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静岡大 総合科学技術研究科 情報学専攻 情報科学 2026年度 院試 過去問 解答例・解説(全5問)

全5問の分野は情報1問、電磁気学・回路1問です。オートマトン理論、ニューラルネットワーク、機械学習の基礎が出ています。2025年度と共通するテーマはオートマトン理論、機械学習の基礎です。解説はすべて、途中式と最終答は大問1問ぶんを公開しています。残りは解答PDFに収録しています。問題本文は含みません。

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第1問 — オートマトンと行列式

採点観点

非決定性有限オートマトンでは、一つの枝だけを選んで追うのではなく、同じ入力記号で到達できる状態をすべて集合として持つ。最後に受理状態が一つでも残っていれば受理である。この「集合で追う」処理を書けていれば、途中の分岐を見落としていないことが採点者に伝わる。

典型ミス

abab で s2s_2 側だけ、または s3s_3 側だけを追ってしまうと判定を誤る。非決定性は「どれか一つの実行経路が受理状態に到達すれば受理」であるため、到達集合に s3s_3 が含まれるかを見るのが安全である。

確認

Vandermonde 行列式は、二つの行変数が等しいと二行が一致して行列式が 00 になる。そのため (b−a),(c−a),(d−a),(c−b),(d−b),(d−c)(b-a),(c-a),(d-a),(c-b),(d-b),(d-c) がすべて因子になる。全体の次数は 0+1+2+3=60+1+2+3=6 で、上の積も一次因子 6 個からなるため次数も一致する。

解答

問1

状態集合を読むときは、現在到達し得る状態の集合を追跡する。受理状態は s3s_3 なので、入力をすべて読んだ後の到達状態集合に s3s_3 が含まれるかで判定する。

入力到達状態集合の推移判定ab{s1}→a{s2,s3}→b{s2,s3}受理aba{s1}→a{s2,s3}→b{s2,s3}→a{s1,s2}非受理aaba{s1}→a{s2,s3}→a{s1,s2}→b{s1,s3}→a{s1,s2,s3}受理baba{s1}→b{s1}→a{s2,s3}→b{s2,s3}→a{s1,s2}非受理 \begin{array}{c|c|c} \text{入力} & \text{到達状態集合の推移} & \text{判定}\\ \hline ab & \{s_1\}\xrightarrow{a}\{s_2,s_3\}\xrightarrow{b}\{s_2,s_3\} & \text{受理}\\ aba & \{s_1\}\xrightarrow{a}\{s_2,s_3\}\xrightarrow{b}\{s_2,s_3\}\xrightarrow{a}\{s_1,s_2\} & \text{非受理}\\ aaba & \{s_1\}\xrightarrow{a}\{s_2,s_3\}\xrightarrow{a}\{s_1,s_2\} \xrightarrow{b}\{s_1,s_3\}\xrightarrow{a}\{s_1,s_2,s_3\} & \text{受理}\\ baba & \{s_1\}\xrightarrow{b}\{s_1\}\xrightarrow{a}\{s_2,s_3\} \xrightarrow{b}\{s_2,s_3\}\xrightarrow{a}\{s_1,s_2\} & \text{非受理} \end{array}

したがって、(1)は受理、(2)は非受理、(3)は受理、(4)は非受理である。

問2

行列式は、各行が 1,x,x2,x31,x,x^2,x^3 の形で並ぶ Vandermonde 型である。行の変数を a,b,c,da,b,c,d の順に見ると、 det⁡(1aa2a31bb2b31cc2c31dd2d3)=∏1≤i<j≤4(xj−xi) \det \begin{pmatrix} 1&a&a^2&a^3\\ 1&b&b^2&b^3\\ 1&c&c^2&c^3\\ 1&d&d^2&d^3 \end{pmatrix} =\prod_{1\le i<j\le 4}(x_j-x_i) であり、x1=a,x2=b,x3=c,x4=dx_1=a,x_2=b,x_3=c,x_4=d を代入して (b−a)(c−a)(d−a)(c−b)(d−b)(d−c) (b-a)(c-a)(d-a)(c-b)(d-b)(d-c) を得る。各因子は一次式なので、係数体を通常の多項式環と見れば既約因子への分解になっている。

最終答

問1:(1)受理、(2)非受理、(3)受理、(4)非受理。問2: (b−a)(c−a)(d−a)(c−b)(d−b)(d−c)(b-a)(c-a)(d-a)(c-b)(d-b)(d-c)。

第2問 — 探索・再帰・機械学習

採点観点

計算量の問題では、探索だけでなく登録・削除で配列の整列維持が必要かを書くと差がつく。二分探索は探索が速いが、整列済み配列の途中挿入・途中削除では要素移動が支配的になる。

典型ミス

双方向リストでは、q−>nextq->next と q−>prevq->prev を先に設定し、次に周囲のノードから qq へ向け直すと考えると混乱しにくい。p−>prevp->prev を先に qq に変えると、元の値 55 のノードをたどれなくなるので、代入順を考える実装では注意が必要である。

確認

ハノイの塔の回数は移動元・移動先の棒番号には依存しない。棒番号が変わっても、最大円盤以外を一度退避し、最大円盤を一度動かし、退避した円盤群を移動先へ戻すという再帰構造は同じである。

