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静岡大学 院試 過去問 解答例

静岡大 総合科学技術研究科 理学専攻 数学コース 数学 2023年第2回募集 院試 過去問 解答例・解説(全4問)

全4問。英語1問・線形代数1問・微分積分・解析1問。テーマタグは2件(固有値・固有ベクトル・一様収束)。

最終更新:

収録5年度分の解答PDF:静岡大学 総合科学技術研究科 理学専攻 数学コース 数学(¥3,200・紙面見本あり)

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解説4問と大問1問の途中式・最終答(全4問)
解答PDFに収録
途中式と最終答(最終答つき3問)
問題本文
非収録

静岡大 数学 2023年第2回募集 院試 過去問の出題内容(全4問)

この4問の分野は英語1問・線形代数1問・微分積分・解析1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問英語英語証明問題英文証明の骨格 / 連続性の証明—
第2問微分積分・解析解析(1) 差分から数列本体を見る / (2) 一様収束と一様連続あり
第3問線形代数—固有多項式の規約 / 相似変換で変わらないものあり
第4問—位相部分空間としての と の違い / 連続単射が存在しない理由あり

2023年第2回募集の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度

この年度は2問に2テーマが出ています。

前年度(2023年第1回募集)との違い

大問数
2023年第1回募集 4問 → 2023年第2回募集 4問
2023年第2回募集で新しく出たテーマ
固有値・固有ベクトル・一様収束
2023年第1回募集のページを見る

第1問 — 英語証明問題

英文証明の骨格

この問題は内容そのものよりも、数学的な証明を英文で自然に書けるかを見ている。論理記号を使わない条件があるので、``Let'', ``Take'', ``Since'', ``Therefore'' で量化と含意を文章化するのが安全である。

連続性の証明

合成関数の連続性では、外側の関数 ff で使う許容量を先に決める。ff の連続性から g(x)g(x) が g(a)g(a) に十分近ければよいことが分かり、その近さを gg の連続性で保証する、という順序である。英文では ``Since ff is continuous at g(a)g(a)'' と書き始めると、次に必要な η\eta が自然に出る。

逆像と像の証明

f(f−1(B))⊂Bf(f^{-1}(B))\subset B は全射性を使わない。f−1(B)f^{-1}(B) に入るという条件が、すでに「写した先が BB に入る」ことを意味しているからである。一方、逆向きの包含では、BB の元 yy を XX の元から写して作る必要があり、ここで全射性を使う。どちらの包含をどの仮定で示しているかを分けて書くと減点されにくい。

英語証明問題の途中式・最終答をPDFで見る

第2問 — 解析

(1) 差分から数列本体を見る

an+1−ana_{n+1}-a_n の極限が与えられているときは、望遠和で ana_n を差分の和に戻す。結論は Cesaro 平均の基本事実であり、a1/na_1/n が消えることも忘れずに書く必要がある。 「差分が α\alpha に近い項がほとんどを占め、最初の有限個は平均では消える」という説明を入れると、単に定理名だけを書くより答案として強い。

(2) 一様収束と一様連続

各 fnf_n が一様連続であるだけでは、δ\delta が nn に依存してよい。しかし一様収束しているので、まず一つの fNf_N に固定してから、その fNf_N の一様連続性を使えばよい。三角不等式で誤差を三つに分けるため、ε/3\varepsilon/3 が自然に現れる。

(3) 極値判定と大域的な確認

臨界点をすべて列挙して Hessian で判定するのが標準的である。極小値については F(x,y)=(x2+y2−2)2+3(x2−y2)24 F(x,y)=\frac{(x^2+y^2-2)^2+3(x^2-y^2)^2}{4} とも書けるので、F≥0F\ge 0 が確認できる。この形からも、最小値 00 は x2=y2=1x^2=y^2=1 のときに限ることが分かる。 一方、FF は4次の正の主部をもつため上には有界でない。問題文が「極大・極小」を局所的な意味で問うているか、大域的な最大最小を問うているかを答案中で区別しておくと誤読を避けられる。

(4) 領域変換

被積分関数が x−yx-y だけに依存しているため、z=x−yz=x-y と置くのが最短である。答案では変数変換後の領域を明記することが重要で、0≤z≤10\le z\le 1 と 0≤y≤1−z0\le y\le 1-z が出れば、その後は一次元積分に落ちる。 三角領域を縦に積分すると、固定した zz に対して yy の長さが 1−z1-z になる。この長さが重みとして出てくる、という幾何的な見方を持つと積分順序を間違えにくい。

