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総合研究大学院大学 先端学術院 先端学術専攻 専門科目(天文科学コース) 2021年度 院試 過去問 解答例・解説(解説5項目)

解説5項目の分野は電磁気学・回路2項目、微分方程式1項目、力学1項目です。固有値・固有ベクトル、調和振動子、固有振動数と振動系などが出ています。解説はすべて、途中式と最終答は大問1問ぶんを公開しています。PDFの収録範囲は商品ページで確認できます。問題本文は含みません。

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第1問 — 微分方程式:変数分離と線形化

微分方程式は、指数関数や未知関数の逆数を置くことで線形な式へ変形できる場合がある。変換後を解いたら、対数の定義域と分母が0になる点を確認する。途中で未知関数を割った場合には、除かれた定数解も元の式で調べる。

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第2問 — 解析力学:変分原理と回転するワイヤー

変分では端点を固定し、速度に掛かる項を部分積分して運動方程式を導く。回転する拘束は外部から仕事を受けるため、保存する一般化エネルギーと機械的エネルギーを区別する。形状の条件は全ての角速度で成立するように課す。

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第3問 — 解析:フーリエ係数と熱統計の積分

三角関数の直交性から係数を取り出し、周期区間に応じた級数を作る。熱統計の積分では、幾何級数へ展開して各項を積分する。和と積分を交換できる理由を示したうえで、整数の和と積分値を結び付ける。

解析:フーリエ係数と熱統計の積分の途中式・最終答をPDFで見る

第4問 — 電磁気:磁場中の応答テンソルと円偏光

設問1 電子の変位を行列で解く

r˙×B0\dot{\boldsymbol r}\times\boldsymbol B_0の成分は(B0y˙,−B0x˙,0)(B_0\dot y,-B_0\dot x,0)なので、横方向の2方程式が結び付く。虚数iiは変位と電場の位相差を表し、時間依存の符号を変えるとこの位相の表記も変わる。途中だけe+iωte^{+i\omega t}の規約を混ぜない。 B0→0B_0\to0ならωc→0\omega_c\to0、β→0\beta\to0、α→γ\alpha\to\gammaとなり、3方向の応答が同じになる。汎用の有限な定常応答を求める逆行列にはω≠0\omega\neq0、ω2≠ωc2\omega^2\neq\omega_c^2が必要である。原題のω≠ωc\omega\neq\omega_cという表記だけでなく、符号付きのωc\omega_cで分母が0となるもう一方の共鳴点にもこの式を代入しない。

設問2(1) 訂正された記号だけで表す誘電率

比誘電率テンソルは、電場の各成分が電束密度のどの成分を作るかを表す線形写像である。磁場があるとxx方向の電場からyy方向の分極も生じるため、非対角成分が現れる。前問のΔx=−αEx−βEy\Delta x=-\alpha E_x-\beta E_yなどを直接代入すると、非対角成分の符号を追える。 +z+z方向へ伝わる横電磁波を考えるとEz=0E_z=0であり、通常は左上の2行2列だけで計算が完結する。しかし、励起する電場のzz成分が0だからといって、物質自身のϵzz\epsilon_{zz}を1と決めることはできない。上の恒等式を使えば、訂正後の指定記号を保ったまま全3成分の応答も示せる。ηα\eta\alphaなどは無次元で、n→0n\to0では単位行列へ戻る。

設問2(2) マクスウェル方程式の波数表示

場の回転にik×i\boldsymbol k\times、時間微分に−iω-i\omegaを対応させた。第1式へもう一度k×\boldsymbol k\timesを作用させ、ϵ0μ0=1/c2\epsilon_0\mu_0=1/c^2を使うことで磁場を消去する。符号をそろえると電場だけの同次線形方程式になる。 異方性媒質では、一般にk⋅E=0\boldsymbol k\cdot\boldsymbol E=0を最初から仮定してはいけない。上の式とω≠0\omega\neq0からはk⋅D=0\boldsymbol k\cdot\boldsymbol D=0が従うが、D\boldsymbol DとE\boldsymbol Eは同じ向きとは限らない。二重の外積を−k2E-k^2\boldsymbol Eだけに置き換えるには、横波という条件を確認しておく。

