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東大 工学系研究科 応用化学・総合化学 院試 過去問 完全対策ガイド|物化・有機・無機・分析の頻出論点と演習計画

東京大学大学院 工学系研究科 応用化学専攻・総合化学専攻の院試を、外部生が独学で突破するための実務ガイド。物理化学(熱力学・量子化学・速度論)・有機化学(反応機構・立体化学)・無機化学(結晶場・配位)・分析化学(分光・分離)の頻出論点と教科書、答案で失点する典型パターン、6か月/3か月/1か月の演習計画、研究室訪問と英語スコアの準備までを体系的に整理しています。

最終更新: 2026-05-20

東京大学大学院 工学系研究科 応用化学専攻・総合化学専攻の院試は、物理化学・有機化学・無機化学・分析化学の4分野を中心に、学部標準範囲を横断的に問う構成です。外部生にとっては、化学系の試験で必須となる「反応機構を書ききる答案力」と「物理化学の数式展開力」を同時に鍛える必要があり、暗記主体の学習だけでは対応しきれない密度が出ます。

本ガイドは、東大 応用化学 院試を外部から受験する社会人・他学部学生・他大学化学系出身の受験生に向けて、4分野の頻出論点、答案で失点する典型パターン、教科書の章単位のチェックリスト、残り月数別の演習計画を整理した実務メモです。配点・合格点は公表されていないため、ここでは公開されている過去問・公式募集要項から読み取れる範囲だけを扱います。

試験の全体像と専攻選択

応用化学専攻と総合化学専攻は所属研究室により試験運用が変わる年度があります。

分野中心となる範囲外部生のつまずきポイント
物理化学熱力学・量子化学・反応速度論・統計力学の入口系の境界条件と等温・等圧・可逆の前提明示
有機化学反応機構・立体化学・カルボニル化学・ペリ環状反応巻矢印で電子の流れを答案に書ききれない
無機化学結晶構造・酸塩基論・配位化学(結晶場・配位子場)八面体/四面体での結晶場分裂の取り違え
分析化学滴定・分光分析(UV-Vis/IR/NMR)・分離分析NMR構造決定で情報を表に整理せず推測する

公式情報で必ず確認すること

  • 志望研究室がどちらの専攻に所属しているか(応用化学/総合化学)
  • 専門科目の出題範囲と選択ルール(物化・有機・無機・分析の組み合わせ)
  • 公式に公開されている過去問の年度と、解答時間・配点の表記
  • 外国語試験の取り扱い(TOEFL/TOEIC のスコア提出方式と期限)
  • 志望研究室の受け入れ枠と、口述試験・面接の有無
  • 出願時に必要な書類一式(成績証明・研究計画書の有無)

分野別の出題マッピングと頻出論点

物理化学

  • 化学熱力学(熱力学第一・第二法則・エントロピー・自由エネルギー)
  • 化学平衡と平衡定数、ル・シャトリエの原理
  • 相平衡(クラペイロン・クラウジウス、共沸・部分混和)
  • 量子化学(シュレーディンガー方程式、水素原子の波動関数)
  • 分子軌道法(LCAO、HOMO-LUMO、共役系)
  • 反応速度論(速度式の積分・微分形、アレニウス式、触媒反応のミカエリス・メンテン)

有機化学

  • SN1/SN2・E1/E2 反応とその区別(立体化学・基質構造・溶媒の影響)
  • 親電子芳香族置換(オルト・パラ/メタ配向、活性化・不活性化)
  • 親核アシル置換とカルボニル化学(アルドール・クライゼン・マンニッヒ)
  • ペリ環状反応(Diels-Alder、シグマトロピー、エレクトロサイクリック)
  • 立体化学(絶対配置R/S、立体配座、ニューマン投影)
  • 逆合成解析の基本

反応機構の問題では電子の流れを示す巻矢印を必ず書きます。中間体(カルボカチオン、カルバニオン、ラジカル)と遷移状態を矢印付きで示し、生成物だけを書く答案にしないことが化学系院試の絶対条件です。

無機化学

  • 結晶構造(FCC/BCC/HCP・イオン結晶・マーデルング定数)
  • 酸塩基論(ブレンステッド・ローリー、ルイス、HSAB)
  • 配位化学(結晶場理論・配位子場理論・分光化学系列)
  • 遷移金属の電子配置と高スピン/低スピン
  • 固体化学・触媒反応の入口(年度により)