解答

  1. bn=an+1−anb_n=a_{n+1}-a_n とおく。仮定より bn→αb_n\to \alpha である。 n≥2n\ge 2 について an=a1+∑k=1n−1(ak+1−ak)=a1+∑k=1n−1bk a_n=a_1+\sum_{k=1}^{n-1}(a_{k+1}-a_k) =a_1+\sum_{k=1}^{n-1}b_k だから ann=a1n+n−1n⋅1n−1∑k=1n−1bk. \frac{a_n}{n} =\frac{a_1}{n}+\frac{n-1}{n}\cdot \frac{1}{n-1}\sum_{k=1}^{n-1}b_k . 収束列の Cesaro 平均も同じ極限に収束するので 1n−1∑k=1n−1bk⟶α. \frac{1}{n-1}\sum_{k=1}^{n-1}b_k\longrightarrow \alpha . 念のためこの事実を ε\varepsilon で確認しておく。ε>0\varepsilon>0 に対し ∣bk−α∣<ε|b_k-\alpha|<\varepsilon となる k≥Kk\ge K を取れば、 ∣1n−1∑k=1n−1bk−α∣≤1n−1∑k=1K−1∣bk−α∣+n−Kn−1ε \left| \frac{1}{n-1}\sum_{k=1}^{n-1}b_k-\alpha \right| \le \frac{1}{n-1}\sum_{k=1}^{K-1}|b_k-\alpha| +\frac{n-K}{n-1}\varepsilon であり、有限個の初項の寄与は n→∞n\to\infty で消える。 また a1/n→0a_1/n\to 0 かつ (n−1)/n→1(n-1)/n\to 1 である。したがって lim⁡n→∞ann=α \lim_{n\to\infty}\frac{a_n}{n}=\alpha である。
  2. ε>0\varepsilon>0 を任意に取る。fnf_n は ff に一様収束するから、ある NN が存在して、すべての x∈Rx\in\mathbb{R} で ∣fN(x)−f(x)∣<ε3 |f_N(x)-f(x)|<\frac{\varepsilon}{3} が成り立つ。fNf_N は R\mathbb{R} で一様連続なので、ある δ>0\delta>0 が存在して、∣x−y∣<δ|x-y|<\delta ならば ∣fN(x)−fN(y)∣<ε3 |f_N(x)-f_N(y)|<\frac{\varepsilon}{3} となる。ここで NN は一つに固定されており、δ\delta は x,yx,y に依存しない。 このとき ∣x−y∣<δ|x-y|<\delta ならば ∣f(x)−f(y)∣≤∣f(x)−fN(x)∣+∣fN(x)−fN(y)∣+∣fN(y)−f(y)∣<ε. \begin{aligned} |f(x)-f(y)| &\le |f(x)-f_N(x)|+|f_N(x)-f_N(y)|+|f_N(y)-f(y)| \\ &<\varepsilon . \end{aligned} よって ff は R\mathbb{R} で一様連続である。
  3. F(x,y)=x4−x2y2+y4−x2−y2+1 F(x,y)=x^4-x^2y^2+y^4-x^2-y^2+1 と書く。偏導関数は Fx=2x(2x2−y2−1),Fy=2y(2y2−x2−1) F_x=2x(2x^2-y^2-1),\qquad F_y=2y(2y^2-x^2-1) である。臨界点は (0,0),(±12,0),(0,±12),(±1,±1) (0,0),\quad \left(\pm\frac{1}{\sqrt2},0\right),\quad \left(0,\pm\frac{1}{\sqrt2}\right),\quad (\pm 1,\pm 1) である。 実際、x=0x=0 なら Fy=2y(2y2−1)F_y=2y(2y^2-1) から y=0,±1/2y=0,\pm1/\sqrt2、同様に y=0y=0 なら x=0,±1/2x=0,\pm1/\sqrt2 である。xy≠0xy\ne0 の場合は 2x2−y2−1=0,2y2−x2−1=0 2x^2-y^2-1=0,\qquad 2y^2-x^2-1=0 を引いて x2=y2x^2=y^2、したがって x2=y2=1x^2=y^2=1 を得る。 Hessian は H=(12x2−2y2−2−4xy−4xy12y2−2x2−2) H= \begin{pmatrix} 12x^2-2y^2-2 & -4xy\\ -4xy & 12y^2-2x^2-2 \end{pmatrix} である。(0,0)(0,0) では H=−2IH=-2I だから狭義の極大点で、値は F(0,0)=1F(0,0)=1 である。 (±1/2,0)\left(\pm1/\sqrt2,0\right) および (0,±1/2)\left(0,\pm1/\sqrt2\right) では Hessian の行列式が負なので鞍点である。 (±1,±1)(\pm1,\pm1) では H=(8−4xy−4xy8),det⁡H=48>0,H11=8>0 H= \begin{pmatrix} 8 & -4xy\\ -4xy & 8 \end{pmatrix}, \qquad \det H=48>0,\quad H_{11}=8>0 であるから狭義の極小点で、値は F(±1,±1)=0F(\pm1,\pm1)=0 である。 したがって局所極大値は 11、局所極小値は 00 である。なお F(x,y)→∞F(x,y)\to\infty (∣(x,y)∣→∞)(|(x,y)|\to\infty) なので、ここでの「極大」は大域最大値ではない。
  4. 変数変換 z=x−y,y=y z=x-y,\qquad y=y を用いる。このとき x=z+yx=z+y であり、Jacobian は 11 である。領域条件 0≤y≤x≤1 0\le y\le x\le 1 は 0≤z≤1,0≤y≤1−z 0\le z\le 1,\qquad 0\le y\le 1-z と同値である。したがって ∬Df(x−y) dx dy=∫01∫01−zf(z) dy dz=∫01(1−z)f(z) dz. \begin{aligned} \iint_D f(x-y)\,dx\,dy &=\int_0^1\int_0^{1-z} f(z)\,dy\,dz \\ &=\int_0^1 (1-z)f(z)\,dz . \end{aligned}

