東京大学 院試 過去問 解答例
東大 工学系研究科 社会基盤学専攻 専門科目 2021年度 院試 過去問 解答例・解説(全6問)
全6問。材料力学・材料1問。テーマタグは2件(固有値・固有ベクトル・はりの曲げ)。
最終更新:
- このページで公開
- 解説6問/全6問(1,365字)
- 解答PDFに収録
- 途中式と最終答(最終答つき6問)
- 問題本文
- 非収録
東大 専門科目 2021年度 院試 過去問の出題内容(全6問)
この6問の分野は材料力学・材料1問です。
| 大問 | 分野 | 主題 | 解説の小見出し | 最終答 |
|---|---|---|---|---|
| 第1問 | — | 構造・設計(梁理論と構造応答) | せん断矛盾は「応力の積分」だけでは判定できない / 構造応答は入力周波数との距離で読む | あり |
| 第2問 | 材料力学・材料 | 材料・地盤(耐久性設計と土質挙動) | 用語は構造性能に結び付ける / 地盤の答案は有効応力で統一する | あり |
| 第3問 | — | 水圏工学(開水路流れと高潮) | 水位低下だけを目的にしない / 高潮は外力と地形の積で決まる | あり |
| 第4問 | — | 交通・空間情報(交通計画とリモートセンシング) | 交通モデルは「需要」と「供給」を分けてから結ぶ / リモートセンシングは分解能のトレードオフで整理する | あり |
| 第5問 | — | 都市・ランドスケープ(縮退時代の立地と柔軟な基盤) | 集約と撤退を対にする / 柔軟性は性能を曖昧にすることではない | あり |
| 第6問 | — | 国際プロジェクト・マネジメント(交通運営と開発投資) | 運営問題は短期と長期を分ける / 国際投資は便益最大化だけでは危ない | あり |
2021年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度
この年度は1問に2テーマが出ています。
| テーマ | この年度 | 全体の出題実績 | 他大学の直近出題 |
|---|---|---|---|
| 固有値・固有ベクトル | 第1問 | 25大学・544問 | |
| はりの曲げ | 第1問 | 11大学・71問 |
第1問 — 構造・設計(梁理論と構造応答)
せん断矛盾は「応力の積分」だけでは判定できない
断面せん断力 を満たすだけなら、一様分布でも正弦分布でも可能である。しかし上下自由面で 0 になること、 と釣り合うことまで要求すると、長方形断面では放物線分布が自然に選ばれる。
構造応答は入力周波数との距離で読む
剛性を上げると固有周期が短くなり、共振から外れれば変位は大きく下がる。減衰を増やすと共振ピークが鈍る。免震は加速度を下げる代わりに相対変位を増やす。答案では、技術名だけでなく、どの応答量を良くし、どの応答量を悪くし得るかまで書くと評価が安定する。
第2問 — 材料・地盤(耐久性設計と土質挙動)
用語は構造性能に結び付ける
復旧性、冗長性、頑健性は単なる定義で終わらせず、「どの破壊モードを許し、どの破壊モードを避けるか」に接続すると答案になる。曲げ降伏先行とせん断破壊防止を軸に書くと一貫する。
地盤の答案は有効応力で統一する
砂と粘土、急速盛土、圧密、粒状体の体積変化は、有効応力と排水条件で整理できる。特に「粘土は間隙比が大きいのに透水性が低い」点は、間隙の総量ではなく間隙径と連結性で説明するのが採点上の要点である。
第3問 — 水圏工学(開水路流れと高潮)
水位低下だけを目的にしない
河道を掘る、幅を広げる、粗度を下げると、対象区間の水位は下がりやすい。しかしピーク流量が下流へ早く到達し、河床低下や生息場劣化を招くこともある。流域貯留と氾濫原管理を含めて書くと、治水と環境を同時に見ている答案になる。
高潮は外力と地形の積で決まる
同じ台風でも、開いた海岸と閉じた湾では結果が異なる。気圧だけでなく、風向が湾軸に沿うか、湾が浅いか、湾奥に都市低地があるかを明示すると、観測水位の差を物理的に説明できる。
第4問 — 交通・空間情報(交通計画とリモートセンシング)
交通モデルは「需要」と「供給」を分けてから結ぶ
行動モデルは誰がいつどの手段を選ぶかを表し、配分モデルは選ばれた交通が道路・鉄道ネットワーク上でどの混雑を生むかを表す。将来研究としては、この二つを時々刻々と結ぶ方向を書くと、渋滞と避難の両方に答えやすい。
リモートセンシングは分解能のトレードオフで整理する
熱赤外は空間・時間・大気補正、SAR は全天候性・幾何歪み・信号解釈、光学は判読性・雲の影響というトレードオフがある。単独センサの長所だけでなく、弱点を別センサで補う設計を書くと説得力が増す。
第5問 — 都市・ランドスケープ(縮退時代の立地と柔軟な基盤)
集約と撤退を対にする
人口減少の立地計画では「コンパクト化」だけを書くと、災害危険地への高密化を見落とす。安全な場所へ集め、危険な場所は時間をかけて土地利用を変えるという二段構えが必要である。
柔軟性は性能を曖昧にすることではない
多目的利用は、治水・衛生・安全の基準を満たしたうえで成立する。用途を開く部分と、変えてはいけない骨格を区別して書くと、理念論ではなく設計論になる。
第6問 — 国際プロジェクト・マネジメント(交通運営と開発投資)
運営問題は短期と長期を分ける
感染症対応では、清掃や混雑案内のような即時対策と、需要構造の恒久変化に備える経営設計を混ぜない方がよい。時間軸で分けると、データ監視と政策提案が明確になる。
国際投資は便益最大化だけでは危ない
道路は貧困削減に強いが、事故、環境破壊、債務、維持管理不足も生む。最適配分は、建設便益だけでなく、負の外部性と実行能力を制約として入れて初めて説得力を持つ。
東大 専門科目 院試 過去問の収録5年度
構造・設計 / 材料・コンクリート工学 / 地盤工学
構造・設計(1自由度振動) / 材料(RC 断面の終局曲げ) / 地盤(液状化・土圧・圧密沈下)
構造設計(梁理論と移動荷重) / 材料・地盤(コンクリート材料と斜面安定) / 水圏工学(気候変動と流体力学)
構造・設計(不均質梁と移動荷重) / 材料・地盤(RC耐久性と地盤改良) / 水圏工学(河川流と波浪観測)
2021年度(このページ・全6問)
構造・設計(梁理論と構造応答) / 材料・地盤(耐久性設計と土質挙動) / 水圏工学(開水路流れと高潮)