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東大 工学系研究科 マテリアル工学 院試対策
東京大学大学院 工学系研究科 マテリアル工学専攻の院試対策。熱力学・組織・物性・材料力学の出題分野と外部生の演習計画。
最終更新: 2026-05-09
東京大学大学院 工学系研究科 マテリアル工学専攻の院試は、材料熱力学・組織学・材料物性・材料力学を軸に、専攻で扱う金属・セラミックス・有機材料の基礎物性まで横断的に問われる構成が中心です。外部生にとっては、機械系・物理系のような「4力」型の整理ができないため、学部講義の範囲を分野ごとにマッピングし直す作業が最初の壁になります。本ガイドは、マテリアル工学専攻志望の外部生が公式情報の確認から演習計画の組み立てまで、どの順序で手を動かすかを整理するための実務メモです。
公式情報で必ず確認すること
マテリアル工学専攻は工学系研究科のなかでも試験科目・選択ルールが独自に設定されている専攻のひとつです。出願前に下記を必ず公式の最新版で確認してください。
- マテリアル工学専攻の修士課程募集要項(試験日程・出願期間・実施会場)
- 専門科目の出題範囲と選択ルール(熱力学・組織・物性・力学の組み合わせ)
- 公式に公開されている過去問の年度と、解答時間・配点の表記
- 外国語試験の取り扱い(TOEFL/TOEIC のスコア提出方式と期限)
- 志望研究室の受け入れ枠と、口述試験・面接の有無
マテリアル系の研究室は金属・セラミックス・半導体・高分子・量子材料など研究テーマの幅が広く、研究室ごとに必要な事前知識が異なる傾向があります。出願前に志望研究室へ連絡し、研究テーマと試験対策の優先順位をすり合わせる手順が標準的とされています。
出題傾向と科目構成
専門試験は材料熱力学・組織学・材料物性・材料力学を中心に構成されます。材料熱力学では化学ポテンシャル・ギブズの相律・2元系状態図の読み解き、共晶反応・包晶反応・固溶体の相分率計算、自由エネルギー曲線と相平衡の関係が頻出範囲です。組織学では拡散方程式(フィックの法則)・析出と核生成・相変態・結晶構造(FCC/BCC/HCPの幾何)と結晶欠陥(点欠陥・転位)が問われる傾向にあります。材料物性では自由電子モデル・バンド構造・状態密度・フェルミ準位、誘電・磁性(強磁性・反強磁性・常磁性のキュリー則)の標準範囲が出題対象になります。材料力学では応力・ひずみ・はり・ねじり・座屈の基礎に加え、組織と機械的性質の関係(強化機構:固溶強化・析出強化・加工硬化)が問われる年度が見られます。直近の出題実績は 対応する年度別解答パック の収録範囲で確認しながら、自分の弱点分野を可視化してください。
答案で失点する典型パターン
マテリアル系の答案で多い失点は、第一に状態図の読み違えです。共晶点・包晶点と固溶体の領域を取り違えたまま相分率を計算すると、てこの法則の適用結果が大きくずれ、後段の問題まで連鎖して失点します。状態図問題では「軸の物理量と目盛り」を答案の最初に書き出す習慣をつけると事故を抑えやすくなります。第二に、拡散問題でフィックの第一法則と第二法則を使い分けず、定常拡散と非定常拡散を混ぜて解いてしまうパターン。第三に、物性問題で自由電子モデルとバンドモデルを切り替えるべき場面で前提条件を明示せず、結果だけ書いてしまうパターンです。マテリアル系では「現象を観察するモデルを答案の冒頭で宣言する」ことが安全策になります。
3か月・6か月の演習計画
残り6か月の場合
最初の2か月は学部教科書の通読に充ててください。材料熱力学はGaskellや藤田英一の材料熱力学、組織学は西澤泰二の組織学、材料物性はキッテル固体物理あるいは黒沢達美の物性論、材料力学は学部標準教科書が定番です。3か月目から公式過去問を年度別に解き、各分野での得点率を可視化します。4か月目以降は状態図問題と拡散問題を集中して回し、弱点分野の章末問題を1日10題ペースで埋めてください。5か月目から答案を時間制限付きで書く訓練に移行し、最後の1か月で本番形式の通し演習に切り替えます。
