東京大学 院試 過去問 解答例
東大 工学系研究科 社会基盤学専攻 専門科目 2024年度 院試 解答例・解説
東京大学 工学系研究科 社会基盤学専攻 専門科目 2024年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針と確認点を解説。全6問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。
最終更新:
設問ごとの解法方針と確認点を公開しています。
続きの途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。
第1問 — 構造設計(梁理論と移動荷重)
採点で見られる筋
この問題は、梁理論の仮定を暗記で述べるだけでは足りない。軸ひずみ から応力、曲げモーメント、せん断応力へ順に落とすことで、円環断面の式がどこから出たかを示す必要がある。移動荷重側では、仮定したモード形 から有効質量と有効剛性を積分で出す部分が部分点の中心になる。
典型ミス
円環断面で極断面二次モーメントと曲げ用の断面二次モーメントを混同すると係数が 2 倍ずれる。移動質量では の時間微分に が入るため、単に右辺の荷重だけを として終えると、移動荷重モデルとの差を説明できない。
第2問 — 材料・地盤(コンクリート材料と斜面安定)
採点で見られる筋
材料分野は正誤だけを書かず、反応機構や部材性能へのつながりを 1 文添えると答案が強くなる。地盤分野は全応力、有効応力、間隙水圧を分けることが最重要であり、特に斜面安定では を明示すると計算過程が追いやすい。
典型ミス
三軸圧縮の を と取り違えると と が両方崩れる。安全率では地下水面より上と下で単位体積重量を分けずに一律飽和重量を使うミスが多い。屈折法では直達波と屈折波の直線の傾きを逆数で読む点を落とさない。
第3問 — 水圏工学(気候変動と流体力学)
採点で見られる筋
前半の論述では、気候変動を「降雨が増える」だけで終えず、流域応答と確率分布の尾部という 2 段階で説明するのが重要である。後半の導出では、仮定を一つずつ書くことが部分点になる。非圧縮、非粘性、渦なし、線形化、浅水・深水のどれを使っているかを明示すると、式の適用範囲も説明できる。
典型ミス
Bernoulli 式を実河川の等流へそのまま当てはめ、エネルギー損失を無視すると最後の設問の理由が書けない。底面圧力では静水圧 と波による変動圧を混ぜて扱うと、浅水・深水での差が見えなくなる。
第4問 — 交通・空間情報(交通配分と空間データ)
採点で見られる筋
交通配分は、経路流量を変数に置き、各経路の費用関数を作ってから均衡条件を解くのが基本である。空間情報は用語説明だけではなく、データがどのように更新されるか、どの誤差をどの技術が補正するかまで書くと設問対応が明確になる。
典型ミス
Link 3 を追加しただけで必ず所要時間が下がると判断するのは危ない。均衡で使われるかどうかは、追加リンクを含む経路費用を計算してから判定する。GIS の位相構造では、交差点追加に伴う既存辺の分割を書かないと、ポリゴン更新の説明として不十分になる。
第5問 — 都市・景観(津波常襲地域の計画と都市イメージ)
採点で見られる筋
論述型でも、設問が求める対象を分けて答えることが重要である。津波計画では「危険な場所を避ける」だけでなく、避難施設、避難経路、土地利用規制、復旧時の代替拠点まで書くと、計画案として具体性が出る。Lynch の問題では 5 要素を単語で並べるだけでなく、改善操作と空間認知への効果をつなげる。
典型ミス
防潮堤を置けば安全、という単線的な答案は避ける。低地利用、避難時間、要配慮者、観光客、復興後の戻り先を含めないと実装上の評価が弱い。レジビリティでは landmark ばかりに寄せると、path や node の連続性という本問の図面読解を落としやすい。
第6問 — 国際プロジェクト・マネジメント(関係特定投資と開発課題)
採点で見られる筋
マネジメント問題は、単なる用語説明ではなく、行動順序、インセンティブ、均衡、制度設計の順に書くと答案として強い。国際開発側は「インフラは成長に良い」で止めず、誰が便益を得るか、誰が負担するか、補完政策があるかを分けると、SDG 10 の不平等論点に接続できる。
典型ミス
PPP や長期契約を万能策として書くと説得力が落ちる。リスクを管理しやすい主体に配分すること、投資回収の予見可能性を作ることが要点である。内陸国については「海がない」だけでなく、通過国の制度、物流時間、産業構造、人的資本まで含めて差が出ると説明する。