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京都大学 院試 過去問 解答例

京大 工学研究科 機械工学群 数学・機械力学・専門科目 2025年度 院試 解答例・解説

京都大学 工学研究科 機械工学群 数学・機械力学・専門科目 2025年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針・部分点の置き所を解説。全9問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。

最終更新:

設問ごとの解法方針・部分点の置き所を無料で公開しています。

完全な途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。

1 — 平面自励系と極座標化

方針

この問題は,線形部が「回転と指数的拡大・縮小」,非線形部が「半径だけを調整する項」になっていることを見抜くと短い。x+iyx+iy を使う方法と極座標を使う方法は同じ構造を別の表示で見ているだけである。

途中式

r˙\dot r の計算では x(ωy)+y(ωx)=0 x(-\omega y)+y(\omega x)=0 となるため,角速度の項は半径の変化に寄与しない。一方, xy˙yx˙=ω(x2+y2) x\dot y-y\dot x=\omega(x^2+y^2) なので角速度は常に ω\omega で一定である。この2つの消去を書けると,極座標化の答案として十分に説得力が出る。

検算

線形化系では x2+y2=e2at(x02+y02) x^2+y^2=e^{2at}(x_0^2+y_0^2) となる。これは a=0a=0 で円運動になること,a<0a<0 で原点へ近づくことを同時に確認している。非線形系でも r=ar=\sqrt a を代入すると,a>0a>0 のとき r˙=0\dot r=0 となり,極限値と整合する。

典型ミス

θ˙\dot\theta の符号を逆にしやすい。点 (1,0)(1,0)y˙=ω\dot y=\omega になるため,ω>0\omega>0 なら反時計回りである。また a=0a=0 の半径方程式は r˙=r3\dot r=-r^3 であり,半径一定ではない。線形化系の a=0a=0 と非線形系の a=0a=0 を混同しないこと。

試験で書くべきポイント

線形化系では複素表示または消去計算のどちらかを明確に示す。非線形系では r˙=r(ar2),θ˙=ω \dot r=r(a-r^2),\qquad \dot\theta=\omega をまず出し,その後に aa の符号ごとの軌跡を言葉で分類する。図を描く場合は,反時計回りの矢印と,a>0a>0 で近づく円軌道を必ず示す。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

2 — 対称行列の固有分解

方針

成分計算で特性方程式を展開してもよいが,この行列は第2成分と第3成分の和・差を見るとほぼ対角化できる。対称行列なので,正規直交基底を作ってしまうのが最短で確実である。

途中式

重要なのは Ae=2e,Au=f,Af=u Ae=2e,\qquad Au=f,\qquad Af=u の3つである。ここから {u,f}\{u,f\} 上の行列は (0110) \begin{pmatrix}0&1\\1&0\end{pmatrix} と同じなので,固有値 1,11,-1 とべき乗の奇偶が同時に分かる。

検算

n=1n=1 を奇数の場合の式に入れると元の AA に戻る。n=2n=2 を偶数の場合の式に入れると (1000523203252) \begin{pmatrix} 1&0&0\\ 0&\frac52&\frac32\\ 0&\frac32&\frac52 \end{pmatrix} となり,直接乗算した A2A^2 と一致する。

典型ミス

1/21/\sqrt2 の符号をそろえずに固有ベクトルを取ると,Au=fAu=fAf=uAf=u の対応が崩れる。また AnA^nnn の奇偶で分けずに書くと,1-1 の固有値の寄与を落としやすい。

試験で書くべきポイント

固有値だけでなく,AnA^n に使う分解を答案中に残すこと。特に An=2nPe+Jn A^n=2^nP_e+J^n と書いてから行列表示へ戻すと,べき乗の根拠が明確になる。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

3 — フーリエ級数と交代級数

方針

最初の設問はフーリエ係数の直交性そのものを確認する問題である。後半は x2x^2 が偶関数であることを使い,余弦係数だけを計算する。

途中式

部分積分で境界項を落とす箇所が得点差になりやすい。特に sinnπ=0,cosnπ=(1)n \sin n\pi=0,\qquad \cos n\pi=(-1)^n を使うため,最終的に ana_n(1)n(-1)^n が残る。

検算

x=πx=\pi で級数の値を考えると π2=π23+4n=11n2 \pi^2=\frac{\pi^2}{3}+4\sum_{n=1}^{\infty}\frac1{n^2} となり,1/n2=π2/6\sum 1/n^2=\pi^2/6 と整合する。端点では周期延長後の左右極限が一致しているため,この確認が使える。

典型ミス

定数項を a0/2a_0/2 として級数に入れる規約であるため,a0=π2/3a_0=\pi^2/3 としてしまう誤りが多い。f\int fπa0\pi a_0 であり,級数中の定数項は a0/2a_0/2 である。

