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東京大学 院試 過去問 解答例

東大 理学系研究科 物理学専攻 専門科目(物理学) 2022年度 院試 解答例・解説

東京大学 理学系研究科 物理学専攻 専門科目(物理学) 2022年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針・部分点の置き所を解説。全4問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。

最終更新:

設問ごとの解法方針・部分点の置き所を無料で公開しています。

完全な途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。

1 — 量子力学:不確定性関係と最小不確定波束

ガウス波束が基準になる理由

位置幅を広げると運動量幅が狭くなり,位置幅を狭めると運動量幅が広がる。 この関係を最も効率よく満たすのがガウス関数である。 今回の波動関数は ΔxΔp=/2\Delta x\Delta p=\hbar/2 を直接満たしており,最小不確定波束の典型例になっている。

不等式の証明の核

OO0\langle O^\dagger O\rangle\ge0 は,ノルムの非負性そのものである。 ここで O=tΔxiΔpO=t\Delta x-i\Delta p と置くと,任意の tt に対して非負な2次式が現れる。 判別式を使うだけで不確定性関係が出るため,証明の流れを暗記するより, 「非負なノルムから2次式を作る」と理解しておくと応用しやすい。

等号成立条件

等号が成立するのは Oψ=0O\psi=0 となる状態である。 これは1階微分方程式なので,解は必ずガウス関数になる。 平均位置 x0x_0 と平均運動量 p0p_0 は不確定性積を変えず,波束の中心と位相勾配を動かすだけである。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

2 — 統計力学:理想ボース気体とボース・アインシュタイン凝縮

凝縮の判定

ボース分布では,化学ポテンシャルは最低一粒子エネルギーを超えられない。 スピンなし・基底エネルギー0なら μ0\mu\le0 であり,μ=0\mu=0 のとき励起状態が収容できる粒子数が最大になる。 この最大値より粒子数が多いと,余りが基底状態に入る。

状態密度の温度依存

3次元自由粒子では D(E)E1/2D(E)\propto E^{1/2} である。 そのため励起粒子数は T3/2T^{3/2},内部エネルギーは T5/2T^{5/2} に比例する。 凝縮相の比熱指数 γ=3/2\gamma=3/2 はこの状態密度の指数から来ている。

スピンと磁場

外部磁場がないスピン自由度は,単に状態数を 2S+12S+1 倍にする。 状態数が増えると同じ粒子数をより低温でも励起状態に入れられるため,転移温度は下がる。 磁場をかけると縮退が解け,強磁場では最低スピン状態だけが有効になるため,転移温度はスピンなしの場合へ戻る。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

3 — 電磁気学:平面電磁波の反射と透過

境界条件の使い分け

この問題では電場と磁束密度の接線成分をそろえるのが最短である。 透磁率が等しいため,BB の接線成分をそのまま連続として使える。 反射波では進行方向が反転するので,k×E\boldsymbol k\times\boldsymbol E の符号が変わる点に注意する。

斜入射で保存される量

境界面上で位相が一致し続ける必要があるため,境界面に平行な波数成分は反射・透過で同じになる。 ここでは xx 方向成分が保存され,透過側の速さが変わることで zz 方向成分だけが変わる。

全反射と浸透波

最後の設定では,透過側で実数の QzQ_z を取れない。 これは進行波が存在しないという意味であり,境界近くには eKz/2 e^{-Kz/\sqrt2} で減衰するエバネッセント波が残る。 電場は完全にゼロになるのではなく,距離とともに指数関数的に小さくなる。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

4 — 数学:上半平面の複素解析と実行列の固有値

小半円の符号

上半平面で正則な関数に対して,実軸上の極を上から避けるか下から避けるかで ±iπf(x0)\pm i\pi f(x_0) の符号が変わる。 C+C_+ では主値積分に iπf(x0)-i\pi f(x_0) が加わり,全体が0になる。 この結果から主値積分が iπf(x0)i\pi f(x_0) だと分かり,実部と虚部を比べると ヒルベルト変換型の関係式が得られる。

ランク1摂動として見る

C=pIqvvT C=pI-q\boldsymbol v\boldsymbol v^{\mathsf T} は,単位ベクトル v\boldsymbol v 方向だけ固有値を pp から pqp-q に変える行列である。 その直交補空間では何も起きない。 したがって行列式や符号の変化は,ほぼ1次元の問題として扱える。

微分方程式の安定性

dgdt=Bg \frac{d\boldsymbol g}{dt}=-B\boldsymbol g では,BB に負の固有値があると対応する成分は eβte^{|\beta|t} で増大する。 逆に全ての固有値を正にできれば,全成分が指数減衰する。 最後の設問は,CC の負方向を AA の負の固有方向に合わせて符号を打ち消す,という発想で解ける。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

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