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東京大学 院試 過去問 解答例

東大 情報理工学系研究科 システム情報学専攻 システム情報学 2022年度 院試 過去問 解答例・解説(全5問)

全5問。制御工学1問・電磁気学・回路1問・微分積分・解析1問。テーマタグは4件(伝達関数・RC回路の過渡応答・オペアンプ回路)。

最終更新:

収録4年度分の解答PDF:東京大学 情報理工学系研究科 システム情報学専攻 システム情報学(¥2,880・紙面見本あり)

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解説5問と大問1問の途中式・最終答(全5問)
解答PDFに収録
途中式と最終答(最終答つき5問)
問題本文
非収録

東大 システム情報学 2022年度 院試 過去問の出題内容(全5問)

この5問の分野は制御工学1問・電磁気学・回路1問・微分積分・解析1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問—IIRフィルタと自己相関極は安定性、零点は位相を決める / 零点反転は全域通過因子を掛ける操作あり
第2問電磁気学・回路演算増幅器と発振回路電圧フォロワの役割 / Wienブリッジは位相条件と利得条件を分けて見るあり
第3問制御工学フィードバック制御とRouth判別Routh表は第1列だけで結論が出る / 零点は応答の出だしを変えるあり
第4問微分積分・解析論理関数と故障検出積和形と排他的論理和標準形は別物 / 固定故障の検出条件あり
第5問—輪軸の転がり運動符号は回転方向で決め切る / 並進と回転を滑りなし条件で結ぶあり

2022年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度

この年度は3問に4テーマが出ています。

第1問 — IIRフィルタと自己相関

極は安定性、零点は位相を決める

因果 IIR の安定性は極だけで判定する。零点が単位円外にあっても BIBO 安定性は壊れない。第(3)問はこの事実を利用し、自己相関、すなわち周波数応答の大きさを保ったまま位相だけを変える問題である。

零点反転は全域通過因子を掛ける操作

G~(z)/G(z)\widetilde G(z)/G(z) は単位円上で絶対値が 11 になる因子である。したがって出力のパワースペクトルや自己相関は変わらない。一方、時間波形や位相応答は変わるので、同じ自己相関を持つシステムは一意ではない。

IIRフィルタと自己相関の途中式・最終答をPDFで見る

第2問 — 演算増幅器と発振回路

電圧フォロワの役割

電圧フォロワは電圧利得を変えないが、前段から見ると電流をほとんど取らず、後段へは低い出力インピーダンスで電圧を供給する。この「インピーダンス変換」を言葉で説明できると、計算だけでなく回路の意味も伝わる。

Wienブリッジは位相条件と利得条件を分けて見る

ω0=1/(RC)\omega_0=1/(RC) は位相条件から出る。そこでブリッジの大きさが 1/31/3 になるため、増幅器の利得は 33 にすればよい。発振問題では、まず位相、次に大きさ、最後に振幅安定化という順に整理すると答案が崩れにくい。

解答

(1) 非反転増幅回路

理想演算増幅器なので、負帰還が成立している範囲では V+=V−=V1 V_+=V_-=V_1 である。反転入力端子には電流が流れないから、抵抗分圧より V1=R1R1+R2Vo. V_1=\frac{R_1}{R_1+R_2}V_o. したがって VoV1=1+R2R1 \boxed{\frac{V_o}{V_1}=1+\frac{R_2}{R_1}} である。

(2) 電圧フォロワの挿入

R1=∞, R2=0R_1=\infty,\ R_2=0 とすると、図1の回路は VoV1=1 \frac{V_o}{V_1}=1 の電圧フォロワになる。入力インピーダンスは無限大、出力インピーダンスは 00 とみなせる。

電圧フォロワを入れない場合、負荷端の電位は単なる分圧で VY=RLr+RLVs \boxed{V_Y=\frac{R_L}{r+R_L}V_s} である。一方、電圧フォロワを挿入した場合、電源側には電流が流れないので内部抵抗 rr に電圧降下が生じず、フォロワ入力は VsV_s となる。理想フォロワはその電圧を負荷へ与えるので VY=Vs \boxed{V_Y=V_s} である。したがって挿入の効果は、信号源と負荷を分離し、負荷による電圧低下を防ぐことである。

(3a) Wienブリッジの伝達関数

s=jωs=j\omega とし、出力側の直列 RCRC のインピーダンスを Zs=R+1sC Z_s=R+\frac{1}{sC} とする。接地側の並列 RCRC のインピーダンスは Zp=11/R+sC=R1+sRC Z_p=\frac{1}{1/R+sC} = \frac{R}{1+sRC} である。よって V2Vo=ZpZs+Zp=sRCs2R2C2+3sRC+1. \frac{V_2}{V_o} = \frac{Z_p}{Z_s+Z_p} = \boxed{ \frac{sRC}{s^2R^2C^2+3sRC+1}}.

