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東京科学大学 院試 過去問 解答例

東京科学大 工学院 機械系 機械系 専門科目 2024年度 院試 過去問 解答例・解説(全4問)

全4問。力学3問・熱・統計力学1問。テーマタグは5件(はりの曲げ・固有振動数と振動系・境界層)。2023年度と共通のテーマははりの曲げ・境界層。

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解説4問と大問1問の途中式・最終答(全4問)
解答PDFに収録
途中式と最終答(最終答つき4問)
問題本文
非収録

東京科学大 機械系 専門科目 2024年度 院試 過去問の出題内容(全4問)

この4問の分野は力学3問・熱・統計力学1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問力学材料力学—あり
第2問力学機械力学—あり
第3問熱・統計力学熱力学—あり
第4問力学流体力学—あり

この年度の解説には検算4件・試験で書くべきポイント4件・典型ミス4件が付いています。

2024年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度

この年度は4問に5テーマが出ています。

前年度(2023年度)との違い

大問数
2023年度 4問 → 2024年度 4問
両年度に出たテーマ
はりの曲げ・境界層
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第1問 — 材料力学

方針

材料力学の基本量を,応力--ひずみ線図,熱応力,カスチリアノを使わない初等はり公式に分けて処理する。空欄補充型でも,単位と符号を最後にそろえると失点しにくい。

検算

問1の EE は MPa\mathrm{MPa} を無次元ひずみで割るため 2.00×105 MPa2.00\times10^5\,\mathrm{MPa} となる。0.180.18 をそのまま使うと 2 GPa2\,\mathrm{GPa} になり,鋼材相当の図として不自然である。問2では接触後のAの長さが ΔT\Delta T に依存せず l+δ/2l+\delta/2 になる。左右対称の幾何からも同じ結論になり,式の符号確認に使える。

典型ミス

応力--ひずみ線図の残留ひずみで,点Aの全ひずみから 500/200500/200 を引く誤りが多い。E=200 GPa=200000 MPaE=200\,\mathrm{GPa}=200000\,\mathrm{MPa} なので弾性回復は 0.25%0.25\% である。熱応力では,隙間を1本分に割り当てず,2本の合計自由膨張 2αlΔT2\alpha l\Delta T と比較する。

試験で書くべきポイント

問3は点B変位を3つの寄与に分けて書くと採点者に伝わりやすい。すなわち,OAのねじり,OAの曲げによるAの並進,ABの曲げである。せん断変形を無視する指定があるため,Pl/(GA)Pl/(GA) 型の項は入れない。

解答

問1 図の初期直線部は (ε,σ)=(0.18%,360 MPa)(\varepsilon,\sigma)=(0.18\%,360\,\mathrm{MPa}) を通るので, E=360 MPa0.0018=2.00×105 MPa=200 GPa. E=\frac{360\,\mathrm{MPa}}{0.0018}=2.00\times 10^5\,\mathrm{MPa} =200\,\mathrm{GPa}. 降伏応力は初期直線から外れる点の応力,引張強さは曲線の最大応力で読む。したがって σY=360 MPa,σB=600 MPa. \sigma_{\mathrm{Y}}=360\,\mathrm{MPa},\qquad \sigma_{\mathrm{B}}=600\,\mathrm{MPa}. 点Aは εA=0.60%\varepsilon_A=0.60\%, σA=500 MPa\sigma_A=500\,\mathrm{MPa} である。完全除荷では傾き EE の直線で戻るため,弾性回復ひずみは εe=5002.00×105=0.0025=0.25%. \varepsilon_{\mathrm e}=\frac{500}{2.00\times 10^5}=0.0025=0.25\%. 残留ひずみは εp=0.60%−0.25%=0.35%. \varepsilon_{\mathrm p}=0.60\%-0.25\%=0.35\%. 断面積は A=102=100 mm2A=10^2=100\,\mathrm{mm^2} である。永久ひずみを避ける条件は σ<σY\sigma<\sigma_{\mathrm Y} だから P<σYA=360×100=3.60×104 N. P<\sigma_{\mathrm Y}A=360\times 100=3.60\times 10^4\,\mathrm{N}. 安全率4で引張強さを基準にすると許容応力は 600/4=150 MPa600/4=150\,\mathrm{MPa} なので P≤150×100=1.50×104 N. P\le 150\times 100=1.50\times 10^4\,\mathrm{N}.