試験で書くべきポイント

偶関数であることから bn=0b_n=0 と最初に宣言する。交代級数の値は x=0x=0 代入で出るので,フーリエ級数の結果と代入点を明記すれば十分である。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

4 — 円環の転がりと離脱条件

方針

転がり問題は,並進エネルギーと回転エネルギーを分け,最後に v=rφ˙v=r\dot\varphi 型の条件で結ぶのが基本である。離脱条件は「速度」ではなく「法線反力が 0」で決まる。

途中式

未定乗数法では,f1f_1 が法線方向,f2f_2 が接線方向の拘束を表す。したがって xNx+yNy=2λ1(R+r)2 xN_x+yN_y=2\lambda_1(R+r)^2 となり,離脱条件が λ1=0\lambda_1=0 に変換される。この一行が,未定乗数法を使う意味である。

検算

慣性モーメントが大きいほど同じ高さの落下で並進速度が小さくなる。離脱には v2=gyv^2=gy が必要なので,慣性モーメントが大きい薄い円環は低い位置まで進んでから離れる。円板の方が高い位置で離れるという結論はこの物理的見通しと一致する。

典型ミス

離脱条件を Nx=Ny=0N_x=N_y=0 と置くと,接線方向拘束まで同時に消してしまい,未定乗数の役割が見えなくなる。必要なのは法線成分 xdNx+ydNy x_dN_x+y_dN_y を 0 とすることである。

試験で書くべきポイント

エネルギー保存,円弧上の幾何拘束,転がり拘束,法線反力 0 の4点を順番に書く。最終式だけでなく v2=gyd,12mv2+12IAv2r2+mgyd=mg(R+r) v^2=gy_d,\qquad \frac12mv^2+\frac12I_A\frac{v^2}{r^2}+mgy_d=mg(R+r) を残すと,離脱高さの導出が追いやすい答案になる。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

5 — 連成振り子の微小振動

方針

2自由度・3自由度のどちらも,和と差の座標に分けると見通しがよい。ばねでつながれた系は同相・逆相,棒でつながれた系は下側2つの対称・反対称で分離する。

途中式

2-1 ではばね伸びを h(sinθ2sinθ1) h(\sin\theta_2-\sin\theta_1) と書いてから2次近似へ進む。2-2 では速度の内積から 2l1l2θ˙1θ˙icos(θ1θi) 2l_1l_2\dot\theta_1\dot\theta_i\cos(\theta_1-\theta_i) が出る。この項を落とすと連成が消えてしまう。

検算

2-1 で k=0k=0 とおくと2つの固有角振動数はいずれも g/l\sqrt{g/l} となり,独立な同一振り子に戻る。2-2 で mm が十分小さい極限を取ると,θ1\theta_1 は長さ l1l_1 の単振り子になり,物理的にも自然である。

典型ミス

ばねの伸びを l(θ2θ1)l(\theta_2-\theta_1) としてしまう誤りが多い。ばねが取り付く位置は質点ではなく支点から距離 hh の点である。また 2-2 の反対称モードでは θ2+θ3\theta_2+\theta_3 ではなく θ2θ3\theta_2-\theta_3 が単独で振動する。

試験で書くべきポイント

エネルギー式,2次近似後のラグランジアン,運動方程式,固有モードの順に書く。固有角振動数だけを書くのではなく,同相・逆相,対称・反対称の運動の説明を添えると答案の完成度が上がる。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

6 — 平板層流境界層と吸込み境界層

方針

1-1 は境界層近似と運動量積分法を組み合わせる問題である。1-2 は十分下流で xx 方向に発達しきった流れとして扱うと,偏微分方程式が yy だけの常微分方程式になる。

途中式

速度分布を仮定した後は, θ=δ01(2ηη2)(12η+η2)dη=215δ \theta=\delta\int_0^1(2\eta-\eta^2)(1-2\eta+\eta^2)\,\mathrm{d}\eta =\frac{2}{15}\delta τw=ρν2Uδ \tau_w=\rho\nu\frac{2U}{\delta} を別々に計算する。ここを混ぜると係数 3030 を落としやすい。

検算

δ=30νx/U\delta=\sqrt{30\nu x/U} は長さの次元を持つ。実際,νx/U\nu x/UL2/TLL/T=L2 \frac{L^2/T\cdot L}{L/T}=L^2 なので平方根で長さになる。吸込み境界層では yy\to\inftyuUu\to Uy=0y=0u=0u=0 となり,境界条件も満たしている。

