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名古屋大学 院試 過去問 解答例

名大 環境学研究科 地球環境科学専攻 地球惑星科学系 専門科目 2025年度 院試 過去問 解答例・解説(全8問)

全8問。生物1問。テーマタグは4件(固有値・固有ベクトル・剛体の回転運動・二次形式)。2024年度と共通のテーマは剛体の回転運動。

最終更新:

収録5年度分の解答PDF:名古屋大学 環境学研究科 地球環境科学専攻 地球惑星科学系 専門科目(¥2,880・紙面見本あり)

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解説8問と大問1問の途中式・最終答(全8問)
解答PDFに収録
途中式と最終答(最終答つき8問)
問題本文
非収録

名大 地球惑星科学系 専門科目 2025年度 院試 過去問の出題内容(全8問)

この8問の分野は生物1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問地球環境学典型的な誤りあり
第2問地球科学I典型的な誤り / 検証あり
第3問地球科学II図依存箇所あり
第4問地球科学III典型的な誤りあり
第5問物理学典型的な誤りあり
第6問化学典型的な誤りあり
第7問生物生物学典型的な誤り / 検証あり
第8問数学典型的な誤りあり

この年度の解説には検算6件が付いています。

2025年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度

この年度は2問に4テーマが出ています。

前年度(2024年度)との違い

大問数
2024年度 8問 → 2025年度 8問
両年度に出たテーマ
剛体の回転運動
2025年度で新しく出たテーマ
固有値・固有ベクトル・二次形式・フーリエ級数
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第1問 — 科目A: 地球環境学

方針

科目Aは、用語の暗記だけでなく、物質循環や保護地域管理の因果関係を短く説明する問題である。温室効果ガスでは、発生条件が「好気的か嫌気的か」、保護地域では「面積目標か実効的保全か」を軸に整理すると書きやすい。

典型的な誤り

メタン排出を「水を抜くと稲が弱るから減る」と説明すると、土壌酸化還元状態とメタン生成菌の関係が抜ける。リジェネラティブ農業では、すべてを「有機物が増える」だけで済ませず、根、土壌構造、土壌酸素、微生物、侵食のどれを通じた効果かを明示する。

検算

GWPの大小は、二酸化炭素が基準で最小、メタンが中間、一酸化二窒素が最も大きい。中干し延長は土壌を酸化的にする操作なので、嫌気的なメタン生成を抑える説明と整合する。

科目A: 地球環境学の途中式・最終答をPDFで見る

第2問 — 科目B: 地球科学I

方針

地質図問題は、地層境界と等高線の交点を追い、同じ地層面が同じ標高でどちらへ移るかを見る。化石年代と岩相は、相対年代と堆積環境を補強する情報として使う。

典型的な誤り

断層の活動時期を、断層が「切る」単位と「覆われる」単位を分けずに断定すると危険である。また、B層の恐竜足跡とC層の石灰岩化石を同じ環境として扱うと、不整合の説明が崩れる。

検証

石灰質軟泥は炭酸塩補償深度より浅いこと、珪質軟泥は珪藻・放散虫が主要成分であることを確認する。生痕化石では、体化石と違い「その場での行動」を表す点が採点上の要点になる。

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第3問 — 科目C: 地球科学II

方針

相図問題は、液相線・固相線・タイラインを混同しないことが最重要である。AFM図は、三角図の位置をそのまま読むのではなく、問2では珪線石からFM線へ投影した後の1次元順序を使う。

図依存箇所

AFM図のXMgX_{\mathrm{Mg}}、シュライネマーカース束の安定延長、変成帯Yの反応系列は図の読み取りを含む。採点用の専用答案欄では、反応線のどちら側にどの鉱物組合せを書くかが重視される。

検算

相律は圧力一定なのでF=C−P+1F=C-P+1であり、通常のC−P+2C-P+2をそのまま用いない。アイソスタシーの隆起量は、氷の質量を(ρm−ρc)(\rho_m-\rho_c)で割るので、単純に氷厚のρi/ρm\rho_i/\rho_m倍にはならない。

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第4問 — 科目D: 地球科学III

方針

Sm--Nd年代では、横軸を147Sm/144Nd^{147}\mathrm{Sm}/^{144}\mathrm{Nd}、縦軸を143Nd/144Nd^{143}\mathrm{Nd}/^{144}\mathrm{Nd}にする。濃度ppmをそのまま比にせず、原子量と同位体存在度で同位体比へ変換するのが採点上の山場である。

