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北大 情報科学院 情報科学専攻 情報エレクトロニクスコース 専門科目 2025年度 院試 過去問 解答例・解説(全10問)

全10問の分野は電磁気学・回路4問、物性物理2問、量子力学1問です。伝達関数、固有値・固有ベクトル、ハミルトン形式などが出ています。解説はすべて、途中式と最終答は大問1問ぶんを公開しています。残りは解答PDFに収録しています。問題本文は含みません。

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第1問 — 応用数学

極角は一価でない

∇φ\nabla\varphi 自体は原点を除けば局所的な勾配として書けるが,φ\varphi は原点を囲む閉曲線上では一価に定義できない。そのため閉曲線積分は0ではなく,巻き数に応じて 2π2\pi が現れる。

右辺をフーリエ成分ごとに処理する

線形定係数方程式では,右辺を cos⁡nx\cos nx の和に分けると,各モードは独立に解ける。本問では固有角周波数が 1/31/3 であり,整数 nn と一致しないため共振項は不要である。

解答

1 極角の勾配と周回積分

tan⁡φ=y/x\tan\varphi=y/x とおく。全微分をとると sec⁡2φ dφ=x dy−y dxx2 \sec^2\varphi\,d\varphi =\frac{x\,dy-y\,dx}{x^2} であり,sec⁡2φ=1+tan⁡2φ=(x2+y2)/x2\sec^2\varphi=1+\tan^2\varphi=(x^2+y^2)/x^2 だから dφ=−y dx+x dyx2+y2. d\varphi=\frac{-y\,dx+x\,dy}{x^2+y^2}. したがって ∇φ=(−yx2+y2,xx2+y2) \nabla\varphi =\left( -\frac{y}{x^2+y^2}, \frac{x}{x^2+y^2} \right) である。

半径3の円を反時計回りに r(θ)=(3cos⁡θ,3sin⁡θ),0≤θ≤2π \mathbf r(\theta)=(3\cos\theta,3\sin\theta),\qquad 0\leq\theta\leq2\pi と表すと,円周上では φ=θ\varphi=\theta と連続的に選べる。よって ∮C∇φ⋅dr=∫02πdφdθ dθ=2π. \oint_C\nabla\varphi\cdot d\mathbf r =\int_0^{2\pi}\frac{d\varphi}{d\theta}\,d\theta =2\pi. これは原点のまわりを1回まわることによる極角の増分である。

2 三角関数を右辺にもつ微分方程式

同次方程式 y′′+19y=0 y''+\frac19y=0 の一般解は yh=C1cos⁡x3+C2sin⁡x3 y_h=C_1\cos\frac{x}{3}+C_2\sin\frac{x}{3} である。

f(x)=Acos⁡kx f(x)=A\cos kx に対して特殊解を yp=Bcos⁡kxy_p=B\cos kx とおくと (19−k2)Bcos⁡kx=Acos⁡kx \left(\frac19-k^2\right)B\cos kx=A\cos kx より B=A1/9−k2. B=\frac{A}{1/9-k^2}. kk は整数なので k=1/3k=1/3 の共振は起こらない。したがって y=C1cos⁡x3+C2sin⁡x3+A1/9−k2cos⁡kx y=C_1\cos\frac{x}{3}+C_2\sin\frac{x}{3} +\frac{A}{1/9-k^2}\cos kx である。

3 周期関数への適用

∣sin⁡(x/2)∣|\sin(x/2)| は周期 2π2\pi の偶関数であり,標準的なフーリエ展開は ∣sin⁡(x/2)∣=2π−4π∑n=1∞cos⁡nx4n2−1 |\sin(x/2)| =\frac2\pi-\frac4\pi\sum_{n=1}^{\infty} \frac{\cos nx}{4n^2-1} である。線形性により各フーリエ成分へ前問の結果を適用すればよい。

