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東北大学 院試 過去問 解答例

東北大 工学研究科 電気・情報系 基礎・専門科目 2024年8月 院試 過去問 解答例・解説(全6問)

全6問。電磁気学・回路1問。テーマタグは5件(固有値・固有ベクトル・静電場・木構造・二分探索木)。

最終更新:

収録6年度分の解答PDF:東北大学 工学研究科 電気・情報系 基礎・専門科目(¥3,200・紙面見本あり)

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解説6問と大問1問の途中式・最終答(全6問)
解答PDFに収録
途中式と最終答(最終答つき6問)
問題本文
非収録

東北大 基礎・専門科目 2024年8月 院試 過去問の出題内容(全6問)

この6問の分野は電磁気学・回路1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問—静電界と静電容量対称性の選び方 / 容量とエネルギーあり
第2問電磁気学・回路共振回路と変圧器直列共振 / 変圧器の反映インピーダンスあり
第3問—論理式の簡単化共通因子でまとめる / カルノー図のまとめ方あり
第4問—二分探索木挿入規則 / 先行順と幅優先あり
第5問—Drude模型とHall効果Drude方程式 / 電子の符号あり
第6問—正則関数と対角化三角関数の正則性 / 調和共役あり

2024年8月の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度

この年度は4問に5テーマが出ています。

前年度(2024年3月)との違い

大問数
2024年3月 12問 → 2024年8月 6問
2024年3月のページを見る

第1問 — 静電界と静電容量

対称性の選び方

同軸構造では電界が半径だけの関数になるため,円筒ガウス面を選べば一行で電界が出る。端部効果を無視できるという条件は,この円筒対称な扱いを正当化するためにある。

容量とエネルギー

同軸線路では U′=12C′V2 U'=\frac12 C'V^2 でも同じ静電エネルギーが得られる。電界から積分して求めた値と容量から求めた値が一致することを確認すると,係数 2π2\pi の取り違えを防げる。

表面電界の最小化

E(a)E(a) を直接微分するより,分母 alog⁡(b/a)a\log(b/a) を最大化する方が計算が安定する。最適条件は log⁡(b/a)=1\log(b/a)=1 であり,内導体半径が b/eb/e のとき表面電界が最小になる。

解答

  1. 真空中の静電界に対するガウスの法則の積分形は ∮SE⋅n dS=Qε0 \oint_S \mathbf{E}\cdot \mathbf{n}\,dS=\frac{Q}{\varepsilon_0} である。閉曲面を貫く電束が,その閉曲面内の全電荷だけで決まることを表す。
  2. 同軸構造では円筒対称性より,電界は半径方向のみを向く。半径 rr,長さ ℓ\ell の円筒面をガウス面に取ると E(r) 2πrℓ=λℓε0 E(r)\,2\pi r\ell=\frac{\lambda \ell}{\varepsilon_0} より E(r)=λ2πε0r(a<r<b) E(r)=\frac{\lambda}{2\pi\varepsilon_0 r}\qquad(a<r<b) である。 単位長さあたりの静電エネルギーは U′=∫abε0E(r)22 2πr dr=λ24πε0log⁡ba. U'=\int_a^b \frac{\varepsilon_0 E(r)^2}{2}\,2\pi r\,dr =\frac{\lambda^2}{4\pi\varepsilon_0}\log\frac{b}{a}. 導体間電位差は V=∫abE(r) dr=λ2πε0log⁡ba V=\int_a^b E(r)\,dr =\frac{\lambda}{2\pi\varepsilon_0}\log\frac{b}{a} なので,単位長さあたりの静電容量は C′=λV=2πε0log⁡(b/a). C'=\frac{\lambda}{V} =\frac{2\pi\varepsilon_0}{\log(b/a)}. 導体 I を接地し,導体 II を電位 UU とすると,導体 I 表面の電界は E(a)=Ualog⁡(b/a). E(a)=\frac{U}{a\log(b/a)}. U,bU,b 一定でこれを最小にするには,alog⁡(b/a)a\log(b/a) を最大にすればよい。 dda{alog⁡(b/a)}=log⁡(b/a)−1 \frac{d}{da}\{a\log(b/a)\}=\log(b/a)-1 より a=be. a=\frac{b}{e}.
  3. 点電荷は円形コイル上のどの点からも距離 R2+h2\sqrt{R^2+h^2} にあるので,点電荷がコイル上につくる電位は VQ=Q14πε0R2+h2. V_Q=\frac{Q_1}{4\pi\varepsilon_0\sqrt{R^2+h^2}}. 接地されたコイルの全電位は 00 である。誘起電荷が −Q0-Q_0 で,コイルの自己容量が CC なら VQ−Q0C=0. V_Q-\frac{Q_0}{C}=0. したがって C=4πε0Q0R2+h2Q1. C=\frac{4\pi\varepsilon_0 Q_0\sqrt{R^2+h^2}}{Q_1}.

最終答

∮SE⋅n dS=Qε0,E(r)=λ2πε0r,U′=λ24πε0log⁡ba, \oint_S\mathbf{E}\cdot\mathbf{n}\,dS=\frac{Q}{\varepsilon_0},\quad E(r)=\frac{\lambda}{2\pi\varepsilon_0 r},\quad U'=\frac{\lambda^2}{4\pi\varepsilon_0}\log\frac{b}{a}, C′=2πε0log⁡(b/a),a=be,C=4πε0Q0R2+h2Q1. C'=\frac{2\pi\varepsilon_0}{\log(b/a)},\qquad a=\frac{b}{e},\qquad C=\frac{4\pi\varepsilon_0 Q_0\sqrt{R^2+h^2}}{Q_1}.