典型的な誤り

半減期から壊変定数を求めるときにλ=1/T1/2\lambda=1/T_{1/2}としてしまう誤りが多い。正しくはln⁡2/T1/2\ln2/T_{1/2}である。また、問8では原岩形成から上記物質形成までの経過時間を使う。

検算

鉱物BはAよりSm/Ndが高く、現在のNd同位体比も高いので、アイソクロンの傾きは正である。Naの分析では、最終濃度63.8 ppmを検量線上限5 ppm以下へ落とす必要があるため、最低でも約13倍希釈が必要になる。

解答

問題1
  1. 141Pr^{141}\mathrm{Pr}の原子番号は59なので、陽子数は59である。中性子数は141−59=82141-59=82である。
  2. 安定同位体をもたない元素は放射性元素と呼ばれる。原子番号61の元素はプロメチウム、元素記号はPm\mathrm{Pm}である。
  3. 核種主な生成過程142Nds過程150Ndr過程144Smp過程151Eus過程 \begin{array}{c|c} \text{核種} & \text{主な生成過程}\\ \hline ^{142}\mathrm{Nd} & s\text{過程}\\ ^{150}\mathrm{Nd} & r\text{過程}\\ ^{144}\mathrm{Sm} & p\text{過程}\\ ^{151}\mathrm{Eu} & s\text{過程} \end{array} 144Sm^{144}\mathrm{Sm}は陽子過剰側の希少同位体なのでp過程、150Nd^{150}\mathrm{Nd}は中性子過剰側なのでr過程と判断する。
  4. 147Sm^{147}\mathrm{Sm}から143Nd^{143}\mathrm{Nd}へは質量数が4、原子番号が2小さくなるので、壊変形式はα\alpha壊変である。
  5. 壊変定数をλ\lambda、半減期をT1/2T_{1/2}とすると λ=ln⁡2T1/2=0.6931.06×1011 yr=6.54×10−12 yr−1 \lambda=\frac{\ln2}{T_{1/2}} =\frac{0.693}{1.06\times10^{11}\ \mathrm{yr}} =6.54\times10^{-12}\ \mathrm{yr^{-1}} である。
  6. 現在の親核種数を(147Sm)p(^{147}\mathrm{Sm})_pとすると、形成時の親核種数は(147Sm)peλt(^{147}\mathrm{Sm})_p e^{\lambda t}である。したがって、形成後に壊変して生じた放射壊変起源成分は (143Nd)∗=(147Sm)p(eλt−1) (^{143}\mathrm{Nd})^\ast =(^{147}\mathrm{Sm})_p(e^{\lambda t}-1) である。
  7. アイソクロン式は (143Nd144Nd)p=(143Nd144Nd)0+(147Sm144Nd)p(eλt−1) \left(\frac{^{143}\mathrm{Nd}}{^{144}\mathrm{Nd}}\right)_p = \left(\frac{^{143}\mathrm{Nd}}{^{144}\mathrm{Nd}}\right)_0 + \left(\frac{^{147}\mathrm{Sm}}{^{144}\mathrm{Nd}}\right)_p (e^{\lambda t}-1) である。 図の存在度を用いると、鉱物A、Bの147Sm/144Nd^{147}\mathrm{Sm}/^{144}\mathrm{Nd}は A:(5.72/150.40)×0.1499(20.0/144.24)×0.2380=0.1728,B:(4.03/150.40)×0.1499(10.0/144.24)×0.2380=0.2434. \begin{aligned} A &: \frac{(5.72/150.40)\times0.1499}{(20.0/144.24)\times0.2380}=0.1728,\\ B &: \frac{(4.03/150.40)\times0.1499}{(10.0/144.24)\times0.2380}=0.2434. \end{aligned} よってアイソクロンの傾きは m=0.513861−0.5123650.2434−0.1728=0.02117 m=\frac{0.513861-0.512365}{0.2434-0.1728}=0.02117 であり、m=eλt−1m=e^{\lambda t}-1から t=ln⁡(1+m)λ=ln⁡(1.02117)6.54×10−12≃3.20×109 yr t=\frac{\ln(1+m)}{\lambda} =\frac{\ln(1.02117)}{6.54\times10^{-12}} \simeq3.20\times10^9\ \mathrm{yr} となる。初期値は 0.512365−0.02117×0.1728=0.508708 0.512365-0.02117\times0.1728=0.508708 である。
