東京大学 院試 過去問 解答例
東大 理学系研究科 物理学専攻 専門科目(物理学) 2024年度 院試 解答例・解説
東京大学 理学系研究科 物理学専攻 専門科目(物理学) 2024年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針・部分点の置き所を解説。全4問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。
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設問ごとの解法方針・部分点の置き所を無料で公開しています。
完全な途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。
第1問 — 量子力学:反転調和振動子とスクイーズド状態
方針
反転調和振動子では,通常の調和振動子と違って片方の線形結合が指数的に増大し,もう片方が指数的に減衰する。 量子論ではこの伸長・圧縮がスクイーズド状態として現れる。
古典極限との対応
座標表示の波動関数が の形を持つとき,位相 は古典作用に対応する。 ここでは長時間後に実幅が消え,位相だけが へ近づく。これは古典軌道が に近づくことと同じ内容である。
スクイーズド状態の読み方
はスクイーズの強さ, はスクイーズされる方向を指定する。 今回の時間発展では と増大し, に固定される。 その結果,位相空間で片方向に伸び,直交方向に縮むガウス状態が得られる。
第2問 — 統計力学:理想気体と吸着
方針
前半は単原子理想気体の標準計算で,後半は1サイトに高々1個だけ吸着するラングミュア吸着である。 同じ化学ポテンシャル を気体側と吸着サイト側で共有することが,両者をつなぐ要点である。
示量性と
分子の非識別性による を入れないと,自由エネルギーに 型の不自然な項が残り,示量性が崩れる。 ここで が成り立つことは,熱力学量として正しい形になっている確認である。
吸着率の形
は,低圧では と圧力に比例し,高圧では と飽和する。 吸着サイト数が有限で,各サイトに1個しか入れないという仮定が,この飽和を生む。
第3問 — 電磁気:レイリー散乱と光ピンセット
方針
前半は束縛電荷の強制振動によるレイリー散乱,後半は電場勾配による誘起双極子の力である。 どちらも,電場が粒子に双極子振動を作るという同じ出発点から理解できる。
レイリー散乱の色依存性
では,変位振幅はほぼ一定で,加速度だけが に比例する。 放射強度は加速度の二乗に比例するため,散乱は に比例する。 このため短波長の青い光は,長波長の赤い光より強く散乱される。
光ピンセットの力
誘起双極子では であり,力はおおまかに で決まる。 つまり電場そのものではなく,強度の勾配が粒子を動かす。 ガウス型ビームでは強度が中心で最大なので,粒子は中心へ引き込まれる。
第4問 — 数学:フーリエ変換と行列の固有値
方針
前半はコーシー分布型関数のフーリエ変換,後半は だけで決まる3次行列の固有値問題である。 フーリエ変換では,極の位置と半円を閉じる向きが最重要である。
フーリエ変換の規約
ここでは という規約なので,逆変換には が入る。 この規約では となる。最後に から と戻すところで,規約を混同しないことが重要である。
行列問題の見通し
特性多項式が に因数分解するため,固有値の議論はほぼ の性質に帰着する。 重複が起きても固有ベクトルが十分あるとは限らない。 今回の では重複固有値の固有空間が1次元しかなく,対角化できない。