東京大学 院試 過去問 解答例
東大 工学系研究科 社会基盤学専攻 専門科目 2025年度 院試 解答例・解説
東京大学 工学系研究科 社会基盤学専攻 専門科目 2025年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針と確認点を解説。全10問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。
最終更新:
設問ごとの解法方針と確認点を公開しています。
続きの途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。
第1問 — 構造・設計(1自由度振動)
最初の一手
定常基準(「積載前の静止」を )が指定されているので、まず を書き、ステップ荷重では「定数の特解 」と「減衰自由振動」を足し合わせるのが最短で確実である。
(3) の見通しと検算
は 、、 を満たす。 また は静的変位 を中心に振動するのではなく、初期条件が「静的変位に達する前」なので から立ち上がり、半周期で に到達する(ここを見落とすと極値を取り違える)。
(4) の落とし穴
路面入力は「外力」ではなく「基礎変位」なので、ばね・ダンパは ではなく を通じて働く。 この一行を取り違えると、以後の特解がすべてずれる。
(5) の意味
はステップ応答の最大時刻である。その時刻に路面入力が上乗せされると最大値が増減し得る。 式は単に「この時刻の追加項の符号条件」を与えており、周波数比によっては上乗せが必ず正になってしまう( では なので、追加項は増加方向になりやすい)。
第2問 — 材料(RC 断面の終局曲げ)
計算の骨格
断面の終局計算は、(i) 平面保持と終局ひずみ、(ii) 圧縮側の等価応力ブロック、(iii) 軸力釣合い、(iv) 作用点距離でモーメント、の 4 手で終わる。 数値はミリ・ニュートン系で統一し、最後に を変換する。
落としやすい点
軸力ありでは ではなく 。 また「軸力が断面中心作用」と書かれているので、モーメントは断面中心まわりで評価するのが自然である(基準点を変えても同じ値になるが、式の立て方で符号を迷いにくい)。
真偽問題の書き方
2 行指定のときは「機構(なぜそうなるか)」を 1 行で必ず書く。 空気連行は spacing factor、塩害は自由塩化物と拡散、フライアッシュは球形粒子と分散、低熱セメントは水和熱、ジャンカは充填不良が核である。
第3問 — 地盤(液状化・土圧・圧密沈下)
沈下計算のコツ
静水圧 と全応力 を別々に書いて差を取るより、地下水面より下では を積分すると速い。 また、圧密沈下は「」なので、比 を先に作ると計算が安定する。
図の意味
地下水位低下で が減る一方、土の自重はほぼ同じなので、結果として が増加し正規圧密粘土が圧密する。 図で「破線の が実線より上にずれる」ことが沈下の源である。
第4問 — 水圏工学A(円頂堰まわりの静水圧・越流)
水平合力の覚え方
曲面の水平合力は「鉛直投影」だけ見ればよい。静水圧を曲面上で積分する必要はない。
(3) のポイント
は「堰頂基準の水面高さ」なので、上流域の水深は河床(ここでは )からの差で作る。 この 1 行がずれると流量保存が崩れる。
(4)(5)(7) の近似
与えられた情報だけで厳密な速度・圧力場を決めることはできないため、Bernoulli を使う部分では 「停滞点近似」「自由水面上で鉛直速度小」「 で水平流卓越」などを明示して使うのが答案として安全である。
第5問 — 水圏工学B(気候変動・洪水リスク低減)
真偽問題の型
「何が間違いか」だけでなく、反例・機構(循環場、観測のばらつき、制度設計)を 1 文で添えると得点しやすい。
(3) の書き方
キーワード指定問題は、まず「全体戦略(流域一体・複合)」を 1 文で置き、次に手段(予測・土地利用・自然基盤・補償)を因果でつなぐと 10 行程度でまとまる。
第6問 — 交通(離散選択モデルと VTTS)
なぜ MNL になるか
Gumbel i.i.d. は「最大値の分布」が閉じるため、選択確率がロジット形になる(IIA を伴う)。推定法は最尤が基本で、SP/ RP いずれも同様に書ける。
VTTS の読み方
比で出るので、費用・時間の単位(JPY, min)を取り違えると 60 倍ずれる。 また VTTS の大小は「その代替で時間をどう感じるか(運転負担、車内生産性、不確実性)」の要約である。
第7問 — 空間情報(GNSS と SAR の基礎)
答案で差がつく点
GNSS は「4 衛星=時計誤差も解く」を明記すると締まる。SAR は「方位分解能=実開口だとアンテナ長が必要」を一言入れる。 散乱過程は言葉だけでなく簡単な模式図を添えると、採点者に伝わりやすい。
第8問 — 都市・景観(歩行体験と形態規制)
答案の作り方
シークエンス景観は「時間・移動」を入れないとシーン景観と区別が付かない。例示は抽象語で終わらせず、空間の変化(狭い→広い、暗い→明るい、近景→遠景)で書くと具体性が出る。
規制とデザインの橋渡し
BCR/FAR は床面積の総量を決めるだけなので、歩行者が体感する断面(街路幅に対する壁面高さ、後退、庇、樹木)を別途設計・ルール化するのが「制度の読み替え」である。
第9問 — マネジメント(賃金・契約構造・政策効果)
書き方の狙い
この種の問題は「制度(単価)→契約価格→支払→賃金」という流れを因果で書くと整理できる。 単に「中抜きがある」ではなく、なぜ重層化するのか(機能)と、どこでパススルーが止まるのか(メカニズム)を分けるのがコツ。
第10問 — 国際プロジェクト(インフォーマル交通と公正)
ポイント
国際プロジェクトの論述では「誰が得をし、誰が損をするか(分配)」と「実装可能性(財源・制度・監督)」を両方書くと説得力が出る。