変換・静電場・計算量理論)。

最終更新:

収録5年度分の解答PDF:大阪大学 情報科学研究科 情報数理学専攻 専門科目(情報数理学)(¥2,880・紙面見本あり)

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解説4問と大問1問の途中式・最終答(全4問)
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途中式と最終答(最終答つき4問)
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阪大 専門科目(情報数理学) 2022年度 院試 過去問の出題内容(全4問)

この4問の分野は数学1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問—情報基礎中央の配列で分解する / なぜ二分探索で十分かあり
第2問—数理基礎尤度比順に選ぶ / 双対の意味あり
第3問数学数学解析複素数化で一変数にする / 軌跡の読み取りあり
第4問—情報物理divの右辺の違い / 波動方程式の導出あり

2022年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度

この年度は4問に8テーマが出ています。

前年度(2021年度)との違い

大問数
2021年度 4問 → 2022年度 4問
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第1問 — 情報基礎

中央の配列で分解する

条件 Xi<Yj<ZkX_i<Y_j<Z_k は、YjY_j を固定すると左側の候補数と右側の候補数の積に分解できる。アルゴリズムBはこの分解を使って、三つ組を直接列挙する代わりに個数だけを足し上げている。

なぜ二分探索で十分か

`sort` 後の配列では、条件 Dm<cD_m<c を満たす部分は先頭から連続し、Dm>cD_m>c を満たす部分は末尾側に連続する。この境界位置だけを見つければ個数が分かるため、全要素を数える必要がない。

2. 符号付き和の判定

  1. si∈{1,−1}s_i\in\{1,-1\} で ∑i=1ncisi=0 \sum_{i=1}^n c_i s_i=0 となるかを調べる。これは、si=1s_i=1 とする添字集合を SS とおくと ∑i∈Sci−∑i∉Sci=0 \sum_{i\in S}c_i-\sum_{i\notin S}c_i=0 すなわち ∑i∈Sci=12∑i=1nci \sum_{i\in S}c_i=\frac12\sum_{i=1}^n c_i となる部分集合があるかを調べる問題である。 したがって、全体和 C=∑iciC=\sum_i c_i が奇数なら直ちに「なし」と判定する。CC が偶数のとき、目標値 C/2C/2 に対する部分和問題として動的計画法を用いる。T=C/2T=C/2 とし、d[i,t]d[i,t] を「先頭 ii 個の整数からいくつか選んで和 tt を作れるか」とする。初期条件を d[0,0]=true,d[0,t]=false(t>0) d[0,0]=\text{true},\qquad d[0,t]=\text{false}\quad (t>0) とし、 d[i,t]=d[i−1,t]∨d[i−1,t−ci] d[i,t]=d[i-1,t]\lor d[i-1,t-c_i] で更新する。ただし t−ci<0t-c_i<0 の項は false とみなす。最後に d[n,T]d[n,T] が true なら「あり」、false なら「なし」と答える。
  2. 上の動的計画法では、表の大きさは (n+1)(T+1)(n+1)(T+1) であり、各成分は定数時間で計算できる。したがって時間計算量は O(nT)=O(n∑i=1nci) O(nT)=O\left(n\sum_{i=1}^n c_i\right) である。入力整数の大きさを値そのものとして測ると擬多項式時間である。
  3. 判定問題DがNPに属することを示すには、証拠を多項式時間で検証できればよい。証拠として符号列 (s1,…,sn)∈{1,−1}n (s_1,\ldots,s_n)\in\{1,-1\}^n を与える。この長さは nn で入力長に対して多項式である。検証者は各 sis_i が 11 または −1-1 であることを確認し、和 ∑icisi\sum_i c_i s_i を計算して 00 かどうかを調べる。これは nn 回の加算と乗算で済むので、多項式時間である。よって判定問題DはNPに属する。

符号問題は分割問題

+1+1 を付ける整数と −1-1 を付ける整数に分けると、両群の和が等しいかを問う形になる。したがって、全体和が奇数ならそもそも不可能であり、偶数なら半分の和を作れるかを調べればよい。

NP所属で示すこと

NPに属することは「速く解ける」ことではない。解候補が与えられたとき、それが正しいことを速く確認できることを示す。ここでは符号列を受け取り、和が0かどうかを計算するだけでよい。

