東京大学 院試 過去問 解答例
東大 情報理工学系研究科 システム情報学専攻 システム情報学 2023年度 院試 解答例・解説
東京大学 情報理工学系研究科 システム情報学専攻 システム情報学 2023年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針と確認点を解説。全4問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。
最終更新:
設問ごとの解法方針と確認点を公開しています。
続きの途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。
第1問 — 標本化と間引き
標本化はスペクトルの周期複製
標本化問題では、時間領域のサンプル列そのものよりも、周波数領域で何が重なるかを見る方が安全である。 台が三角形であっても矩形であっても、折返し条件は台の端点だけで決まる。
間引きは実効サンプリング周期を伸ばす
間引きにより時間間隔は になる。 したがって許される帯域幅は に狭くなり、元の標本化で安全だった信号でも、間引き後には折返しを起こすことがある。
最後の結果がインパルスになる理由
三角スペクトルの逆変換は sinc の二乗である。 今回の と では、間引き後に読む時刻がちょうど sinc の零点に並ぶため、原点以外がすべて消える。
第2問 — LC四端子回路と梯子状回路
行列の向きを固定する
四端子回路は、電流の向きの定義で符号が変わりやすい。 ここでは問題の行列式に合わせ、左から右へ進む直列・シャント・直列の伝送行列として統一して計算した。
開放端と整合終端の違い
出力を開放すると、回路内部の共振でゲインが発散する点が現れる。 特性インピーダンスで終端すると反射がなくなり、通過域ではゲインが一定、遮断後は指数的に減衰する梯子形低域通過回路の性質が現れる。
第3問 — 閉ループ安定性と非最小位相零点
Routh条件は係数の正負だけで終わらない
三次式では全係数が正であることに加えて、中段の Routh 条件が必要である。 この問題ではその条件が を与え、最終的に という狭い範囲だけが残る。
不安定化を中間値で示す
の場合は Routh 表を作らなくても、 と で特性多項式の符号が変わることから、右半平面の実根が直ちに分かる。 これは安定性を否定するときに強い方法である。
非最小位相零点の水床効果
右半平面零点は、振幅線図だけを見ると隠れてしまう。 しかし、安定な最小位相部分に置き換えると内部点の値が大きくなり、その大きさを虚軸上のピークで支えなければならない。
第4問 — 剛体棒の振動と弾性衝突
ポテンシャルで符号を管理する
重力トルクとばねトルクを直接符号付きで足すと間違えやすい。 重力ポテンシャルとばねポテンシャルを先に書けば、運動方程式は で一貫して導ける。
衝突では角運動量と反発係数を使う
回転軸には大きな衝撃力が生じるが、その力は回転軸まわりのモーメントを持たない。 したがって、棒と小物体を合わせた角運動量を まわりで保存させ、接触方向には反発係数の式を使うのが最短である。
最適化の分離
は衝突前のエネルギー、 は衝突時の速度伝達効率を決める。 この二つは積の形で分離するため、 は最大許容値、 はインピーダンス整合に相当する で最大になる。