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北海道大学 院試 過去問 解答例

北大 情報科学院 情報科学専攻 メディアネットワークコース 専門科目 2026年度 院試 過去問 解答例・解説(全6問)

全6問。テーマタグは3件(フーリエ変換・固有値・固有ベクトル・伝達関数)。2025年度と共通のテーマはフーリエ変換・固有値・固有ベクトル。

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解説6問と大問1問の途中式・最終答(全6問)
解答PDFに収録
途中式と最終答(最終答つき6問)
問題本文
非収録

北大 専門科目 2026年度 院試 過去問の出題内容(全6問)

大問主題解説の小見出し最終答
第1問応用数学対称区間で消える項 / 対称行列の平方根あり
第2問コンピュータ工学用語問題の書き方 / 非プリエンプティブの注意あり
第3問信号処理端点は積分値に影響しない / 時間シフトの符号あり
第4問画像処理周期的な添字 / 予測誤差分散あり
第5問言語メディア理解論階層の対応 / ELIZAの本質あり
第6問通信システムデルタ関数の係数 / 同期検波の正規化あり

2026年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度

この年度は3問に3テーマが出ています。

前年度(2025年度)との違い

大問数
2025年度 6問 → 2026年度 6問
2026年度で新しく出たテーマ
伝達関数
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第1問 — 応用数学

対称区間で消える項

体積積分では全てを逐次積分してもよいが,[−1,1][-1,1] の対称区間では奇関数の積分が0になる。xx や zz の奇関数項を先に消すと,計算量を大きく減らせる。

対称行列の平方根

実対称行列は直交固有ベクトルで対角化できる。A=B2A=B^2 では,BB の固有値を二乗したものが AA の固有値になる。正の平方根だけでなく,符号の選択があるため,本問では4通りの BB が出る。

追加条件は固有値で見る

A=B2A=B^2 が分かっているので,追加条件を成分で代入する必要はない。A+3B=−2IA+3B=-2I と直し,固有方向ごとに一次方程式を解くと,BB の固有値が −1,−2-1,-2 に決まる。

解答

1-1 ベクトル場の面積分と発散

面積分では z=1z=1 とおき,iz\mathbf{i}_z 成分だけを取り出す。したがって u⋅iz=z(z+1) \mathbf{u}\cdot \mathbf{i}_z=z(z+1) より,積分範囲内では常に 22 である。よって S=∫−11∫−112 dxdy=8 S=\int_{-1}^{1}\int_{-1}^{1}2\,dxdy=8 である。

発散は各成分を対応する変数で微分して足す。 f(x,y,z)=∂∂x{4x2(x2−1)}+∂∂y{2y(y2−1)}+∂∂z{z(z+1)}=16x3−8x+6y2−2+2z+1=16x3−8x+6y2+2z−1. \begin{aligned} f(x,y,z) &=\frac{\partial}{\partial x}\{4x^2(x^2-1)\} +\frac{\partial}{\partial y}\{2y(y^2-1)\} +\frac{\partial}{\partial z}\{z(z+1)\}\\ &=16x^3-8x+6y^2-2+2z+1\\ &=16x^3-8x+6y^2+2z-1. \end{aligned}

体積積分では,奇関数である 16x3,−8x,2z16x^3,-8x,2z の項は対称区間上で消える。したがって V=∫−11∫−11∫−11(16x3−8x+6y2+2z−1) dxdydz=∫−11∫−11∫−11(6y2−1) dxdydz=2⋅2∫−11(6y2−1) dy=4(4−2)=8. \begin{aligned} V&=\int_{-1}^{1}\int_{-1}^{1}\int_{-1}^{1} (16x^3-8x+6y^2+2z-1)\,dxdydz\\ &=\int_{-1}^{1}\int_{-1}^{1}\int_{-1}^{1}(6y^2-1)\,dxdydz\\ &=2\cdot 2\int_{-1}^{1}(6y^2-1)\,dy\\ &=4(4-2)=8. \end{aligned}

