東京大学 院試 過去問 解答例
東大 情報理工学系研究科 システム情報学専攻 システム情報学 2025年度 院試 解答例・解説
東京大学 情報理工学系研究科 システム情報学専攻 システム情報学 2025年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針と確認点を解説。全3問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。
最終更新:
設問ごとの解法方針と確認点を公開しています。
続きの途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。
第1問 — 畳み込み・相関・到来時間差
重なり長さで考える
矩形関数の畳み込みは積分を力で押し切るより、支持区間の重なり長さとして見るのが最も安全である。 幅 と幅 の矩形の重なりなので、三角形ではなく台形になる点が落とし穴である。
相関の符号
相互相関は畳み込みと似ているが、片方が時間反転した位置関係になる。 今回の の中心が ではなく に来るのはこのためである。 到来時間差推定でも同じ符号の注意が必要で、ピークの絶対値だけでなく、どの観測点が先行しているかを合わせて読む。
雑音を消す理由
自己相関には信号パワーと雑音パワーが両方入るが、独立な二点雑音は相互相関で平均的に消える。 したがって、相互相関ピークを信号パワー、自己相関 ラグとの差を雑音パワーとして使える。
第2問 — バンドパスフィルタ
標準形へ直す
バンドパスは の形へ直すと、中心角周波数、帯域幅、 が一気に読める。 式変形の途中で の係数を見失うと が逆数になるので、分母を必ずモニックにして確認する。
演算増幅器回路の見方
理想演算増幅器では反転入力節点が仮想接地になるが、電流が入力端子へ流れ込むわけではない。 したがってKCLは「接続されている抵抗・キャパシタだけ」に対して書く。 この一点を守れば、複雑そうな多重帰還形も二つの節点方程式で処理できる。
設計条件の落とし穴
第(4)の回路では、入力側の抵抗網がピークゲインを下げる一方、等価抵抗も変える。 とゲイン を同時に満たす必要があるため、任意の が実現できるわけではない。 正抵抗条件から が出る点まで書くと答案として締まる。
検算の仕方
得られた式は、中心角周波数で分母の実部が消えるかを見ると短く検算できる。 受動回路ではそのとき並列 のアドミタンスが になるので最大値は を超えない。 多重帰還形では同じ条件で分母が純虚数になり、比を取るだけで が出る。 この検算により、符号や の平方根を取り違えた答案を早い段階で発見できる。
第3問 — フィードバック制御と安定余裕
内側の正帰還を先に処理する
この制御系は、単純な ではない。 制御対象の入力側に出力が加わるため、まず と書き、 を分母に持つ等価対象として整理する必要がある。 ここを飛ばすと安定条件がまったく別物になる。
逆応答の読み方
のステップ応答は終値 に収束するが、初期には負方向へ動く。 これは閉ループ伝達関数の分子に右半平面零点があるためであり、安定性とは別の過渡応答上の注意点である。
余裕は数字で確認する
ボード線図の概形だけでは安定余裕の大小を読み違えやすい。 今回のナイキスト軌跡は の右側を通るので安定だが、負の実軸との交点が と近く、ゲイン余裕は十分大きいとはいえない。 補償では「定常偏差を良くすること」と「位相余裕を保つこと」を分けて確認するのが重要である。