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東京大学 院試 過去問 解答例

東大 工学系研究科 社会基盤学専攻 専門科目 2026年度 院試 過去問 解答例・解説(全8問)

全8問。材料力学・材料1問。テーマタグは3件(はりの曲げ・転位・応力・ひずみ)。2025年度と共通のテーマははりの曲げ。

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解説8問と大問1問の途中式・最終答(全8問)
解答PDFに収録
途中式と最終答(最終答つき8問)
問題本文
非収録

東大 専門科目 2026年度 院試 過去問の出題内容(全8問)

この8問の分野は材料力学・材料1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問—構造・設計この問題の軸 / 答案で落としやすい点あり
第2問材料力学・材料材料・コンクリート工学曲げ耐力計算の見通し / 湿度条件の注意あり
第3問—地盤工学サクションと液状化の共通点 / Mohr--Coulomb 式の使い方あり
第4問—水圏工学移動座標で考える理由 / 線形波と段波の違いあり
第5問—交通図示のポイント / 政策答案の書き方あり
第6問—空間情報GNSS の答案で必要な粒度 / 高さ変換の落とし穴あり
第7問—都市・景観景観答案の作り方 / 規制の効果は形で説明するあり
第8問—マネジメント・国際プロジェクトPPP の答案で避けるべき単純化 / PPC の読み方あり

2026年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度

この年度は2問に3テーマが出ています。

前年度(2025年度)との違い

大問数
2025年度 10問 → 2026年度 8問
両年度に出たテーマ
はりの曲げ
2026年度で新しく出たテーマ
転位・応力・ひずみ
2025年度のページを見る

第1問 — 構造・設計

この問題の軸

変断面ではなく、断面内で EE が変わる梁である。したがって、通常の EIEI をそのまま使うのではなく、E(y)E(y) を重みとする「剛性重心」と「剛性二次モーメント」を作るのが最初の一手になる。

答案で落としやすい点

中立軸位置は幾何学的な重心ではない。合力 0 の条件から出るので、∫y dA=0\int y\,dA=0 ではなく ∫E(y)(y−yˉ) dA=0\int E(y)(y-\bar y)\,dA=0 を書く必要がある。また市松断面では中立軸が中央でも、積 xyxy の重みが消えないため曲げ連成が残る。中立軸の一致と、曲げが一方向だけになることは別の条件である。

解答

座標 zz を梁軸方向、yy を断面高さ方向とする。断面は幅 2w2w、高さ 2h2h で、ヤング率は E=E(y)E=E(y) とする。中立面の位置を y=yˉy=\bar y とおく。

(1) 曲げによる軸応力

Euler--Bernoulli 梁では、平面保持により中立面から距離 y−yˉy-\bar y にある繊維の軸ひずみは曲率 1/R1/R に比例する。ここでは上側が引張となる符号を正に取れば εz(y)=y−yˉR,σz(y)=E(y)εz(y)=E(y)(y−yˉ)R. \varepsilon_z(y)=\frac{y-\bar y}{R}, \qquad \sigma_z(y)=E(y)\varepsilon_z(y) =\frac{E(y)(y-\bar y)}{R}. 曲げモーメントの向きを逆に取る規約では全体に負号が付くが、以後の中立軸条件と曲げ剛性は同じである。

(2) 中立面と曲げ剛性

軸方向合力が 0 であることから N=2w∫−hhσz(y) dy=2wR∫−hhE(y)(y−yˉ) dy=0. N=2w\int_{-h}^{h}\sigma_z(y)\,dy =\frac{2w}{R}\int_{-h}^{h}E(y)(y-\bar y)\,dy=0. したがって yˉ=∫−hhyE(y) dy∫−hhE(y) dy \boxed{\displaystyle \bar y= \frac{\int_{-h}^{h}yE(y)\,dy} {\int_{-h}^{h}E(y)\,dy}} 中立軸まわりのモーメントは M=2w∫−hhσz(y)(y−yˉ) dy=2wR∫−hhE(y)(y−yˉ)2 dy. M=2w\int_{-h}^{h}\sigma_z(y)(y-\bar y)\,dy =\frac{2w}{R}\int_{-h}^{h}E(y)(y-\bar y)^2\,dy . 上の合力条件より ∫E(y)(y−yˉ)2 dy=∫y2E(y) dy−yˉ∫yE(y) dy \int E(y)(y-\bar y)^2\,dy = \int y^2E(y)\,dy-\bar y\int yE(y)\,dy であるから、 M=1RK,K=2w(∫−hhy2E(y) dy−yˉ∫−hhyE(y) dy). \boxed{\displaystyle M=\frac{1}{R}K,\qquad K=2w\left( \int_{-h}^{h}y^2E(y)\,dy -\bar y\int_{-h}^{h}yE(y)\,dy \right)} . また E(y)=E(−y)E(y)=E(-y) なら yE(y)yE(y) は奇関数なので ∫−hhyE(y) dy=0 \int_{-h}^{h}yE(y)\,dy=0 となり、yˉ=0\bar y=0 である。