3. 連結無向グラフの直径・半径・次数

  1. 図のグラフでは、最長の最短距離は例えば v8v_8 と v4v_4 の間で達成され、長さは 4 4 である。したがって直径は 44 である。 各頂点から最も遠い頂点までの距離を調べると、v2v_2 からはすべての頂点へ距離 22 以下で到達できる。一方、他の頂点では最大距離が少なくとも 33 になる。よって中心は v2 v_2 であり、半径は 2 2 である。最大次数は、v3v_3 が v2,v4,v6,v5v_2,v_4,v_6,v_5 と接続しているので 4 4 である。
  2. 成り立つ。中心を cc とし、直径を実現する2頂点を u,vu,v とする。中心の定義から dist⁡(u,c)≤r,dist⁡(c,v)≤r \operatorname{dist}(u,c)\le r,\qquad \operatorname{dist}(c,v)\le r である。三角不等式より d=dist⁡(u,v)≤dist⁡(u,c)+dist⁡(c,v)≤2r d=\operatorname{dist}(u,v) \le \operatorname{dist}(u,c)+\operatorname{dist}(c,v) \le 2r なので d/2≤rd/2\le r である。また、半径はある頂点から他の頂点までの距離の最大値であり、直径は任意の2頂点間距離の最大値なので、任意の頂点の離心度は dd 以下である。したがって r≤dr\le d である。以上より d2≤r≤d \frac d2\le r\le d が成り立つ。
  3. 成り立つ。中心からの幅優先探索を考えると、距離0の層は1個、距離1の層は高々 pp 個、距離 i≥2i\ge2 の層は、親へ戻る辺を除いて高々 p(p−1)i−1 p(p-1)^{i-1} 個である。したがって ∣V∣≤1+p∑i=0r−1(p−1)i |V|\le 1+p\sum_{i=0}^{r-1}(p-1)^i である。この右辺は p≥2p\ge2 なら 1+p+p2+⋯+pr 1+p+p^2+\cdots+p^r 以下である。p=1p=1 の連結グラフは高々2頂点なので、r=0r=0 または r=1r=1 で直接確認できる。よって任意の連結グラフについて ∣V∣≤∑i=0rpi |V|\le \sum_{i=0}^r p^i が成り立つ。

中心は平均的に近い頂点ではない

中心は、他の頂点までの距離の平均ではなく、最大距離を最小にする頂点である。したがって全頂点への距離を見て、最も遠い頂点までの距離だけを比較する。

半径と直径の関係

r≤dr\le d は定義から直ちに分かる。d≤2rd\le2r は中心を経由する道で直径を実現する2頂点を結ぶ、という三角不等式の使い方が核心である。

最大次数による頂点数評価

中心から幅優先探索木を伸ばすと、距離1では高々 pp 個、距離2以降では親へ戻る辺を除いて高々 p−1p-1 本ずつ枝分かれする。このため精密な上界は 1+p+p(p−1)+⋯1+p+p(p-1)+\cdots であり、pip^i を用いた和はそれより粗いが扱いやすい上界である。

解答

1. 3配列の大小関係の数え上げ
  1. アルゴリズムAは、添字の三つ組 (i,j,k)(i,j,k) のうち Xi<Yj<Zk X_i<Y_j<Z_k を満たすものの個数を数えている。三重ループで n3n^3 個の組を調べ、各組で行う比較と加算は定数時間であるから、時間計算量は O(n3) O(n^3) である。
  2. YjY_j を中央の値として固定すると、条件を満たす XiX_i の個数は e=less⁡(X,Yj) e=\operatorname{less}(X,Y_j) であり、条件を満たす ZkZ_k の個数は z=greater⁡(Z,Yj) z=\operatorname{greater}(Z,Y_j) である。これらは独立に選べるので、その jj に対する三つ組の個数は ezez である。したがって空欄は p←p+ez p\leftarrow p+e z とすればよい。
  3. 配列が昇順に整列済みなので、less⁡(D,c)\operatorname{less}(D,c) は二分探索で求める。具体的には、Dm<cD_m<c を満たす最後の位置、または Dm≥cD_m\ge c となる最初の位置を二分探索する。返す値は Dm<cD_m<c である要素の個数である。同様に、greater⁡(D,c)\operatorname{greater}(D,c) は Dm>cD_m>c となる最初の位置を二分探索し、そこから末尾までの要素数を返す。 いずれも探索範囲を各反復で半分にできるため O(log⁡n)O(\log n) 時間で実行できる。アルゴリズムBでは整列に O(nlog⁡n)O(n\log n)、各 jj に対して二分探索を2回行う部分に O(nlog⁡n)O(n\log n) かかるので、全体は O(nlog⁡n) O(n\log n) である。

