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北海道大学 院試 過去問 解答例

北大 情報科学院 情報科学専攻 メディアネットワークコース 専門科目 2025年度 院試 過去問 解答例・解説(全6問)

全6問。テーマタグは5件(フーリエ変換・固有値・固有ベクトル・重積分と極座標)。

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解説6問と大問1問の途中式・最終答(全6問)
解答PDFに収録
途中式と最終答(最終答つき6問)
問題本文
非収録

北大 専門科目 2025年度 院試 過去問の出題内容(全6問)

大問主題解説の小見出し最終答
第1問応用数学変換の順序 / 固有ベクトルの定数倍あり
第2問コンピュータ工学容量計算の単位 / 2の補数の典型ミスあり
第3問信号処理実信号の対称性 / 畳み込み定理の導出あり
第4問画像処理色数と容量 / 自己相関とパワースペクトルあり
第5問言語メディア理解論処理系列の考え方 / 係り受けで見るべき制約あり
第6問通信システム同期検波の位相ずれ / 包絡線検波の図示あり

2025年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度

この年度は4問に5テーマが出ています。

第1問 — 応用数学

変換の順序

行列積 S(s)T(t)S(s)T(t) は「先に T(t)T(t),次に S(s)S(s)」である。ここを逆にすると第1小問の値が変わる。回転を含む第3小問では,平行移動ベクトル (t,0)(t,0) を元の座標系へ戻すために R(−θ)(t,0)TR(-\theta)(t,0)^T が現れる,という見方をすると計算量が少ない。

固有ベクトルの定数倍

固有ベクトルに付いている非零定数は,固有空間の代表の取り方を表すだけである。列に固有ベクトルを並べた PP を作り,A=PDP−1A=PDP^{-1} とすればよい。2本の固有ベクトルが直交していることに気づくと,計算の検算もしやすい。

外積公式の確認

外積の大きさの公式は,幾何的には「平行四辺形の面積」の二乗に対応する。試験答案では幾何的説明だけで済ませず,少なくとも成分表示で二乗を展開し,内積の形に整理するところまで書くと確実である。

解答

1-1 座標変換

同次座標を用いると T(t)(xy1)=(x+ty1),S(s)(xy1)=(sxsy1) T(t)\begin{pmatrix}x\\y\\1\end{pmatrix} =\begin{pmatrix}x+t\\y\\1\end{pmatrix},\qquad S(s)\begin{pmatrix}x\\y\\1\end{pmatrix} =\begin{pmatrix}sx\\sy\\1\end{pmatrix} である。

(1) まず平行移動し,その後に拡大するので, S(2)T(1)(011)=S(2)(111)=(221). S(2)T(1)\begin{pmatrix}0\\1\\1\end{pmatrix} =S(2)\begin{pmatrix}1\\1\\1\end{pmatrix} =\begin{pmatrix}2\\2\\1\end{pmatrix}. したがって x′=2, y′=2x'=2,\ y'=2 である。

(2) p=(1,3,1)Tp=(1,\sqrt3,1)^T とする。条件 p=T(t)R(θ)pp=T(t)R(\theta)p から第2成分は sin⁡θ+3cos⁡θ=3 \sin\theta+\sqrt3\cos\theta=\sqrt3 を満たす。左辺は 2sin⁡(θ+π/3)2\sin(\theta+\pi/3) なので, θ=0,θ=π3 \theta=0,\quad \theta=\frac{\pi}{3} が 0≤θ<2π0\le \theta<2\pi における解である。第1成分 1=cos⁡θ−3sin⁡θ+t 1=\cos\theta-\sqrt3\sin\theta+t より,それぞれ t=0, 2t=0,\ 2 を得る。

