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静岡大 総合科学技術研究科 情報学専攻 情報科学 2022年度 院試 過去問 解答例・解説(全5問)

全5問の分野は数学1問です。テイラー展開、ラグランジュの未定乗数法、最尤推定などが出ています。2021年度と共通するテーマは動的計画法です。解説はすべて、途中式と最終答は大問1問ぶんを公開しています。残りは解答PDFに収録しています。問題本文は含みません。

最終更新:

第1問 — 数学・数理系

採点観点

平面の角度では、平面上の点ではなく法線ベクトルを使うことを明記する。連立一次方程式では、行基本変形の途中式を残し、最後に元の3式へ代入して確認できる形にする。

勾配は各変数で偏微分するだけだが、hh の第1成分で ∂(−3x1x22)/∂x1=−3x22\partial(-3x_1x_2^2)/\partial x_1=-3x_2^2 を落としやすい。 マクローリン展開では、log⁡(1+x2)\log(1+x^2) は xx ではなく x2x^2 を代入しているため、奇数次の項が現れない。

典型ミス

cos⁡θ\cos\theta で絶対値を付け忘れると、平面の鋭角としての角度と合わない場合がある。本問では内積が正なので値は変わらないが、答案には平面の角をどう定義したかを書いておくと安全である。

問3では、内側の極限と外側の極限の順序を入れ替えてはいけない。先に n→∞n\to\infty を取ることで、cos⁡(m!πx)\cos(m!\pi x) が ±1\pm1 かどうかだけが残る。無理数の場合に「m!xm!x は整数でない」と書くことが、∣cos⁡(m!πx)∣<1|\cos(m!\pi x)|<1 を保証する要点である。

確認

連立一次方程式の解を代入すると 3⋅15+2⋅115−1=4,7⋅15+8⋅115+9(−1)=10,5⋅15+5⋅115+6(−1)=6. 3\cdot\frac15+2\cdot\frac{11}{5}-1=4,\quad 7\cdot\frac15+8\cdot\frac{11}{5}+9(-1)=10,\quad 5\cdot\frac15+5\cdot\frac{11}{5}+6(-1)=6. すべて成り立つので、掃き出しの計算結果と整合している。

解答

問1:平面の角度

2つの平面の法線ベクトルを n1=(1,−1,1),n2=(2,1,3) \boldsymbol n_1=(1,-1,1),\qquad \boldsymbol n_2=(2,1,3) とおく。平面のなす角は法線ベクトルのなす角で求めればよいので、 n1⋅n2=1⋅2+(−1)⋅1+1⋅3=4, \boldsymbol n_1\cdot\boldsymbol n_2 =1\cdot2+(-1)\cdot1+1\cdot3=4, ∥n1∥=12+(−1)2+12=3,∥n2∥=22+12+32=14. \|\boldsymbol n_1\|=\sqrt{1^2+(-1)^2+1^2}=\sqrt3,\qquad \|\boldsymbol n_2\|=\sqrt{2^2+1^2+3^2}=\sqrt{14}. したがって cos⁡θ=∣n1⋅n2∣∥n1∥ ∥n2∥=442. \cos\theta= \frac{|\boldsymbol n_1\cdot\boldsymbol n_2|} {\|\boldsymbol n_1\|\,\|\boldsymbol n_2\|} =\frac{4}{\sqrt{42}}.

問1:連立一次方程式

拡大係数行列に対して掃き出しを行う。 [3214789105566]→R2←3R2−7R1, R3←3R3−5R1[32140102020513−2]→R2←R2/2[3214051010513−2]→R3←R3−R2[321405101003−3]. \begin{aligned} \left[ \begin{array}{ccc|c} 3&2&1&4\\ 7&8&9&10\\ 5&5&6&6 \end{array} \right] &\xrightarrow{R_2\leftarrow 3R_2-7R_1,\ R_3\leftarrow 3R_3-5R_1} \left[ \begin{array}{ccc|c} 3&2&1&4\\ 0&10&20&2\\ 0&5&13&-2 \end{array} \right] \\ &\xrightarrow{R_2\leftarrow R_2/2} \left[ \begin{array}{ccc|c} 3&2&1&4\\ 0&5&10&1\\ 0&5&13&-2 \end{array} \right] \\ &\xrightarrow{R_3\leftarrow R_3-R_2} \left[ \begin{array}{ccc|c} 3&2&1&4\\ 0&5&10&1\\ 0&0&3&-3 \end{array} \right]. \end{aligned} よって z=−1z=-1。第2行から 5y+10z=15y+10z=1 であるから 5y−10=1,y=115. 5y-10=1,\qquad y=\frac{11}{5}. 第1行に戻して 3x+2⋅115−1=4⟹3x=35,x=15. 3x+2\cdot\frac{11}{5}-1=4 \quad\Longrightarrow\quad 3x=\frac35,\qquad x=\frac15.