最終答

Aは Xi<Yj<ZkX_i<Y_j<Z_k を満たす三つ組の個数を数え、計算量は O(n3)O(n^3)。Bの空欄は p←p+ezp\leftarrow p+ez。整列後の `less` と `greater` を二分探索で実装すれば、Bは O(nlog⁡n)O(n\log n)。

部分集合和 ∑i∈Sci=(1/2)∑ici\sum_{i\in S}c_i=(1/2)\sum_i c_i に帰着し、動的計画法で O(n∑ici)O(n\sum_i c_i) 時間。符号列を証拠として和を検証できるためNPに属する。

図のグラフは直径 44、中心 v2v_2、半径 22、最大次数 44。一般に d/2≤r≤dd/2\le r\le d は成り立つ。最大次数 pp と半径 rr からは幅優先探索で ∣V∣≤1+p∑i=0r−1(p−1)i≤∑i=0rpi|V|\le 1+p\sum_{i=0}^{r-1}(p-1)^i\le\sum_{i=0}^r p^i と評価できる。

第2問 — 数理基礎

尤度比順に選ぶ

xix_i は「状態 ii のときに Z=1Z=1 と判定する確率」と読める。QQ の下での期待値を θ\theta 以下に抑えながら PP の下での期待値を最大にするので、効率 pi/qip_i/q_i が高い状態から採用するのが自然である。

双対の意味

双対変数 λ\lambda は制約 EQ[Z]≤θE_Q[Z]\le\theta の価格である。λ\lambda を固定すると、pi−qiλp_i-q_i\lambda が正の状態だけが採用される。これは比 pi/qip_i/q_i がしきい値 λ\lambda を超える状態を選ぶという形で、(2) の解と対応している。

2. 超立方体内の2点間距離

X=(X1,…,Xn)X=(X_1,\ldots,X_n), Y=(Y1,…,Yn)Y=(Y_1,\ldots,Y_n) とする。各座標について Xi,YiX_i,Y_i は独立な [0,1][0,1] 上一様分布である。

  1. D1=∣X1−Y1∣D_1=|X_1-Y_1| とおく。D1D_1 の密度は fD1(d)=2(1−d)(0≤d≤1) f_{D_1}(d)=2(1-d)\qquad (0\le d\le1) である。したがって E[D1]=∫012d(1−d) dd=13 E[D_1]=\int_0^1 2d(1-d)\,dd=\frac13 であり、 E[D12]=∫012d2(1−d) dd=16 E[D_1^2]=\int_0^1 2d^2(1-d)\,dd=\frac16 なので V[D1]=16−(13)2=118 V[D_1]=\frac16-\left(\frac13\right)^2=\frac1{18} である。
  2. D12D_1^2 の期待値は上で求めた通り E[D12]=16 E[D_1^2]=\frac16 である。また E[D14]=∫012d4(1−d) dd=115 E[D_1^4]=\int_0^1 2d^4(1-d)\,dd=\frac1{15} なので V[D12]=E[D14]−{E[D12]}2=115−136=7180. V[D_1^2]=E[D_1^4]-\{E[D_1^2]\}^2 =\frac1{15}-\frac1{36} =\frac7{180}.
  3. Dn2=∑i=1n(Xi−Yi)2 D_n^2=\sum_{i=1}^n (X_i-Y_i)^2 であり、各項は独立同分布である。したがって E[Dn2]=nE[D12]=n6 E[D_n^2]=nE[D_1^2]=\frac n6 であり、 V[Dn2]=nV[D12]=7n180 V[D_n^2]=nV[D_1^2]=\frac{7n}{180} である。
  4. Dn2/nD_n^2/n は独立同分布な確率変数 (Xi−Yi)2(X_i-Y_i)^2 の標本平均である。大数の法則により Dn2n→16 \frac{D_n^2}{n}\to \frac16 に確率収束する。さらに中心極限定理より n(Dn2n−16)⇒N(0,7180) \sqrt{n}\left(\frac{D_n^2}{n}-\frac16\right) \Rightarrow N\left(0,\frac7{180}\right) である。したがって nn が大きいとき、Dn2/nD_n^2/n は近似的に N(16,7180n) N\left(\frac16,\frac{7}{180n}\right) に従い、極限では 1/61/6 に集中する。