(3) 回転してから xx 方向へ tt だけ平行移動し,元の座標系へ戻す操作は R(−θ)T(t)R(θ)p=p+tR(−θ)(100)=(1+tcos⁡θ1−tsin⁡θ1) R(-\theta)T(t)R(\theta)p =p+tR(-\theta)\begin{pmatrix}1\\0\\0\end{pmatrix} =\begin{pmatrix}1+t\cos\theta\\1-t\sin\theta\\1\end{pmatrix} である。一方,S(2)(1,1,1)T=(2,2,1)TS(2)(1,1,1)^T=(2,2,1)^T であるから tcos⁡θ=1,−tsin⁡θ=1. t\cos\theta=1,\qquad -t\sin\theta=1. よって t2=2t^2=2 であり, (t,θ)=(2,7π4),(−2,3π4) (t,\theta)=\left(\sqrt2,\frac{7\pi}{4}\right),\quad \left(-\sqrt2,\frac{3\pi}{4}\right) である。

1-2 固有値分解による行列の復元

固有ベクトルの定数倍は行列の復元に影響しないので P=(1−331),D=(1002) P=\begin{pmatrix}1&-\sqrt3\\ \sqrt3&1\end{pmatrix},\qquad D=\begin{pmatrix}1&0\\0&2\end{pmatrix} とおく。すると A=PDP−1A=PDP^{-1} であり, P−1=14(13−31). P^{-1}=\frac14\begin{pmatrix}1&\sqrt3\\-\sqrt3&1\end{pmatrix}. したがって A=14(1−2332)(13−31)=(7/4−3/4−3/45/4). A =\frac14 \begin{pmatrix}1&-2\sqrt3\\ \sqrt3&2\end{pmatrix} \begin{pmatrix}1&\sqrt3\\-\sqrt3&1\end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 7/4&-\sqrt3/4\\ -\sqrt3/4&5/4 \end{pmatrix}.

1-3 外積の恒等式

x×y=(x2y3−x3y2x3y1−x1y3x1y2−x2y1) x\times y= \begin{pmatrix} x_2y_3-x_3y_2\\ x_3y_1-x_1y_3\\ x_1y_2-x_2y_1 \end{pmatrix} より, ∣x×y∣2=(x2y3−x3y2)2+(x3y1−x1y3)2+(x1y2−x2y1)2=(x12+x22+x32)(y12+y22+y32)−(x1y1+x2y2+x3y3)2=(x⋅x)(y⋅y)−(x⋅y)2. \begin{aligned} |x\times y|^2 &=(x_2y_3-x_3y_2)^2+(x_3y_1-x_1y_3)^2+(x_1y_2-x_2y_1)^2\\ &=(x_1^2+x_2^2+x_3^2)(y_1^2+y_2^2+y_3^2) -(x_1y_1+x_2y_2+x_3y_3)^2\\ &=(x\cdot x)(y\cdot y)-(x\cdot y)^2. \end{aligned} 両辺は非負であるから平方根を取れば ∣x×y∣=(x⋅x)(y⋅y)−(x⋅y)2 |x\times y|=\sqrt{(x\cdot x)(y\cdot y)-(x\cdot y)^2} が従う。

最終答

1-1: (1) (x′,y′)=(2,2)(x',y')=(2,2),(2) (t,θ)=(0,0),(2,π/3)(t,\theta)=(0,0),(2,\pi/3),(3) (t,θ)=(2,7π/4),(−2,3π/4)(t,\theta)=(\sqrt2,7\pi/4),(-\sqrt2,3\pi/4)。1-2: A=(7/4−3/4−3/45/4)A=\begin{pmatrix}7/4&-\sqrt3/4\\-\sqrt3/4&5/4\end{pmatrix}。1-3: ∣x×y∣2=(x⋅x)(y⋅y)−(x⋅y)2|x\times y|^2=(x\cdot x)(y\cdot y)-(x\cdot y)^2 を展開で示せばよい。

第2問 — コンピュータ工学

容量計算の単位

サンプリング周波数は1秒あたりの標本数であり,量子化ビット数を掛けると1秒あたりのビット数になる。最後にビットをバイトへ直すために8で割る。ここで 1MB=10002B1\mathrm{MB}=1000^2\mathrm{B} としてしまうと,指定条件とずれた値になる。

2の補数の典型ミス

最上位ビットが1なら,符号なし値から 2n2^n を引くのが早い。桁数 nn を読み違えると答えが変わるので,6ビット演算の問題と7ビットの変換問題を混同しないことが重要である。