問2:勾配

∇f=(1,1), \nabla f=(1,1), ∇g=(6x1,−8x2), \nabla g=(6x_1,-8x_2), ∇h=(3x12−3x22, −6x1x2). \nabla h= \left(3x_1^2-3x_2^2,\,-6x_1x_2\right).

問2:マクローリン展開

幾何級数、対数関数、正接関数の標準展開を用いる。 21−2x=2∑k=0∞(2x)k=2+4x+8x2+16x3+32x4+O(x5). \frac{2}{1-2x} =2\sum_{k=0}^{\infty}(2x)^k =2+4x+8x^2+16x^3+32x^4+O(x^5). log⁡(1+x2)=x2−x42+O(x6). \log(1+x^2) =x^2-\frac{x^4}{2}+O(x^6). tan⁡x=x+x33+O(x5). \tan x=x+\frac{x^3}{3}+O(x^5). x4x^4 まで書くという指定では、tan⁡x\tan x の x2,x4x^2,x^4 係数は 00 である。

問3:有理数判定型の関数

固定した mm に対して am(x)=lim⁡n→∞cos⁡2n(m!πx) a_m(x)=\lim_{n\to\infty}\cos^{2n}(m!\pi x) とおく。もし cos⁡(m!πx)=±1\cos(m!\pi x)=\pm1 ならば am(x)=1a_m(x)=1 である。一方、 ∣cos⁡(m!πx)∣<1|\cos(m!\pi x)|<1 ならば偶数乗は 00 に収束するので am(x)=0a_m(x)=0 である。

x=p/q∈Qx=p/q\in\mathbb Q と既約分数で表す。m≥qm\ge q ならば q∣m!q\mid m! だから m!x=m!pq∈Z. m!x=\frac{m!p}{q}\in\mathbb Z. したがって cos⁡(m!πx)=±1\cos(m!\pi x)=\pm1 となり、十分大きい mm では常に am(x)=1a_m(x)=1 である。よって lim⁡m→∞am(x)=1. \lim_{m\to\infty}a_m(x)=1.

次に x∉Qx\notin\mathbb Q とする。このとき任意の整数 mm について m!xm!x も無理数であり、整数にはならない。したがって cos⁡(m!πx)≠±1\cos(m!\pi x)\ne\pm1 で、各 mm について am(x)=0a_m(x)=0 である。よって lim⁡m→∞am(x)=0. \lim_{m\to\infty}a_m(x)=0.

最終答

cos⁡θ=4/42\cos\theta=4/\sqrt{42}、連立方程式の解は (x,y,z)=(1/5,11/5,−1)(x,y,z)=(1/5,11/5,-1)。勾配と展開は本文の式の通り。 最後の関数は x∈Qx\in\mathbb Q で 11、x∉Qx\notin\mathbb Q で 00 である。

第2問 — ソフトウェア系

採点観点

GMMでは、単純に全データの平均と分散を書くのではなく、各成分への所属の度合い γlm\gamma_{lm} で重み付けする点が中心である。導出式では、責任度、NmN_m、平均、共分散、重み制約の関係がつながっていれば十分に説明できている。

音声認識の説明では、Forwardは全経路の和、Viterbiは最良経路の最大値、ベイズ式では音響モデルが P(X∣W)P(X\mid W)、言語モデルが P(W)P(W) を与える、と対応を明示することが重要である。

典型ミス

Viterbi計算では、出力確率を掛けるタイミングを抜かしやすい。また、終端状態への遷移を含めるかどうかで最後の数値が変わる。図に終端状態がある場合は、完全な経路確率として終端遷移まで掛けるのが自然である。

スタックの実装では、nn を「現在の最上段」ではなく「次に入れる添字」として解釈するのがポイントである。この解釈なら、pushは格納してから増やし、popは減らしてから読む。

計算量の考察

ランダムなデータでは、バブルソート、選択ソート、挿入ソートはいずれも主な比較回数が2次オーダーになる。ただし選択ソートは交換回数が高々 n−1n-1 回で、挿入ソートは反転数に比例して交換が起こる。

大部分が整列済みのデータでは、挿入ソートは反転している箇所だけを局所的に直せるため有利である。一方、この形のバブルソートは早期終了判定がない限り比較回数が2次のままで、選択ソートも最小値探索を毎回行うため比較回数は2次のままである。

