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東京科学大学 院試 過去問 解答例

東京科学大 理学院 地球惑星科学系 地球惑星科学系 専門科目 2022年度 院試 解答例・解説

東京科学大学 理学院 地球惑星科学系 地球惑星科学系 専門科目 2022年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針と確認点を解説。全8問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。

最終更新:

設問ごとの解法方針と確認点を公開しています。

続きの途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。

1 — 化学熱力学と同位体分別

方針

前半は生成量から反応量を組み立てるだけである。表の数値をそのまま足し引きするのではなく、生成反応のエントロピー変化 ΔSf=S(生成物)S(単体)\Delta S_{\mathrm f}^{\circ}=S^{\circ}(\text{生成物})-\sum S^{\circ}(\text{単体}) を作ってから ΔG=ΔHTΔS\Delta G=\Delta H-T\Delta S を使う。

平衡定数の検算

反応 1 では反応物 2 mol から生成物 2 mol へ移るため、全物質量が変わらない。このため分圧比でもモル比でも Q=(1f)2f2 Q=\frac{(1-f)^2}{f^2} となる。ここで f=0.20f=0.20 を入れると K=16>1K=16>1 となり、ΔG<0\Delta G^\circ<0 と整合する。

温度計算での典型ミス

ΔS\Delta S^\circJK1mol1\mathrm{J\,K^{-1}\,mol^{-1}} で与えられているので、ΔH\Delta H^\circ と合わせる前に kJK1mol1\mathrm{kJ\,K^{-1}\,mol^{-1}} に直す必要がある。また ΔG=RTlnK\Delta G^\circ=-RT\ln K の符号を逆にすると、分母が ΔS+RlnK\Delta S^\circ+R\ln K になり、物理的に不自然な温度を出しやすい。

同位体分別の意味

α<1\alpha<1 は重い 13CO2{}^{13}\mathrm{CO_2} の消費が遅いことを表す。したがって反応が進むほど残った CO2\mathrm{CO_2}13C{}^{13}\mathrm{C} に富む。実際、f<1f<1 かつ α1<0\alpha-1<0 なので ln(R/R0)>0\ln(R/R_0)>0 となる。試験答案ではこの符号の解釈まで書くと、計算結果の妥当性を示せる。

続きの解答(途中式・最終答)はPDFに収録

2 — 地球表層史と付加体

方針

この問題は計算、時代区分、堆積環境、付加体の読図が混在している。解答では、図の細部を写すよりも、読み取った地質学的意味を短く明示することが重要である。

海水準計算の注意

大陸面積増加の計算では、海水体積を保存する。海洋面積が小さくなると、同じ体積の水をより狭い面に載せるので海水準は上がる。氷床融解の計算では、氷の体積をそのまま足さず、比重 0.920.92 を掛けて海水相当体積に直す。

層序の見方

海洋プレート層序は、海洋底が中央海嶺で生まれ、遠洋域を移動し、最後に海溝へ近づくという時間順を反映する。炭酸塩補償深度より深い条件では石灰質堆積物が消えるので、通常の「石灰岩を含む海山起源層序」と混同しない。

典型ミス

地質時代名では「第三紀」をそのまま使わず、現在の標準表記に合わせて古第三紀・新第三紀を区別する。示準化石は「古い化石なら何でもよい」わけではなく、短い生存期間と広域分布が必要である。

試験で書くべきポイント

構造発達史は、堆積、付加、貫入、噴出の順序を時間軸に沿って並べる。足尾帯のようなジュラ紀付加体では、石灰岩やチャートの堆積年代が付加年代より古いことを明示すると、海洋プレート層序の理解が伝わる。

続きの解答(途中式・最終答)はPDFに収録

3 — 微分方程式と特殊関数

方針

前半は定数係数と Euler 型の標準問題である。共鳴する非同次項では、同次解と同じ形を特解に選ばず、xx を掛けた形を試す。後半はベータ関数に持ち込む置換 t=x2t=x^2 が核心である。

検算

(a) の解は x=0x=0y=0y=0、微分すると y(0)=1y'(0)=1 になる。(b) の特解は (x2sinx)+x2sinx=cosx \left(\frac{x}{2}\sin x\right)''+\frac{x}{2}\sin x=\cos x となるので、右辺との一致を直接確認できる。

典型ミス

ベータ関数への置換で、区間 [1,1][-1,1] をそのまま t=x2t=x^2 に変えると 2 対 1 対応を落としやすい。先に偶関数性で 2012\int_0^1 に直してから置換するのが安全である。

試験で書くべきポイント

Γ(p+1)=pΓ(p)\Gamma(p+1)=p\Gamma(p) は部分積分の境界項が 0 になることまで示すとよい。xpexx^p e^{-x} は無限遠で指数関数により 0、x=0x=0 でも p>0p>0 なら 0 である。

続きの解答(途中式・最終答)はPDFに収録

4 — 軌道運動とローレンツ変換

方針

円軌道からの微小ずれは、角運動量を固定した有効ポテンシャルの曲率を見る問題である。万有引力だけなら軌道角振動数と動径振動数が一致するが、一様密度ガスの調和力を加えると動径振動数の方が大きくなる。

検算

CC の次元は [Gρ]=m3kgs2kgm3=s2, [G\rho]=\frac{\mathrm{m^3}}{\mathrm{kg\,s^2}}\frac{\mathrm{kg}}{\mathrm{m^3}} =\mathrm{s^{-2}}, であり、Ω2\Omega^2 に足せる。したがって GM/r3+CGM/r^3+CGM/r3+4CGM/r^3+4C は周期式の中身として次元が正しい。

