北海道大学 院試 過去問 解答例
北大 情報科学院 情報科学専攻 メディアネットワークコース 専門科目 2026年度 院試 解答例・解説
北海道大学 情報科学院 情報科学専攻 メディアネットワークコース 専門科目 2026年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針と確認点を解説。全6問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。
最終更新:
設問ごとの解法方針と確認点を公開しています。
続きの途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。
第1問 — 応用数学
対称区間で消える項
体積積分では全てを逐次積分してもよいが, の対称区間では奇関数の積分が0になる。 や の奇関数項を先に消すと,計算量を大きく減らせる。
対称行列の平方根
実対称行列は直交固有ベクトルで対角化できる。 では, の固有値を二乗したものが の固有値になる。正の平方根だけでなく,符号の選択があるため,本問では4通りの が出る。
追加条件は固有値で見る
が分かっているので,追加条件を成分で代入する必要はない。 と直し,固有方向ごとに一次方程式を解くと, の固有値が に決まる。
第2問 — コンピュータ工学
用語問題の書き方
50文字や100文字の説明問題では,仕組みと効果を一文で結ぶとよい。キャッシュなら「高速小容量記憶に再利用されるデータを置く」ことと「主記憶アクセスを減らす」ことを含めれば十分である。
非プリエンプティブの注意
SJFでも,実行中のプロセスを途中で止めない。したがって が時刻4に到着しても,時刻0から実行中の は時刻5まで継続する。この点をプリエンプティブな最短残り時間優先と混同しない。
隠しビット
仮数部4ビットは,先頭の を保存しない表現である。したがって最大仮数は であって ではない。指数部がバイアスなしの2の補数である点も,IEEE形式と取り違えやすい。
第3問 — 信号処理
端点は積分値に影響しない
連続時間信号のフーリエ変換では,有限個の端点での値は積分値に影響しない。矩形信号では 型が出るので, だけ極限で補う。
時間シフトの符号
定義が なので,右への時間シフト は を掛ける。符号を逆にしやすいので,置換 を一度書くと確実である。
ブロック線図
遅延器の位置を見て,現在の出力が一時刻前の加算器出力であることを式にする。そこから と書けば,伝達関数も出力列も機械的に求められる。
第4問 — 画像処理
周期的な添字
自己相関の定義では,添字が負になったときに循環して参照する。したがって, の全画素平均は元の画像の平均と同じである。この性質が を導く。
予測誤差分散
と は同じ分散をもつ。差の分散は,それぞれの分散の和から2倍の共分散を引く形になる。隣接画素の相関 が大きいほど,差分予測の誤差分散は小さくなる。
アダマール行列の帰納法
ブロック行列の積では,対角ブロックに ,非対角ブロックに が現れる。正規化係数 があるため,対角はちょうど になる。
第5問 — 言語メディア理解論
階層の対応
自然言語の階層は,音の体系,語の構成,文の構造,意味,使用文脈の順に大きくなる。形態素解析は語の単位を扱うため形態論,構文解析は文の構造を扱うため統語論,意味解析は語や文の意味を扱うため意味論に対応する。
ELIZAの本質
ELIZA型の重要点は,意味理解をしているように見えても,中心は表層的なパターン照合であることにある。入力が規則の想定から外れると急に弱くなるため,利点と欠点はこの仕組みから説明できる。
音声と文字の違い
音声は時間的に消える代わりに,抑揚や応答タイミングを含む。文字は残る代わりに,非言語情報が落ちる。誤解の改善策は,単に丁寧に書くことではなく,文脈,対象,期待する行動を明示することが本質である。
第6問 — 通信システム
デルタ関数の係数
のフーリエ変換では,正負の周波数に係数 のデルタ関数が現れる。本問では積の公式で係数2の余弦が二つ出るため,最終的なデルタ関数の高さは1になる。
同期検波の正規化
同期検波では,搬送波と同じ周波数の局発信号を掛けて低域通過する。局発の振幅を1とするか2とするかで全体の係数だけが変わる。問題で利得が明示されていない場合は,採用した規格化を答案中で明記しておくとよい。
ASKの電力
搬送波の平均二乗値は十分長い区間で になる。したがって振幅が の区間の電力は である。平均電力の最小化は二次式の平方完成でも求められる。