千葉大学 院試 過去問 解答例
千葉大 融合理工学府 先進理化学専攻 物理学コース 物理学 2021年度 院試 過去問 解答例・解説(全4問)
全4問。量子力学1問。テーマタグは4件(調和振動子・静電場・波動関数)。
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収録6年度分の解答PDF:千葉大学 融合理工学府 先進理化学専攻 物理学コース 物理学(¥3,200・紙面見本あり)
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- 解説4問と大問1問の途中式・最終答(全4問)
- 解答PDFに収録
- 途中式と最終答(最終答つき4問)
- 問題本文
- 非収録
千葉大 物理学 2021年度 院試 過去問の出題内容(全4問)
この4問の分野は量子力学1問です。
この年度の解説には検算4件・試験で書くべきポイント4件・典型ミス4件が付いています。
2021年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度
この年度は4問に4テーマが出ています。
| テーマ | この年度 | 全体の出題実績 | 他大学の直近出題 |
|---|---|---|---|
| 調和振動子 | 第1・4問 | 16大学・110問 | |
| 静電場 | 第4問 | 16大学・81問 | |
| 波動関数 | 第2問 | 15大学・36問 | |
| フェルミ・ボース統計 | 第3問 | 13大学・27問 |
第1問 — 中心力
方針
中心力問題は,角運動量保存により平面運動へ落とし,有効ポテンシャルで動径運動を 1 次元問題として扱う。後半の ポテンシャルでは が自然な変数である。
途中式の意味
の遠心項は原点への落ち込みを防ぐ正の障壁である。 の束縛条件は, と で有効ポテンシャルがどう振る舞うかを比較して判断する。
検算
は 2 次元等方調和振動子に対応する。動径が最小から最大へ移る間に角度が 進むので,閉じた楕円軌道になることと一致する。また はビリアル定理の結果でもある。
典型ミス
を だけにして角運動の項を落とすミスが多い。円運動の条件では を微分するのであり, だけを微分してはいけない。
試験で書くべきポイント
保存量を示す部分では, とエネルギー微分の相殺を明示する。積分公式を使う箇所では への変換と の形を書いておくと,結果だけを書くより説得力が高い。
解答
中心力では力が常に に平行なので また について 角運動量を 軸にとると運動は 平面内で, したがって
, を考える。 では無限遠で閉じ込めるために が必要である。 では無限遠で ,原点では遠心項が正に発散するため,引力井戸を作る条件は である。
円運動では より このとき
以後 とし,,束縛運動なので とする。 とおくと turning point は の 2 根であり, 動径運動から を得るので また 最後に
最終答
と は保存し, , , , 。 では は , は が束縛条件。 円運動は , , 。 では , , , 。
第2問 — 量子力学
方針
前半は表示変換と Airy 関数の境界条件,後半は固有関数展開と伝播核で解く。重力ポテンシャルは線形なので,波束中心は Ehrenfest の定理どおり古典運動に従う。
途中式の意味
Airy 関数の引数が になるのは,運動エネルギー項と重力ポテンシャル項の係数をそろえるためである。ミラー境界は で波動関数を 0 にするので,Airy 関数の負のゼロ点がエネルギー量子化を決める。
検算
エネルギーの次元は で, は長さである。得られる中性子のエネルギーは pico eV 程度で,重力量子状態として知られる非常に小さいスケールと合っている。
典型ミス
運動量表示で と符号を逆にすると,交換関係の符号が合わない。伝播核では複素共役 を落とすと, のデルタ関数が正しく出ない。
試験で書くべきポイント
概形を描く問題では,節の数, の境界条件,転回点より上での減衰を言葉でも説明する。最後の波束問題は完全積分ができなくても,中心と幅の物理的依存性を明示すれば部分点を取りやすい。
第3問 — 熱統計
方針
状態密度の温度依存性は,分散関係から状態数 の冪を数えるだけで決まる。ディラック電子では線形分散かつ二次元なので,状態密度がエネルギーに比例する。
途中式の意味
熱エネルギーの積分で と置くと,温度依存性は積分の前に出る冪だけで決まる。フェルミ分布の積分値は係数を決めるために必要で, という熱容量の冪は状態密度の線形性から来ている。
検算
通常の二次元放物型電子なら状態密度は定数で,低温熱容量は に比例する。一方,ディラック点では状態密度が 0 から線形に立ち上がるため,余分に が掛かって になる。
典型ミス
負エネルギー側をそのまま無限に積分して真空エネルギーを数えると発散する。ここでは絶対零度の充填状態を基準にし,熱で励起された電子と正孔だけを数える。スピン縮退を入れるかどうかも係数を変えるので,答案内で規約を明記する。
試験で書くべきポイント
係数まで求める設問では,面積因子 ,円環の ,スピン縮退 2 を順に書く。磁化率では,励起数が ,Curie 則が なので全体が に比例することを言葉で確認する。
第4問 — 静電場
方針
前半はガウスの法則,後半は像電荷法を使う。球内の電場が位置に比例するため,点電荷の運動は調和振動になる。
途中式の意味
一様帯電球は外部から見ると中心の点電荷と同じ電場を作るが,内部では包む電荷が に比例するので電場は に比例する。二つの のつり合いは,球からの引力と相互反発の 1 本の式で決まる。
検算
の二点電荷を加えると,全電荷は 0,双極子も対称性で 0 になる。したがって遠方の先頭項が になるのは多重極展開として自然である。
典型ミス
接地平面がある最後の設問で,点電荷自身の像だけを入れると原点に定数力が残り,原点まわりの単振動にならない。帯電球の像も入れることで定数力が相殺され,1 次の復元力だけが残る。
試験で書くべきポイント
像電荷法では,どの実電荷にどの像を置いたかを明記する。最後の振動数比は角振動数の比なので,力の係数の比を取ったあと平方根を忘れない。
千葉大 物理学 院試 過去問の収録6年度
連成振動 / 電磁気学 / 統計力学
回転系の力学 / 磁性と電子気体 / サイクロトロン
単振子と高周波駆動 / 二状態鎖の統計力学 / RLC回路と導体中の電磁波
連成振動とうなり / 電磁波とプラズマ分散 / 古典振動子の分配関数
剛体の回転 / 電磁気 / 量子散乱
2021年度(このページ・全4問)
中心力 / 量子力学 / 熱統計