(3) 支配方程式と境界条件

曲率の近似 1/R=d2u/dz21/R=d^2u/dz^2 を用いると M(z)=Kd2udz2. M(z)=K\frac{d^2u}{dz^2}. 分布荷重がない梁要素ではせん断力 V=dM/dzV=dM/dz、荷重 q=−dV/dzq=-dV/dz より d2Mdz2=0. \frac{d^2M}{dz^2}=0. この問題では断面と材料分布が zz に依存しないので KK は定数であり、 Kd4udz4=0 \boxed{\displaystyle K\frac{d^4u}{dz^4}=0} が支配方程式である。

固定端を z=0z=0、自由端を z=Lz=L とすれば、4 個の境界条件は u(0)=0,u′(0)=0,Ku′′(L)=M0,Ku′′′(L)=0. u(0)=0,\qquad u'(0)=0,\qquad K u''(L)=M_0,\qquad K u'''(L)=0 . 最後の条件は自由端に横力が作用していないことを表す。

(4) 2 種類の傾斜材料梁

いずれのヤング率も偶関数なので中立軸は y=0y=0 である。したがって K=2w∫−hhy2E(y) dy. K=2w\int_{-h}^{h}y^2E(y)\,dy. ここで E1=E0(1+5y2h2),E2=E0(1+7y4h4) E_1=E_0\left(1+5\frac{y^2}{h^2}\right),\qquad E_2=E_0\left(1+7\frac{y^4}{h^4}\right) と読むと、 K1=2wE0(2h33+5h22h55)=163wE0h3, K_1 =2wE_0\left( \frac{2h^3}{3} +\frac{5}{h^2}\frac{2h^5}{5} \right) =\frac{16}{3}wE_0h^3, K2=2wE0(2h33+7h42h77)=163wE0h3. K_2 =2wE_0\left( \frac{2h^3}{3} +\frac{7}{h^4}\frac{2h^7}{7} \right) =\frac{16}{3}wE_0h^3. 自由端回転角は θ(L)=M0L/K\theta(L)=M_0L/K であるから、 θ1:θ2=1:1. \boxed{\theta_1:\theta_2=1:1}. 一方、同じ曲率での応力は σ=E(y)y/R\sigma=E(y)y/R である。最大応力は端部 ∣y∣=h|y|=h で比較すればよく、 E1(h)=6E0,E2(h)=8E0. E_1(h)=6E_0,\qquad E_2(h)=8E_0. したがって最大応力は E2E_2 の梁の方が大きい。

(5) 市松状二材料断面

4 分割された市松断面では、上下半分・左右半分の平均ヤング率がどちらも (E1+E2)/2(E_1+E_2)/2 になる。したがって剛性重心は断面中央にあり、中立軸は xx 軸、yy 軸と一致する。

ただし、対角方向で材料が入れ替わるため Dxy=∫AE(x,y)xy dA D_{xy}=\int_A E(x,y)xy\,dA は 0 にならない。実際、xy>0xy>0 の 2 象限に E2E_2、xy<0xy<0 の 2 象限に E1E_1 が配置されているので、E2>E1E_2>E_1 のとき Dxy>0D_{xy}>0 である。よって xx 軸まわりのモーメントだけを与えても、曲率ベクトルは一般に xx 軸成分だけにならず、xx 軸まわりと yy 軸まわりの曲げが連成する。

材料 E1E_1 だけで同じ変位・回転を再現するには、単に矩形断面の高さを変えるだけでは不十分である。対象荷重に対して E1Ix∗=Dxx,E1Ixy∗=Dxy E_1 I_x^\ast=D_{xx},\qquad E_1 I_{xy}^\ast=D_{xy} が成り立つような非対称断面、または主軸を回転させた等価断面を設計する。特定の MxM_x のみを再現する目的なら、二材料梁で生じる曲率 (κx,κy)(\kappa_x,\kappa_y) を先に求め、それと同じ曲率を与える E1E_1 単材断面の断面二次モーメント行列を合わせればよい。

最終答

中立面は yˉ=∫yE dy∫E dy\bar y=\dfrac{\int yE\,dy}{\int E\,dy}、曲げ剛性は K=2w(∫y2E dy−yˉ∫yE dy)K=2w\left(\int y^2E\,dy-\bar y\int yE\,dy\right)。偶関数材料では yˉ=0\bar y=0。支配方程式は Ku′′′′=0K u''''=0。2 種類の偶関数材料梁の自由端回転比は 1:11:1、最大応力は E2E_2 の梁が大きい。市松断面は中立軸自体は中央軸に一致するが、曲げ連成により両軸まわりに曲がる。

第2問 — 材料・コンクリート工学

曲げ耐力計算の見通し

この断面では、少ない鉄筋量では圧縮域がフランジ内に収まるため矩形梁として扱える。鉄筋量が大きくなると圧縮域がウェブへ入り、圧縮合力の位置をフランジ部とウェブ部に分けて求める必要がある。ここで圧縮合力位置を a/2a/2 としてしまうと、T 形断面のレバーアームを誤る。