問2 丸棒A, Bは同じ長さ・断面・材料定数をもつ。接触前は自由に熱膨張するので,両棒の自由膨張量の和が隙間 δ\delta を超える条件は 2αlΔT>δ⟺ΔT>δ2αl. 2\alpha l\Delta T>\delta \quad\Longleftrightarrow\quad \Delta T>\frac{\delta}{2\alpha l}. 接触後の余分な自由膨張量は 2αlΔT−δ2\alpha l\Delta T-\delta であり,2本の軸方向コンプライアンスの和は 2l/(ES)2l/(ES) である。よって軸力 N=2αlΔT−δ2l/(ES)=ES(αΔT−δ2l) N=\frac{2\alpha l\Delta T-\delta}{2l/(ES)} =ES\left(\alpha\Delta T-\frac{\delta}{2l}\right) が圧縮として生じる。応力の大きさは ∣σ∣=E(αΔT−δ2l). |\sigma|=E\left(\alpha\Delta T-\frac{\delta}{2l}\right). Aの長さは,自由膨張から弾性圧縮を引いて lA′=l+αlΔT−NlES=l+δ2. l_A'=l+\alpha l\Delta T-\frac{Nl}{ES} =l+\frac{\delta}{2}. 降伏しない条件は E(αΔT−δ2l)≤σY⟺ΔT≤δ2αl+σYαE. E\left(\alpha\Delta T-\frac{\delta}{2l}\right)\le \sigma_Y \quad\Longleftrightarrow\quad \Delta T\le \frac{\delta}{2\alpha l}+\frac{\sigma_Y}{\alpha E}. 次に,接触・接合後に初期温度へ戻す場合を考える。接合後の2本は壁間距離 2l+δ2l+\delta を満たすため,初期温度で全体に δ\delta の伸びが必要である。対称性より各棒の弾性伸びは δ/2\delta/2 であり, σr=Eδ/2l=Eδ2l \sigma_{\mathrm r}=E\frac{\delta/2}{l} =\frac{E\delta}{2l} の引張残留応力が生じる。

問3 荷重 PP は点Aから距離 ll だけ離れた点Bに作用するので,部材OAにはねじりモーメント T=Pl T=Pl が生じる。点Aでのねじれ角は ϕA=TlGJ=Pl2GJ. \phi_A=\frac{Tl}{GJ}=\frac{Pl^2}{GJ}. この回転により,点Bの荷重方向変位は δB,T=lϕA=Pl3GJ. \delta_{B,T}=l\phi_A=\frac{Pl^3}{GJ}. また,OAには横荷重 PP による曲げも生じ,固定端Oから距離 xx の断面の曲げモーメントの大きさは M(x)=P(l−x)(0≤x≤l). M(x)=P(l-x)\qquad (0\le x\le l). 片持ちはり先端のたわみ公式より,この曲げによる点Aのたわみは δA=Pl33EI. \delta_A=\frac{Pl^3}{3EI}. 点Aの並進は部材AB全体を同じ向きに移動させるため,点Bにも同じ変位を与える。さらにAB自体も長さ ll の片持ちはりとして曲げられるので δB,AB=Pl33EI. \delta_{B,AB}=\frac{Pl^3}{3EI}. したがって点Bの荷重方向変位は δB=Pl3GJ+2Pl33EI. \delta_B=\frac{Pl^3}{GJ}+\frac{2Pl^3}{3EI}.

最終答

問1: 360 MPa360\,\mathrm{MPa}, 600 MPa600\,\mathrm{MPa}, 200 GPa200\,\mathrm{GPa}, 0.35%0.35\%, 3.60×104 N3.60\times10^4\,\mathrm{N} 未満, 1.50×104 N1.50\times10^4\,\mathrm{N} 以下。 問2: 接触条件 ΔT>δ/(2αl)\Delta T>\delta/(2\alpha l),接触後は圧縮,∣σ∣=E(αΔT−δ/(2l))|\sigma|=E(\alpha\Delta T-\delta/(2l)),lA′=l+δ/2l_A'=l+\delta/2,非降伏条件 ΔT≤δ/(2αl)+σY/(αE)\Delta T\le \delta/(2\alpha l)+\sigma_Y/(\alpha E),冷却後は引張残留応力 Eδ/(2l)E\delta/(2l)。 問3: T=PlT=Pl, ϕA=Pl2/(GJ)\phi_A=Pl^2/(GJ), δB,T=Pl3/(GJ)\delta_{B,T}=Pl^3/(GJ), M(x)=P(l−x)M(x)=P(l-x), δA=Pl3/(3EI)\delta_A=Pl^3/(3EI), δB,AB=Pl3/(3EI)\delta_{B,AB}=Pl^3/(3EI), δB=Pl3/(GJ)+2Pl3/(3EI)\delta_B=Pl^3/(GJ)+2Pl^3/(3EI)。

