院試hub

東京科学大学 院試 過去問 解答例

東京科学大 工学院 機械系 機械系 専門科目 2022年度 院試 過去問 解答例・解説(全5問)

全5問。力学3問・熱・統計力学1問。テーマタグは4件(留数定理・フーリエ変換・はりの曲げ)。2021年度と共通のテーマは留数定理・はりの曲げ・境界層。

最終更新:

収録5年度分の解答PDF:東京科学大学 工学院 機械系 機械系 専門科目(¥2,880・紙面見本あり)

このページで公開
解説5問と大問1問の途中式・最終答(全5問)
解答PDFに収録
途中式と最終答(最終答つき5問)
問題本文
非収録

東京科学大 機械系 専門科目 2022年度 院試 過去問の出題内容(全5問)

この5問の分野は力学3問・熱・統計力学1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問力学材料力学—あり
第2問力学機械力学—あり
第3問熱・統計力学熱力学—あり
第4問力学流体力学—あり
第5問—工業数学・応用数学—あり

この年度の解説には検算5件・試験で書くべきポイント5件・典型ミス5件が付いています。

2022年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度

この年度は3問に4テーマが出ています。

前年度(2021年度)との違い

大問数
2021年度 5問 → 2022年度 5問
両年度に出たテーマ
留数定理・はりの曲げ・境界層
2022年度で新しく出たテーマ
フーリエ変換
2021年度のページを見る

第1問 — 材料力学

方針

問2は「力のつり合い」だけでは反力が決まらない不静定問題である。両端固定なので,軸力による全伸びがゼロという適合条件を追加する。問3は重ね合わせで,荷重 PP による中央たわみと中央反力 RCR_C による中央たわみを足し合わせる。

検算

問2では RA=−8 kNR_A=-8\,\mathrm{kN},RD=−2 kNR_D=-2\,\mathrm{kN} なので,−8+10−2=0-8+10-2=0 となり力のつり合いを満たす。応力は 100 mm2100\,\mathrm{mm^2} に対して 1 kN1\,\mathrm{kN} が 10 MPa10\,\mathrm{MPa} に対応するため,8 kN8\,\mathrm{kN} は 80 MPa80\,\mathrm{MPa},2 kN2\,\mathrm{kN} は 20 MPa20\,\mathrm{MPa} である。

典型ミス

棒2の剛性は棒1の半分である。ここを同じ剛性として扱うと反力比が変わる。また,応力の正負は「引張正」と指定されているため,BC,CDBC,CD の圧縮応力には負号を付ける。

試験で書くべきポイント

問3では RCR_C が上向きであることから,中央たわみへの寄与が負になる。この符号を書かずに数値だけを操作すると,δ=0\delta=0 のときの RAR_A が正になりやすい。答案では「下向きを正」と明記してから式 ⑰ を書くと採点者に伝わりやすい。

解答

問1は,低炭素鋼の降伏棚とリューダース変形を問う基本事項である。図中で明瞭な上降伏点・下降伏点を示す曲線は b であるから, ① b,② リューダース,③ 塑性,④ 加工 \boxed{①\ b},\qquad \boxed{②\ \text{リューダース}},\qquad \boxed{③\ \text{塑性}},\qquad \boxed{④\ \text{加工}} となる。

