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東大 工学系研究科 物理工学専攻 物理学 2018年度 院試 過去問 解答例・解説(全6問)

全6問です。固有値・固有ベクトル、剛体の回転運動、静電場が出ています。2017年度と共通するテーマは固有値・固有ベクトルです。解説はすべて、途中式と最終答は大問1問ぶんを公開しています。残りは解答PDFに収録しています。問題本文は含みません。

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第1問 — 午前・半円筒上の滑りと転がり

離脱問題では「エネルギー保存」と「法線反力がゼロ」の二式だけでよい。転がりの場合は、速度 vv と角速度 ω\omega の関係を接触点の無滑り条件から入れる。打撃問題では、並進の力積と角力積を同時に書き、直後の無滑り条件を満たす打撃中心を求めるのが最短である。

午前・半円筒上の滑りと転がりの途中式・最終答をPDFで見る

第2問 — 午前・球形コンデンサと漏れ電流

球対称なので、電場は常に 1/r21/r^2 型である。誘電率が半径方向に変わる場合も、電位差は ∫D/(ε4πr2) dr\int D/(\varepsilon 4\pi r^2)\,\mathrm{d}r の直列和として扱える。漏れ電流では RC=ε/σRC=\varepsilon/\sigma となるため、電荷は単純な指数関数で減衰する。

解答

真空中の同心球殻

内球半径を aa、外球半径を bb とする。内球に Q0Q_0、外球に −Q0-Q_0 があるとき、ガウスの法則より E(r)={0,r<a,Q04πε0r2,a<r<b,0,r>b. E(r)= \begin{cases} 0, & r<a,\\ \dfrac{Q_0}{4\pi\varepsilon_0 r^2}, & a<r<b,\\ 0, & r>b. \end{cases} Φ(∞)=0\Phi(\infty)=0 かつ外球外で電場がゼロなので、外球の電位はゼロである。したがって Φ(r)={Q04πε0(1a−1b),r<a,Q04πε0(1r−1b),a<r<b,0,r>b. \Phi(r)= \begin{cases} \dfrac{Q_0}{4\pi\varepsilon_0}\left(\dfrac1a-\dfrac1b\right), & r<a,\\ \dfrac{Q_0}{4\pi\varepsilon_0}\left(\dfrac1r-\dfrac1b\right), & a<r<b,\\ 0, & r>b. \end{cases} 静電容量は C0=Q0Φ(a)−Φ(b)=4πε0abb−a. C_0=\frac{Q_0}{\Phi(a)-\Phi(b)} =4\pi\varepsilon_0\frac{ab}{b-a}.

誘電体の挿入

全領域を誘電率 ε\varepsilon の媒質で満たすと C=4πεabb−a,U=Q022C=Q02(b−a)8πεab. C=4\pi\varepsilon\frac{ab}{b-a},\qquad U=\frac{Q_0^2}{2C} =\frac{Q_0^2(b-a)}{8\pi\varepsilon ab}. 外球内面から厚さ dd だけ誘電体を入れる場合は、球殻方向の直列容量として 1C=14π{1ε0(1a−1b−d)+1ε(1b−d−1b)}. \frac1C= \frac{1}{4\pi} \left\{ \frac1{\varepsilon_0}\left(\frac1a-\frac1{b-d}\right) +\frac1{\varepsilon}\left(\frac1{b-d}-\frac1b\right) \right\}. d≪b−ad\ll b-a で一次まで展開すると ΔC=C−C0=4πε0a2(b−a)2(1−ε0ε)d. \Delta C=C-C_0 = \frac{4\pi\varepsilon_0a^2}{(b-a)^2} \left(1-\frac{\varepsilon_0}{\varepsilon}\right)d .