  8. 原岩の初期比を0.506609、上記物質の形成時初期比を0.508708とする。原岩形成から分別までの時間は 4.50−3.20=1.30 Gyr 4.50-3.20=1.30\ \mathrm{Gyr} である。したがって 147Sm144Nd=0.508708−0.506609eλ(1.30×109)−1≃0.247 \frac{^{147}\mathrm{Sm}}{^{144}\mathrm{Nd}} = \frac{0.508708-0.506609}{e^{\lambda(1.30\times10^9)}-1} \simeq0.247 である。元素濃度比へ直すと SmNd=0.2470.23800.1499150.40144.24≃0.408 \frac{\mathrm{Sm}}{\mathrm{Nd}} = 0.247\frac{0.2380}{0.1499}\frac{150.40}{144.24} \simeq0.408 である。
問題2
  1. 同位体分別とは、同じ元素の同位体が質量差により反応速度、拡散速度、相間分配にわずかな差を示し、同位体比が変化する現象である。蒸発、凝縮、炭酸塩沈殿、生物活動などで生じ、古気温や物質循環の指標になる。
  2. ランキン・デュプレの蒸気圧式は、表面張力をもつ曲面上の飽和蒸気圧が平面上と異なることを表す式である。小さな液滴ほど飽和蒸気圧が高く、雲粒の成長、核生成、火山噴煙やエアロゾルの相変化を考える基礎になる。
  3. シュース効果は、化石燃料由来の炭素が大気や海洋に加わることで、14C^{14}\mathrm{C}濃度や13C/12C^{13}\mathrm{C}/^{12}\mathrm{C}比が低下する現象である。化石燃料は古く14C^{14}\mathrm{C}をほぼ含まないため、人為起源炭素の混入指標になる。
  4. バイオマーカーは、生物に由来し、堆積物や石油中に比較的安定に残る有機分子である。ステラン、ホパン、アルケノンなどがあり、起源生物、古水温、酸化還元状態、堆積環境の復元に利用される。
問題3
  1. 二酸化ケイ素はフッ化水素酸により揮発性の四フッ化ケイ素などを生じる。反応式の一例は SiO2+4HF→SiF4+2H2O \mathrm{SiO_2+4HF\rightarrow SiF_4+2H_2O} である。水溶液中でヘキサフルオロケイ酸を経る表記なら SiO2+6HF→H2SiF6+2H2O \mathrm{SiO_2+6HF\rightarrow H_2SiF_6+2H_2O} としてもよい。
  2. 原子吸光分析法は、試料溶液を炎または黒鉛炉で原子化し、測定元素に固有の波長の光を通す方法である。基底状態原子による吸光度が濃度に比例することを利用し、標準溶液の検量線から元素濃度を求める。
  3. 1000 ppm Naは1000 mg L−11000\ \mathrm{mg\,L^{-1}}のNaである。250 mLに必要なNaは 1000×0.250=250 mg=0.250 g 1000\times0.250=250\ \mathrm{mg}=0.250\ \mathrm{g} である。NaCl質量は 0.250×58.523.0=0.636 g 0.250\times\frac{58.5}{23.0}=0.636\ \mathrm{g} である。
  4. 岩石0.2000 g中のNa2O\mathrm{Na_2O}は 0.2000×0.0430=0.00860 g 0.2000\times0.0430=0.00860\ \mathrm{g} である。Na2O\mathrm{Na_2O}中のNa質量分率は46.0/62.046.0/62.0なので、Na質量は 0.00860×46.062.0=0.00638 g=6.38 mg 0.00860\times\frac{46.0}{62.0}=0.00638\ \mathrm{g}=6.38\ \mathrm{mg} である。100 mLに定容した試料溶液のNa濃度は 6.38 mg0.100 L=63.8 ppm \frac{6.38\ \mathrm{mg}}{0.100\ \mathrm{L}}=63.8\ \mathrm{ppm} である。検量線範囲を0.5--5 ppmに入れるには、希釈倍率DDが 0.5≤63.8D≤5 0.5\le\frac{63.8}{D}\le5 を満たせばよい。したがって 12.8≤D≤128 12.8\le D\le128 であり、実用的には20倍、50倍、100倍程度に希釈すればよい。