残り3か月の場合
3か月しか残っていない場合、4分野すべてを満遍なくやる時間はありません。1か月目に直近3年の公式過去問を時間を計らずに解き、得点が安定する2分野を確定させます。2か月目はその2分野と、残り2分野の頻出範囲(材料熱力学なら状態図、物性なら自由電子モデル)に絞って2周目に入ります。3か月目は時間を計った通し演習で本番形式に慣れる期間です。組織学の拡散方程式は短期間でも得点源になりやすいため、苦手な場合でも基本問題だけは必ず押さえてください。
InshiHub の解答パックの使い方
マテリアル工学専攻の過去問は公式に問題冊子が公開されているものの、解答例は公開されていないため、外部生は自分の答案が出題者の意図に沿っているか確認しにくいのが実情です。院試hub では年度ごとの マテリアル工学の解答パック を整備しており、状態図の読み方・拡散方程式の解法・物性モデルの選択といった、マテリアル系特有の論理過程まで追えるよう解説を組んでいます。使い方の手順としては、公式PDFを開く→時間を計って解き切る→自分の答案と マテリアル工学専攻のページ の解答パックを突き合わせる→近似条件と状態図の読み方を直す、の順で1問ずつ仕上げるのが効率的です。InshiHub はマテリアル系の答案で問われる「組織と物性のつながり」を追える形で解説を整備しています。
公開前に必ず最新の公式募集要項・公式過去問ページで試験科目・実施時期・出題範囲を確認してください。
この大学・研究科の解答パック
上記の出題範囲をカバーするオリジナル解答・解説PDFを年度別に整備しています。
対応する解答パックを見るよくある質問
- マテリアル工学の試験範囲は学部のどの科目に対応しますか。
- 学部のマテリアル工学基礎、材料熱力学、組織学(相平衡論・拡散)、材料物性論(電子物性・磁性)、材料力学の標準範囲がそれぞれ対応します。学部講義で使ったテキストの章末問題を埋めるレベルが土台となり、その上で過去問演習に進むのが現実的な道筋とされる傾向があります。
- 金属系と非金属系(セラミックス・高分子)はどちらを優先すべきですか。
- 近年の出題は金属を中心としつつ、セラミックスや半導体・高分子の物性も部分的に問われる年度が見られます。志望研究室の研究テーマが金属・セラミックス・有機材料のいずれに寄っているかを確認したうえで、優先順位を組み立てるのが安全です。出題比重は年度で揺れるため、必ず公式の最新過去問で確認してください。
- 相平衡論はどこまで踏み込めばよいですか。
- ギブズの相律、2元系状態図の読み方(共晶・包晶・固溶体)、てこの法則による相分率計算、固液平衡と拡散の関係までは外せない範囲とされる傾向があります。3元系まで問われる年度もあるため、過去問で出題実績を確認しつつ手を広げてください。
- 電子物性は半導体物性まで必要ですか。
- 自由電子モデル・バンド構造・状態密度・フェルミ準位の標準範囲は安全圏として準備しておく必要があります。半導体のpn接合やキャリア統計は出題年度によって扱いが異なるため、過去問で実績を確認したうえで時間配分を決めるのが現実的です。
- 材料力学はマテリアル系でも重要ですか。
- 応力・ひずみ・はりのたわみ・ねじり・座屈といった学部標準範囲は、材料の機械的性質と組み合わせて問われる場面が見られます。マテリアル系の答案では「組織と機械的性質の関係」を意識して書けると点数を伸ばしやすい構成になりやすいです。
- TOEFL/TOEIC のスコア要件はありますか。
- 工学系研究科では外部英語スコアの提出が運用されている年度が見られます。出願期限と有効スコアの締切は募集要項で必ず確認してください。スコアシート郵送の都合で間に合わないトラブルが毎年起きるため、半年前から計画を立てるのが安全です。