設問2(3) 非自明解と左右円偏光の分散

例えばEx=iEyE_x=iE_yなら横行列の固有値はa−Da-Dであり、N2=a−D=1−ωp2/[ω(ω−ωc)]\mathcal N^2=a-D=1-\omega_p^2/[\omega(\omega-\omega_c)]となる。反対の円偏光ではa+Da+Dとなる。直線偏光をこの等振幅の2円偏光へ分けると、距離ddで相対位相(k+−k−)d(k_+-k_-)dが蓄積し、偏光面がその半分の角度だけ回る。これがファラデー回転の仕組みである。 N±2>0\mathcal N_\pm^2>0では正方向へ進む枝としてk>0k>0を選び、上の実の位相速度を読む。負の領域は減衰波となるので、実の伝播速度として扱わない。B0=0B_0=0では2枝が縮退し、速度差が消える。 全3成分の「非零解」の条件には、横部分に加えてϵzz=0\epsilon_{zz}=0、すなわちω2=ωp2\omega^2=\omega_p^2の枝もある。これはEz≠0E_z\neq0、Ex=Ey=0E_x=E_y=0、H=0\boldsymbol H=0の縦振動で、この局所モデルでは波数を定めない。左右円偏光の横電磁波とは区別して収録した。前問で全テンソルを使ったため、この数学的な枝も落とさず確認できる。

解答

設問1 電子の変位を行列で解く

時間微分を−iω-i\omegaへ置き換えると、運動方程式の横成分は (ω2−iωωciωωcω2)(ΔxΔy)=−qm(ExEy). \begin{pmatrix}\omega^2&-i\omega\omega_c\\ i\omega\omega_c&\omega^2\end{pmatrix} \begin{pmatrix}\Delta x\\\Delta y\end{pmatrix} =-\frac qm\begin{pmatrix}E_x\\E_y\end{pmatrix}. 行列式はω2(ω2−ωc2)\omega^2(\omega^2-\omega_c^2)である。これが非零のとき逆行列を掛け、zz成分は−mω2Δz=qEz-m\omega^2\Delta z=qE_zから求める。

設問2(1) 訂正された記号だけで表す誘電率

原題の規約d=Δr\boldsymbol d=\Delta\boldsymbol r、P=nqd\boldsymbol P=nq\boldsymbol dとD=ϵ0E+P\boldsymbol D=\epsilon_0\boldsymbol E+\boldsymbol Pを用いる。η=nq/ϵ0\eta=nq/\epsilon_0と置けば横成分はϵxx=ϵyy=1−ηα\epsilon_{xx}=\epsilon_{yy}=1-\eta\alpha、ϵxy=−ηβ\epsilon_{xy}=-\eta\beta、ϵyx=ηβ\epsilon_{yx}=\eta\betaとなる。 正誤表では使用記号からγ\gammaが除かれているが、前問の式より α2+β2=α2(1−ωc2ω2)=αγ \alpha^2+\beta^2 =\alpha^2\left(1-\frac{\omega_c^2}{\omega^2}\right)=\alpha\gamma なので、γ\gammaもα,β\alpha,\betaだけで消去できる。

設問2(2) マクスウェル方程式の波数表示

空間依存eik⋅re^{i\boldsymbol k\cdot\boldsymbol r}を用いると、ファラデーの式とアンペールの式は k×E=ωB,k×H=−ωD \boldsymbol k\times\boldsymbol E=\omega\boldsymbol B,\qquad \boldsymbol k\times\boldsymbol H=-\omega\boldsymbol D となる。B=μ0H\boldsymbol B=\mu_0\boldsymbol H、D=ϵ0ϵE\boldsymbol D=\epsilon_0\boldsymbol\epsilon\boldsymbol Eを代入して