典型ミス

壁面せん断応力に動粘性係数 ν\nu だけを掛けてしまう誤りが多い。応力には粘性係数 μ=ρν\mu=\rho\nu を使う。また吸込み速度 V0-V_0 の符号を逆にすると,指数関数が発散して外側境界条件を満たさない。

試験で書くべきポイント

境界層近似では,残す項と捨てる項の結果を明示する。運動量厚さの物理的意味は短くてもよいが,「主流の運動量欠損を等価厚さで表す」という要点を入れること。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

7 — 理想気体のエントロピーとサイクル

方針

熱力学では,まずどの状態量を独立変数として見るかを固定する。理想気体のエントロピー変化は,T,pT,p 表示と T,vT,v 表示の2通りをすぐ切り替えられるようにしておく。

途中式

2-2 の仕事は w23=RT2ln(v3/v1),w31=p1(v1v3) w_{23}=RT_2\ln(v_3/v_1),\qquad w_{31}=p_1(v_1-v_3) と分けて書く。等圧過程 313\to1 は圧縮なので,この項が負になることを確認しながら進める。

検算

2-2 の全エントロピー変化は 0 になる。これは全過程が準静的で閉じたサイクルであることと一致する。2-3 の効率式も,T3T2T_3-T_2 が投入熱,T4T1T_4-T_1 が放熱に対応しているので,温度差の比だけで書ける。

典型ミス

h=u+pvh=u+pvpvpvp/vp/v と誤ると,後続の dh\mathrm{d}h がすべて崩れる。混合エントロピーでは,異種気体の混合なのでギブズのパラドックスの打消しは起きず,正の混合エントロピーが残る。

試験で書くべきポイント

空欄問題では,同じ記号の空欄が同じ答えになる指定を見落とさないこと。サイクル問題では,過程名を式に対応させてから熱量・仕事を書くと符号ミスを防げる。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

8 — 曲りはりと平面応力

方針

曲りはりは,軸力・せん断力による変形を無視する指定なので,曲げモーメント図だけで変位を求める。平面応力は,主方向条件から未知の σy\sigma_y を先に決めると後が一気に進む。

途中式

点 C の回転角は,仮想モーメントを置いて θC=MPMQEIds \theta_C=\int \frac{M_P M_Q}{EI}\,\mathrm{d}s で求める。点 B の変位は点 B に仮想荷重を置く。荷重点と求めたい点が違うため,単純に U/P\partial U/\partial P だけでは出ない。

検算

相反定理により,PP による点 C の回転角と,MM による点 C の xx 方向変位の係数は同じ 3L22EI \frac{3L^2}{2EI} になる。これは計算のよい検算である。応力問題では σx+σy=0\sigma_x+\sigma_y=0 なので体積ひずみが 0 になり,純粋な偏差応力的状態になっていることも確認できる。

典型ミス

ばね問題で F=kδ0F=k\delta_0 としてしまうと,点 C の移動でばね伸びが減る効果を落とす。正しくは F=k(δ0δC)F=k(\delta_0-\delta_C) である。また,主応力角の式では 2θ2\theta を使うため,3030^\circ をそのまま正接に入れない。

試験で書くべきポイント

曲げモーメント分布を短く書いてからエネルギー積分へ進む。応力問題では,主応力の特徴を文章で3点挙げた後,主方向条件,主応力式,フックの法則,破壊条件の順に整理する。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

9 — 伝達関数・反共振・安定判別

方針

4-1 は「初期値・最終値・オーバーシュート・高周波傾き」を見るだけで対応できる。4-2 はブロック線図を運動方程式に直してから消去する。4-3 は3次多項式なので Routh 判別が最短である。

途中式

4-2 の反共振は GX1(s)=s2+k2D(s) G_{X_1}(s)=\frac{s^2+k_2}{D(s)} の分子零点で決まる。s=jωs=j\omega として ω2+k2=0-\omega^2+k_2=0 を見るだけでよい。分母も同時に 0 になるわけではなく,D=k22D=-k_2^2 と有限に残る点を確認する。

検算

G4G_4G5G_5 は互いに逆に近い形をしており,高周波ゲインが 1/21/222 で反対になる。ステップ応答でも G4G_4 は初期値 1/21/2G5G_5 は初期値 22 なので,図の選択と整合する。

典型ミス

ボード線図で高周波の傾きを見る前に,DC ゲインだけで選んでしまうと一次遅れと二次遅れを取り違える。Routh 判別では k<0k<0 の場合も忘れやすい。問題では k0k\ne0 であり,正とは限らない。

試験で書くべきポイント

選択問題でも,対応だけでなく選択理由を短く添える。特に不安定極の個数は Routh 表の第1列の符号変化として示すと,条件分けの根拠が明確になる。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

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