問2では,右向きを正にとる。壁 A, D から棒が受ける反力をそれぞれ RA,RDR_A,R_D とすると,力のつり合いは RA+10+RD=0[kN] R_A+10+R_D=0 \quad [\mathrm{kN}] である。棒1の AB,BCAB,BC の長さはそれぞれ 0.2 m0.2\,\mathrm{m},棒2の CDCD の長さは 0.3 m0.3\,\mathrm{m} である。軸力は NAB=−RA,NBC=NCD=−(RA+10) N_{AB}=-R_A,\qquad N_{BC}=N_{CD}=-(R_A+10) であり,両端固定なので全伸びはゼロである。 NAB0.2E1A+NBC0.2E1A+NCD0.3E2A=0. \frac{N_{AB}0.2}{E_1A}+\frac{N_{BC}0.2}{E_1A} +\frac{N_{CD}0.3}{E_2A}=0 . E1A=200 GPa×100 mm2=20 MNE_1A=200\,\mathrm{GPa}\times 100\,\mathrm{mm^2}=20\,\mathrm{MN}, E2A=10 MNE_2A=10\,\mathrm{MN} を用いると −0.01RA−0.01(RA+10)−0.03(RA+10)=0 -0.01R_A-0.01(R_A+10)-0.03(R_A+10)=0 より RA=−8 kN,RD=−2 kN. R_A=-8\,\mathrm{kN},\qquad R_D=-2\,\mathrm{kN}. したがって RAR_A は左向き 8 kN8\,\mathrm{kN},RDR_D は左向き 2 kN2\,\mathrm{kN} である。応力は σAB=8 kN100 mm2=80 MPa, \sigma_{AB}=\frac{8\,\mathrm{kN}}{100\,\mathrm{mm^2}}=80\,\mathrm{MPa}, σBC=σCD=−2 kN100 mm2=−20 MPa. \sigma_{BC}=\sigma_{CD}=\frac{-2\,\mathrm{kN}}{100\,\mathrm{mm^2}} =-20\,\mathrm{MPa}. 点 C の変位は A から C までの伸びであり, uC=8 kN⋅0.220 MN+−2 kN⋅0.220 MN=6.0×10−5 m. u_C=\frac{8\,\mathrm{kN}\cdot 0.2}{20\,\mathrm{MN}} +\frac{-2\,\mathrm{kN}\cdot 0.2}{20\,\mathrm{MN}} =6.0\times 10^{-5}\,\mathrm{m}. よって C は右向きに 60 μm60\,\mu\mathrm{m} 移動する。

問3では単純支持ばりの全長を 2L2L,荷重点を x=3L/2x=3L/2 とする。中央支持がない場合,点 A の反力は ⑬ RA=P4 \boxed{⑬\ R_A=\frac{P}{4}} である。曲げモーメントは ⑭ M=P4x(0≤x≤3L/2) \boxed{⑭\ M=\frac{P}{4}x\quad(0\le x\le 3L/2)} ⑮ M=P4x−P(x−3L2)=3P4(2L−x)(3L/2≤x≤2L) \boxed{⑮\ M=\frac{P}{4}x-P\left(x-\frac{3L}{2}\right) =\frac{3P}{4}(2L-x)\quad(3L/2\le x\le 2L)} である。単純支持ばりの点荷重によるたわみ公式を用いると,中央 C のたわみは ⑯ yC2=11PL396EI. \boxed{⑯\ y_{C2}=\frac{11PL^3}{96EI}} . ここで下向きを正にとった。

中央反力 RCR_C が上向きに単独で作用すると,問題で与えられたとおり yC1=−RCL36EI y_{C1}=-\frac{R_CL^3}{6EI} である。したがって接触条件は ⑰ δ=−RCL36EI+11PL396EI. \boxed{⑰\ \delta=-\frac{R_CL^3}{6EI}+\frac{11PL^3}{96EI}} . δ=0\delta=0 では ⑱ RC=1116P. \boxed{⑱\ R_C=\frac{11}{16}P}. このとき点 A の反力は,荷重 PP による P/4P/4 と,上向き中央荷重 RCR_C による −RC/2-R_C/2 の和であるから ⑲ RA=P4−1211P16=−3P32. \boxed{⑲\ R_A=\frac{P}{4}-\frac{1}{2}\frac{11P}{16} =-\frac{3P}{32}} . また δ=PL3/(32EI)\delta=PL^3/(32EI) のときは,式 ⑰ より RC=P/2R_C=P/2 となるので ⑳ RA=P4−P4=0. \boxed{⑳\ R_A=\frac{P}{4}-\frac{P}{4}=0}.

最終答

① b,②リューダース,③塑性,④加工,⑤ 8,⑥左,⑦ 2,⑧ 80,⑨ −20-20,⑩ −20-20,⑪右,⑫ 60,⑬ P/4P/4,⑭ Px/4Px/4,⑮ 3P(2L−x)/43P(2L-x)/4,⑯ 11PL3/(96EI)11PL^3/(96EI),⑰ −RCL3/(6EI)+11PL3/(96EI)-R_CL^3/(6EI)+11PL^3/(96EI),⑱ 11P/1611P/16,⑲ −3P/32-3P/32,⑳ 00。