(3b) 発振条件

X1X_1 と X2X_2 を接続すると、非反転増幅器と Wien ブリッジの正帰還回路になる。発振条件はループゲインの位相が 00、大きさが 11 であること。

Wien ブリッジの伝達関数 β(s)=sRCs2R2C2+3sRC+1 \beta(s)=\frac{sRC}{s^2R^2C^2+3sRC+1} に s=jωs=j\omega を代入すると、分母の実部は 1−ω2R2C2 1-\omega^2R^2C^2 である。位相が 00 になるには実部が消えればよいので ω0=1RC \boxed{\omega_0=\frac{1}{RC}} である。このとき β(jω0)=13. \beta(j\omega_0)=\frac{1}{3}. 非反転増幅器の利得は A=1+R2/R1A=1+R_2/R_1 だから、発振開始条件は Aβ=1 A\beta=1 すなわち 1+R2R1=3,R2=2R1 \boxed{1+\frac{R_2}{R_1}=3,\qquad R_2=2R_1} である。

(3c) R2R_2 がずれたときの振幅

R2R_2 を R2+εR_2+\varepsilon に変えると、非反転増幅器の利得は A=1+R2+εR1=3+εR1 A=1+\frac{R_2+\varepsilon}{R_1} = 3+\frac{\varepsilon}{R_1} となる。したがって ε>0\varepsilon>0 ではループゲインが 11 を超え、正弦波の振幅は増大する。理想素子だけの線形モデルでは振幅を制限する機構がないため、増大は止まらない。

一方、ε<0\varepsilon<0 ではループゲインが 11 未満になり、振幅は時間とともに減衰する。現実の発振器では、起動時に少し大きな利得を与え、振幅が大きくなったら非線形素子や自動利得制御で実効利得を 33 に近づける。

最終答

図1は非反転増幅器で Vo/V1=1+R2/R1V_o/V_1=1+R_2/R_1。電圧フォロワを挿入しないと VY=RLVs/(r+RL)V_Y=R_LV_s/(r+R_L)、挿入すると VY=VsV_Y=V_s。Wienブリッジは V2/Vo=sRC/(s2R2C2+3sRC+1)V_2/V_o=sRC/(s^2R^2C^2+3sRC+1)。発振条件は ω0=1/(RC)\omega_0=1/(RC)、R2=2R1R_2=2R_1。R2R_2 が増えると振幅は増大し、減ると減衰する。

第3問 — フィードバック制御とRouth判別

Routh表は第1列だけで結論が出る

表全体をきれいに埋めることより、第1列の符号変化を間違えないことが重要である。場合 (i) は係数がすべて正でも不安定になる例で、係数の正性だけでは判定できない。

零点は応答の出だしを変える

場合 (iv) のように右半平面零点を持つと、最終値は正でも初期応答が逆方向へ動く。この「逆応答」は非最小位相系の典型的な特徴であり、図選択では初期傾きと最終値を先に確認するとよい。

フィードバック制御とRouth判別の途中式・最終答をPDFで見る

第4問 — 論理関数と故障検出

積和形と排他的論理和標準形は別物

最簡積和形では隣接する minterm をまとめる。一方、排他的論理和標準形では GF(2) 上の多項式として係数を求める。同じ関数でも、簡単に見える形が表現形式によって変わる。

固定故障の検出条件

固定故障では、故障箇所の値を正常時と逆に励起し、さらにその違いが出力まで伝搬する必要がある。この問題では xx が1に固定されるので、まず x=0x=0 を入力し、その上で正常出力が故障時出力と異なる場合だけ検出できる。

論理関数と故障検出の途中式・最終答をPDFで見る

第5問 — 輪軸の転がり運動

符号は回転方向で決め切る

この問題で最も落としやすいのは、張力と摩擦力のモーメントの符号である。時計回りを正にすると、床との摩擦は時計回り、糸の張力は反時計回りに働くため、回転の式は Iθ¨=RF−rTI\ddot\theta=RF-rT になる。

並進と回転を滑りなし条件で結ぶ

転がり条件 X¨=Rθ¨\ddot X=R\ddot\theta を早めに使うと、未知量は FF と θ¨\ddot\theta だけになる。摩擦力は運動を妨げるとは限らず、ここでは回転を並進へ変換する拘束力として働く。

輪軸の転がり運動の途中式・最終答をPDFで見る

東大 システム情報学 院試 過去問の収録4年度

  • 2025年度(全3問)

    畳み込み・相関・到来時間差 / バンドパスフィルタ / フィードバック制御と安定余裕

  • 2024年度(全3問)

    フーリエ変換と両側z変換 / 積分器・比較器・PWM / 周波数応答とロバスト制御指標

  • 2023年度(全4問)

    標本化と間引き / LC四端子回路と梯子状回路 / 閉ループ安定性と非最小位相零点

  • 2022年度(このページ・全5問)

    IIRフィルタと自己相関 / 演算増幅器と発振回路 / フィードバック制御とRouth判別