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東京科学大学 院試 過去問 解答例

東京科学大 工学院 機械系 機械系 専門科目 2023年度 院試 過去問 解答例・解説(全4問)

全4問。力学3問・熱・統計力学1問。テーマタグは5件(はりの曲げ・固有値・固有ベクトル・伝達関数)。2022年度と共通のテーマははりの曲げ・境界層。

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解説4問と大問1問の途中式・最終答(全4問)
解答PDFに収録
途中式と最終答(最終答つき4問)
問題本文
非収録

東京科学大 機械系 専門科目 2023年度 院試 過去問の出題内容(全4問)

この4問の分野は力学3問・熱・統計力学1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問力学材料力学—あり
第2問力学機械力学—あり
第3問熱・統計力学熱力学—あり
第4問力学流体力学—あり

この年度の解説には検算4件・試験で書くべきポイント4件・典型ミス4件が付いています。

2023年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度

この年度は3問に5テーマが出ています。

前年度(2022年度)との違い

大問数
2022年度 5問 → 2023年度 4問
両年度に出たテーマ
はりの曲げ・境界層
2023年度で新しく出たテーマ
固有値・固有ベクトル・伝達関数・モールの応力円
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第1問 — 材料力学

方針

問1はモールの応力円の用語確認である。問2は不静定はりなので,反力を未知の集中荷重としてたわみ適合を課す。問3は熱膨張の自由変位,軸弾性変位,丸軸のねじり剛性を直列・幾何拘束として組み合わせる。

検算

問2で RA+RB=qlR_A+R_B=ql が成り立つ。さらに RB=3ql/8R_B=3ql/8 は全荷重の半分より小さく,固定端がモーメントも負担するはりとして自然である。問3の ϕ\phi は GJ→∞GJ\to\infty で0に近づき,丸軸が剛体の極限と一致する。

典型ミス

正方形断面の断面二次モーメントを a3/12a^3/12 とする誤りが多い。長さの4乗で a4/12a^4/12 である。熱応力では,引張を正とする指定があるため,拘束熱膨張は圧縮で負号を付ける。

試験で書くべきポイント

不静定はりは,力のつり合いだけでは RA,RB,MAR_A,R_B,M_A が決まらない。B点変位が0という適合条件を答案に明記することが,計算結果以上に重要である。

解答

問1 平面応力状態は,面内の垂直応力成分とせん断応力成分で表される。任意の傾斜面に作用する垂直応力とせん断応力は面の角度で変化し,せん断応力が0となる面を主面,その面の垂直応力を主応力という。せん断応力が最大となる面を最大せん断応力面と呼び,最大せん断応力は τmax⁡=σ1−σ22 \tau_{\max}=\frac{\sigma_1-\sigma_2}{2} である。

問題で与えられた2つの主応力が 0 MPa0\,\mathrm{MPa} と 100 MPa100\,\mathrm{MPa} の場合, σ1=100 MPa,σ2=0 MPa. \sigma_1=100\,\mathrm{MPa},\qquad \sigma_2=0\,\mathrm{MPa}. モールの応力円の半径は R=σ1−σ22=50 MPa. R=\frac{\sigma_1-\sigma_2}{2}=50\,\mathrm{MPa}.

問2 固定端A・単純支持端Bをもつ長さ ll のはりに等分布荷重 qq が作用する。B点の反力を RBR_B とし,B点をいったん外した片持ちはりとしてたわみの適合条件を使う。