機械学習の確認

ReLU は入力が正のときだけ恒等写像になる。今回の内部値は 2.7>02.7>0 なので出力はそのまま 2.72.7 である。二乗誤差では符号が消えるため、差を 3.1−2.73.1-2.7 と書いても同じ 0.160.16 になる。

探索・再帰・機械学習の途中式・最終答をPDFで見る

第3問 — 数表現と論理回路

採点観点

補数表現では、単に符号ビットを 1 にするだけではない。1 の補数は反転、2 の補数は反転して 1 加算、という操作を 16 ビット全体に対して行うことを明示する。

典型ミス

0100428010042_8 の先頭の 0 は値に影響しないが、中央の 0 は桁の位置を保つために重要である。また、0F.4160F.4_{16} の小数部は 4/164/16 であり、4/104/10 ではない。

確認

全加算器の COC_O は「三つの入力のうち少なくとも二つが 1」のとき 1 になる。したがって XY+XCI+YCIXY+XC_I+YC_I という多数決の形になる。SS は 1 の個数が奇数のとき 1 であり、X⊕Y⊕CIX\oplus Y\oplus C_I と同じである。

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第4問 — スケジューリングと通信

採点観点

ターンアラウンドタイムは「完了時刻 −- 到着時刻」であり、処理時間そのものではない。到着時刻が 0 でない X,ZX,Z は、ここを引き忘れると平均もずれる。

典型ミス

ラウンドロビンでは、時刻 66 と時刻 1212 で新しいプロセスの到着とクオンタム満了が同時に起きる。条件に従い、新着プロセスを先に待ち行列へ入れるため、時刻 66 では XX が YY より先、時刻 1212 では ZZ が XX より先になる。

通信の確認

帯域効率は、実際にデータフレームを送信している時間の割合である。逐次確認では伝搬遅延の往復待ちが支配的になるため、フレームが短いほど効率が下がる。今回の計算では確認応答フレーム自体の送信時間を無視している点も明記する。

メール配送の注意

SMTP の `MAIL FROM' は送信者、`RCPT TO' は受信者、`DATA' は本文開始、`QUIT' は終了である。EHLO には送信側ホスト名を名乗るので、通信元ホスト名が入る。

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第5問 — 調査法と相関

採点観点

調査法の問題では、単に「サンプル数が少ない」と書くより、どの方向に結果が偏るかを書くと説得力が増す。今回なら、SNS 上で募集すると SNS 高頻度利用者が過大に含まれ、1 日 5 時間以上という割合が過大推定される可能性がある。

典型ミス

相関係数が負であることを「関係がない」と解釈してはいけない。負の相関は、片方が増えるともう片方が減る傾向を表す。また、∣r∣=0.564|r|=0.564 は完全な関係ではないため、例外やばらつきを含む関係として記述する。

確認

疑似相関を疑うときは、第三変数を考える。体重とクイズ時間の両方に影響しそうな変数として、年齢、学年、読解力、学習経験、睡眠、健康状態などが挙げられる。特に小学生男子の全国標本では、体格差が発達段階を強く反映するため、年齢統制が重要である。

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年度別の解答例(8年度)

  • 2026年度(このページ・全5問)

    オートマトンと行列式 / 探索・再帰・機械学習 / 数表現と論理回路

  • 2025年度(全5問)

    形式言語と固有値 / 計算量・再帰・学習 / 数表現・PSW・論理簡約

  • 2024年度(全5問)

    数学・数理系 / ソフトウェア系 / ハードウェア系

  • 2023年度(全5問)

    数学・数理系 / ソフトウェア系 / ハードウェア系

  • 2022年度(全5問)

    数学・数理系 / ソフトウェア系 / ハードウェア系

  • 2021年度(全5問)

    数学・数理系 / ソフトウェア系 / ハードウェア系

  • 2020年度(全7問)

    情報科学基礎:数学CS / 情報科学基礎:アルゴリズムとデータ構造 / 情報科学基礎:論理回路と計算機基礎

  • 2019年度(全7問)

    情報科学基礎:数学CS / 情報科学基礎:アルゴリズムとデータ構造 / 情報科学基礎:論理回路と計算機基礎

2026年度の出題内容

全5問

この5問の分野は情報1問・電磁気学・回路1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問情報オートマトンと行列式採点観点 / 確認あり
第2問—探索・再帰・機械学習採点観点 / 確認あり
第3問電磁気学・回路数表現と論理回路採点観点 / 確認あり
第4問—スケジューリングと通信採点観点 / 通信の確認あり
第5問—調査法と相関採点観点 / 確認あり

2026年度の解説には典型ミス5件が付いています。

同じテーマを出した他大学・他年度

3テーマ

前年度(2025年度)との違い

大問数
2025年度 5問 → 2026年度 5問
両年度に出たテーマ
オートマトン理論・機械学習の基礎
2026年度で新しく出たテーマ
ニューラルネットワーク
2025年度の解答例

静岡大学の公式過去問

公開年度範囲
2019〜2026(CS情報科学。2021〜2026は各1本、2019・2020は情報科学基礎/情報科学の2本構成)
公式の解答例
非公開(問題冊子のみ)
英語の扱い
英語の扱いは募集要項で年度別に確認。公式過去問ページは専門科目PDFをプログラム別に公開。
院試hubの最終確認
2026-07-05
静岡大学の公式過去問PDF