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東京大学 院試 過去問 解答例

東大 工学系研究科 社会基盤学専攻 専門科目 2022年度 院試 過去問 解答例・解説(全6問)

全6問。材料力学・材料1問。テーマタグは5件(伝達関数・はりの曲げ・固有振動数と振動系)。2021年度と共通のテーマははりの曲げ。

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解説6問と大問1問の途中式・最終答(全6問)
解答PDFに収録
途中式と最終答(最終答つき6問)
問題本文
非収録

東大 専門科目 2022年度 院試 過去問の出題内容(全6問)

この6問の分野は材料力学・材料1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問—構造・設計(不均質梁と移動荷重)曲げでは中立軸から遠い剛性が効く / 等価剛性と等価応力は別物あり
第2問材料力学・材料材料・地盤(RC耐久性と地盤改良)耐久性は強度だけで決まらない / RC計算の採点点あり
第3問—水圏工学(河川流と波浪観測)符号規約は最初に宣言する / 運動波と拡散波の違いあり
第4問—交通・空間情報(選択モデルと測量)選択確率は不等式の向きで決まる / 混雑は固定点として確認するあり
第5問—都市・景観(大都市災害とランドスケープ)大都市災害は人口規模だけの問題ではない / 仮設住宅の優先基準は公平性を説明するあり
第6問—国際プロジェクト・マネジメント(PPPと交通インフラ)PPPは万能な民営化ではない / 包括契約の狙いはライフサイクル最適化あり

2022年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度

この年度は3問に5テーマが出ています。

前年度(2021年度)との違い

大問数
2021年度 6問 → 2022年度 6問
両年度に出たテーマ
はりの曲げ
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第1問 — 構造・設計(不均質梁と移動荷重)

曲げでは中立軸から遠い剛性が効く

曲げモーメントに効く重みは y2y^2 である。したがって、材料を同じ量だけ強くするなら中立面付近より上下縁付近の剛性増加の方が曲げ剛性に大きく寄与する。この観点から case 1 と case 2 を比較すると、積分を最後まで計算しなくても case 1 の方が硬いことを判断できる。

等価剛性と等価応力は別物

等価断面二次モーメントで合わせられるのは MM-曲率関係である。最大応力や局所ひずみ、破壊開始位置は、材料分布と断面形状に依存する。剛性だけを合わせて「同じ強さ」と書くと減点されやすい。

移動荷重の共振条件

単発荷重では通過後に変位が 0 でも速度が残る。列車荷重では、その速度が固有周期ごとに同じ位相で加算されるため、変位より速度の漸増を見ると共振の本質が明確になる。振動抑制策としては、減衰装置や同調質量ダンパを設置する、列車速度・軸距・運行間隔を固有周期から外す、橋梁剛性を高めて固有振動数をずらす、といった方法がある。

解答

大問1:断面内でヤング率が変わる梁

Euler--Bernoulli 梁の主仮定は、変形前に梁軸に直交していた断面が、変形後も平面のまま梁のたわみ曲線に直交することである。したがってせん断変形は無視され、軸ひずみは曲率と中立面からの距離だけで決まる。

中立面の曲率半径を RR とし、中立面から yy だけ離れた繊維を考える。中立面の微小長さは R dθR\,d\theta、その繊維の長さは (R−y)dθ(R-y)d\theta なので εx(y)=(R−y)dθ−RdθR dθ=−yR. \varepsilon_x(y) =\frac{(R-y)d\theta-Rd\theta}{R\,d\theta} =-\frac{y}{R}. 符号は曲げの向きに依存するが、以下では大きさと剛性評価に注目する。

軸力がない純曲げでは N=∫Aσx dA=−bE0R∫−hh(α+βf(y))y dy=0. N=\int_A \sigma_x\,dA =-\frac{bE_0}{R}\int_{-h}^{h}(\alpha+\beta f(y))y\,dy=0. α+βf(y)\alpha+\beta f(y) は yy の偶関数であり、これに yy を掛けた被積分関数は奇関数である。したがって対称区間 [−h,h][-h,h] の積分は 0 となり、中立面は y=0y=0 に置ける。