第2問 — 機械力学

方針

円板の転がりは「回転エネルギーを並進座標に換算する」問題である。2自由度系は,まずばね・ダンパの相対変位を力に変換し,その後に複素振幅へ移すと整理しやすい。

検算

X1X_1 の分子は 1−r21-r^2 であるため,r=1r=1 で質点1が静止する。これは質点2が動吸振器として働く反共振点であり,図の谷が Ω/ω=1\Omega/\omega=1 付近に出ることとも一致する。

典型ミス

転がり円板の慣性項を I/(2r2)I/(2r^2) としてしまう誤りが多い。1/21/2 は運動エネルギーの前にすでに入っているので,等価質量への追加分は I/r2I/r^2 である。

試験で書くべきポイント

問2では,減衰項を c(x˙1−x˙2)c(\dot{x}_1-\dot{x}_2) と c(x˙2−x˙1)c(\dot{x}_2-\dot{x}_1) の組で書くことが重要である。作用反作用の符号が反対になっていないかを確認する。

機械力学の途中式・最終答をPDFで見る

第3問 — 熱力学

方針

熱力学の選択問題は,状態量の大小と過程名を混同しないことが最重要である。ランキンサイクルでは,ボイラ出口 33 が最大エンタルピー,タービン出口 44 が次,ポンプ出口 22 と復水器出口 11 は近いが h2>h1h_2>h_1 である。

検算

問2(2)の等温圧縮では,仕事と熱量の絶対値が一致する。これは ΔU=0\Delta U=0 の直接の帰結であり,選択肢も同じものになる。問3の値は 668/273≃2.45668/273\simeq2.45 で,単位は kJ/K\mathrm{kJ/K} である。

典型ミス

自由膨張を可逆断熱膨張と混同して TVγ−1=一定TV^{\gamma-1}=\text{一定} を使ってはいけない。自由膨張は不可逆であり,理想気体では温度一定,エントロピーは増加する。

試験で書くべきポイント

選択肢式の問題でも,R=R0/MR=R_0/M,ΔS=Qrev/T\Delta S=Q_{\mathrm{rev}}/T,pv=RTpv=RT のように根拠式を1行添えると,途中点を拾いやすい答案になる。

熱力学の途中式・最終答をPDFで見る

第4問 — 流体力学

方針

前半は円柱まわりのポテンシャル流を,ジュコフスキー変換で平板翼に写す問題である。実部が速度ポテンシャル,虚部が流れ関数であることを最初に固定すると,円周速度の符号まで追いやすい。

検算

α=0\alpha=0 ならクッタ条件から Γ=0\Gamma=0,揚力も FL=0F_L=0 となる。これは対称な平板が迎え角ゼロで揚力をもたないことと一致する。

典型ミス

抗力の運動量欠損法で,断面 B の静圧が一様でない点を落としやすい。直接 u3=u2u_3=u_2 としてはいけない。B から C へ損失なしで移るが,静圧が p∞p_\infty にそろうため速度が変わる。

試験で書くべきポイント

問2の最後は,u2,u3,U∞u_2,u_3,U_\infty を全圧・静圧差の平方根で表し,最後に積分核へ代入する形で示すとよい。式を一気に書くより,どの断面の圧力差からどの速度を求めているかが明確になる。

流体力学の途中式・最終答をPDFで見る

第5問 — 工業数学・応用数学

方針

問1(1)は懸垂線の長さで,cosh⁡2u−sinh⁡2u=1\cosh^2 u-\sinh^2 u=1 を使う。問1(2)は Cauchy--Euler 型なので xmx^m を代入するのが最短である。

検算

問2の答えは a4ba^4b に比例する。被積分関数が x2x^2 で面積要素を含む体積積分なので,半径方向は4乗,軸方向は1乗になる。次元の見積もりと一致する。

典型ミス

問3(2)では,積分路の内部にある極だけを足す。4つ全部を足すと無限遠での寄与まで混ぜることになり,答えが誤る。

試験で書くべきポイント

フーリエ変換の規約は問題文に合わせる。ここでは逆変換に 1/(2π)1/(2\pi) が付くため,パーシバルにも 1/(2π)1/(2\pi) が現れる。この係数を答案に明記すること。

工業数学・応用数学の途中式・最終答をPDFで見る

東京科学大 機械系 専門科目 院試 過去問の収録5年度