最終答

年代は 3.20×1093.20\times10^9 年、初期 143Nd/144Nd=0.508708^{143}\mathrm{Nd}/^{144}\mathrm{Nd}=0.508708、原岩のSm/Ndは約0.408である。

第5問 — 科目E: 物理学

方針

力学では、台とともに動く非慣性系でブロックに右向きの慣性力を入れると、すべり条件と転倒条件を同じ図で扱える。熱力学では、自由膨張そのものは不可逆でも、エントロピー差は同じ始状態・終状態を結ぶ可逆等温経路で計算してよい。

典型的な誤り

問6で重力のモーメントの符号を落とすと、転倒条件が反対になる。Aはブロック右下の角なので、重力は反時計回り、慣性力は時計回りのモーメントを与える。熱力学では、混合前の体積比がモル比と等しいことを使う。

検算

L=L0L=L_0を問6のモーメント式へ入れると、N=0N=0になる。これは問8の出発点と一致する。混合エントロピーはx=0x=0または1で混合相手がなくなるため0となり、x=1/2x=1/2で最大になる。

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第6問 — 科目F: 化学

方針

周期表問題は、電子配置から周期・族を判断して、原子半径とイオン化エネルギーの一般傾向へつなげる。平衡問題は、反応量をxxで置くより、指定されたN2\mathrm{N_2}の減少量から化学量論比で直接求めるのが速い。

典型的な誤り

問2で平衡に戻った時点の[NH3][\mathrm{NH_3}]を、平衡定数から解き直そうとして計算を複雑にしがちである。この設問は途中の[N2][\mathrm{N_2}]が与えられているため、反応式の係数比だけで求まる。

検算

アンモニア合成でN2\mathrm{N_2}が0.44減れば、NH3\mathrm{NH_3}は0.88増える。反応式の係数比1:21:2と一致している。

科目F: 化学の途中式・最終答をPDFで見る

第7問 — 科目G: 生物学

方針

生物学は、用語穴埋めと記述が混在している。細胞内共生では「内膜と外膜の由来」、植物では「配偶体優占か胞子体優占か」、生態では「食物連鎖に沿う濃縮」を明示すると減点されにくい。

典型的な誤り

菌類に葉緑体を入れて2種類と答える誤りがある。菌類は真核生物だが光合成をしないため、独自ゲノムをもつ小器官は通常ミトコンドリアのみである。PCB濃度は栄養段階が上がるほど高くなるので、植物プランクトンより小魚の方が高い。

検証

植物の生活環では、コケ植物は単相の配偶体が大型、シダ植物以降は複相の胞子体が大型である。被子植物の特徴は胚珠が子房に包まれる点で、裸子植物との決定的な違いになる。

科目G: 生物学の途中式・最終答をPDFで見る

第8問 — 科目H: 数学

方針

線形代数では、対称性のある行列は固有値で処理すると速い。積分の漸化式は、与えられた式をそのまま使うだけでなく、どのnnから目的のnnへ上げるかを見極める。

典型的な誤り

問題2問2のInI_nは不定積分として漸化式を書き、最後に0から1を代入する。最初から定積分だと思って端点項を落とすと値がずれる。問題5では、共分散項が2abCov⁡(X,Y)2ab\operatorname{Cov}(X,Y)になる点に注意する。

検算

x2x^2のフーリエ級数でx=0x=0を入れると交代級数、x=πx=\piを入れると∑1/n2\sum1/n^2が出る。固有値問題では、最大固有値8の固有ベクトルが主成分方向になる。

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名大 地球惑星科学系 専門科目 院試 過去問の収録5年度

  • 2026年度(全8問)

    科目A: 地球環境学 / 科目B: 地球科学I / 科目C: 地球科学II

  • 2025年度(このページ・全8問)

    科目A: 地球環境学 / 科目B: 地球科学I / 科目C: 地球科学II

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  • 2022年度(全8問)

    科目A: 地球環境学 / 科目B: 地球科学I / 科目C: 地球科学II