総合研究大学院大学 先端学術院 先端学術専攻 専門科目(天文科学コース) 2022年度 院試 過去問 解答例・解説(解説5項目)
解説5項目の分野は電磁気学・回路1項目、熱・統計力学1項目、流体力学1項目です。重積分と極座標、微分方程式の級数解法が出ています。解説はすべて、途中式と最終答は大問1問ぶんを公開しています。PDFの収録範囲は商品ページで確認できます。問題本文は含みません。
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第1問 — 解析:変数分離とベッセル方程式
軸対称なラプラス方程式を変数分離すると、鉛直方向と動径方向で異なる方程式が現れる。両側で減衰する枝は原点で連続でも微分可能とは限らない。動径の級数は項別微分と係数の漸化式でベッセル方程式に戻して確認する。
第2問 — 流体:流出速度と回転する自由表面
水面からの流出は、圧力と重力のエネルギーを流速へ変える条件として扱う。水位が下がれば流出速度も変わるため、排水時間には体積の連続条件を使う。回転流の自由表面は、渦があることを踏まえて圧力勾配から求める。
第3問 — ベクトル解析:球面と斜めの交円
球面の面積分は外向き法線と球面座標の面積要素をそろえて計算する。回転と発散は成分ごとに微分して確認する。球と平面の交わりは空間では真円でも、座標面へ投影すると楕円になるため、面積を混同しない。
第4問 — 電磁気:磁気モーメントの保存と磁気ミラー
設問1 磁束の発散から動径成分を求める
磁場には湧き出しがないため、軸方向の磁束密度が増す場所では磁力線は軸へ寄る。に対してとなる結果は、その幾何学と一致する。円筒座標では動径方向の発散にの因子が入り、ではない。 積分定数を残すととなり、軸で発散する。この特異な枝を除くのが原題の軸上条件である。なら横成分が消え、一様な軸方向磁場へ戻る。
設問2 旋回半径
右手系でなので、正電荷なら力は外向きだが、負電荷では内向きになる。原題の旋回の向きと電荷の符号が、この向心力の釣り合いを可能にしている。 この半径は局所的なラーマー半径であり、磁場が旋回の間に僅かしか変わらないときに使う。質量と速度に比例し、電荷の大きさと磁束密度に反比例する。を磁界へ無条件に置き換えると、ローレンツ力の単位と係数が変わる。
設問3 方位角方向の速度の変化
半径は磁場とともに変わるので、を最初から0と置きながら半径変化を許す説明は一貫しない。上の計算では円筒座標の加速度にもローレンツ力にも現れるを残し、局所円運動の関係によって消した。 ではがとともに増える。後に得るを微分しても同じ係数となる。を落とすと、次問の磁気モーメントの保存に一致しなくなる。
設問4 保存する磁気モーメント
は原題の旋回近似での磁気モーメントであり、磁場に垂直な運動エネルギーを局所磁場で割った量になる。一般の緩変化磁場で使う断熱不変量を、ここではと方位角速度で表している。急に変わる磁場へ、この保存をそのまま適用しない。 旋回半径へ戻すととなり、強い磁場ほど旋回が小さくなる。が増すから半径も増す、と速度だけを見て判断しない。速度と磁場の両方の依存性が必要である。
設問5 鉛直方向に働く力
なのでこの力は向きであり、より弱い磁場へ粒子を押し戻す。磁場が一様なら勾配が0で、この軸方向の力も消える。が正であることと合わせて、力の向きを確認できる。 ローレンツ力は常に全速度と直交するので、全体として仕事をしない。それでも軸方向の運動エネルギーは減り、その分が方位角方向へ移ることは可能である。磁気モーメントの式だけを見て磁場が粒子へエネルギーを供給すると解釈しない。
設問6 反射する位置
では平行方向の運動が止まり、設問5の負向きの力によって戻り始める。鏡のように粒子を反射するため磁気ミラーと呼ぶ。この位置の磁場はとなり、初期の平行運動が大きいほど強い磁場まで到達する。 では反射位置が無限遠へ移り、一様磁場では反射しないことを再現する。は長さ、速度の比の二乗は無次元なのでの単位も合う。原題のと緩変化条件の範囲で導いた結果であり、局所円運動を維持できない任意の急勾配へ正確な式として広げない。
解答
設問1 磁束の発散から動径成分を求める
軸対称、、より で積分してとなる。軸で有限でありという条件からである。
設問2 旋回半径
電荷は、である。正方向の方位角速度成分とによるローレンツ力の動径成分はとなる。原題の局所的な円運動の近似で、向心力とその大きさを等しくすると
設問3 方位角方向の速度の変化
円筒座標の方位角の加速度はである。ローレンツ力の方位角成分を含めて 前問のによりを含む項が相殺する。の区間でを用いると
設問4 保存する磁気モーメント
を使うと、前問はとなる。からまで積分して
設問5 鉛直方向に働く力
負電荷に対するローレンツ力の成分はである。設問1と2を代入して
設問6 反射する位置
旋回半径のゆっくりした変化に伴うを高次として無視する近似で、全運動エネルギーの保存は となる。を用いて 右辺が0となる位置を求める。
最終答
設問1 磁束の発散から動径成分を求める
設問2 旋回半径
設問3 方位角方向の速度の変化
設問4 保存する磁気モーメント
設問5 鉛直方向に働く力
設問6 反射する位置
(原題の緩変化・旋回近似)。
第5問 — 統計力学・天文:黒体放射と食による減光
振動子の状態和と2偏極の光のモード数を組み合わせ、黒体放射の密度を導く。波長表示では変数変換の因子が必要になる。長波長側の食は同じ波長での放射を比較し、全波長の温度4乗則や手前を横切る通過と区別する。
年度別の解答例(6年度)
複素数:単位根と原始根 / 確率統計:ガウス分布と誤差伝播 / 力学:銀河内の円軌道と微小振動
ベクトル解析:曲面の法線と線積分 / 解析:最小二乗法とフーリエ級数 / 相対論:粒子反応のしきい値とコンプトン散乱
解析:フーリエ変換で解く熱方程式 / 複素解析:積分の評価と留数 / 力学:円錐面上のばねと角運動量
線形代数:エルミート行列の固有値と直交性 / 解析:周期延長の違いとラプラス変換 / 天体力学:二体問題と視線速度による質量測定
2022年度(このページ・解説5項目)
解析:変数分離とベッセル方程式 / 流体:流出速度と回転する自由表面 / ベクトル解析:球面と斜めの交円
微分方程式:変数分離と線形化 / 解析力学:変分原理と回転するワイヤー / 解析:フーリエ係数と熱統計の積分
2022年度の出題内容
解説5項目
同じテーマを出した他大学・他年度
2テーマ
2022年度は2問に2テーマが出ています。
| テーマ | この年度 | 全体の出題実績 | 他大学の直近出題 |
|---|---|---|---|
| 重積分と極座標 | 第5問 | 25大学・152問 | |
| 微分方程式の級数解法 | 第1問 | 4大学・8問 |
前年度(2021年度)との違い
- 大問数
- 2021年度 5問 → 2022年度 5問
- 2022年度で新しく出たテーマ
- 重積分と極座標・微分方程式の級数解法
総合研究大学院大学の公式過去問
- 公開年度範囲
- 2021〜2026年度入学・五年一貫制博士課程 専門科目
- 公式の解答例
- 一部の年度・科目のみ公開
- 院試hubの最終確認
- 2026-10-24