東京科学大学 院試 過去問 解答例
東京科学大 工学院 機械系 機械系 専門科目 2022年度 院試 解答例・解説
東京科学大学 工学院 機械系 機械系 専門科目 2022年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針と確認点を解説。全5問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。
最終更新:
設問ごとの解法方針と確認点を公開しています。
続きの途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。
第1問 — 材料力学
方針
問2は「力のつり合い」だけでは反力が決まらない不静定問題である。両端固定なので,軸力による全伸びがゼロという適合条件を追加する。問3は重ね合わせで,荷重 による中央たわみと中央反力 による中央たわみを足し合わせる。
検算
問2では , なので, となり力のつり合いを満たす。応力は に対して が に対応するため, は , は である。
典型ミス
棒2の剛性は棒1の半分である。ここを同じ剛性として扱うと反力比が変わる。また,応力の正負は「引張正」と指定されているため, の圧縮応力には負号を付ける。
試験で書くべきポイント
問3では が上向きであることから,中央たわみへの寄与が負になる。この符号を書かずに数値だけを操作すると, のときの が正になりやすい。答案では「下向きを正」と明記してから式 ⑰ を書くと採点者に伝わりやすい。
第2問 — 機械力学
方針
円板の転がりは「回転エネルギーを並進座標に換算する」問題である。2自由度系は,まずばね・ダンパの相対変位を力に変換し,その後に複素振幅へ移すと整理しやすい。
検算
の分子は であるため, で質点1が静止する。これは質点2が動吸振器として働く反共振点であり,図の谷が 付近に出ることとも一致する。
典型ミス
転がり円板の慣性項を としてしまう誤りが多い。 は運動エネルギーの前にすでに入っているので,等価質量への追加分は である。
試験で書くべきポイント
問2では,減衰項を と の組で書くことが重要である。作用反作用の符号が反対になっていないかを確認する。
第3問 — 熱力学
方針
熱力学の選択問題は,状態量の大小と過程名を混同しないことが最重要である。ランキンサイクルでは,ボイラ出口 が最大エンタルピー,タービン出口 が次,ポンプ出口 と復水器出口 は近いが である。
検算
問2(2)の等温圧縮では,仕事と熱量の絶対値が一致する。これは の直接の帰結であり,選択肢も同じものになる。問3の値は で,単位は である。
典型ミス
自由膨張を可逆断熱膨張と混同して を使ってはいけない。自由膨張は不可逆であり,理想気体では温度一定,エントロピーは増加する。
試験で書くべきポイント
選択肢式の問題でも,,, のように根拠式を1行添えると,途中点を拾いやすい答案になる。
第4問 — 流体力学
方針
前半は円柱まわりのポテンシャル流を,ジュコフスキー変換で平板翼に写す問題である。実部が速度ポテンシャル,虚部が流れ関数であることを最初に固定すると,円周速度の符号まで追いやすい。
検算
ならクッタ条件から ,揚力も となる。これは対称な平板が迎え角ゼロで揚力をもたないことと一致する。
典型ミス
抗力の運動量欠損法で,断面 B の静圧が一様でない点を落としやすい。直接 としてはいけない。B から C へ損失なしで移るが,静圧が にそろうため速度が変わる。
試験で書くべきポイント
問2の最後は, を全圧・静圧差の平方根で表し,最後に積分核へ代入する形で示すとよい。式を一気に書くより,どの断面の圧力差からどの速度を求めているかが明確になる。
第5問 — 工業数学・応用数学
方針
問1(1)は懸垂線の長さで, を使う。問1(2)は Cauchy--Euler 型なので を代入するのが最短である。
検算
問2の答えは に比例する。被積分関数が で面積要素を含む体積積分なので,半径方向は4乗,軸方向は1乗になる。次元の見積もりと一致する。
典型ミス
問3(2)では,積分路の内部にある極だけを足す。4つ全部を足すと無限遠での寄与まで混ぜることになり,答えが誤る。
試験で書くべきポイント
フーリエ変換の規約は問題文に合わせる。ここでは逆変換に が付くため,パーシバルにも が現れる。この係数を答案に明記すること。