一様な漏れ電流

誘電率 ε\varepsilon、電気伝導率 σ\sigma の媒質では、同じ電場に対し I=4πr2σE(r)=σεQ0 I=4\pi r^2\sigma E(r)=\frac{\sigma}{\varepsilon}Q_0 となる。抵抗は Rleak=∫abdr4πσr2=b−a4πσab. R_{\mathrm{leak}} =\int_a^b\frac{\mathrm{d}r}{4\pi\sigma r^2} =\frac{b-a}{4\pi\sigma ab}. 発熱率は P=IV=σQ02(b−a)4πε2ab. P=IV =\frac{\sigma Q_0^2(b-a)}{4\pi\varepsilon^2ab}. 電源を外すと dQdt=−σεQ,Q(t)=Q0e−σt/ε. \frac{\mathrm{d}Q}{\mathrm{d}t}=-\frac{\sigma}{\varepsilon}Q, \qquad Q(t)=Q_0e^{-\sigma t/\varepsilon}. 時刻 00 から tt までのジュール熱は静電エネルギーの減少分で WJ(t)=Q02(b−a)8πεab(1−e−2σt/ε). W_J(t)=\frac{Q_0^2(b-a)}{8\pi\varepsilon ab} \left(1-e^{-2\sigma t/\varepsilon}\right).

二層媒質の界面電荷

媒質 1,2 の電気伝導率を σ1,σ2\sigma_1,\sigma_2、誘電率を ε1,ε2\varepsilon_1,\varepsilon_2 とし、境界半径を r0r_0 とする。定常電流 II のもとで Ei(r)=I4πσir2. E_i(r)=\frac{I}{4\pi\sigma_i r^2}. 界面の自由電荷面密度は法線方向の DD の跳びであり、 ρs=I4πr02(ε2σ2−ε1σ1). \rho_s = \frac{I}{4\pi r_0^2} \left(\frac{\varepsilon_2}{\sigma_2} -\frac{\varepsilon_1}{\sigma_1}\right).

最終答

% C0=4πε0abb−a,U=Q02(b−a)8πεab. C_0=4\pi\varepsilon_0\frac{ab}{b-a},\qquad U=\frac{Q_0^2(b-a)}{8\pi\varepsilon ab}. ΔC=4πε0a2(b−a)2(1−ε0ε)d. \Delta C= \frac{4\pi\varepsilon_0a^2}{(b-a)^2} \left(1-\frac{\varepsilon_0}{\varepsilon}\right)d. I=σεQ0,Rleak=b−a4πσab,Q(t)=Q0e−σt/ε, I=\frac{\sigma}{\varepsilon}Q_0,\quad R_{\mathrm{leak}}=\frac{b-a}{4\pi\sigma ab},\quad Q(t)=Q_0e^{-\sigma t/\varepsilon}, WJ(t)=Q02(b−a)8πεab(1−e−2σt/ε),ρs=I4πr02(ε2σ2−ε1σ1). W_J(t)=\frac{Q_0^2(b-a)}{8\pi\varepsilon ab} \left(1-e^{-2\sigma t/\varepsilon}\right),\qquad \rho_s=\frac{I}{4\pi r_0^2}\left(\frac{\varepsilon_2}{\sigma_2}-\frac{\varepsilon_1}{\sigma_1}\right).

第3問 — 午後・デルタ井戸と二粒子交換

非直交基底を用いるため、通常の固有値問題ではなく重なり行列を含む一般化固有値問題になる。対称性が左右交換だけなので、固有ベクトルは最初から c1=c2c_1=c_2 と c1=−c2c_1=-c_2 に分かれる。フェルミ粒子の最後の設問では、空間部分だけでなくスピン部分を含めた全体の交換対称性を確認する。

午後・デルタ井戸と二粒子交換の途中式・最終答をPDFで見る

第4問 — 午後・格子気体と平均場

この格子模型では、理想気体との差は量子性ではなくセルの重複禁止から出る。平均場近似では、最近接対の数を Mz/2Mz/2、各対の占有確率を ϕ2\phi^2 と置く。化学ポテンシャルが非単調になる領域は負の圧縮率に対応し、一様状態ではなく相分離が選ばれる。

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第5問 — 午後・アインシュタイン係数と反転分布

二準位系では、誘導吸収と誘導放出が同じ係数で起こるため、光を強くしても定常的な反転分布は作れない。三準位系では、ポンプで準位3に上げた粒子を速い非放射過程で準位2へ落とすことで、準位2に粒子を蓄積する。短波長で難しくなる理由は、自然放出が ω3\omega^3 で速くなる点にある。