1次元の差から始める

高次元距離の2乗は座標ごとの差の2乗の和である。したがって、まず1次元で ∣X−Y∣|X-Y| の分布を求め、独立な和として期待値と分散を足し上げるのが最短である。

距離の集中

高次元では、距離の2乗を次元で割った量が平均値 1/61/6 の近くに集中する。これは高次元立方体内のランダムな2点間距離が、次元で正規化するとほぼ一定になることを意味する。

3. 3変数二値分布の最尤推定

  1. 対数尤度は L=∑k=1Nf(s1(k),s2(k),s3(k))−Nlog⁡Z L=\sum_{k=1}^N f(s_1^{(k)},s_2^{(k)},s_3^{(k)})-N\log Z である。例えば θi\theta_i で微分すると ∂L∂θi=∑k=1Nsi(k)−N1Z∂Z∂θi. \frac{\partial L}{\partial\theta_i} =\sum_{k=1}^N s_i^{(k)} -N\frac1Z\frac{\partial Z}{\partial\theta_i}. ここで 1Z∂Z∂θi=∑x∈{0,1}3xip(x)=E[Xi] \frac1Z\frac{\partial Z}{\partial\theta_i} = \sum_{x\in\{0,1\}^3}x_i p(x) =E[X_i] であるから ∂L∂θi=∑k=1Nsi(k)−NE[Xi] \frac{\partial L}{\partial\theta_i} =\sum_{k=1}^N s_i^{(k)}-NE[X_i] を得る。θij\theta_{ij} についても同様に 1Z∂Z∂θij=E[XiXj] \frac1Z\frac{\partial Z}{\partial\theta_{ij}}=E[X_iX_j] なので、与えられた式が従う。
  2. 最尤推定では尤度方程式から、モデルの期待値が標本平均に一致する。与えられた度数から E[X1]=2+1+516=12,E[X2]=3+3+1+516=34,E[X3]=2+3+516=58, \begin{aligned} E[X_1]&=\frac{2+1+5}{16}=\frac12,\\ E[X_2]&=\frac{3+3+1+5}{16}=\frac34,\\ E[X_3]&=\frac{2+3+5}{16}=\frac58, \end{aligned} また E[X1X2]=1+516=38,E[X2X3]=3+516=12,E[X3X1]=516. \begin{aligned} E[X_1X_2]&=\frac{1+5}{16}=\frac38,\\ E[X_2X_3]&=\frac{3+5}{16}=\frac12,\\ E[X_3X_1]&=\frac{5}{16}. \end{aligned}
  3. E[X1]E[X2]=12⋅34=38=E[X1X2] E[X_1]E[X_2]=\frac12\cdot\frac34=\frac38=E[X_1X_2] である。二値変数では P(Xi=1,Xj=1)=P(Xi=1)P(Xj=1)P(X_i=1,X_j=1)=P(X_i=1)P(X_j=1) が成り立てば、残りの組合せの確率も周辺確率から決まるため独立である。よって X1X_1 と X2X_2 は独立である。 同様に E[X1]E[X3]=12⋅58=516=E[X1X3] E[X_1]E[X_3]=\frac12\cdot\frac58=\frac5{16}=E[X_1X_3] なので、X1X_1 と X3X_3 も独立である。
  4. t=E[X1X2X3]=p(1,1,1)t=E[X_1X_2X_3]=p(1,1,1) とおく。上で求めた1次・2次モーメントから各同時確率は (x1,x2,x3)p(x1,x2,x3)(1,1,1)t(1,1,0)38−t(1,0,1)516−t(0,1,1)12−t(1,0,0)t−316(0,1,0)t−18(0,0,1)t−316(0,0,0)516−t \begin{array}{c|c} (x_1,x_2,x_3) & p(x_1,x_2,x_3)\\ \hline (1,1,1) & t\\ (1,1,0) & \frac38-t\\ (1,0,1) & \frac5{16}-t\\ (0,1,1) & \frac12-t\\ (1,0,0) & t-\frac3{16}\\ (0,1,0) & t-\frac18\\ (0,0,1) & t-\frac3{16}\\ (0,0,0) & \frac5{16}-t \end{array} と表せる。 このモデルには3体相互作用項がないので、対数確率の3次交互作用は0である。すなわち log⁡p111−log⁡p110−log⁡p101−log⁡p011+log⁡p100+log⁡p010+log⁡p001−log⁡p000=0 \log p_{111}-\log p_{110}-\log p_{101}-\log p_{011} +\log p_{100}+\log p_{010}+\log p_{001}-\log p_{000}=0 であり、 p111p100p010p001=p110p101p011p000 p_{111}p_{100}p_{010}p_{001} = p_{110}p_{101}p_{011}p_{000} が成り立つ。上の表を代入すると t(t−316)2(t−18)=(38−t)(516−t)2(12−t). t\left(t-\frac3{16}\right)^2\left(t-\frac18\right) = \left(\frac38-t\right) \left(\frac5{16}-t\right)^2 \left(\frac12-t\right). 非負性から 3/16≤t≤5/163/16\le t\le5/16 であり、この範囲の解は t=14 t=\frac14 である。したがって E[X1X2X3]=14. E[X_1X_2X_3]=\frac14.

