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北大 情報科学院 情報科学専攻 情報エレクトロニクスコース 専門科目 2026年度 院試 過去問 解答例・解説(全10問)

全10問の分野は電磁気学・回路4問、物性物理2問、量子力学1問です。固有値・固有ベクトル、伝達関数、調和振動子などが出ています。2025年度と共通するテーマは固有値・固有ベクトル、伝達関数、オペアンプ回路です。解説はすべて、途中式と最終答は大問1問ぶんを公開しています。残りは解答PDFに収録しています。問題本文は含みません。

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第1問 — 応用数学

相似変換の意味

B=P−1APB=P^{-1}AP は AA と同じ線形写像を別の基底で表した行列である。したがって固有値は変わらない。ただし,固有ベクトルの座標表示は基底が変わるため変化する。

オイラー型は対数変換

x2y′′+axy′+byx^2y''+axy'+by の形では x=etx=e^t とおくと定数係数の微分方程式になる。本問では右辺 10x210x^2 が 10e2t10e^{2t} になり,同次解と重なるので te2tte^{2t} を掛けた特殊解を使う。

解答

1 行列の固有値

行列 A=(23−3−121−130) A=\begin{pmatrix} 2&3&-3\\ -1&2&1\\ -1&3&0 \end{pmatrix} について, det⁡(λI−A)=λ3−4λ2+λ+6=(λ+1)(λ−2)(λ−3) \det(\lambda I-A) =\lambda^3-4\lambda^2+\lambda+6 =(\lambda+1)(\lambda-2)(\lambda-3) である。したがって固有値は λ=−1,2,3 \lambda=-1,\quad 2,\quad 3 である。

各固有値について (A−λI)x=0(A-\lambda I)\mathbf{x}=\mathbf{0} を解くと, λ=−1: x=s(1,0,1)T,λ=2: x=s(1,1,1)T,λ=3: x=s(0,1,1)T \lambda=-1:\ \mathbf{x}=s(1,0,1)^T, \quad \lambda=2:\ \mathbf{x}=s(1,1,1)^T, \quad \lambda=3:\ \mathbf{x}=s(0,1,1)^T となる。ここで s≠0s\neq 0 は任意定数である。

2 逆行列

P=(111110101) P=\begin{pmatrix} 1&1&1\\ 1&1&0\\ 1&0&1 \end{pmatrix} に対し,掃き出しまたは余因子展開により P−1=(−11110−11−10) P^{-1} =\begin{pmatrix} -1&1&1\\ 1&0&-1\\ 1&-1&0 \end{pmatrix} である。実際に PP−1=IPP^{-1}=I が成り立つ。

3 相似変換後の固有値と固有ベクトル

B=P−1AP=(2−2003004−1) B=P^{-1}AP = \begin{pmatrix} 2&-2&0\\ 0&3&0\\ 0&4&-1 \end{pmatrix} である。BB は AA と相似なので固有値は同じで, λ=−1,2,3 \lambda=-1,\quad 2,\quad 3 である。

それぞれの固有ベクトルは λ=−1: (0,0,1)T,λ=2: (1,0,0)T,λ=3: (−2,1,1)T \lambda=-1:\ (0,0,1)^T,\qquad \lambda=2:\ (1,0,0)^T,\qquad \lambda=3:\ (-2,1,1)^T の定数倍である。これは By=λyB\mathbf{y}=\lambda\mathbf{y} を直接解いても確認できる。

4 オイラー型微分方程式

x=etx=e^t とおき,y(x)=Y(t)y(x)=Y(t) と書く。すると dydx=1xdYdt,d2ydx2=1x2(d2Ydt2−dYdt) \frac{dy}{dx}=\frac1x\frac{dY}{dt},\qquad \frac{d^2y}{dx^2}=\frac1{x^2}\left(\frac{d^2Y}{dt^2}-\frac{dY}{dt}\right) である。よって x2y′′+2xy′−6y=10x2 x^2y''+2xy'-6y=10x^2 は Y′′+Y′−6Y=10e2t Y''+Y'-6Y=10e^{2t} に変わる。

