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静岡大 総合科学技術研究科 情報学専攻 情報科学 2020年度 院試 過去問 解答例・解説(全7問)

全7問の分野は情報2問、電磁気学・回路1問です。固有値・固有ベクトル、木構造・二分探索木が出ています。解説はすべて、途中式と最終答は大問1問ぶんを公開しています。残りは解答PDFに収録しています。問題本文は含みません。

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第1問 — 情報科学基礎:数学CS

列ベクトルの読み方

線形写像の行列は「標準基底がどこへ写るか」を列に並べたものである。e1+e2e_1+e_2 の像が与えられているときは、線形性から第2列を差で求めればよい。固有値の条件で x≠0, y≠0x\ne0,\ y\ne0 が付いているため、固有ベクトルのどちらかの成分が 00 になる固有値は除外されるが、今回はどちらも除外されない。

展開の確認

1/(1−2x)1/(1-2x) は等比級数の標準形であり、微分計算の答えも f(0)=1, f′(0)=2, f′′(0)/2=4f(0)=1,\ f'(0)=2,\ f''(0)/2=4 と係数が一致する。この照合を書くと計算ミスを検出しやすい。

解答

線形写像

標準基底を e1=(1,0)T, e2=(0,1)Te_1=(1,0)^T,\ e_2=(0,1)^T とおく。行列表示を A=(a11a12a21a22) A=\begin{pmatrix}a_{11}&a_{12}\\a_{21}&a_{22}\end{pmatrix} とすると、第1列は Ae1=(2,−3)TAe_1=(2,-3)^T である。また A(e1+e2)=Ae1+Ae2=(1,1)T A(e_1+e_2)=Ae_1+Ae_2=(1,1)^T だから Ae2=(1,1)T−(2,−3)T=(−1,4)T. Ae_2=(1,1)^T-(2,-3)^T=(-1,4)^T. したがって A=(2−1−34) A=\begin{pmatrix}2&-1\\-3&4\end{pmatrix} である。固有値は det⁡(A−λI)=(2−λ)(4−λ)−3=λ2−6λ+5=(λ−1)(λ−5) \det(A-\lambda I)=(2-\lambda)(4-\lambda)-3 =\lambda^2-6\lambda+5=(\lambda-1)(\lambda-5) より λ=1,5\lambda=1,5。λ=1\lambda=1 では固有ベクトルは (1,1)T(1,1)^T の定数倍、λ=5\lambda=5 では (1,−3)T(1,-3)^T の定数倍であり、どちらも両成分を 00 でないように選べる。

有理関数

f(x)=11−2x f(x)=\frac{1}{1-2x} について f′(x)=2(1−2x)2,f′′(x)=8(1−2x)3. f'(x)=\frac{2}{(1-2x)^2},\qquad f''(x)=\frac{8}{(1-2x)^3}. また ∣2x∣<1|2x|<1 の範囲で等比級数を用いると f(x)=1+2x+4x2+8x3+O(x4) f(x)=1+2x+4x^2+8x^3+O(x^4) である。

最終答

A=(2−1−34),λ=1,5,f′(x)=2(1−2x)2,f′′(x)=8(1−2x)3, A=\begin{pmatrix}2&-1\\-3&4\end{pmatrix},\quad \lambda=1,5,\quad f'(x)=\frac{2}{(1-2x)^2},\quad f''(x)=\frac{8}{(1-2x)^3}, f(x)=1+2x+4x2+8x3+O(x4). f(x)=1+2x+4x^2+8x^3+O(x^4).

第2問 — 情報科学基礎:アルゴリズムとデータ構造

リストの先頭が意味するもの

OL は「これから調べる候補」、CL は「すでに取り出して展開した候補」である。縦型探索と横型探索の違いは、展開後の状態を先頭側に置くか末尾側に置くかだけで決まる。ここを曖昧にすると、同じグラフでも探索順が変わる。

均一コスト探索とA*

均一コスト探索は、ヒューリスティックを 00 とした A* と見なせる。A* で最適性を保証するには、推定値 h^(s)\hat h(s) が真の残り最短コスト h∗(s)h^*(s) を超えない、すなわち h^(s)≤h∗(s) \hat h(s)\le h^*(s) を満たす必要がある。このとき f(s)+h^(s)f(s)+\hat h(s) はゴールまでの真の最短コストの下界になり、最適解より高く評価された経路を先に確定してしまう危険がなくなる。

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第3問 — 情報科学基礎:論理回路と計算機基礎

符号付き表現の検算

2の補数では、負数 −a-a は 216−a2^{16}-a としても求められる。例えば −32765-32765 は 65536−32765=32771=0x800365536-32765=32771=0x8003 で、1000 0000 0000 00111000\,0000\,0000\,0011 と一致する。