指数型分布族の最尤方程式

指数型分布族では、自然パラメータで微分すると「観測された十分統計量の合計」から「モデルの期待値に NN を掛けたもの」を引いた形になる。最尤点ではこれが0になるため、十分統計量の経験平均とモデル平均が一致する。

二値変数の独立性

0/1変数では、E[Xi]=P(Xi=1)E[X_i]=P(X_i=1)、E[XiXj]=P(Xi=1,Xj=1)E[X_iX_j]=P(X_i=1,X_j=1) である。したがって積率の等式 E[XiXj]=E[Xi]E[Xj]E[X_iX_j]=E[X_i]E[X_j] は、1になる事象どうしの積の確率が積に分解することを意味し、二値の場合は独立性そのものになる。

3体項がないことの使い方

1次と2次の期待値だけでは一般には E[X1X2X3]E[X_1X_2X_3] は決まらない。しかし本問のモデルは2体相互作用までしか持たないため、対数線形モデルの3次交互作用が0という追加条件が入る。これが最後の方程式になり、三重積の期待値を決める。

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第3問 — 数学解析

複素数化で一変数にする

係数行列 (−1−11−1) \begin{pmatrix}-1&-1\\1&-1\end{pmatrix} は、複素数 w=x+iyw=x+iy に対する掛け算 (−1+i)w(-1+i)w に対応する。外力も cos⁡t+isin⁡t=eit\cos t+i\sin t=e^{it} と書けるため、連立方程式を一つの複素一次方程式として解ける。

軌跡の読み取り

初期値0の解は w=(1−e−t)eitw=(1-e^{-t})e^{it} である。角度は tt とともに増え、半径は 00 から 11 へ単調に増える。したがって単なる円運動ではなく、単位円を極限円とする螺旋である。

2. パラメータ付き定積分

sin⁡2(tx)=1−cos⁡(2tx)2 \sin^2(tx)=\frac{1-\cos(2tx)}2 を用いる。標準積分 ∫0∞cos⁡(bx)x2+a2 dx=π2ae−ab(a>0, b≥0) \int_0^\infty \frac{\cos(bx)}{x^2+a^2}\,dx =\frac{\pi}{2a}e^{-ab}\qquad (a>0,\ b\ge0) を使うと、a=πa=\pi, b=2tb=2t に対して ∫0∞dxx2+π2=12,∫0∞cos⁡(2tx)x2+π2 dx=12e−2πt. \int_0^\infty \frac{dx}{x^2+\pi^2}=\frac12,\qquad \int_0^\infty \frac{\cos(2tx)}{x^2+\pi^2}\,dx=\frac12e^{-2\pi t}. したがって ∫0∞sin⁡2(tx)x2+π2 dx=12(12−12e−2πt)=14(1−e−2πt). \begin{aligned} \int_0^\infty \frac{\sin^2(tx)}{x^2+\pi^2}\,dx &=\frac12\left( \frac12-\frac12e^{-2\pi t} \right)\\ &=\frac14\left(1-e^{-2\pi t}\right). \end{aligned}