同次方程式の特性方程式は r2+r−6=(r−2)(r+3)=0 r^2+r-6=(r-2)(r+3)=0 なので,同次解は Yh=C1e2t+C2e−3t Y_h=C_1e^{2t}+C_2e^{-3t} である。右辺 10e2t10e^{2t} は同次解と重なるため,特殊解を Yp=ate2tY_p=ate^{2t} とおく。代入すると (D2+D−6)(ate2t)=5ae2t (D^2+D-6)(ate^{2t})=5ae^{2t} であるから 5a=105a=10,すなわち a=2a=2 である。

したがって Y=C1e2t+C2e−3t+2te2t Y=C_1e^{2t}+C_2e^{-3t}+2te^{2t} であり,t=log⁡xt=\log x より y=C1x2+C2x−3+2x2log⁡x(x>0) y=C_1x^2+C_2x^{-3}+2x^2\log x\qquad (x>0) を得る。

最終答

AA の固有値・固有ベクトルは −1:(1,0,1)T-1:(1,0,1)^T,2:(1,1,1)T2:(1,1,1)^T,3:(0,1,1)T3:(0,1,1)^T の各定数倍。P−1=(−11110−11−10)P^{-1}=\begin{pmatrix}-1&1&1\\1&0&-1\\1&-1&0\end{pmatrix}。B=P−1AP=(2−2003004−1)B=P^{-1}AP=\begin{pmatrix}2&-2&0\\0&3&0\\0&4&-1\end{pmatrix} で,固有ベクトルは −1:(0,0,1)T-1:(0,0,1)^T,2:(1,0,0)T2:(1,0,0)^T,3:(−2,1,1)T3:(-2,1,1)^T。微分方程式の一般解は y=C1x2+C2x−3+2x2log⁡xy=C_1x^2+C_2x^{-3}+2x^2\log x。

第2問 — 半導体デバイス工学

図示問題の採点点

帯図では曲がり方だけでなく,EC,EV,EF,EG,qVbiE_C,E_V,E_F,E_G,qV_{\mathrm{bi}} のラベルを落とさないことが重要である。光照射時は生成,分離,外部回路電流の3点を言葉でも補うと答案が安定する。

pチャネルの符号

pチャネルではしきい値電圧や電流方向の符号規約が答案によって変わりやすい。式を大きさで書き,符号は定義した電流方向に従うと明記すれば,物理内容を誤りにくい。

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第3問 — 電磁気学

重ね合わせで簡単にする

穴あき平板を直接積分してもよいが,無限平板から円板を引くとすぐに求まる。遠方で無限平板の値へ近づき,中心で0になることも式から確認できる。

アンペールの法則

円柱対称の電流では磁束密度は周方向で,同じ半径では大きさが一定である。したがってアンペール経路を半径 rr の円に取れば,積分は B(r)2πrB(r)2\pi r に落ちる。

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第4問 — 電気回路

位相はアドミタンスで見る

電流は I=YEI=YE なので,電流の電圧に対する位相はインピーダンスではなくアドミタンスの偏角で読むと速い。並列回路では特にこの方法が有効である。

同相条件

同相条件は「全アドミタンスが実数」または「全インピーダンスが実数」である。並列に入れるときはアドミタンス,直列に入れるときはインピーダンスで虚部を消す。

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第5問 — 電子回路

ソース接地の符号

nチャネルFETのソース接地増幅では,ゲート電圧が上がるとドレイン電流が増え,ドレイン電圧は下がる。したがって電圧利得には負号が付く。

電圧フォロワ

電圧フォロワは電圧利得がほぼ1で,入力インピーダンスが高く,出力インピーダンスが低い。信号源と負荷を分離するバッファとして使われる。

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第6問 — ディジタル回路

図示問題の書き方

トランジスタ図を答案用紙に描く場合でも,横に論理式を書くと採点者に意図が伝わる。特にラッチ部は「W=1W=1 で入力を通し,W=0W=0 で帰還保持」と説明すると機能を示しやすい。

Moore型の出力

Moore型では出力は現在状態だけで決まる。本問では S3S_3 だけが出力1なので,符号化後の出力式は単に Y=C1C0Y=C_1C_0 になる。

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第7問 — 量子力学

パウリ行列との対応

スピン 1/21/2 では Si=(ℏ/2)σiS_i=(\hbar/2)\sigma_i と見ればよい。交換関係,固有値,S2S^2 はパウリ行列の性質から一気に整理できる。