定数項については 19y0=2π \frac19 y_0=\frac2\pi だから y0=18π. y_0=\frac{18}{\pi}. また n≥1n\geq1 の係数は −4/{π(4n2−1)}1/9−n2=36π(4n2−1)(9n2−1) \frac{-4/\{\pi(4n^2-1)\}}{1/9-n^2} =\frac{36}{\pi(4n^2-1)(9n^2-1)} である。したがって一般解は y=C1cos⁡x3+C2sin⁡x3+18π+∑n=1∞36π(4n2−1)(9n2−1)cos⁡nx y=C_1\cos\frac{x}{3}+C_2\sin\frac{x}{3} +\frac{18}{\pi} +\sum_{n=1}^{\infty} \frac{36}{\pi(4n^2-1)(9n^2-1)}\cos nx となる。

最終答

∇φ=(−y/(x2+y2), x/(x2+y2))\nabla\varphi=(-y/(x^2+y^2),\,x/(x^2+y^2)),∮C∇φ⋅dr=2π\oint_C\nabla\varphi\cdot d\mathbf r=2\pi。Acos⁡kxA\cos kx に対する一般解は C1cos⁡(x/3)+C2sin⁡(x/3)+Acos⁡kx/(1/9−k2)C_1\cos(x/3)+C_2\sin(x/3)+A\cos kx/(1/9-k^2)。∣sin⁡(x/2)∣|\sin(x/2)| の場合は C1cos⁡(x/3)+C2sin⁡(x/3)+18/π+∑n≥136cos⁡nx/{π(4n2−1)(9n2−1)}C_1\cos(x/3)+C_2\sin(x/3)+18/\pi+\sum_{n\geq1}36\cos nx/\{\pi(4n^2-1)(9n^2-1)\}。

第2問 — 半導体デバイス工学

バンド図の採点点

熱平衡では EFE_F が水平,光照射時はキャリア分離の向きが重要である。数値計算だけでなく,EC,EV,EF,EGE_C,E_V,E_F,E_G,空乏層,電界の向きを図中に入れると答案として安定する。

ショットキー障壁と内蔵電位

ΦBn\Phi_{Bn} は金属から見た障壁高さであり,内蔵電位は半導体バルクのフェルミ準位から障壁頂上までの差として求める。したがって半導体中の EC−EFE_C-E_F を差し引く。

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第3問 — 電磁気学

電位差条件を忘れない

接地された2枚の板は同じ電位である。面電荷で電場が不連続になる条件だけでは未知数が一つ余るため,電位差0の条件を必ず併用する。

磁気力は近い辺と遠い辺の差

矩形ループの上下辺に働く力は上下方向で互いに打ち消す。水平合力は左右の縦辺の差で決まり,磁場が距離に反比例するため近い辺の力が勝つ。

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第4問 — 電気回路

ブリッジ平衡の見方

途中点の電位が等しいという条件は,その点までの電圧分割比が等しいという条件である。本問のように左右の抵抗 RR が共通に置かれている場合は,リアクタンス部分の等価条件に落とすと短く解ける。

符号は 1/(jωC)=−j/(ωC)1/(j\omega C)=-j/(\omega C)

コンデンサのインピーダンスの符号を途中で落とすと,ωQ\omega_Q や全インピーダンスの虚部の符号が崩れる。最後に周波数の二乗が正になる形になっているかを確認するとよい。

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第5問 — 電子回路

仮想接地は結論として使う

有限利得の関係式を先に書くと,理想極限で V−→0V_-\to0 となる理由が明確になる。はじめから V−=0V_-=0 と置くだけの答案より,負帰還の意味が伝わりやすい。

帰還にコンデンサが入ると低域通過

帰還インピーダンス Z2Z_2 は高周波で小さくなるため,利得も高周波で低下する。したがってこの回路は反転型の一次低域通過増幅器として動作する。

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第6問 — ディジタル回路

関数を分割してセレクタで作る

セレクタは「場合分け」をそのまま回路にする素子である。4ビット関数では上位ビット C3C_3 で場合分けし,それぞれの3ビット側をさらに小さい関数として作ると整理しやすい。