配位化学では「八面体錯体か四面体錯体か」を冒頭で明示し、結晶場分裂エネルギーΔoまたはΔtを正しく書きます。これを取り違えると後段の電子配置・吸収スペクトルまで連鎖して失点します。

分析化学

  • 滴定法(酸塩基・酸化還元・キレート・沈殿滴定)
  • UV-Vis分光(ランベルト・ベール則、π-π*遷移)
  • IR分光(特性吸収帯、官能基同定)
  • NMR(1H NMR、13C NMR、化学シフト・スピン結合・積分比)
  • クロマトグラフィー(GC・HPLC、保持時間・分離係数)

NMR構造決定では、化学シフト・スピン結合(J値)・積分比のすべての情報を答案上の表に整理してから構造を提案します。情報を並べずに直接構造を書くと、複数の異性体候補を比較した根拠が示せず減点されます。

答案で失点する典型パターン

1. 有機反応機構の矢印不足

電子の流れを示す巻矢印を省略して生成物だけを書くと、機構問題では大幅な減点対象になります。中間体・遷移状態を矢印付きで書ききる習慣を演習段階から固めてください。

2. 物化の境界条件の未明示

等温・等圧・可逆・不可逆の前提を冒頭で宣言せずに自由エネルギー計算を始めると、論理が読み取れず減点されます。系の境界(系・周囲)も明示してください。

3. 配位化学での錯体形の取り違え

八面体錯体・四面体錯体のどちらを扱っているかを答案の冒頭で明示します。Δo と Δt は値も配置も異なります。

4. NMR構造決定での情報整理不足

化学シフト・スピン結合・積分比を表で整理してから構造を提案します。直感で書くと複数の異性体候補の検討過程が示せません。

分野別の教科書と章単位のチェックリスト

物理化学

  • Atkins『物理化学』: 国内外の世界標準。熱力学・量子化学・速度論まで通読。
  • McQuarrie-Simon『物理化学』: 量子化学の章が丁寧。

有機化学

  • Klein『Organic Chemistry』またはマクマリー『有機化学』: 反応機構を矢印付きで学ぶ標準書。
  • Vollhardt-Schore『現代有機化学』: 国内でも人気。
  • Clayden『Organic Chemistry』: 機構重視の最良教科書のひとつ。

無機化学

  • Shriver-Atkins『無機化学』: 国内外の標準書。配位化学まで。
  • Cotton-Wilkinson『Advanced Inorganic Chemistry』: 副読本。

分析化学

  • Christian『分析化学』: 国内外の世界標準。
  • Silverstein『Spectrometric Identification of Organic Compounds』: NMR・IR構造決定の定番。

残り月数別の演習計画

残り6か月の計画

  • 1〜2か月目: 学部教科書の通読復習。物化(アトキンス)・有機(クラインまたはマクマリー)・無機(シュライバー)・分析(クリスチャン)を各1冊ずつ。
  • 3〜4か月目: 公式過去問1〜2周(時間制限なし)。有機反応機構の練習帳を毎日30問ペース。
  • 5か月目: 時間を計った答案演習。NMR構造決定問題集を集中演習。
  • 6か月目: 過去問3周目+研究室訪問+英語スコア最終提出。

残り3か月の計画

  • 1か月目: 直近3年の公式過去問を時間を計らずに解き、得点が安定する2分野を確定。
  • 2か月目: 確定した2分野+NMR・SN1/SN2選択に絞って2周目。
  • 3か月目: 時間を計った通し演習で本番形式に慣れる。

残り1か月の計画

  • 1〜2週目: 直近2年分の過去問を時間を計って解き、各分野の弱点を可視化。
  • 3週目: NMR構造決定とSN1/SN2の基本問題だけは必ず押さえる。
  • 4週目: 答案演習の反復。巻矢印・前提条件の明示を自動化。

研究室訪問と口述試験の準備

化学系の研究室は実験テーマが多岐にわたり、有機合成・無機材料・電気化学・触媒・高分子・生体化学など研究室ごとに必要な事前知識が異なります。志望研究室は出願前にメールで連絡を取り、研究テーマと受け入れ枠を確認するのが標準的な手順です。