偶関数のフーリエ変換

1/(x2+a2)1/(x^2+a^2) の余弦変換は指数関数 e−abe^{-ab} になる。sin⁡2\sin^2 を 1−cos⁡1-\cos に直すと、この公式をそのまま使える。t>0t>0 なので減衰因子は e−2πte^{-2\pi t} である。

3. Haar型関数系

  1. 各 ϕk\phi_k は値が ±1\pm1 なので ∫01ϕk(x)2 dx=1 \int_0^1 \phi_k(x)^2\,dx=1 である。また j<kj<k とする。ϕj\phi_j が一定である各小区間を、ϕk\phi_k はさらに等分して正負を同じ長さだけ取る。したがってその小区間上の積分は0であり、全体でも ∫01ϕj(x)ϕk(x) dx=0 \int_0^1 \phi_j(x)\phi_k(x)\,dx=0 である。さらに定数関数 11 と各 ϕk\phi_k の内積も、正の部分と負の部分の長さが等しいため0である。よって {1,ϕ1,ϕ2,…} \{1,\phi_1,\phi_2,\ldots\} は正規直交系である。
  2. 正規直交系への最小二乗近似では、係数は内積で与えられる。したがって a0=∫01f(x) dx,ak=∫01f(x)ϕk(x) dx(k≥1) a_0=\int_0^1 f(x)\,dx,\qquad a_k=\int_0^1 f(x)\phi_k(x)\,dx\quad (k\ge1) である。これは、誤差 f−gf-g が近似空間の各基底関数に直交するという正規方程式から従う。
  3. f(x)=xf(x)=x のとき a0=∫01x dx=12. a_0=\int_0^1 x\,dx=\frac12. また ϕk\phi_k は長さ 2−k2^{-k} の小区間ごとに符号を交互に変える。1周期の長さを 2−(k−1)2^{-(k-1)} とすると、その前半と後半の寄与の差は −122k -\frac{1}{2^{2k}} であり、周期は 2k−12^{k-1} 個ある。よって ak=−12k+1(k≥1) a_k=-\frac{1}{2^{k+1}}\qquad (k\ge1) である。

直交性は正負の打ち消し

高い番号の関数は、低い番号の関数が一定である区間の中で正負を同じ長さだけ取る。そのため積を積分すると必ず打ち消し合う。この構造を言葉で説明できれば、細かい図を完全に描けなくても得点しやすい。

最小二乗係数は射影

正規直交系では、最小二乗近似の係数は単に内積である。基底が直交しているため、連立方程式を解く必要がなく、各係数が独立に決まる。

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第4問 — 情報物理

divの右辺の違い

電場側には電荷密度が現れるが、磁場側は0である。この非対称性は、通常の電磁気学では磁気単極子を仮定しないことを表している。磁力線が閉曲線として描かれる理由もこの点にある。

波動方程式の導出

回転をもう一度取って、rot⁡rot⁡\operatorname{rot}\operatorname{rot} の恒等式を使うのが定石である。自由空間では div⁡E=0\operatorname{div}E=0 なので勾配項が消え、ラプラシアンと時間2階微分だけが残る。

