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東京大学 院試 過去問 解答例

東大 工学系研究科 社会基盤学専攻 専門科目 2025年度 院試 過去問 解答例・解説(全10問)

全10問。材料力学・材料1問・力学1問。テーマタグは2件(はりの曲げ・最尤推定)。2024年度と共通のテーマははりの曲げ。

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解説10問と大問1問の途中式・最終答(全10問)
解答PDFに収録
途中式と最終答(最終答つき10問)
問題本文
非収録

東大 専門科目 2025年度 院試 過去問の出題内容(全10問)

この10問の分野は材料力学・材料1問・力学1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問力学構造・設計(1自由度振動)最初の一手 / (3) の見通しと検算あり
第2問材料力学・材料材料(RC 断面の終局曲げ)計算の骨格 / 落としやすい点あり
第3問—地盤(液状化・土圧・圧密沈下)沈下計算のコツ / 図の意味あり
第4問—水圏工学A(円頂堰まわりの静水圧・越流)水平合力の覚え方 / (3) のポイントあり
第5問—水圏工学B(気候変動・洪水リスク低減)真偽問題の型 / (3) の書き方あり
第6問—交通(離散選択モデルと VTTS)なぜ MNL になるか / VTTS の読み方あり
第7問—空間情報(GNSS と SAR の基礎)答案で差がつく点あり
第8問—都市・景観(歩行体験と形態規制)答案の作り方 / 規制とデザインの橋渡しあり
第9問—マネジメント(賃金・契約構造・政策効果)書き方の狙いあり
第10問—国際プロジェクト(インフォーマル交通と公正)ポイントあり

2025年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度

この年度は2問に2テーマが出ています。

前年度(2024年度)との違い

大問数
2024年度 6問 → 2025年度 10問
両年度に出たテーマ
はりの曲げ
2025年度で新しく出たテーマ
最尤推定
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第1問 — 構造・設計(1自由度振動)

最初の一手

定常基準(「積載前の静止」を x=0x=0)が指定されているので、まず mx¨+cx˙+kx=fm\ddot x+c\dot x+kx=f を書き、ステップ荷重では「定数の特解 f0/kf_0/k」と「減衰自由振動」を足し合わせるのが最短で確実である。

(3) の見通しと検算

x(t)=f0k(1−cos⁡ωnt)x(t)=\frac{f_0}{k}(1-\cos\omega_n t) は x(0)=0x(0)=0、x˙(0)=0\dot x(0)=0、x¨(0)=f0/m\ddot x(0)=f_0/m を満たす。 また xx は静的変位 f0/kf_0/k を中心に振動するのではなく、初期条件が「静的変位に達する前」なので 00 から立ち上がり、半周期で 2f0/k2f_0/k に到達する(ここを見落とすと極値を取り違える)。

(4) の落とし穴

路面入力は「外力」ではなく「基礎変位」なので、ばね・ダンパは xx ではなく x−yx-y を通じて働く。 この一行を取り違えると、以後の特解がすべてずれる。

(5) の意味

t=π/ωnt=\pi/\omega_n はステップ応答の最大時刻である。その時刻に路面入力が上乗せされると最大値が増減し得る。 式は単に「この時刻の追加項の符号条件」を与えており、周波数比によっては上乗せが必ず正になってしまう(ω<ωn\omega<\omega_n では sin⁡(πω/ωn)>0\sin(\pi\omega/\omega_n)>0 なので、追加項は増加方向になりやすい)。

解答

質点 mvm_v、ばね定数 kvk_v、減衰係数 cvc_v の 1 自由度系で、変位 x(t)x(t) は「土を積む前の静止状態」を x=0x=0 として測る(与えられた設定のとおり)とする。 固有角振動数、減衰比、減衰固有角振動数を ωn=kvmv,ζ=cv2mvkv,ωd=ωn1−ζ2 \omega_n=\sqrt{\frac{k_v}{m_v}}, \qquad \zeta=\frac{c_v}{2\sqrt{m_v k_v}}, \qquad \omega_d=\omega_n\sqrt{1-\zeta^2} とおく(ζ<1\zeta<1)。