曲げモーメントは M=∫Aσxy dA=−bE0R∫−hh(α+βf(y))y2 dy M=\int_A \sigma_x y\,dA =-\frac{bE_0}{R}\int_{-h}^{h}(\alpha+\beta f(y))y^2\,dy である。曲げ剛性を D=bE0∫−hh(α+βf(y))y2 dy D=bE_0\int_{-h}^{h}(\alpha+\beta f(y))y^2\,dy と書けば、符号規約を除いて M=D/RM=D/R である。

α=β=1\alpha=\beta=1 とする。case 1 では D1=bE0∫−hh(1+y2)y2 dy=bE0(2h33+2h55). D_1=bE_0\int_{-h}^{h}(1+y^2)y^2\,dy =bE_0\left(\frac{2h^3}{3}+\frac{2h^5}{5}\right). case 2 では D2=bE0∫−hh(1+h2−y2)y2 dy=bE0(2h33+4h515). D_2=bE_0\int_{-h}^{h}(1+h^2-y^2)y^2\,dy =bE_0\left(\frac{2h^3}{3}+\frac{4h^5}{15}\right). よって D1>D2D_1>D_2 である。同じ荷重なら曲率は 1/R=M/D1/R=M/D に比例するため、剛性の小さい case 2 の方が大きく変形する。直感的には、case 1 は中立面から遠い上下縁に高い剛性を置くので曲げに効きやすく、case 2 は中立面付近に剛性を置くので曲げに効きにくい。

case 1 と同じ断面曲げ剛性を、断面全体で E=E0E=E_0 の材料により実現するには、等価断面二次モーメント Ieq=∫A(1+y2)y2 dA=b(2h33+2h55) I_{\mathrm{eq}} =\int_{A}(1+y^2)y^2\,dA =b\left(\frac{2h^3}{3}+\frac{2h^5}{5}\right) を持つ断面に置き換えればよい。例えば高さを固定するなら、幅を b′b' として b′2h33=b(2h33+2h55) b'\frac{2h^3}{3} =b\left(\frac{2h^3}{3}+\frac{2h^5}{5}\right) を満たすように選べばよい。ただし、曲げ剛性が等しくても最大応力は一般には一致しない。不均質梁では σ=E0(1+y2)(−y/R)\sigma=E_0(1+y^2)(-y/R) であり、均質な等価断面では σ=E0(−y/R)\sigma=E_0(-y/R) となるため、応力分布と最大応力位置が異なる。

分布荷重を p(x)p(x)、せん断力を VV とする。鉛直つり合いとモーメントつり合いから dVdx+p(x)=0,dMdx=V. \frac{dV}{dx}+p(x)=0,\qquad \frac{dM}{dx}=V. また微小たわみでは 1/R≃d2w/dx21/R\simeq d^2w/dx^2 なので M=Dd2wdx2. M=D\frac{d^2w}{dx^2}. よって Dd4wdx4=−p(x) D\frac{d^4w}{dx^4}=-p(x) が支配方程式である。集中荷重だけを受ける区間内では p(x)=0p(x)=0 であり、荷重点や支持端の条件としてせん断力・曲げモーメントを与える。

中立面で上下に完全分離した後は、上下の半断面は互いに鏡像で、同じ大きさの荷重を受ける。接触しないという条件では、両者は同一の曲げ剛性を持つ独立梁として働くため、たわみの大きさは同じである。下側だけが大きくたわむとはいえない。