設問2(3) 非自明解と左右円偏光の分散

ωp2=nq2/(ϵ0m)\omega_p^2=nq^2/(\epsilon_0m)、N2=c2k2/ω2\mathcal N^2=c^2k^2/\omega^2と置く。a=1−ωp2/(ω2−ωc2)a=1-\omega_p^2/(\omega^2-\omega_c^2)、 D=ωp2ωc/{ω(ω2−ωc2)}D=\omega_p^2\omega_c/\{\omega(\omega^2-\omega_c^2)\}と書けば、k=(0,0,k)\boldsymbol k=(0,0,k)に対する前問の行列は定数倍を除いて (a−N2−iD0iDa−N20001−ωp2/ω2). \begin{pmatrix} a-\mathcal N^2&-iD&0\\ iD&a-\mathcal N^2&0\\ 0&0&1-\omega_p^2/\omega^2 \end{pmatrix}. 横電磁波では行列式の横部分(a−N2)2−D2=0(a-\mathcal N^2)^2-D^2=0を用いる。

両枝が実数の伝播波を持つ範囲では、ωc≠0\omega_c\neq0により左右の円偏光の位相速度が異なる。

最終答

設問1 電子の変位を行列で解く

α=qm(ω2−ωc2) (v),β=iqωcmω(ω2−ωc2) (i),γ=qmω2 (iii).\displaystyle \alpha=\frac{q}{m(\omega^2-\omega_c^2)}\ \text{(v)},\qquad \beta=\frac{iq\omega_c}{m\omega(\omega^2-\omega_c^2)}\ \text{(i)},\qquad \gamma=\frac{q}{m\omega^2}\ \text{(iii)}.

設問2(1) 訂正された記号だけで表す誘電率

ϵ=(1−ηα−ηβ0ηβ1−ηα0001−η(α2+β2)/α),η=nqϵ0.\displaystyle \boldsymbol\epsilon= \begin{pmatrix} 1-\eta\alpha&-\eta\beta&0\\ \eta\beta&1-\eta\alpha&0\\ 0&0&1-\eta(\alpha^2+\beta^2)/\alpha \end{pmatrix},\qquad \eta=\frac{nq}{\epsilon_0}.

設問2(2) マクスウェル方程式の波数表示

k×(k×E)+ω2c2ϵE=0.\displaystyle \boldsymbol k\times(\boldsymbol k\times\boldsymbol E) +\frac{\omega^2}{c^2}\boldsymbol\epsilon\boldsymbol E=0. 成分では∑j[kikj−k2δij+ω2c2ϵij]Ej=0\displaystyle \sum_j\left[k_ik_j-k^2\delta_{ij}+\frac{\omega^2}{c^2}\epsilon_{ij}\right]E_j=0。

設問2(3) 非自明解と左右円偏光の分散

N±2=1−ωp2ω(ω∓ωc),Ex=±iEy,Ez=0,vph,±=cN±2.\displaystyle \mathcal N_\pm^2=1-\frac{\omega_p^2}{\omega(\omega\mp\omega_c)},\qquad E_x=\pm iE_y,\quad E_z=0,\qquad v_{\mathrm{ph},\pm}=\frac{c}{\sqrt{\mathcal N_\pm^2}}.

第5問 — 観測回路:周波数応答と雑音温度

オシロスコープの目盛を電圧と周期へ換算した後、複素インピーダンスで回路の分圧を求める。雑音の加算では電圧倍率と電力利得を区別する。高温・低温入力の比を用いる測定は、帯域幅と利得が共通である条件から導く。

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    微分方程式:変数分離と線形化 / 解析力学:変分原理と回転するワイヤー / 解析:フーリエ係数と熱統計の積分

2021年度の出題内容

解説5項目

この5問の分野は電磁気学・回路2問・微分方程式1問・力学1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問微分方程式変数分離と線形化—あり
第2問力学変分原理と回転するワイヤー—あり
第3問フーリエ係数と熱統計の積分—あり
第4問電磁気学・回路磁場中の応答テンソルと円偏光—あり
第5問電磁気学・回路周波数応答と雑音温度—あり

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