Moore出力は状態だけを見る

Moore型では出力が入力に直接依存しない。したがって状態割当で出力1の状態に対応するビットをそのまま出力にすればよい。

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第7問 — 量子力学

パリティで積分を省く

無限井戸が [−a,a][-a,a] に対称に置かれているため,偶奇性が使える。偶関数と奇関数の内積は対称区間で0になる。

測定後は固有状態に射影

測定で +1+1 が得られた直後の状態は,測定前の係数に関係なく ∣+⟩|+\rangle である。その後,時間発展はハミルトニアン固有基底で位相を掛けるだけなので,基底変換を丁寧に行えばよい。

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第8問 — 物性工学

二次元状態密度は定数

二次元では環の面積が k dkk\,dk に比例し,エネルギー微分 dEdE も k dkk\,dk に比例するため,状態密度から kk が消える。

フェルミ分布の指数近似

真性半導体の伝導帯電子は,伝導帯端から十分離れたフェルミ準位をもつ非縮退近似で扱う。指数の符号を e−(E−EF)/(kBT)e^{-(E-E_F)/(k_BT)} と置くことが計算の要点である。

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第9問 — 情報通信工学

階層ごとの識別子

IPアドレスはホストや端末を識別し,ポート番号は同じ端末内のアプリケーションやプロセスを識別する。この対応を押さえると階層問題は迷いにくい。

通信容量はデータ本体だけで割らない

LAN上を流れるのはデータ本体だけでなく,ヘッダと誤り訂正符号を含むパケット全体である。容量計算では必ずオーバヘッドを含める。

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第10問 — 光エレクトロニクス

媒質で変わるものと変わらないもの

媒質中で変わるのは光速と波長であり,周波数は境界を越えても同じである。この区別を明確にすると,λ=λ0/n\lambda=\lambda_0/n を迷わず導ける。

コヒーレンス長はスペクトル幅の逆数

スペクトル幅が広いほど時間的コヒーレンスは短くなり,対応する長さも短くなる。波長幅で与えられたときは,f=c/λf=c/\lambda の微分から Δf\Delta f へ変換する。

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年度別の解答例(2年度)

  • 2026年度(全10問)

    応用数学 / 半導体デバイス工学 / 電磁気学

  • 2025年度(このページ・全10問)

    応用数学 / 半導体デバイス工学 / 電磁気学

2025年度の出題内容

全10問

この10問の分野は電磁気学・回路4問・物性物理2問・量子力学1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問—応用数学極角は一価でない / 右辺をフーリエ成分ごとに処理するあり
第2問物性物理半導体デバイス工学バンド図の採点点 / ショットキー障壁と内蔵電位あり
第3問電磁気学・回路電磁気学電位差条件を忘れない / 磁気力は近い辺と遠い辺の差あり
第4問電磁気学・回路電気回路ブリッジ平衡の見方 / 符号は 1/(jω C)=-j/(ω C)あり
第5問電磁気学・回路電子回路仮想接地は結論として使う / 帰還にコンデンサが入ると低域通過あり
第6問電磁気学・回路ディジタル回路関数を分割してセレクタで作る / Moore出力は状態だけを見るあり
第7問量子力学—パリティで積分を省く / 測定後は固有状態に射影あり
第8問物性物理物性工学二次元状態密度は定数 / フェルミ分布の指数近似あり
第9問—情報通信工学階層ごとの識別子 / 通信容量はデータ本体だけで割らないあり
第10問—光エレクトロニクス媒質で変わるものと変わらないもの / コヒーレンス長はスペクトル幅の逆数あり

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9テーマ

北海道大学の公式過去問

公開年度範囲
2025〜2026年度(専門科目1・2。2025年度分は公式過年度ページで確認)
公式の解答例
非公開(問題冊子のみ)
英語の扱い
2027年4月修士はTOEIC L&R・TOEFL iBT・IELTS Academicの指定スコアで評価。IP/ITP不可、TOEFL Special Home Edition可、MyBest不可。
院試hubの最終確認
2026-10-15
北海道大学の公式過去問PDF