外国語スコアの準備

TOEFL/TOEIC のスコアは出願2か月以上前に1回受験を済ませておくのが安全です。

併願戦略

東大 応用化学・総合化学を志望する受験生は、東京科学大(旧東工大)物質理工学院、名工大 物質工学、東北大 工学研究科 化学・バイオ系などを併願候補に挙げることが多いです。

よくある質問

本記事の内容は公開時点の公式情報と国内化学系院試の通例に基づきます。出願前には必ず東京大学大学院 工学系研究科の最新の公式募集要項・公式過去問ページで試験科目・実施時期・出題範囲を確認してください。

東大 院試 の他専攻ガイド

東大 大学院 工学系研究科 応用化学専攻は、化学システム工学・マテリアル工学・理学系化学と隣接した出題分野です。応用化学で身につけた「反応速度・熱力学・物質収支の宣言」は、化学システム工学の単位操作、マテリアル工学の相図、理学系化学の量子化学でも答案の骨格として効きます。下記の同大学他専攻ガイドも合わせて読むと、東大 院試 化学系全体の出題傾向が見えます。

東大 一般教育科目 化学 院試の出題分野(2021〜2026年度・全18大問)

院試hubが解答を作った6実施回・全18大問の見出しを出題区分別に数えたものです。物理化学が6回(全体の33%)で最多。物理化学・無機化学・有機化学は6実施回すべてに出ています。

出題区分出題回数全大問比直近の連続出題最後に出た回
物理化学633%6回連続2026年度
無機化学633%6回連続2026年度
有機化学633%6回連続2026年度

東大 一般教育科目 化学 院試 過去問の収録年度と大問数

院試hubが解答を作った6実施回の一覧です。どの回も3大問構成です。

東大 一般教育科目 化学の解答で立てた注意点(64件)

院試hubの解説で、その設問だけに立てた小見出しです(「方針」「検算」のような全問共通の 見出しは除いています)。新しい実施回から並べています。

無機化学26件

  • 2026年度 第2問錯体問題の読み方 / 指定語を使った理由説明 / 半径比則の使いどころ / 密度判定の検算 / 答案作成上のチェック
  • 2025年度 第2問錯体異性体の数え方 / 高スピンと低スピン / Born--Haber サイクルの符号
  • 2024年度 第2問ダイヤモンドの充填率 / 結晶構造と性質を結びつける / 15 族水素化物の角度 / 標準電位の符号チェック
  • 2023年度 第2問結晶場分裂の符号 / トランス効果の使い方 / 電極電位は電子数で重み付けする / 不均化の判定 / Ellingham 図の答案の書き方
  • 2022年度 第2問錯体の見方 / 配位子場の答案 / 有効核電荷と半径の検算 / 格子エネルギーの符号と大きさ / 沈殿滴定と抽出の典型ミス / 錯体で見るべき順序 / 格子エネルギーの検算 / 沈殿滴定の答案上の注意
  • 2021年度 第2問答案作成上の注意

有機化学23件

  • 2026年度 第3問有機反応の方針 / 立体化学の見方 / 芳香族置換の判断
  • 2025年度 第3問酸化度の数え方 / Wittig 反応の立体選択性 / 合成経路の狙い / NMR の検算
  • 2024年度 第3問構造式問題の答案 / E2 反応の見方 / アミンの塩基性と求核性 / 反応系列の典型ミス / 芳香族性の判定 / アズレンの反応位置
  • 2023年度 第3問NMR の順序 / イミダゾールの二つの窒素 / 酸性度は共役塩基の安定性で比べる / 芳香族求電子置換の反応性 / Friedel--Crafts 合成の典型ミス
  • 2022年度 第3問酸性度・塩基性の見方 / 立体化学とひずみの答案 / 反応機構の要点 / 合成問題の採点ポイント
  • 2021年度 第3問答案作成上の注意

物理化学15件

  • 2024年度 第1問計算で落としやすい単位 / 凝固点降下の導出で必要な符号 / 箱中粒子の確率の検算 / Morse ポテンシャルと調和近似 / 可逆一次反応の答案の書き方
  • 2023年度 第1問G--P 図の読み方 / Gibbs--Helmholtz 式の失点しやすい点 / van't Hoff 式と符号 / Lineweaver--Burk プロット / Arrhenius 式の確認
  • 2022年度 第1問熱力学式の書き方 / 分子軌道の典型ミス / 軌道エネルギーの説明 / 自触媒反応の答案作成
  • 2021年度 第1問答案作成上の注意