午後・アインシュタイン係数と反転分布の途中式・最終答をPDFで見る

第6問 — 午後・古典ホール効果と二キャリア伝導

ホール効果は、伝導率テンソルを求めた後に jy=0j_y=0 という測定条件を入れる。二キャリアでは電子と正孔の横応答が逆符号で足し合わされるため、単一キャリアと異なり縦方向にも磁場依存性が残る。特に完全補償ではホール電場が消えるため、磁場で曲げられる効果が縦抵抗として強く現れる。

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年度別の解答例(15年度)

  • 2026年度(全4問)

    剛体回転と磁気トルク / 調和振動子と突然近似 / ゴム弾性の統計力学

  • 2025年度(全4問)

    減衰振動と揺動応答 / 一次元障壁散乱 / 平均場イジング模型

  • 2024年度(全4問)

    剛体振り子と磁気モーメント測定 / 1次元光共振器 / 固体の比熱

  • 2023年度(全4問)

    量子井戸と対称性 / 支点加振振り子 / 古典気体の回転平衡

  • 2022年度(全4問)

    回転磁場によるスピン遷移と Ramsey 干渉 / 一次元格子振動 / 二元合金の相分離

  • 2021年度(全4問)

    量子ビットの時間発展とゲート生成 / 等方弾性体の応力と弾性波反射 / 理想ボース気体とボース凝縮

  • 2020年度(全4問)

    固定端ばね鎖の固有振動 / 一軸性結晶中の電磁波 / 理想気体と吸着等温式

  • 2019年度(全6問)

    午前・軌道力学と重力勾配 / 午前・誘導加熱と円環電流 / 午後・デルタ障壁と二粒子干渉

  • 2018年度(このページ・全6問)

    午前・半円筒上の滑りと転がり / 午前・球形コンデンサと漏れ電流 / 午後・デルタ井戸と二粒子交換

  • 2017年度(全6問)

    午前・摩擦つき連結物体と安定性 / 午前・電気双極子と鏡像法 / 午後・井戸中の二フェルミ粒子

  • 2016年度(全6問)最終答まで公開

    午前・振り子と二重振り子 / 午前・導体リングと電磁誘導 / 午後・調和振動子のコヒーレント状態

  • 2015年度(全6問)最終答まで公開

    午前・跳ね返る剛体球 / 午前・線電荷と円筒導体の鏡像法 / 午後・二重井戸と二粒子トンネル

  • 2014年度(全6問)最終答まで公開

    午前・中心力とラプラス--ルンゲ--レンツベクトル / 午前・電磁場とLC振動 / 午後・スピン軌道相互作用

  • 2013年度(全6問)最終答まで公開

    粗い円柱のつり合いと滑りから転がりへの移行 / 平行平板間の空間電荷制限電流 / 調和振動子の遷移と非調和摂動

  • 2012年度(全6問)最終答まで公開

    円板に巻き付く糸につながれた質点 / 円柱導体のジュール熱とポインティングベクトル / スピン1の磁気共鳴と四極子摂動

2018年度の出題内容

全6問
大問主題解説の小見出し最終答
第1問午前・半円筒上の滑りと転がり—あり
第2問午前・球形コンデンサと漏れ電流—あり
第3問午後・デルタ井戸と二粒子交換—あり
第4問午後・格子気体と平均場—あり
第5問午後・アインシュタイン係数と反転分布—あり
第6問午後・古典ホール効果と二キャリア伝導—あり

同じテーマを出した他大学・他年度

3テーマ

2018年度は3問に3テーマが出ています。

前年度(2017年度)との違い

大問数
2017年度 6問 → 2018年度 6問
両年度に出たテーマ
固有値・固有ベクトル
2018年度で新しく出たテーマ
剛体の回転運動・静電場
2017年度の解答例

東京大学の公式過去問

公開年度範囲
2022〜2026
公式の解答例
非公開(問題冊子のみ)
院試hubの最終確認
2026-08-13
東京大学の公式過去問PDF