RISCとパイプライン

RISC が常に高速という意味ではない。ここで問われているのは,命令形式が単純で規則的であることがパイプラインの段分けに向く,という構造上の理由である。

コンピュータ工学の途中式・最終答をPDFで見る

第3問 — 信号処理

実信号の対称性

実信号では X(−ω)=X∗(ω)X(-\omega)=X^*(\omega) が成り立つため,振幅二乗であるエネルギースペクトルは偶関数になる。複素共役の位置を誤ると符号の議論が崩れるので,最初にこの関係を書くと答案が安定する。

畳み込み定理の導出

単に「畳み込み定理より」と書くだけでも結論は出るが,この問題では示すことが求められている。変数変換 u=t−τu=t-\tau を入れて,二重積分が2つの積分に分離することを明記するのが得点上重要である。

z変換の安定判定

有限インパルス応答は必ず絶対総和可能である。無限インパルス応答では極と収束領域を確認する。極が単位円の内側にあり,収束領域が単位円を含む場合,因果系として安定である。

信号処理の途中式・最終答をPDFで見る

第4問 — 画像処理

色数と容量

色数は「各画素が何通りの色を表せるか」であり,画像サイズは関係しない。一方,データ量は画素数と1画素あたりのビット数を掛ける。静止画像と動画像で同じ式を使い,動画像ではさらにフレーム数を掛ける。

自己相関とパワースペクトル

自己相関のフーリエ変換がスペクトルの絶対値二乗になる性質は,Wiener--Khinchin 型の関係である。この問題では正規化係数 1/(XY)1/(XY) が定義に含まれているため,係数を落とさずに追うことが大切である。

エントロピーの検算

4階調のエントロピーは最大でも log⁡24=2\log_2 4=2 bits である。計算結果が2を超えた場合は,符号や定数項の整理を疑うとよい。

画像処理の途中式・最終答をPDFで見る

第5問 — 言語メディア理解論

処理系列の考え方

音声認識の出力は文字列であり,まず単語に分け,構文構造を作り,意味表現に変換する。意味表現が得られた後は,文脈を踏まえて対話状態を更新し,システムの次発話を決め,最後に発話文を生成して音声合成へ渡す。

係り受けで見るべき制約

日本語の係り受けでは「係り先は後方」「交差しない」「近い係り先を好む」といった制約・選好がよく使われる。この問題では意味的にどちらもあり得るため,構造的な優先理由を述べることが重要である。

形態素解析の比較

英語と日本語の違いを「英語は簡単,日本語は難しい」とだけ書くと不十分である。英語にも品詞・見出し語化・未知語処理の難しさがあり,日本語には単語境界と品詞を同時に推定する難しさがある,という対比で述べると答案として強い。

言語メディア理解論の途中式・最終答をPDFで見る

第6問 — 通信システム

同期検波の位相ずれ

位相ずれ ϕ\phi は信号成分に cos⁡ϕ\cos\phi の係数を掛ける。したがって ϕ=π/2\phi=\pi/2 近傍では信号が消え,SN 比が大きく劣化する。一方,雑音は同相成分と直交成分が混ざるだけなので,平均電力は cos⁡2ϕ+sin⁡2ϕ=1\cos^2\phi+\sin^2\phi=1 により一定になる。

包絡線検波の図示

搬送波そのものは高速に振動するが,包絡線検波後は振幅の有無だけを追えばよい。符号列と包絡線の対応を区間ごとに示すと,波形図の答案として十分に伝わる。

判定しきい値

確率密度の交点をしきい値にするのは,その点で「マークと見る尤度」と「スペースと見る尤度」が等しくなるからである。誤り領域は左右を取り違えやすいので,マーク送信時は左側,スペース送信時は右側と覚えるとよい。

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北大 専門科目 院試 過去問の収録2年度

  • 2026年度(全6問)

    応用数学 / コンピュータ工学 / 信号処理

  • 2025年度(このページ・全6問)

    応用数学 / コンピュータ工学 / 信号処理