1-2 固有値分解と対称行列の平方根

行列 AA の特性多項式は λ2−5λ+4=(λ−1)(λ−4) \lambda^2-5\lambda+4=(\lambda-1)(\lambda-4) である。したがって固有値は 1,4 1,\quad 4 である。対応する固有ベクトルとして λ=1: (−3,1)T,λ=4: (1,3)T \lambda=1:\ (-3,1)^T,\qquad \lambda=4:\ (1,3)^T を取れる。よって P=(−3113),D=(1004) P=\begin{pmatrix}-3&1\\1&3\end{pmatrix},\qquad D=\begin{pmatrix}1&0\\0&4\end{pmatrix} とすれば A=PDP−1,P−1=110(−3113) A=PDP^{-1},\qquad P^{-1}=\frac1{10}\begin{pmatrix}-3&1\\1&3\end{pmatrix} である。

A=B2A=B^2 を満たす実対称行列 BB は,同じ固有方向をもち,固有値をそれぞれ ±1,±2\pm1,\pm2 から選べばよい。s,t∈{1,−1}s,t\in\{1,-1\} として B=110(9s+2t−3s+6t−3s+6ts+18t) B=\frac1{10} \begin{pmatrix} 9s+2t&-3s+6t\\ -3s+6t&s+18t \end{pmatrix} である。したがって (a,b,c)(a,b,c) は (1110,310,1910),(710,−910,−1710),(−710,910,1710),(−1110,−310,−1910) \left(\frac{11}{10},\frac{3}{10},\frac{19}{10}\right),\quad \left(\frac{7}{10},-\frac{9}{10},-\frac{17}{10}\right),\quad \left(-\frac{7}{10},\frac{9}{10},\frac{17}{10}\right),\quad \left(-\frac{11}{10},-\frac{3}{10},-\frac{19}{10}\right) である。

さらに A=B2A=B^2 を用いると 2A+3B−B2=−2I 2A+3B-B^2=-2I は A+3B=−2I A+3B=-2I と同値である。固有値ごとに見ると,AA の固有値 1,41,4 に対し,BB の固有値は −2−13=−1,−2−43=−2 \frac{-2-1}{3}=-1,\qquad \frac{-2-4}{3}=-2 でなければならない。これは上の候補のうち s=t=−1s=t=-1 に対応する。したがって条件を満たす組は存在し, (a,b,c)=(−1110,−310,−1910) (a,b,c)=\left(-\frac{11}{10},-\frac{3}{10},-\frac{19}{10}\right) であり,このときの BB の固有値は −1,−2 -1,\quad -2 である。

最終答

S=8S=8,∇⋅u=16x3−8x+6y2+2z−1\nabla\cdot\mathbf{u}=16x^3-8x+6y^2+2z-1,体積積分は 88。AA の固有値は 1,41,4,固有ベクトルはそれぞれ (−3,1)T,(1,3)T(-3,1)^T,(1,3)^T。A=B2A=B^2 の解は本文の4組。追加条件を満たすのは (a,b,c)=(−11/10,−3/10,−19/10)(a,b,c)=(-11/10,-3/10,-19/10) で,BB の固有値は −1,−2-1,-2。

第2問 — コンピュータ工学

用語問題の書き方

50文字や100文字の説明問題では,仕組みと効果を一文で結ぶとよい。キャッシュなら「高速小容量記憶に再利用されるデータを置く」ことと「主記憶アクセスを減らす」ことを含めれば十分である。

非プリエンプティブの注意

SJFでも,実行中のプロセスを途中で止めない。したがって P3P3 が時刻4に到着しても,時刻0から実行中の P1P1 は時刻5まで継続する。この点をプリエンプティブな最短残り時間優先と混同しない。