(1) 外力 f(t)f(t) に対する運動方程式

つり合い位置 x=0x=0 まわりの運動方程式は mvx¨+cvx˙+kvx=f(t) m_v\ddot x+c_v\dot x+k_v x=f(t) である。

(2) ステップ荷重 f(t)=msg H(t)f(t)=m_s g\,H(t) の一般解

t≥0t\ge 0 では f(t)=f0:=msgf(t)=f_0:=m_s g が一定なので、特解は xp=f0/kvx_p=f_0/k_v。 同次解は xh(t)=e−ζωnt(Acos⁡(ωdt)+Bsin⁡(ωdt)) x_h(t)=e^{-\zeta\omega_n t}\bigl(A\cos(\omega_d t)+B\sin(\omega_d t)\bigr) であり、したがって x(t)=f0kv+e−ζωnt(Acos⁡(ωdt)+Bsin⁡(ωdt)) x(t)=\frac{f_0}{k_v}+e^{-\zeta\omega_n t}\bigl(A\cos(\omega_d t)+B\sin(\omega_d t)\bigr) となる(A,BA,B は初期条件で決まる)。

(3) 減衰無視の極値(x(0)=x˙(0)=0x(0)=\dot x(0)=0)

ζ≃0\zeta\simeq 0 とすると x¨+ωn2x=f0mv,x(0)=x˙(0)=0 \ddot x+\omega_n^2 x=\frac{f_0}{m_v}, \qquad x(0)=\dot x(0)=0 より x(t)=f0kv(1−cos⁡(ωnt)). x(t)=\frac{f_0}{k_v}\bigl(1-\cos(\omega_n t)\bigr). よって xmin⁡=0,xmax⁡=2f0kv(t=π/ωn) x_{\min}=0, \qquad x_{\max}=\frac{2f_0}{k_v}\quad (t=\pi/\omega_n) であり、x(t)x(t) は 00 と 2f0/kv2f_0/k_v の間を振動する(初期半周期で最大)。

(4) 凹凸路面 y(t)y(t) を受ける基礎加振

路面(基礎)変位を y(t)y(t) とすると、ばね・ダンパの相対変形が x−yx-y なので mvx¨+cv(x˙−y˙)+kv(x−y)=f(t) m_v\ddot x+c_v(\dot x-\dot y)+k_v(x-y)=f(t) が運動方程式である。右辺に移せば mvx¨+cvx˙+kvx=f(t)+cvy˙+kvy m_v\ddot x+c_v\dot x+k_v x=f(t)+c_v\dot y+k_v y と見なせる。

(4) の特解(y(t)=Ysin⁡(ωt)y(t)=Y\sin(\omega t))

t≥0t\ge 0 で f(t)=f0f(t)=f_0 とし、調和特解を xp(t)=f0/kv+ℜ(Xeiωt)x_p(t)=f_0/k_v+\Re(Xe^{i\omega t}) とおくと X=kv+iωcvkv−mvω2+iωcv Y. X=\frac{k_v+i\omega c_v}{k_v-m_v\omega^2+i\omega c_v}\,Y. (従って、振幅比と位相は上式から直ちに得られる。)

(5) t=π/ωnt=\pi/\omega_n で x(t)x(t) を抑えるための条件(ζ≃0\zeta\simeq 0)

減衰無視で、y(t)=Ysin⁡(ωt)y(t)=Y\sin(\omega t) が t=0t=0 から同時に作用するとき x¨+ωn2x=f0mv+ωn2Ysin⁡(ωt),x(0)=x˙(0)=0 \ddot x+\omega_n^2 x=\frac{f_0}{m_v}+\omega_n^2 Y\sin(\omega t), \qquad x(0)=\dot x(0)=0 より(ω≠ωn\omega\neq\omega_n として) x(t)=f0kv(1−cos⁡(ωnt))+ωn2Yωn2−ω2(sin⁡(ωt)−ωωnsin⁡(ωnt)). x(t)=\frac{f_0}{k_v}\bigl(1-\cos(\omega_n t)\bigr) +\frac{\omega_n^2 Y}{\omega_n^2-\omega^2}\left( \sin(\omega t)-\frac{\omega}{\omega_n}\sin(\omega_n t) \right). 従って t=π/ωnt=\pi/\omega_n では sin⁡(ωnt)=0\sin(\omega_n t)=0 なので x ⁣(πωn)=2f0kv+Y1−(ω/ωn)2sin⁡ ⁣(πωωn). x\!\left(\frac{\pi}{\omega_n}\right) = \frac{2f_0}{k_v} +\frac{Y}{1-(\omega/\omega_n)^2}\sin\!\left(\pi\frac{\omega}{\omega_n}\right). この値を (3) の最大値 2f0/kv2f_0/k_v より小さくするには Y1−(ω/ωn)2sin⁡ ⁣(πωωn)<0 \boxed{\displaystyle \frac{Y}{1-(\omega/\omega_n)^2}\sin\!\left(\pi\frac{\omega}{\omega_n}\right)<0} が必要十分である(Y>0Y>0 なら sin⁡(πω/ωn)\sin(\pi\omega/\omega_n) と 1−(ω/ωn)21-(\omega/\omega_n)^2 の符号が逆になること)。