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第3問 — ハードウェア系

採点観点

固定小数点は、小数点を含む見た目で直接読むより、まず「64倍された符号付き整数」と見なす方が安全である。負数の変換では、16ビット全体を2の補数として扱ってから64で割る。

順序回路は、状態遷移図をそのまま回路にしようとせず、まず真理値表に落とす。真理値表から D0D_0 が単に x‾\overline{x} になることに気づくと、回路が大きく簡単になる。

典型ミス

固定小数点の整数部だけを2の補数として読み、小数部を別に符号なしで足すと負数の値を誤る。2の補数は16ビット全体に対して成立している。

順序回路では、検出時の出力が次状態ではなく「現在状態と入力」に依存するMealy型である点に注意する。したがって zz は D1,D0D_1,D_0 ではなく x,Q1,Q0x,Q_1,Q_0 の関数として求める。

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第4問 — OSとネットワーク

採点観点

OSコールの論述では、「戻れる」「機能を選べる」に加えて「特権モードへ安全に入る」を書くことが高得点の軸である。CPUが何を保存し、どこへ分岐し、どう復帰するかを動作順に説明すると、(A)から(C)の対応が明確になる。

仮想化の論述では、単に便利であると書くのではなく、固定長ブロック、無限または独占に見せる仕組み、装置固有手続きの隠蔽を、それぞれ具体例へ結びつける。

典型ミス

フロー制御と輻輳制御をどちらも「速度を落とす」とだけ書くと区別が弱い。受信側バッファが理由ならフロー制御、ネットワーク内部のキューやリンクが理由なら輻輳制御である。

回線利用率では、分子は実際にデータフレームを送っている時間 L/bL/b であり、分母はACKを待って次に送れるまでの周期である。ACKのサイズを無視しても、伝播遅延と受信処理時間は分母に残る。

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第5問 — ヒューマンサイエンス系

採点観点

表情分類の答案では、単に「AIが間違う」と書くのではなく、文化差、教師ラベル、交絡特徴、公平性、プライバシーを具体的に結びつけると説得力が出る。改善策は、モデル名だけでなく、要件定義、データ設計、評価設計、運用設計まで含める。

データ・情報・知識の定義では、人の認知的関与の度合いが増える順に整理する。データは記録、情報は解釈、知識は構造化と利用、という対応を明確にするとよい。

典型ミス

感情分類の問題を「国別に学習すればよい」だけで終えると、ラベルの信頼性や運用時の誤分類リスクが残る。分類保留、人手確認、属性別評価を入れると、システム設計としての粒度になる。

情報伝達の問題では、Aが嘘をついたという説明だけでは不足する。知覚、記憶、符号化、伝送、復号、文脈照合、知識更新のどこでずれたのかを分けると、3通り以上の過程を自然に説明できる。

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年度別の解答例(8年度)

  • 2026年度(全5問)

    オートマトンと行列式 / 探索・再帰・機械学習 / 数表現と論理回路

  • 2025年度(全5問)

    形式言語と固有値 / 計算量・再帰・学習 / 数表現・PSW・論理簡約

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  • 2020年度(全7問)

    情報科学基礎:数学CS / 情報科学基礎:アルゴリズムとデータ構造 / 情報科学基礎:論理回路と計算機基礎

  • 2019年度(全7問)

    情報科学基礎:数学CS / 情報科学基礎:アルゴリズムとデータ構造 / 情報科学基礎:論理回路と計算機基礎

2022年度の出題内容

全5問

この5問の分野は数学1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問数学数学・数理系採点観点 / 確認あり
第2問—ソフトウェア系採点観点 / 計算量の考察あり
第3問—ハードウェア系採点観点あり
第4問—OSとネットワーク採点観点あり
第5問—ヒューマンサイエンス系採点観点あり

2022年度の解説には典型ミス5件が付いています。

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4テーマ

前年度(2021年度)との違い

大問数
2021年度 5問 → 2022年度 5問
両年度に出たテーマ
動的計画法
2021年度の解答例

静岡大学の公式過去問

公開年度範囲
2019〜2026(CS情報科学。2021〜2026は各1本、2019・2020は情報科学基礎/情報科学の2本構成)
公式の解答例
非公開(問題冊子のみ)
英語の扱い
英語の扱いは募集要項で年度別に確認。公式過去問ページは専門科目PDFをプログラム別に公開。
院試hubの最終確認
2026-07-05
静岡大学の公式過去問PDF