ガウス型波動関数

ガウス型を代入すると,x2x^2 の係数と定数項を別々に比較できる。これにより kk と基底エネルギーが同時に決まる。

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第8問 — 物性工学

逆格子ベクトル

ブラッグ反射は,波数空間で逆格子ベクトルだけ移った点が同じエネルギー球面上にある条件で表せる。式 2k⋅G+∣G∣2=02\mathbf{k}\cdot\mathbf{G}+|\mathbf{G}|^2=0 はその幾何学的条件の展開である。

フェルミ球の考え方

絶対零度の自由電子ガスでは,低いエネルギー状態から EFE_F までが埋まる。数密度は状態密度の積分,内部エネルギーは ED(E)E D(E) の積分で求める。

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第9問 — 情報通信工学

効率は二段で掛ける

変調のビットレートに通信路の伝送効率を掛け,さらにパケット中のデータ本体の割合を掛ける。冗長コードとヘッダを忘れると時間を短く見積もってしまう。

フィードバックブロック

ブロック図は一気に合成せず,中間ノードを置いて方程式を書くと符号を間違えにくい。本問では負帰還なので分母に 1+G1H1+G_1H が現れる。

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第10問 — 光エレクトロニクス

複素振幅で処理する

干渉問題では実部を直接二乗するより,複素振幅の和の絶対値二乗を取る方が簡潔である。位相差だけが余弦項として残る。

回折像と開口幅

フラウンホーファー回折では,遠方像は開口のフーリエ変換で決まる。矩形開口では sinc 型になり,大きな開口ほど角度分布が細くなる。

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年度別の解答例(2年度)

  • 2026年度(このページ・全10問)

    応用数学 / 半導体デバイス工学 / 電磁気学

  • 2025年度(全10問)

    応用数学 / 半導体デバイス工学 / 電磁気学

2026年度の出題内容

全10問

この10問の分野は電磁気学・回路4問・物性物理2問・量子力学1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問—応用数学相似変換の意味 / オイラー型は対数変換あり
第2問物性物理半導体デバイス工学図示問題の採点点 / pチャネルの符号あり
第3問電磁気学・回路電磁気学重ね合わせで簡単にする / アンペールの法則あり
第4問電磁気学・回路電気回路位相はアドミタンスで見る / 同相条件あり
第5問電磁気学・回路電子回路ソース接地の符号 / 電圧フォロワあり
第6問電磁気学・回路ディジタル回路図示問題の書き方 / Moore型の出力あり
第7問量子力学—パウリ行列との対応 / ガウス型波動関数あり
第8問物性物理物性工学逆格子ベクトル / フェルミ球の考え方あり
第9問—情報通信工学効率は二段で掛ける / フィードバックブロックあり
第10問—光エレクトロニクス複素振幅で処理する / 回折像と開口幅あり

同じテーマを出した他大学・他年度

12テーマ

2026年度は6問に12テーマが出ています。

テーマこの年度全体の出題実績他大学の直近出題
固有値・固有ベクトル第1・7問25大学・544問
伝達関数第9問12大学・113問
調和振動子第7問16大学・110問
フーリエ変換第10問14大学・91問
ラプラス変換第9問12大学・56問
電磁波第10問15大学・55問
オペアンプ回路第5問8大学・26問
PN接合第2問8大学・20問
スピン第7問11大学・17問
MOSFET第2問6大学・11問
回折・干渉第10問6大学・11問
符号理論第9問5大学・9問

前年度(2025年度)との違い

大問数
2025年度 10問 → 2026年度 10問
2025年度の解答例

北海道大学の公式過去問

公開年度範囲
2025〜2026年度(専門科目1・2。2025年度分は公式過年度ページで確認)
公式の解答例
非公開(問題冊子のみ)
英語の扱い
2027年4月修士はTOEIC L&R・TOEFL iBT・IELTS Academicの指定スコアで評価。IP/ITP不可、TOEFL Special Home Edition可、MyBest不可。
院試hubの最終確認
2026-10-15
北海道大学の公式過去問PDF