大問2:移動荷重を受ける単自由度系

運動方程式は mx¨+cx˙+kx=p0(t),ω0=km. m\ddot{x}+c\dot{x}+kx=p_0(t), \qquad \omega_0=\sqrt{\frac{k}{m}}. 減衰を無視し、荷重通過時間を T=L/vT=L/v とする。条件 v=ω0L/(2π)v=\omega_0L/(2\pi) より T=2π/ω0T=2\pi/\omega_0 であり、荷重作用中は p0(t)=P0sin⁡πtT=P0sin⁡ω0t2. p_0(t)=P_0\sin\frac{\pi t}{T} =P_0\sin\frac{\omega_0t}{2}. ゼロ初期条件の解は、0≤t≤T0\le t\le T で x(t)=4P03k{sin⁡ω0t2−12sin⁡(ω0t)}. x(t)=\frac{4P_0}{3k} \left\{\sin\frac{\omega_0 t}{2}-\frac12\sin(\omega_0 t)\right\}. したがって x(T)=0,x˙(T)=−4P0ω03k. x(T)=0,\qquad \dot{x}(T)=-\frac{4P_0\omega_0}{3k}. 荷重が去った後は自由振動となり x(t)=−4P03ksin⁡{ω0(t−T)}(t≥T) x(t)=-\frac{4P_0}{3k}\sin\{\omega_0(t-T)\} \qquad (t\ge T) で表せる。

列車荷重では各点荷重の通過開始時刻が ti=iTt_i=iT である。自由振動の周期も TT なので、各荷重が残す速度応答は次の荷重開始時まで同じ符号で残る。重ね合わせにより x(ti)=0,x˙(ti)=−i 4P0ω03k=−i 4P03mω0(i=0,1,…,n). x(t_i)=0,\qquad \dot{x}(t_i)=-i\,\frac{4P_0\omega_0}{3k} =-i\,\frac{4P_0}{3m\omega_0} \qquad (i=0,1,\ldots,n). これは、荷重間隔が固有周期に一致して速度が累積する共振的な状態である。

最終答

不均質梁の中立面は対称性により y=0y=0。曲げ剛性は D=bE0∫−hh(α+βf(y))y2dyD=bE_0\int_{-h}^{h}(\alpha+\beta f(y))y^2dy で、case 2 の方が変形が大きい。移動荷重では x(t)=4P03k{sin⁡(ω0t/2)−12sin⁡ω0t}x(t)=\frac{4P_0}{3k}\{\sin(\omega_0t/2)-\frac12\sin\omega_0t\}、列車荷重の開始時刻では x(ti)=0, x˙(ti)=−i 4P0ω0/(3k)x(t_i)=0,\ \dot{x}(t_i)=-i\,4P_0\omega_0/(3k)。

第2問 — 材料・地盤(RC耐久性と地盤改良)

耐久性は強度だけで決まらない

コンクリートの耐久性は、強度、透水性、ひび割れ、かぶり、湿潤状態、酸素供給、塩化物・二酸化炭素の供給で決まる。強度だけを単調な指標として扱うと、ひび割れや養生不足を見落とす。

RC計算の採点点

釣合鉄筋比では、ひずみ適合、力の釣合、等価応力ブロック、レバーアームの順に書くと答案が安定する。数値だけを書くより、どの破壊形式を境界としているかを明示する方が部分点を取りやすい。

地盤対策は有効応力で説明する

液状化も圧密も、有効応力と間隙水圧で説明できる。締固めは過剰間隙水圧を発生しにくくし、プレロード・真空圧密は有効応力を増やして沈下と強度増加を先取りする。この共通軸で書くと、各工法を羅列せずに整理できる。

材料・地盤(RC耐久性と地盤改良)の途中式・最終答をPDFで見る

第3問 — 水圏工学(河川流と波浪観測)

符号規約は最初に宣言する

河床勾配は教科書により S0=−dz/dxS_0=-dz/dx と書く場合がある。答案では「下流向きを正、河床低下を正の i0i_0 とする」と宣言すれば、エネルギー増減の議論を一貫させられる。

運動波と拡散波の違い

運動波は局所的な水深だけで流量が決まる近似で、速いが背水を表しにくい。拡散波は圧力勾配を残すため、水位の空間変化が流量に影響する。危険側か安全側かは、河口や合流点のように下流条件が効く場所で特に問題になる。

波浪観測は位相差が鍵

二点圧力計では位相差から波向きを得る。一点流速計では二方向成分の比から波向きを得る。いずれも線形波理論の伝達関数で、海底付近の圧力・流速を水面波高へ戻す手順が必要である。

