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静岡大学 院試 過去問 解答例

静岡大 総合科学技術研究科 理学専攻 数学コース 数学 2023年第1回募集 院試 解答例・解説

静岡大学 総合科学技術研究科 理学専攻 数学コース 数学 2023年第1回募集の院試 過去問について、設問ごとの解法方針と確認点を解説。全4問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。

最終更新:

設問ごとの解法方針と確認点を公開しています。

続きの途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。

1 — 英語による証明

英語答案の構造

この問題では結論そのものよりも,英文で証明を組み立てられるかが見られている。 (1) では和の極限定理を引用せず,ε\varepsilon を任意に取って,それぞれの収束から ε/2\varepsilon/2 評価を作る。最後に三角不等式でまとめれば,論理の流れが自然な英文になる。

論理記号を避ける書き方

指定に合わせるには,``for every'' や ``there is'' を文章で書き, ,,,\forall,\exists,\land,\lor のような論理記号を使わないようにする。 上の答案では数式の不等号や写像の合成記号は使っているが,証明の量化と推論は英文で表している。

合成写像の単射性と全射性

(2) の単射性は「f(x)=f(x)f(x)=f(x') なら,合成写像で同じ値になる」ことから従う。 全射性は「任意の zZz\in Z が合成写像の値として表せる」ことを使い,その途中の値 f(x)f(x)YY の元として取り直すのが要点である。ff の全射性や gg の単射性までは 一般には出ないので,必要な向きだけを正確に示す。

続きの解答(途中式・最終答)はPDFに収録

2 — 解析

部分列条件の使い方

(1) は「収束しない」ことを,α\alpha から一定以上離れた項を無限に取れる,という形に直すのが核心である。 そのようにして作った部分列は,どの部分列を取っても α\alpha に近づかないため,仮定と正面から矛盾する。 背理法を要求されているので,この反対仮定と矛盾の位置を明確に書く。

半直線上の一様連続

(2) では無限区間全体でコンパクト性は使えない。そこで遠方では極限値 LL に近いことを使い, 有限部分 [0,R+1][0,R+1] では Heine--Cantor の定理を使う。境目をまたぐ場合に備えて δ1\delta\le1 としておくと,一方が RR 未満なら他方も [0,R+1][0,R+1] に入る。

内接三角形の面積表示

(3) の面積公式は,三角形を原点と各辺でできる三つの三角形に分けると得られる。 半径 11 の二つの半径が中心角 θ\theta をなす部分の符号付き面積は 12sinθ\frac12\sin\theta である。三つの弧の中心角を変数にすると,制約条件が x+y+z=2πx+y+z=2\pi だけになる。

三角形最大化の落とし穴

単に S/x=S/y=0\partial S/\partial x=\partial S/\partial y=0 を解く方法では, cosx=cos(x+y)\cos x=\cos(x+y) から出る場合分けと,境界で最大を取らないことの確認を落としやすい。 ここでは sinx+siny+sinz=4sinx2siny2sinz2 \sin x+\sin y+\sin z =4\sin\frac{x}{2}\sin\frac{y}{2}\sin\frac{z}{2} に直してから logsinu\log\sin u の凹性を使うと,内部の候補だけでなく大域的な上界まで同時に示せる。 境界では少なくとも一つの半角の正弦が 00 に近づくので,正の最大値 33/43\sqrt3/4 は内部の等号条件でのみ実現される。

積分領域の読み替え

(4) は特殊関数を使って内側の積分を先に計算しようとすると遠回りになる。 領域は 0t1, t2x10\le t\le1,\ t^2\le x\le1 であり,順序を変えると 0x1, 0tx0\le x\le1,\ 0\le t\le\sqrt{x} となる。先に tt で積分すれば 12xex2\frac12 x e^{-x^2} が現れ,初等的に計算できる。

続きの解答(途中式・最終答)はPDFに収録

3 — 線形代数

左逆行列が意味すること

AB=EmAB=E_m は,写像で見ると TBT_B の後に TAT_A を施すと Rm\mathbb{R}^m に戻るという意味である。したがって TAT_A は少なくとも Rm\mathbb{R}^m 全体に届き,TBT_BRm\mathbb{R}^m の情報を潰さない。 この直観が (ii), (iii), (iv) の証明を支えている。

合成の順序を取り違えない

仮定は AB=EmAB=E_m であり,そこから言えるのは TATB=idRm T_A\circ T_B=\operatorname{id}_{\mathbb{R}^m} である。一般には BA=EnBA=E_n とは限らないので, TBTAT_B\circ T_A も恒等写像だと書くのは誤りである。この違いが次元の結論にも反映され, ここで従うのは mnm\le n であって,逆向きの不等式ではない。

生成系は前へ,一次独立系は後ろへ運ぶ

(ii) では yRmy\in\mathbb{R}^m をいったん TB(y)RnT_B(y)\in\mathbb{R}^n に持ち上げ, Rn\mathbb{R}^n の生成系で展開してから TAT_A で戻す。 (iii) では逆に,TB(yi)T_B(y_i) の一次関係式に TAT_A をかけて,もとの yiy_i の一次関係式へ戻す。このように「どちらの空間で既知の仮定を使うか」を先に見ると迷いにくい。

正方行列で単射と全射が一致する理由

(3) は有限次元,しかも同じ次元から同じ次元への線形写像であることが重要である。 単射なら核が 00 なので列が一次独立,全射なら列が全空間を生成する。 正方行列では,列が一次独立であることと列が全空間を生成することがどちらも階数 mm を意味し, 正則性と一致する。 長方行列では単射と全射は同値ではないため,この問題では CCmm 次正方行列であることを 証明中で明示しておく必要がある。

続きの解答(途中式・最終答)はPDFに収録

4 — 位相

開被覆で証明する問題

(1) と (2) は開被覆によるコンパクト性の定義をそのまま使う。 (1) は「有限部分被覆を二つ取って合わせる」だけでよい。 (2) は補集合を取ると増大する開集合列になるため,有限部分被覆を取った後は最大添字だけを見ればよい。

距離空間での点列化

(3) の前半では,収束部分列を持たない点列から,点列の項を有限個しか含まない近傍を各点で作る。 これらが有限個で全空間を覆うと,点列全体の項数が有限になってしまう,という矛盾を使う。

逆向きで必要な二つの補題

点列コンパクト性から開被覆コンパクト性を出すには,全有界性と Lebesgue 数型の性質を示すのが標準的である。 全有界でないと互いに一定距離以上離れた点列が作れ,収束部分列を持てない。 また Lebesgue 数型の性質がないと,開被覆のどの一要素にも入らない小球を並べられ,その中心の収束部分列から矛盾が出る。

積空間は部分列を二段階で取る

(4) は (3) を利用すると短い。まず XX 成分を収束させ,その添字列に沿って YY 成分をさらに収束させる。 二度目に部分列を取っても,すでに収束していた XX 成分の極限は変わらない。 積距離では二つの成分がそれぞれ収束すれば組も収束するため,点列コンパクト性が従う。

続きの解答(途中式・最終答)はPDFに収録

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