最終答

運動方程式は mvx¨+cvx˙+kvx=f(t)m_v\ddot x+c_v\dot x+k_v x=f(t)。ステップ f(t)=f0H(t)f(t)=f_0H(t) の一般解は x=f0/kv+e−ζωnt(Acos⁡ωdt+Bsin⁡ωdt)x=f_0/k_v+e^{-\zeta\omega_n t}(A\cos\omega_d t+B\sin\omega_d t)。ζ≃0\zeta\simeq0 かつ x(0)=x˙(0)=0x(0)=\dot x(0)=0 なら x(t)=f0kv(1−cos⁡ωnt)x(t)=\frac{f_0}{k_v}(1-\cos\omega_n t) で、xmin⁡=0x_{\min}=0、xmax⁡=2f0/kvx_{\max}=2f_0/k_v(t=π/ωnt=\pi/\omega_n)。基礎加振は mvx¨+cv(x˙−y˙)+kv(x−y)=f(t)m_v\ddot x+c_v(\dot x-\dot y)+k_v(x-y)=f(t)。y=Ysin⁡ωty=Y\sin\omega t の調和特解は X=kv+iωcvkv−mvω2+iωcvYX=\frac{k_v+i\omega c_v}{k_v-m_v\omega^2+i\omega c_v}Y。減衰無視で t=π/ωnt=\pi/\omega_n において x(t)<2f0/kvx(t)<2f_0/k_v とする条件は Y1−(ω/ωn)2sin⁡(πω/ωn)<0\frac{Y}{1-(\omega/\omega_n)^2}\sin(\pi\omega/\omega_n)<0。

第2問 — 材料(RC 断面の終局曲げ)

計算の骨格

断面の終局計算は、(i) 平面保持と終局ひずみ、(ii) 圧縮側の等価応力ブロック、(iii) 軸力釣合い、(iv) 作用点距離でモーメント、の 4 手で終わる。 数値はミリ・ニュートン系で統一し、最後に N mm→kN m\mathrm{N\,mm}\to\mathrm{kN\,m} を変換する。

落としやすい点

軸力ありでは C=TC=T ではなく C−T=NC-T=N。 また「軸力が断面中心作用」と書かれているので、モーメントは断面中心まわりで評価するのが自然である(基準点を変えても同じ値になるが、式の立て方で符号を迷いにくい)。

真偽問題の書き方

2 行指定のときは「機構(なぜそうなるか)」を 1 行で必ず書く。 空気連行は spacing factor、塩害は自由塩化物と拡散、フライアッシュは球形粒子と分散、低熱セメントは水和熱、ジャンカは充填不良が核である。

材料(RC 断面の終局曲げ)の途中式・最終答をPDFで見る

第3問 — 地盤(液状化・土圧・圧密沈下)

沈下計算のコツ

静水圧 uu と全応力 σv\sigma_v を別々に書いて差を取るより、地下水面より下では γ′=γsat−γw\gamma'=\gamma_{\mathrm{sat}}-\gamma_w を積分すると速い。 また、圧密沈下は「log⁡(σ′/)\log(\sigma'/)」なので、比 σ2′/σ1′\sigma'_2/\sigma'_1 を先に作ると計算が安定する。

図の意味

地下水位低下で uu が減る一方、土の自重はほぼ同じなので、結果として σ′\sigma' が増加し正規圧密粘土が圧密する。 図で「破線の σ′\sigma' が実線より上にずれる」ことが沈下の源である。

地盤(液状化・土圧・圧密沈下)の途中式・最終答をPDFで見る

第4問 — 水圏工学A(円頂堰まわりの静水圧・越流)

水平合力の覚え方

曲面の水平合力は「鉛直投影」だけ見ればよい。静水圧を曲面上で積分する必要はない。

(3) のポイント

η(x)\eta(x) は「堰頂基準の水面高さ」なので、上流域の水深は河床(ここでは z=−Rz=-R)からの差で作る。 この 1 行がずれると流量保存が崩れる。