東大 一般教育科目 化学 院試の頻出論点と、同じ論点を出す他大学

院試hubが解答した大問の論点を、他大学の出題と突き合わせたものです。併願先を 探すときの重なりの実数として使えます。

論点この専攻での出題出題年度同じ論点を出す他大学全国の出題大学
結晶構造3問2026・2024・2022北海道大学・東京科学大学・名古屋工業大学・九州大学・東北大学9大学
転位3問2026・2023・2022北海道大学・東京科学大学・名古屋工業大学・名古屋大学・東北大学7大学
波動関数1問2024名古屋大学・東京科学大学・東京都立大学・北海道大学・東北大学15大学
カルノーサイクル1問2021東北大学・名古屋大学・東京科学大学・早稲田大学・九州大学9大学
バンド理論1問2024北海道大学2大学

東大 公式の過去問 公開年度と公式解答例(2026-09-26確認)

公開されている年度
2017〜2026
公式の解答例
非公開(問題冊子のみ)
英語の扱い
TOEFL iBT/ITP のスコア提出。
院試hubが最後にリンクを確認した日
2026-09-26
ページの内容
工学系研究科の一般教育科目(数学・物理・化学)の過去問を年度別に集約配布。化学は応用化学系とバイオエンジニアリング系の2種を掲載。解答非公開。

解説には、この18大問だけに立てた注意点が64件あります。問題本文は含みません。

東京大学 一般教育科目 化学 院試 過去問 解答PDF(収録6年分)

よくある質問

応用化学専攻と総合化学専攻はどちらを志望すべきですか。
研究室の所属によって対応専攻が決まる構造になっているため、まず志望研究室がどちらの専攻に所属しているかを公式ページで確認してください。試験科目に共通範囲が多いものの選択ルールが異なる年度があり、必ず最新の募集要項で確認する必要があります。研究室訪問の段階で「うちの研究室志望ならこちらの専攻が自然」と教員から示唆されるケースが多いです。
物理化学はどこまで踏み込めばよいですか。
化学熱力学(熱力学第一・第二法則・自由エネルギー・化学平衡)、量子化学(シュレーディンガー方程式・水素原子・分子軌道法)、反応速度論(速度式・アレニウス式・触媒反応)の標準範囲が安全圏です。統計力学の基礎まで踏み込まれる年度もあるため、過去問で出題実績を確認してください。アトキンス『物理化学』またはマッカーリ・サイモン『物理化学』が標準書です。
有機化学は反応機構をどこまで覚えるべきですか。
SN1/SN2・E1/E2・親電子置換・親核置換・カルボニル化学・ペリ環状反応の基本機構までは外せない範囲です。教科書(クライン、マクマリー、ボルハルトショアーなど)の章末問題を機構付きで解ける状態にしてから過去問演習に進むのが現実的です。電子の流れを示す巻矢印を答案で書ききる練習を、毎日少しずつでも継続することが合否を分けます。
無機化学は錯体化学までやる必要がありますか。
結晶構造・酸塩基論(HSAB・ピアソンの理論)・配位化学(結晶場理論・配位子場理論・分光化学系列)の標準範囲は安全圏として準備しておく必要があります。志望研究室が無機・触媒系の場合は固体化学・触媒反応まで踏み込むのが安全です。八面体錯体と四面体錯体の結晶場分裂を間違えると後段の問題で連鎖して失点します。
分析化学はどの範囲が出題されますか。
滴定法(酸塩基・酸化還元・キレート)、分光分析(UV-Vis・IR・NMR)、分離分析(クロマトグラフィー)の標準範囲が頻出です。NMRの構造決定問題は化学系院試の定番のため、化学シフト・スピン結合・積分比から構造を提案する練習を問題集で繰り返してください。
TOEFL/TOEIC スコアはいつまでに準備すべきですか。
工学系研究科の応用化学・総合化学では外部英語スコアの提出が運用されている年度があります。スコアシートの郵送や受験回数の都合で間に合わなくなる例が毎年発生するため、出願期限の2か月以上前に1回分の受験を済ませておくのが安全です。

公式過去問と併用する独自解答・解説PDFを、東京大学の研究科・科目別に掲載しています。収録年度と価格は各ページで確認できます。

東京大学 院試 過去問 解答PDF一覧で、東京大学の研究科・専攻・科目をまとめて確認できます。

院試対策ガイド一覧(大学別)