第2問 — 共振回路と変圧器

直列共振

電流最大条件はインピーダンスの虚部が消えることに対応する。共振時に電源電圧は抵抗にだけかかるが,LL と CC には互いに逆位相の大きな電圧が発生し得る。

変圧器の反映インピーダンス

二次側ループ方程式から二次電流を消去すると,ω2M2/Zs \omega^2M^2/Z_s が一次側に直列に現れる。符号は j2=−1j^2=-1 と二次側電流の向きで混乱しやすいが,標準的な反映インピーダンスとして正の形に整理される。

LCステップ応答

抵抗がないのでエネルギーは電源・インダクタ・キャパシタの間で交換される。キャパシタ電圧が一時的に電源電圧の2倍になるのは,インダクタに蓄えられたエネルギーがさらにキャパシタへ移るためである。

共振回路と変圧器の途中式・最終答をPDFで見る

第3問 — 論理式の簡単化

共通因子でまとめる

第1問は分配法則で x1x2‾x_1\overline{x_2} をくくるだけでよい。最後に x3‾+x3=1\overline{x_3}+x_3=1 を使うため,補元律を見落とさないことが重要である。

カルノー図のまとめ方

カルノー図では大きな長方形を優先する。第2問では x1x3‾x_1\overline{x_3} と x2‾x4\overline{x_2}x_4 の二つの2リテラル項にまとめられるため,元の積和形より大幅に簡単になる。

積和形にこだわらない

第3問は積和形のまま実装すると多入力項を作るためゲート数が増える。積の和ではなく (x1‾+x3)(x2+x4‾) (\overline{x_1}+x_3)(x_2+\overline{x_4}) という積和の双対形に直すと,2入力ゲートだけで5個に抑えられる。

論理式の簡単化の途中式・最終答をPDFで見る

第4問 — 二分探索木

挿入規則

この問題の規則では,根の要素は左部分木の各要素より大きく,右部分木の各要素以下である。したがって,小さい値は左,大きい値または等しい値は右へ進めばよい。

先行順と幅優先

再帰関数は「根,左,右」の順なので先行順走査である。一方,待ち行列は先に入れた部分木から処理するため,同じ深さの節点を左から右へ処理する幅優先探索になる。

スタックで再帰を再現する

再帰呼び出しは暗黙にスタックを使っている。明示的なスタックで同じ順序を作るには,処理したい順序と逆順に push する点が典型的な注意点である。

二分探索木の途中式・最終答をPDFで見る

第5問 — Drude模型とHall効果

Drude方程式

散乱により平均運動量は時間 τ\tau で失われるので,定常状態では外力による運動量供給と散乱による損失が釣り合う。この釣り合いが mv/τ=F m\mathbf{v}/\tau=\mathbf{F} に相当する。

電子の符号

電流密度は電子の速度と逆向きである。J=−nev\mathbf{J}=-ne\mathbf{v} を入れ忘れると Hall 電場の符号が逆になる。符号は端子番号の取り方にも依存するため,答案では座標方向を明示しておくとよい。

Hall電圧

横方向に電流が流れない条件で,Lorentz 力を打ち消す横電場が生じる。これは Jy=0J_y=0 として EyE_y を評価することで得られる。Hall電圧はキャリア密度 nn に反比例し,磁束密度と主電流密度に比例する。

Drude模型とHall効果の途中式・最終答をPDFで見る

第6問 — 正則関数と対角化

三角関数の正則性

sin⁡z\sin z を実部・虚部に分けると,Cauchy--Riemann 関係式を直接確認できる。指数関数表示を知っていれば全関数であることはすぐ分かるが,設問では定理を使う指定なので偏微分で示すのが安全である。

調和共役

x3−3xy2x^3-3xy^2 は z3z^3 の実部である。Cauchy--Riemann 方程式から虚部を積分しても同じく 3x2y−y33x^2y-y^3 が得られ,虚定数だけが不定に残る。

対角化の利点

AnA^n を直接掛け算で求めるのは現実的でない。固有ベクトルを列に持つ PP で対角化すれば,べき乗は対角成分を nn 乗するだけで済む。

正則関数と対角化の途中式・最終答をPDFで見る

東北大 基礎・専門科目 院試 過去問の収録6年度

  • 2026年3月(全6問)

    電磁誘導 / 二端子対回路 / 全加算器とMUX

  • 2025年8月(全6問)

    平面電磁波の反射と透過 / 線路負荷と過渡応答 / JKフリップフロップ

  • 2025年3月(全6問)

    平行導体と接地平板 / 無損失伝送線路 / 3値入力論理

  • 2024年8月(このページ・全6問)

    静電界と静電容量 / 共振回路と変圧器 / 論理式の簡単化

  • 2024年3月(全12問)

    中空円筒導体とポインティングベクトル / 交流回路と結合インダクタ / 多数決関数と中立関数

  • 2023年8月(全12問)

    同心球導体の電界と静電容量 / 並列交流回路と結合インダクタ / リード・マラー標準形