(4)(5)(7) の近似

与えられた情報だけで厳密な速度・圧力場を決めることはできないため、Bernoulli を使う部分では 「停滞点近似」「自由水面上で鉛直速度小」「x=Rx=R で水平流卓越」などを明示して使うのが答案として安全である。

水圏工学A(円頂堰まわりの静水圧・越流)の途中式・最終答をPDFで見る

第5問 — 水圏工学B(気候変動・洪水リスク低減)

真偽問題の型

「何が間違いか」だけでなく、反例・機構(循環場、観測のばらつき、制度設計)を 1 文で添えると得点しやすい。

(3) の書き方

キーワード指定問題は、まず「全体戦略(流域一体・複合)」を 1 文で置き、次に手段(予測・土地利用・自然基盤・補償)を因果でつなぐと 10 行程度でまとまる。

水圏工学B(気候変動・洪水リスク低減)の途中式・最終答をPDFで見る

第6問 — 交通(離散選択モデルと VTTS)

なぜ MNL になるか

Gumbel i.i.d. は「最大値の分布」が閉じるため、選択確率がロジット形になる(IIA を伴う)。推定法は最尤が基本で、SP/ RP いずれも同様に書ける。

VTTS の読み方

比で出るので、費用・時間の単位(JPY, min)を取り違えると 60 倍ずれる。 また VTTS の大小は「その代替で時間をどう感じるか(運転負担、車内生産性、不確実性)」の要約である。

交通(離散選択モデルと VTTS)の途中式・最終答をPDFで見る

第7問 — 空間情報(GNSS と SAR の基礎)

答案で差がつく点

GNSS は「4 衛星=時計誤差も解く」を明記すると締まる。SAR は「方位分解能=実開口だとアンテナ長が必要」を一言入れる。 散乱過程は言葉だけでなく簡単な模式図を添えると、採点者に伝わりやすい。

空間情報(GNSS と SAR の基礎)の途中式・最終答をPDFで見る

第8問 — 都市・景観(歩行体験と形態規制)

答案の作り方

シークエンス景観は「時間・移動」を入れないとシーン景観と区別が付かない。例示は抽象語で終わらせず、空間の変化(狭い→広い、暗い→明るい、近景→遠景)で書くと具体性が出る。

規制とデザインの橋渡し

BCR/FAR は床面積の総量を決めるだけなので、歩行者が体感する断面(街路幅に対する壁面高さ、後退、庇、樹木)を別途設計・ルール化するのが「制度の読み替え」である。

都市・景観(歩行体験と形態規制)の途中式・最終答をPDFで見る

第9問 — マネジメント(賃金・契約構造・政策効果)

書き方の狙い

この種の問題は「制度(単価)→契約価格→支払→賃金」という流れを因果で書くと整理できる。 単に「中抜きがある」ではなく、なぜ重層化するのか(機能)と、どこでパススルーが止まるのか(メカニズム)を分けるのがコツ。

マネジメント(賃金・契約構造・政策効果)の途中式・最終答をPDFで見る

第10問 — 国際プロジェクト(インフォーマル交通と公正)

ポイント

国際プロジェクトの論述では「誰が得をし、誰が損をするか(分配)」と「実装可能性(財源・制度・監督)」を両方書くと説得力が出る。

国際プロジェクト(インフォーマル交通と公正)の途中式・最終答をPDFで見る

東大 専門科目 院試 過去問の収録5年度

  • 2026年度(全8問)

    構造・設計 / 材料・コンクリート工学 / 地盤工学

  • 2025年度(このページ・全10問)

    構造・設計(1自由度振動) / 材料(RC 断面の終局曲げ) / 地盤(液状化・土圧・圧密沈下)

  • 2024年度(全6問)

    構造設計(梁理論と移動荷重) / 材料・地盤(コンクリート材料と斜面安定) / 水圏工学(気候変動と流体力学)

  • 2022年度(全6問)

    構造・設計(不均質梁と移動荷重) / 材料・地盤(RC耐久性と地盤改良) / 水圏工学(河川流と波浪観測)

  • 2021年度(全6問)

    構造・設計(梁理論と構造応答) / 材料・地盤(耐久性設計と土質挙動) / 水圏工学(開水路流れと高潮)