水圏工学(河川流と波浪観測)の途中式・最終答をPDFで見る

第4問 — 交通・空間情報(選択モデルと測量)

選択確率は不等式の向きで決まる

ε′\varepsilon' の定義が εRW−εOW\varepsilon_{\mathrm{RW}}-\varepsilon_{\mathrm{OW}} である点に注意する。オフィス勤務確率は P(ε′<VOW−VRW)P(\varepsilon'<V_{\mathrm{OW}}-V_{\mathrm{RW}}) であり、不等号を逆にすると人数が逆転する。

混雑は固定点として確認する

混雑項を入れるかどうかは、計算された 1 本あたり乗客数で決まる。最初に混雑なしで試算し、閾値を超えるなら混雑項を入れて再計算し、再計算後も条件と整合するかを見る。

測量の誤差調整は重み行列が中心

通常最小二乗と一般化最小二乗の違いは、誤差分散共分散行列をどう扱うかである。測量では観測種類により精度が違い、相関も入り得るため、Σ−1\Sigma^{-1} を重みとして使う説明が最も実務に近い。

交通・空間情報(選択モデルと測量)の途中式・最終答をPDFで見る

第5問 — 都市・景観(大都市災害とランドスケープ)

大都市災害は人口規模だけの問題ではない

答案では「人が多い」だけで終わらせず、相互依存性、権利調整、住宅市場、脆弱層、インフラ復旧の連鎖を挙げると説得力が出る。特に大都市では、被災していない地域も通勤・物流・医療の停止で影響を受ける。

仮設住宅の優先基準は公平性を説明する

優先順位は弱者優先だけでも、復旧人材優先だけでも不十分である。生活上の必要性と地域全体の復旧効果を併せて示し、透明性と異議申立てを入れると、実務的な答案になる。

景観を見た目だけにしない

ランドスケープの定義では「人々による知覚」と「自然・人間要因の相互作用」が中心である。美観だけでなく、文化、環境、経済、社会的包摂、日常生活の質まで広げて論じるのが採点上強い。

都市・景観(大都市災害とランドスケープ)の途中式・最終答をPDFで見る

第6問 — 国際プロジェクト・マネジメント(PPPと交通インフラ)

PPPは万能な民営化ではない

民間に任せれば必ず効率化するわけではない。民間が制御できるリスクだけを移転し、政治的料金リスクや不可抗力リスクを押し付けないことが重要である。過度なリスク移転は入札価格を上げ、再交渉を招く。

包括契約の狙いはライフサイクル最適化

設計・建設だけを切り出すと、初期費用を下げる誘因が強くなる。運営・維持管理まで束ねると、将来の補修費や性能未達の負担を見越した設計が選ばれやすい。答案では「誰が何のリスクを管理できるか」を書くと説得力が出る。

交通投資の評価は因果推論の問題

成長地域に道路や港が作られるため、単純な相関は効果を過大評価しやすい。一方、ネットワーク効果や集積効果は狭い地域だけを見ると過小評価される。識別の難しさを、インフラの長寿命・不可分性・広域性と結び付けるのが要点である。

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東大 専門科目 院試 過去問の収録5年度

  • 2026年度(全8問)

    構造・設計 / 材料・コンクリート工学 / 地盤工学

  • 2025年度(全10問)

    構造・設計(1自由度振動) / 材料(RC 断面の終局曲げ) / 地盤(液状化・土圧・圧密沈下)

  • 2024年度(全6問)

    構造設計(梁理論と移動荷重) / 材料・地盤(コンクリート材料と斜面安定) / 水圏工学(気候変動と流体力学)

  • 2022年度(このページ・全6問)

    構造・設計(不均質梁と移動荷重) / 材料・地盤(RC耐久性と地盤改良) / 水圏工学(河川流と波浪観測)

  • 2021年度(全6問)

    構造・設計(梁理論と構造応答) / 材料・地盤(耐久性設計と土質挙動) / 水圏工学(開水路流れと高潮)