等分布荷重だけによる自由端Bのたわみは δq=ql48EI. \delta_q=\frac{ql^4}{8EI}. B点反力による逆向きたわみは δRB=RBl33EI. \delta_{R_B}=\frac{R_Bl^3}{3EI}. 単純支持端ではたわみが0なので ql48EI−RBl33EI=0⟹RB=38ql. \frac{ql^4}{8EI}-\frac{R_Bl^3}{3EI}=0 \quad\Longrightarrow\quad R_B=\frac{3}{8}ql. 力のつり合いから RA=ql−RB=58ql. R_A=ql-R_B=\frac{5}{8}ql. 固定端反モーメントは,Aまわりのモーメントつり合いより MA=ql22−RBl=18ql2. M_A=\frac{ql^2}{2}-R_Bl=\frac{1}{8}ql^2. 断面が一辺 aa の正方形なら I=a412,c=a2. I=\frac{a^4}{12},\qquad c=\frac{a}{2}. 固定端Aの最大曲げ引張応力は σmax⁡=MAcI=(ql2/8)(a/2)a4/12=3ql24a3. \sigma_{\max}=\frac{M_Ac}{I} =\frac{(ql^2/8)(a/2)}{a^4/12} =\frac{3ql^2}{4a^3}. 下向き最大変位位置は,固定端から距離 xx の傾きが0となる点である。曲げモーメントを積分して EI v′(x)=RAx22−qx36−MAx. EI\,v'(x)=\frac{R_Ax^2}{2}-\frac{qx^3}{6}-M_Ax. x≠0x\ne0 として v′(x)=0v'(x)=0 を解くと −8(xl)2+15(xl)−6=0. -8\left(\frac{x}{l}\right)^2+15\left(\frac{x}{l}\right)-6=0. 区間内の解は x=15−3316l. x=\frac{15-\sqrt{33}}{16}l.

問3 丸軸CFが剛体で剛体棒BDが回転しない場合,棒AB, DEの熱膨張は拘束される。したがって棒ABの応力は σAB=−EαΔT \sigma_{AB}=-E\alpha\Delta T であり,圧縮を負に取る。

丸軸CFだけを弾性体としてトルク TT を負荷する場合,直径 dd の円形断面の極断面二次モーメントは J=πd432. J=\frac{\pi d^4}{32}. 最大せん断応力と上端回転角は τmax⁡=T(d/2)J=16Tπd3,ϕ=TL0GJ=32TL0πGd4. \tau_{\max}=\frac{T(d/2)}{J}=\frac{16T}{\pi d^3}, \qquad \phi=\frac{TL_0}{GJ}=\frac{32TL_0}{\pi Gd^4}.

ピンを抜いて棒を自由に熱膨張させ,さらに圧縮荷重 PP を加えると,棒端変位は u=αLΔT−PLEA. u=\alpha L\Delta T-\frac{PL}{EA}. 丸軸CFが弾性でピン接合されている場合,剛体棒BDの回転角を ϕ\phi,ピン間距離を lsl_s とすると,B点またはD点の幾何学的変位の大きさは lsϕ/2l_s\phi/2 である。棒から剛体棒に作用する反力の大きさは P=EAL(αLΔT−lsϕ2) P=\frac{EA}{L}\left(\alpha L\Delta T-\frac{l_s\phi}{2}\right) で表せる。2つの反力は丸軸に偶力 T=Pls T=Pl_s を与えるので, Pls=GJL0ϕ. Pl_s=\frac{GJ}{L_0}\phi. これを適合条件へ代入すると ϕ=αLΔT ls/2+GJL/(EAL0ls) . \phi= \frac{\alpha L\Delta T} {\,l_s/2+GJL/(EA L_0l_s)\,}.

最終答

問1: 垂直応力成分・せん断応力成分,主面,主応力,最大せん断応力面,τmax⁡=(σ1−σ2)/2\tau_{\max}=(\sigma_1-\sigma_2)/2,主応力 100 MPa100\,\mathrm{MPa} と 0 MPa0\,\mathrm{MPa},半径 50 MPa50\,\mathrm{MPa}。 問2: RA=5ql/8R_A=5ql/8, RB=3ql/8R_B=3ql/8, MA=ql2/8M_A=ql^2/8, σmax⁡=3ql2/(4a3)\sigma_{\max}=3ql^2/(4a^3),最大変位位置 x=(15−33)l/16x=(15-\sqrt{33})l/16。 問3: σAB=−EαΔT\sigma_{AB}=-E\alpha\Delta T, τmax⁡=16T/(πd3)\tau_{\max}=16T/(\pi d^3), ϕ=32TL0/(πGd4)\phi=32TL_0/(\pi Gd^4), u=αLΔT−PL/(EA)u=\alpha L\Delta T-PL/(EA), P=EA(αLΔT−lsϕ/2)/LP=EA(\alpha L\Delta T-l_s\phi/2)/L, ϕ=αLΔT/(ls/2+GJL/(EAL0ls))\phi=\alpha L\Delta T/(l_s/2+GJL/(EA L_0l_s))。