近点移動の注意

近点移動の向きは、TTT0T_0 の大小だけでなく、近点間に進む角度 Ω0T\Omega_0T で判定する。今回は Ω0T<2π\Omega_0T<2\pi なので、次の近点が元の方向に届かず後退になる。

ローレンツ変換での典型ミス

RR は負になる。KK'+x+x 方向へ動くとき、変換式 x=Rct+Sxx'=Rct+Sx の原点条件 x=0x'=0x=(R/S)ctx=-(R/S)ct であり、ここから符号が決まる。ドップラー型の最後の式では、B の受信間隔を KK 系で求めてから tt' へ変換すると見通しがよい。

続きの解答(途中式・最終答)はPDFに収録

5 — 元素合成と放射壊変

方針

前半は元素合成の経路を、後半は指数関数的壊変を扱う。壊変計算では、同位体比を絶対量に直す必要はなく、便利な基準として N99=1N_{99}=1 と置けばよい。

検算

初期原子量は 97, 98, 99 の間になければならない。計算値 98.398.399Tc{}^{99}\mathrm{Tc} が最も多いことを反映し、98 より大きいので妥当である。

典型ミス

「百万分の一以下」は 6 半減期ではない。2201062^{-20}\simeq 10^{-6} なので 20 半減期である。また放射能は存在量 NN ではなく λN\lambda N に比例するため、半減期の違いを必ず入れる。

試験で書くべきポイント

s プロセスと r プロセスの差は、単に「遅い・速い」ではなく、中性子捕獲速度とベータ壊変速度の大小関係で書く。場の例と到達できる重元素の違いまで添えると、指定語句を自然に満たせる。

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6 — 相律と高圧氷

方針

相律は「変数の数」から「平衡条件の数」を引く数え上げで導く。水は 1 成分系なので、三重点だけが自由度 0 になる。高圧氷の問題では、密度差が融解曲線の符号を決める。

検算

融解曲線の傾きの単位は Jmol1Km3mol1=PaK1 \frac{\mathrm{J\,mol^{-1}}}{\mathrm{K}\,\mathrm{m^3\,mol^{-1}}} =\mathrm{Pa\,K^{-1}} であり、計算結果 2.2×107PaK12.2\times 10^7\,\mathrm{Pa\,K^{-1}}22MPaK122\,\mathrm{MPa\,K^{-1}} に相当する。

典型ミス

氷 Ih と液体水の関係を、普通の物質と同じ「固体の方が高密度」と考えると傾きの符号を誤る。Ih は開いた構造のため低密度であり、ここが水の相図の特徴である。

試験で書くべきポイント

氷 VII 包有物の認定では、X 線回折だけでなく振動分光を組み合わせる理由を書く。単に「ラマン分光」と手法名を挙げるだけでなく、振動モードのピークで相を識別するという原理まで添えると答案として強い。

続きの解答(途中式・最終答)はPDFに収録

7 — 気体分子運動論と角運動量

方針

気体分子運動論では、1 回あたりの力積を衝突間隔で割って平均力を出し、壁面積で割る。量子力学では、中心力場の球対称性から動径部分と角度部分を分離し、φ\varphi 方向の周期条件から磁気量子数の整数性を得る。

検算

底面圧力は体積 V=πa2LV=\pi a^2L を用いて pz=Nmvz2V p_z=\frac{Nm\langle v_z^2\rangle}{V} と書ける。等方的なら vz2=v2/3\langle v_z^2\rangle=\langle v^2\rangle/3 なので、通常の気体分子運動論 pV=Nmv2/3pV=Nm\langle v^2\rangle/3 と一致する。

典型ミス

側面衝突では入射角 θ\theta に依存するように見えるが、力積の sinθ\sin\theta と衝突間隔の sinθ\sin\theta が打ち消し合う。ここを残したまま平均しようとすると不要に複雑になる。

試験で書くべきポイント

mm が整数である理由は「量子数だから」ではなく、波動関数の一価性である。規格化解では係数 1/2π1/\sqrt{2\pi} を必ず書く。

続きの解答(途中式・最終答)はPDFに収録

8 — 二次形式とラプラス方程式

方針

前半の二次形式は、エルミート行列ならユニタリ変換で、実対称行列なら直交変換で対角化する。後半のラプラス方程式は、3 辺が 0、上端が定数なので、xx 方向を正弦級数にするのが自然である。

検算

SAS=diag(1,2)S^\ast AS=\operatorname{diag}(-1,2) なので、変換後の ff は交差項を持たない。これは固有ベクトル基底に移ったことを表す。ラプラス方程式の解では、BnB_n が偶数 nn で 0 になるため、上端の定数関数が奇数次の正弦級数だけで表されることとも整合する。

典型ミス

複素ベクトルの二次形式では転置だけでなく複素共役転置を使う。実対称行列の問題と同じ感覚で xTAxx^TAx と書くと、一般には実数値にならない。

試験で書くべきポイント

ラプラス方程式では境界条件を一つずつ反映する。x=0x=0An=0A_n=0x=ax=ac=π/ac=\pi/ay=0y=0gn(0)=0g_n(0)=0 と順に書けば、最後のフーリエ係数計算まで迷わない。

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