東京大学 院試 過去問 解答例
東大 理学系研究科 物理学専攻 専門科目(物理学) 2019年度 院試 解答例・解説
東京大学 理学系研究科 物理学専攻 専門科目(物理学) 2019年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針・部分点の置き所を解説。全6問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。
最終更新:
設問ごとの解法方針・部分点の置き所を無料で公開しています。
完全な途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。
第1問 — 量子力学:調和振動子と4次摂動
なぜ整数固有値になるか
は「固有値が 1 下がる」ことを意味する。非負性()により下方へ無限に続けられず,最下位 が存在して となる。この構造が整数列を強制する。
の行列要素の取り方
摂動 2次では [数式] が必要だが, を の線形結合として作れば,必要な係数だけを抜き出せる。偶奇対称性で奇数 が消えることも計算量を大きく減らす。
第2問 — 統計力学:2状態スピン鎖と転送行列
この系は何に等価か
なので「隣接が一致すると 得をする」2状態モデルであり,1次元Potts模型()と同型である。転送行列で全てが一気に片づく。
熱力学極限の見通し
が で支配されるため,1スピン当たりの自由エネルギーや内部エネルギーは のみで決まる。一方,相関は で減衰し,相関長 が自然に出てくる。
第3問 — 力学・重力:2体問題と重力波による軌道減衰
符号の落とし穴
で のため に が現れる。ここで なので,運動方程式の右辺が になる点に注意する。
減衰式の作り方
与えられた と をそのまま に代入すればよい。最後に を へ変換するのはケプラー則だけで,微分方程式の形(べき指数)はほぼ自動的に決まる。
第4問 — 光学:マイケルソン干渉計とスペクトルの再構成
干渉計がフーリエ変換になる理由
出力強度は周波数ごとの干渉縞 を重ね合わせたものになる。従って を掃引して得た信号はスペクトル密度の 変換になり,逆変換でスペクトルを引き戻せる。
ナイキスト周波数の直感
を刻み幅 で離散化すると,位相因子 の「周波数」は で決まる。これが 周期で同一視されるため, は ごとに折り返して見える。
第5問 — 素粒子・原子核:ビーム減衰・中性パイ中間子崩壊・曲率測定
減衰式は指数関数
型は常に になる。対数を取れば断面積 が直接出るので,最後は を忘れない。
不変量で質量を出す
の質量は実験室系での運動状態に依らない不変量 で求めるのが最短で,光子の が計算を劇的に簡単にする。
第6問 — 電磁気:同軸ケーブルの伝送線路方程式と表皮効果
伝送線路の最短手順
2本の一次偏微分方程式は,相互に 微分・代入するだけで波動方程式になる。波速 は常に で,幾何依存は に押し込められる。
反射係数は覚えてよい
終端での「電圧の反射係数」 は伝送線路の基本公式で,パルスでも正弦波でも同じ。整合()なら で反射が消える。