隠しビット

仮数部4ビットは,先頭の 11 を保存しない表現である。したがって最大仮数は 1.111121.1111_2 であって 0.111120.1111_2 ではない。指数部がバイアスなしの2の補数である点も,IEEE形式と取り違えやすい。

コンピュータ工学の途中式・最終答をPDFで見る

第3問 — 信号処理

端点は積分値に影響しない

連続時間信号のフーリエ変換では,有限個の端点での値は積分値に影響しない。矩形信号では sin⁡ω/ω\sin\omega/\omega 型が出るので,ω=0\omega=0 だけ極限で補う。

時間シフトの符号

定義が e−jωte^{-j\omega t} なので,右への時間シフト x(t−τ)x(t-\tau) は e−jωτe^{-j\omega\tau} を掛ける。符号を逆にしやすいので,置換 s=t−τs=t-\tau を一度書くと確実である。

ブロック線図

遅延器の位置を見て,現在の出力が一時刻前の加算器出力であることを式にする。そこから Y=z−1X+2z−1YY=z^{-1}X+2z^{-1}Y と書けば,伝達関数も出力列も機械的に求められる。

信号処理の途中式・最終答をPDFで見る

第4問 — 画像処理

周期的な添字

自己相関の定義では,添字が負になったときに循環して参照する。したがって,f(x−τx,y)f(x-\tau_x,y) の全画素平均は元の画像の平均と同じである。この性質が Cf=Rf−μf2C_f=R_f-\mu_f^2 を導く。

予測誤差分散

f(x−1,y)f(x-1,y) と f(x,y)f(x,y) は同じ分散をもつ。差の分散は,それぞれの分散の和から2倍の共分散を引く形になる。隣接画素の相関 Cf(1)C_f(1) が大きいほど,差分予測の誤差分散は小さくなる。

アダマール行列の帰納法

ブロック行列の積では,対角ブロックに HTH+HTHH^TH+H^TH,非対角ブロックに HTH−HTHH^TH-H^TH が現れる。正規化係数 1/21/\sqrt2 があるため,対角はちょうど II になる。

画像処理の途中式・最終答をPDFで見る

第5問 — 言語メディア理解論

階層の対応

自然言語の階層は,音の体系,語の構成,文の構造,意味,使用文脈の順に大きくなる。形態素解析は語の単位を扱うため形態論,構文解析は文の構造を扱うため統語論,意味解析は語や文の意味を扱うため意味論に対応する。

ELIZAの本質

ELIZA型の重要点は,意味理解をしているように見えても,中心は表層的なパターン照合であることにある。入力が規則の想定から外れると急に弱くなるため,利点と欠点はこの仕組みから説明できる。

音声と文字の違い

音声は時間的に消える代わりに,抑揚や応答タイミングを含む。文字は残る代わりに,非言語情報が落ちる。誤解の改善策は,単に丁寧に書くことではなく,文脈,対象,期待する行動を明示することが本質である。

言語メディア理解論の途中式・最終答をPDFで見る

第6問 — 通信システム

デルタ関数の係数

cos⁡\cos のフーリエ変換では,正負の周波数に係数 1/21/2 のデルタ関数が現れる。本問では積の公式で係数2の余弦が二つ出るため,最終的なデルタ関数の高さは1になる。

同期検波の正規化

同期検波では,搬送波と同じ周波数の局発信号を掛けて低域通過する。局発の振幅を1とするか2とするかで全体の係数だけが変わる。問題で利得が明示されていない場合は,採用した規格化を答案中で明記しておくとよい。

ASKの電力

搬送波の平均二乗値は十分長い区間で 1/21/2 になる。したがって振幅が AA の区間の電力は A2/2A^2/2 である。平均電力の最小化は二次式の平方完成でも求められる。

通信システムの途中式・最終答をPDFで見る

北大 専門科目 院試 過去問の収録2年度

  • 2026年度(このページ・全6問)

    応用数学 / コンピュータ工学 / 信号処理

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    応用数学 / コンピュータ工学 / 信号処理