最終答

(1) lim⁡n→∞an/n=α\displaystyle\lim_{n\to\infty}a_n/n=\alpha。(2) ff は一様連続。(3) 極大値 11 は (0,0)(0,0)、極小値 00 は (±1,±1)(\pm1,\pm1) で取る。(4) 変数変換 z=x−yz=x-y により示される。

第3問 — 線形代数

固有多項式の規約

ここでは fA(x)=det⁡(xI−A)f_A(x)=\det(xI-A) としている。この規約なら固有方程式は fA(x)=0f_A(x)=0 であり、上三角行列では対角成分から直接 fA(x)=∏i(x−αi) f_A(x)=\prod_i(x-\alpha_i) が得られる。別規約 det⁡(A−xI)\det(A-xI) を使うと符号が混乱しやすいので、最初に定義を明記するのが安全である。

相似変換で変わらないもの

相似な行列は同じ線形変換を別の基底で表したものなので、固有多項式は変わらない。計算上は xI−P−1AP=P−1(xI−A)P xI-P^{-1}AP=P^{-1}(xI-A)P と挟み込むだけでよい。行列式では det⁡(P−1)det⁡(P)=1\det(P^{-1})\det(P)=1 が効く。

三角化の使いどころ

複素数体上では任意の正方行列を上三角化できる。上三角化すると、固有値に関する問題は対角成分の問題に落ちる。AmA^m や A2A^2 の固有多項式を求める設問では、この事実を使うと Jordan 標準形まで持ち出さずに済む。

具体行列の検算

固有値 22 は代数的重複度 22 をもつが、固有空間も2次元である。固有値の重複度と固有空間の次元は常に一致するわけではないため、最後は必ず連立一次方程式を解いて固有空間を確認する。

線形代数の途中式・最終答をPDFで見る

第4問 — 位相

部分空間としての ZZ と QQ の違い

ZZ では隣の整数まで距離が 11 あるため、半径 1/21/2 の開区間で一点だけを切り出せる。これに対して QQ では、どの有理数のどれほど近くにも別の有理数がある。どちらも R\mathbb{R} の部分空間だが、誘導される位相の性質は大きく異なる。

連続単射が存在しない理由

ZZ が離散空間であることを使うと、ZZ の一点集合は開である。連続写像でその逆像を取ると QQ の開集合になる。単射なら逆像が QQ の一点集合になってしまい、(2) と矛盾する。この流れは、位相の問題で「離散空間への連続写像」と「一点集合の開性」を結びつける典型である。

商空間と円周

R/∼Z\mathbb{R}/\sim_Z は、実数直線で整数だけずれた点を同一視する空間である。これは長さ 11 の区間の両端を貼り合わせる操作に対応し、幾何的には円になる。厳密には t↦(cos⁡2πt,sin⁡2πt)t\mapsto(\cos2\pi t,\sin2\pi t) が同一視とちょうど整合することを示せばよい。 商集合上の写像を定義するときは、代表元を変えても値が変わらないことを必ず確認する。さらに「連続全単射」だけでは一般に同相とは限らないため、ここでは定義域のコンパクト性と値域 S1S^1 の Hausdorff 性を明記するのが要点である。

R/∼Q\mathbb{R}/\sim_Q が T1T_1 でないこと

一点集合が閉でないことは、この商空間が T1T_1 空間でないことを意味する。原因は同値類 x+Qx+\mathbb{Q} が R\mathbb{R} で稠密になる点にある。稠密な同値類を一点につぶすため、商空間では一点を閉集合として分離できない。 逆像 x+Qx+\mathbb{Q} は稠密だが全体ではないので、閉包は R\mathbb{R}、集合自身は真部分集合である。この「稠密だが閉でない」という事実を商写像の連続性と組み合わせるのが最短の証明である。

位相の途中式・最終答をPDFで見る

静岡大 数学 院試 過去問の収録5年度