湿度条件の注意

炭酸化は「乾燥していれば必ず進む」現象ではない。CO2\mathrm{CO_2} の気相拡散には低めの含水状態が有利だが、反応には細孔水が必要である。そのため答案では、相対湿度を単純に 0 に近づけるのではなく、飽水状態から中程度湿度へ下げる、という表現が最も安全である。

材料・コンクリート工学の途中式・最終答をPDFで見る

第3問 — 地盤工学

サクションと液状化の共通点

この問題では、部分飽和の効果が 2 か所に出てくる。乾燥前の砂が自立するのはメニスカスによるサクション、地下水位低下で液状化しにくくなるのは間隙空気の圧縮性と有効応力増加である。どちらも「水があるかないか」だけではなく、間隙内の水・空気が応力をどう受け持つかで説明する。

Mohr--Coulomb 式の使い方

三軸試験では全応力で装置を制御していても、破壊基準は有効応力で書く。したがって σc\sigma_c をそのまま使わず、破壊時の Δu\Delta u を差し引いて σ3′=σc−Δu\sigma'_3=\sigma_c-\Delta u とする点が採点上の要点である。

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第4問 — 水圏工学

移動座標で考える理由

段波は固定座標では非定常だが、波と同じ速度で動く座標に移ると跳水が空間的に静止して見える。この変換により、非定常な段波問題を、質量保存と運動量保存だけで扱える定常跳水問題に変換できる。

線形波と段波の違い

線形長波は微小振幅なので、波速は静水深だけで決まる。段波は水深が hbh_b から hah_a へ有限量だけ変化し、圧力力と運動量流束の差が両側で釣り合う必要がある。そのため速度式に hah_a と hbh_b の両方が現れる。

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第5問 — 交通

図示のポイント

図には必ず 3 本を分けて描く。旅行時間関数 t(x)t(x)、社会的限界費用 t(x)+xt′(x)t(x)+xt'(x)、需要曲線である。利用者均衡は需要と t(x)t(x) の交点、社会的最適は需要と社会的限界費用の交点として読む。外部性は 2 本の費用曲線の縦方向の差であり、ピグー税額そのものになる。

政策答案の書き方

混雑課金は理論的には効率性政策だが、実装では公平性政策でもある。よい答案は「料金で交通量を減らす」だけで終わらず、誰が代替手段を持たないのか、課金収入をどの経路で戻せば混雑削減効果を損なわずに負担を下げられるのかまで述べる。

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第6問 — 空間情報

GNSS の答案で必要な粒度

単に「衛星から位置を測る」と書くだけでは足りない。搬送波が共通でも、受信機は符号相関で衛星を分離し、搬送波位相では整数アンビギュイティを解く、という測位の中核を書くと専門科目の答案になる。

高さ変換の落とし穴

GNSS が直接与える高さは標高ではなく楕円体高である。日本の地形図や防災情報で使う標高とは基準面が異なるため、ジオイド高を引く操作が必要になる。座標系とジオイドモデルの版を混在させると、数十 cm から m 級のずれになり得る。

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第7問 — 都市・景観

景観答案の作り方

景観問題では、抽象語だけでなく具体例を入れると答案が強くなる。「調和」「保全」と書くだけでは採点者に中身が伝わらない。地形、生活行為、建築スケール、材料、視点場のうち 2 つ以上を結びつけて説明すると、土木計画としての答案になる。

規制の効果は形で説明する

壁面線やゾーニングは法律名を覚える問題ではなく、空間がどう変わるかを説明する問題である。壁面線なら街路断面と連続性、ゾーニングなら用途混在・高さ・容積・活動の分布を述べると、景観形成への因果関係が明確になる。

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第8問 — マネジメント・国際プロジェクト

PPP の答案で避けるべき単純化

PPP は「民間が作るから安い」という話ではない。建設、需要、政治、災害の各リスクを誰が制御できるかで配分し、契約で見える形にすることが本質である。リスクを民間へ過度に押し付けると、資金調達費用が上がったり入札者が減ったりして、結局は公共負担が増える。

PPC の読み方

公共資本の弾力性が正でも、それは全事業を無条件に進めてよいという意味ではない。平均値の背後には、地域、時代、混雑緩和、ネットワーク接続、産業構造の違いがある。途上国への応用では、限界効果が高い不足領域を選ぶことと、運営・維持管理まで含めた制度設計が必要になる。

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東大 専門科目 院試 過去問の収録5年度

  • 2026年度(このページ・全8問)

    構造・設計 / 材料・コンクリート工学 / 地盤工学

  • 2025年度(全10問)

    構造・設計(1自由度振動) / 材料(RC 断面の終局曲げ) / 地盤(液状化・土圧・圧密沈下)

  • 2024年度(全6問)

    構造設計(梁理論と移動荷重) / 材料・地盤(コンクリート材料と斜面安定) / 水圏工学(気候変動と流体力学)

  • 2022年度(全6問)

    構造・設計(不均質梁と移動荷重) / 材料・地盤(RC耐久性と地盤改良) / 水圏工学(河川流と波浪観測)

  • 2021年度(全6問)

    構造・設計(梁理論と構造応答) / 材料・地盤(耐久性設計と土質挙動) / 水圏工学(開水路流れと高潮)