第2問 — 機械力学

方針

基礎励振は絶対変位 xx と基礎変位 yy の差でばね・ダンパ力を書く。棒の振動は静的平衡点まわりなので,重力はつり合いに吸収され,ばねの変位だけが復元力に残る。

検算

伝達率は η→0\eta\to0 で1に近づく。ゆっくり基礎が動けばテーブルも一緒に動くためである。棒の固有値は λ1λ2=9\lambda_1\lambda_2=9,λ1+λ2=7\lambda_1+\lambda_2=7 を満たす。行列式の計算後にこの関係を見ると展開ミスを確認できる。

典型ミス

除振台で mx¨+cx˙+kx=cy+kym\ddot{x}+c\dot{x}+kx=cy+ky と書き,右辺の速度項を落とす誤りが多い。ダンパは相対速度に比例するので cy˙c\dot y が必ず現れる。棒の問題では,回転による左端変位と右端変位の符号が逆になる。

試験で書くべきポイント

固有振動の図示問題では,低次モードは重心並進が大きく,高次モードは回転成分が相対的に目立つ,という振幅比の符号と大きさを反映して描く。数式の振幅比を図に対応させる一言があると答案として強い。

機械力学の途中式・最終答をPDFで見る

第3問 — 熱力学

方針

選択肢問題でも,まず物理量を通常の符号規約で計算し,最後に選択肢の値へ対応させる。ランキンサイクルは,タービン出口の乾き度をエントロピーから求め,そこからエンタルピー,仕事,効率へ進む。

検算

ポリトロープ圧縮では体積が4分の1になり圧力が8倍になるため,p1=0.5 MPap_1=0.5\,\mathrm{MPa} は妥当である。ランキンサイクルの乾き度 0.7890.789 は0から1の間にあり,タービン出口が湿り蒸気である条件と一致する。

典型ミス

圧力と体積の積は 1 kPa m3=1 kJ1\,\mathrm{kPa\,m^3}=1\,\mathrm{kJ} で換算する。2 MPa×0.5 m3/kg=1000 kJ/kg2\,\mathrm{MPa}\times0.5\,\mathrm{m^3/kg}=1000\,\mathrm{kJ/kg} を 1 kJ/kg1\,\mathrm{kJ/kg} としない。冷却・圧縮などでは,系がした仕事か系が受けた仕事かを問題文に合わせる。

試験で書くべきポイント

ランキンサイクルでは「ポンプ動力を無視」とあるため h2≃h1h_2\simeq h_1 と書いてから数値計算する。これを書かずに qin=h3−hfq_{\mathrm{in}}=h_3-h_f とだけ置くと,状態番号との対応が不明瞭になる。

熱力学の途中式・最終答をPDFで見る

第4問 — 流体力学

方針

津波は浅水波の速度 u=gDu=\sqrt{gD} を導く問題である。質量保存で水位上昇と速度差を結び,運動量保存で静水圧差と運動量変化を結びつける。すき間流れは低レイノルズ数の潤滑近似であり,圧力流れとクエット流れを重ね合わせる。

検算

津波速度は水深の平方根に比例する。水深が 4000 m4000\,\mathrm m から 40 m40\,\mathrm m へ100分の1になると,速度は10分の1になる。720 km/h720\,\mathrm{km/h} と 72 km/h72\,\mathrm{km/h} はこの関係を満たす。

典型ミス

静水圧差を ρgdD\rho g dD のように圧力だけで扱うと,深さ方向積分による DD が抜ける。潤滑問題では,圧力勾配の符号が区間1と区間2で逆になる。ここを同符号にすると中間圧力が外圧より低いという不自然な結果になる。

試験で書くべきポイント

段付きすき間の揚力はせん断力ではなく圧力分布の積分で求める。問題文が「圧力差がないので鉛直力を受けない」と述べる平行すき間との対比を答案に出すと,段差によって圧力が生じる理由が明確になる。

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