第2問 — 機械力学

方針

問1は過減衰なので,三角関数ではなく2つの実指数関数で解く。問3は対称系であり,同相・逆相に分けると連成方程式をほとんど解かずに固有振動数が出る。

検算

過減衰根はどちらも負でなければならない。λ1+λ2=−c/m\lambda_1+\lambda_2=-c/m, λ1λ2=k/m\lambda_1\lambda_2=k/m を満たすか確認すると符号ミスを発見できる。2自由度系では kc→0k_c\to0 とすると ω1=ω2=k/m\omega_1=\omega_2=\sqrt{k/m} となり,連結ばねが消えた極限と一致する。

典型ミス

衝突直後の加速度を0とする誤りがある。x(0)=0x(0)=0 でも x˙(0)=v0\dot{x}(0)=v_0 なので,ダンパ力 −cv0-c v_0 が働き x¨(0)=−cv0/m\ddot{x}(0)=-cv_0/m である。2自由度系では,逆相モードの連結ばね伸びを xx ではなく 2x2x とする点が重要である。

試験で書くべきポイント

空欄形式でも,λ1<λ2<0\lambda_1<\lambda_2<0 の順序を書いておくと t1t_1 の対数の符号が明確になる。選択問題は用語だけでなく一言の理由を添えると,記号の写し間違いを自分で確認できる。

機械力学の途中式・最終答をPDFで見る

第3問 — 熱力学

方針

選択肢問題でも,熱力学では絶対温度,符号規約,状態量か経路量かを区別すれば機械的に解ける。特にカルノー効率と冷凍機のCOPは摂氏をそのまま使わない。

検算

湿り蒸気の hh は hfh_f と hgh_g の間に入る必要がある。1700 kJ/kg1700\,\mathrm{kJ/kg} は 500500 と 25002500 の間にあり,乾き度0.60なので飽和蒸気側へ6割寄った値で自然である。冷凍機ではCOPが15と大きいので,外気温は室温より少し高い程度になる。47∘C47^\circ\mathrm C は差が 20 K20\,\mathrm K で,300/20=15300/20=15 と確認できる。

典型ミス

等温理想気体で Δu=0\Delta u=0 を落とすと,qq と ww の関係を間違える。等エントロピー過程では「エントロピー一定」から直ちに q=0q=0 とできるのは内部可逆が前提である。この前提を書かずに不可逆断熱まで含めると論理が崩れる。

試験で書くべきポイント

ブレイトンサイクルの pp--vv 線図と TT--ss 線図は,断熱過程が TT--ss 図で鉛直になることを基準に選ぶ。図の細部よりも,4過程の名称を正しく並べることが得点の中心である。

熱力学の途中式・最終答をPDFで見る

第4問 — 流体力学

方針

ロータ問題は運動量理論の標準形である。遠方上流速度を0とし,ロータ面速度が下流誘導速度の半分になる関係を,運動量とエネルギーの両方から導く。血流問題は円管ポアズイユ流れであり,速度分布から流量と壁面せん断応力を順に求める。

検算

ロータ面積が小さくなると,同じ推力を出すには流速が増え,仕事率も増える。ドローンの合計面積はヘリコプタの 0.640.64 倍なので,速度比 1/0.64=1.251/\sqrt{0.64}=1.25 は物理的に妥当である。ポアズイユ流れでは Q∝a4GQ\propto a^4G,壁面せん断は τw∝aG\tau_w\propto aG なので,τw∝Q/a3\tau_w\propto Q/a^3 となる。

典型ミス

ロータの下流断面積をロータ面積と同じにしてしまうと u1=u2u_1=u_2 になり,エネルギー式と矛盾する。血流では積分定数の ln⁡r\ln r 項を残すと中心で速度が発散するため,軸対称円管流として不適切である。

試験で書くべきポイント

分岐則は流量保存だけでは a03=a13+a23a_0^3=a_1^3+a_2^3 にならない。必ず「各枝の壁面せん断応力が等しい」という仮定を使い,Q/a3Q/a^3 が共通であることを明記する。

流体力学の途中式・最終答をPDFで見る

東京科学大 機械系 専門科目 院試 過去問の収録5年度