2. 透明薄膜の反射

  1. 入射振幅を a0a_0 とする。薄膜表面で直接反射する光の振幅は a1=a0r1 a_1=a_0r_1 である。薄膜内へ透過し、底面で1回反射して空気中に戻る光は、透過、反射、逆向き透過を1回ずつ受け、さらに1往復分の位相差を持つので a2=a0t1r2t1′eiδ a_2=a_0t_1r_2t_1'e^{i\delta} である。
  2. 空気中に戻る反射光の総振幅は、薄膜内での繰り返し反射の等比級数で ar=a0{r1+t1t1′r2eiδ∑m=0∞(r1′r2eiδ)m}. a_r =a_0\left\{ r_1+ t_1t_1'r_2e^{i\delta} \sum_{m=0}^{\infty}(r_1'r_2e^{i\delta})^m \right\}. したがって ara0=r1+t1t1′r2eiδ1−r1′r2eiδ. \frac{a_r}{a_0} =r_1+\frac{t_1t_1'r_2e^{i\delta}} {1-r_1'r_2e^{i\delta}}. ストークスの関係 r1′=−r1r_1'=-r_1, t1t1′=1−r12t_1t_1'=1-r_1^2 を用いると ara0=r1+r2eiδ1+r1r2eiδ \frac{a_r}{a_0} = \frac{r_1+r_2e^{i\delta}} {1+r_1r_2e^{i\delta}} となる。振幅反射率を実数として扱えば、強度は Ir=∣ar∣2=a02r12+r22+2r1r2cos⁡δ1+r12r22+2r1r2cos⁡δ I_r=|a_r|^2 = a_0^2 \frac{r_1^2+r_2^2+2r_1r_2\cos\delta} {1+r_1^2r_2^2+2r_1r_2\cos\delta} である。
  3. r1=r2=rr_1=r_2=r のとき、分子は 2r2(1+cos⁡δ) 2r^2(1+\cos\delta) である。無反射となるには 1+cos⁡δ=0 1+\cos\delta=0 であればよい。したがって δ=(2m+1)π(m∈Z) \delta=(2m+1)\pi\qquad (m\in\mathbb{Z}) が条件である。
  4. 垂直入射で r1=1−n01+n0,r2=n0−ngn0+ng r_1=\frac{1-n_0}{1+n_0},\qquad r_2=\frac{n_0-n_g}{n_0+n_g} である。r1=r2r_1=r_2 より 1−n01+n0=n0−ngn0+ng \frac{1-n_0}{1+n_0} = \frac{n_0-n_g}{n_0+n_g} となり、整理して n02=ng n_0^2=n_g を得る。したがって n0=ng n_0=\sqrt{n_g} である。 薄膜中の波長を λ0\lambda_0 とすると、1往復による位相差は δ=4πhλ0 \delta=\frac{4\pi h}{\lambda_0} である。無反射条件 δ=(2m+1)π\delta=(2m+1)\pi から h=(2m+1)λ04 h=\frac{(2m+1)\lambda_0}{4} である。最も薄い膜は h=λ0/4h=\lambda_0/4 である。

等比級数として見る

薄膜内で1往復するたびに、振幅は r1′r2eiδr_1'r_2e^{i\delta} 倍される。したがって多重反射は等比級数で和を取れる。直接反射の項と、薄膜内に入ってから戻る項を分けると符号を間違えにくい。

反射を消す二つの条件

無反射には、2つの反射波の大きさがそろうことと、位相が反対になることが必要である。屈折率条件 n02=ngn_0^2=n_g が大きさをそろえ、膜厚条件 h=λ0/4h=\lambda_0/4 が位相を反対にする。

3. 自然界で見られる色

  1. 花火の色は主に炎色反応による。金属原子や金属イオンが加熱されると、電子が高いエネルギー準位へ励起される。その電子が低い準位へ戻るとき、準位差に対応する波長の光を放出する。ストロンチウムは赤、バリウムは緑、銅は青緑など、元素ごとに準位構造が異なるため、固有の発光色が現れる。
  2. シャボン玉の色は薄膜干渉による。膜の表面で反射した光と、膜の裏面で反射して戻ってきた光が重ね合わさる。膜厚や屈折率によって光路差が変わり、ある波長は強め合い、別の波長は弱め合う。膜厚が場所によって少しずつ違うため、見る位置や時間に応じて虹色の模様が変化する。
  3. 牛乳が白く見える主因は散乱である。牛乳中には脂肪球やカゼインミセルなど、可視光の波長と同程度の粒子が多数分散している。入射光はこれらの粒子で多方向に散乱され、特定の波長だけでなく可視域の広い波長が混ざって目に届く。そのため透明ではなく白濁して見える。

発光・干渉・散乱を区別する

花火は物質が自ら光を出す発光、シャボン玉は同じ光が重なって強弱を作る干渉、牛乳は外から来た光が粒子で散らされる散乱である。現象名だけでなく、色が選ばれる物理的理由まで書くと答案として強い。

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阪大 専門科目(情報数理学) 院試 過去問の収録5年度