大阪大学 院試 過去問 解答例
阪大 情報科学研究科 情報数理学専攻 専門科目(情報数理学) 2021年度 院試 解答例・解説
大阪大学 情報科学研究科 情報数理学専攻 専門科目(情報数理学) 2021年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針と確認点を解説。全4問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。
最終更新:
設問ごとの解法方針と確認点を公開しています。
続きの途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。
第1問 — 情報基礎
転倒数を見ると評価回数まで分かる
この整列法は、左へ戻りながら隣接転倒を1つずつ解消する gnome sort 型の手続きである。交換回数だけなら転倒数そのものだが、条件式の評価回数は「前進した回数」も必要になる。 の増減を収支で見ると、真の回数と交換回数の関係が一気に決まる。
べき乗の回数は下位ビットで決まる
平方は2進表記の桁数から決まり、追加で を掛ける回数は、最上位を除いた1ビットの数で決まる。 の例では通常の平方反復より、加法鎖をうまく選ぶ方が少ない乗算で済む。
行列の対角和の意味
は頂点 から出発して3歩で に戻る歩道の数である。単純無向グラフで長さ3の閉歩道が存在するのは三角形を回るときであり、1つの三角形は6通りに数えられる。この対応を書ければ、最大値・最小辺数の議論は三角形の数え上げに帰着できる。
第2問 — 数理基礎
線形計画のパラメータは凸包で読む
は非負で和が1なので、各列ベクトルを混ぜる重みである。したがって実行可能な は、行列計算を解くよりも、4点の凸包として見るのが最も早い。
極座標ではなく傾きで変換する
は角度そのものではなく傾きである。右半円では なので は全実数を動く。ヤコビアン を落とすと密度の規格化が崩れる。
対応のある検定
同じ対象を2つの秤で測っているので、独立2標本ではなく差 の1標本検定として扱う。自由度は標本数5に対して であり、両側検定では表の上側確率 の列を使う。
第3問 — 数学解析
極が単位円の内外どちらにあるか
複素積分では、 の値によって極 が単位円の内側に入るかが変わる。 の場合は外側の極を直接扱うのではなく、 まわりの級数展開で留数を読むと、極限まで自然に計算できる。
積分因子の決め方
が だけの関数である、という指定を使うと完全性条件が常微分方程式に落ちる。この問題では と が同じ形になり、 が直ちに得られる。
級数公式はParsevalで出す
部分分数展開を使ってもよいが、この設問の流れではフーリエ係数を計算し、Parseval の等式を使うのが最短である。 が整数でないため分母 が0にならない点も明記しておくと答案として安定する。
第4問 — 情報物理
双極子近似の有効範囲
遠方近似では、電荷間隔 に比べて観測距離 が十分大きいことが必要である。このとき単極子項は と で打ち消し合い、最初に残る項が双極子モーメント に比例する。
非干渉光源では強度を積分する
光源上の異なる点から出た光は位相関係がランダムなので、電場振幅を足してから二乗してはいけない。各点光源が作る二重ピンホール干渉の強度を、光源幅にわたって積分する。この平均化が の因子を生み、光源が広がるほど縞が見えにくくなる。
鮮明度と視直径
鮮明度の零点は、広がった光源の両端からの寄与が干渉項を打ち消す条件を表す。最初の零点を使うと測定誤差に比較的強く、 という簡潔な形で光源の視直径を推定できる。
発色の分類
虹は分散と幾何光学、夕焼けは散乱、タマムシの羽は薄膜・多層構造による干渉で説明する。名称だけでなく、どの波長が強く届くか、または強め合うかまで書くと物理の答案になる。