回路の読み替え

全加算器の入力に「2X2X と XX のどちらを流すか」を選ぶ転送ゲートが入っている、と捉えると、複雑な配線図をそのまま追うより早い。真理値表を作った後に Y=(2S1+S0)XY=(2S_1+S_0)X と照合すると、ビットの左右を取り違えたミスに気づける。

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第4問 — 情報科学:情報と数理

有限体で見るべき量

有限体の問題では、元そのものを展開して計算するより、位数を調べる方が速い。α\alpha の位数が 1515 なら α5\alpha^5 の位数は 15/gcd⁡(15,5)=315/\gcd(15,5)=3。位数3の元は x3−1x^3-1 の根だが 11 ではないので、x2+x+1x^2+x+1 に落ちる。

補グラフの証明の型

補グラフの連結性は「同じ成分にいる2点」と「異なる成分にいる2点」を分けて示すと書きやすい。非連結性を仮定したとき、別成分の頂点 ww を経由点にできるのが核心である。

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第5問 — 情報科学:計算機構成論

クロックを上げる限界

同期回路では、あるクロックエッジでレジスタから出た値が、次のクロックエッジまでに組合せ回路を通り、次段レジスタで安定していなければならない。したがって、単に周波数を上げ続けることはできず、もっとも遅い経路が全体の上限を決める。

番地指定方式の採点観点

「相対ジャンプは短く書ける」とだけ書くと、この設定では命令語長が同じであるため弱い。ここでは、バイナリ上の意味の違いと、配置場所を変えたときの振る舞いの違いを明記するのが重要である。

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第6問 — 情報科学:OSとネットワーク

OS問題の書き分け

排他制御では、アルゴリズム名より「待ち方」が採点対象になりやすい。ビジーウェイトは CPU を消費して待つ方式、セマフォやモニタは待ちプロセスをブロックできる方式として対比するとよい。

PKIの鍵の向き

証明書の検証に使うのは CA の公開鍵であり、通信相手の公開鍵ではない。通信内容の暗号化や鍵共有で使うのが通信相手の公開鍵、復号で使うのが通信相手の秘密鍵である。この区別が曖昧だと失点しやすい。

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第7問 — 情報科学:知能システム

知能システムとしての限界

CAPTCHA は「人間なら必ず解け、機械なら絶対解けない」ものではない。機械学習モデルが発展すると、従来の画像認識型テストは突破されやすくなる。答案では、実効性の条件と限界をセットで述べると、単なる用語説明より説得力が出る。

指数時間の感覚

21002^{100} は日常的な時間感覚をはるかに超える。秒を年へ換算して「現実的に不可能」と結論づけると、最少手数の式だけを書くより答案として明確である。

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年度別の解答例(8年度)

  • 2026年度(全5問)

    オートマトンと行列式 / 探索・再帰・機械学習 / 数表現と論理回路

  • 2025年度(全5問)

    形式言語と固有値 / 計算量・再帰・学習 / 数表現・PSW・論理簡約

  • 2024年度(全5問)

    数学・数理系 / ソフトウェア系 / ハードウェア系

  • 2023年度(全5問)

    数学・数理系 / ソフトウェア系 / ハードウェア系

  • 2022年度(全5問)

    数学・数理系 / ソフトウェア系 / ハードウェア系

  • 2021年度(全5問)

    数学・数理系 / ソフトウェア系 / ハードウェア系

  • 2020年度(このページ・全7問)

    情報科学基礎:数学CS / 情報科学基礎:アルゴリズムとデータ構造 / 情報科学基礎:論理回路と計算機基礎

  • 2019年度(全7問)

    情報科学基礎:数学CS / 情報科学基礎:アルゴリズムとデータ構造 / 情報科学基礎:論理回路と計算機基礎

2020年度の出題内容

全7問

この7問の分野は情報2問・電磁気学・回路1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問数学CS列ベクトルの読み方 / 展開の確認あり
第2問情報アルゴリズムとデータ構造リストの先頭が意味するもの / 均一コスト探索とA*あり
第3問電磁気学・回路論理回路と計算機基礎符号付き表現の検算 / 回路の読み替えあり
第4問情報と数理有限体で見るべき量 / 補グラフの証明の型あり
第5問情報計算機構成論クロックを上げる限界 / 番地指定方式の採点観点あり
第6問OSとネットワークOS問題の書き分け / PKIの鍵の向きあり
第7問知能システム知能システムとしての限界 / 指数時間の感覚あり

同じテーマを出した他大学・他年度

2テーマ

2020年度は2問に2テーマが出ています。

前年度(2019年度)との違い

大問数
2019年度 7問 → 2020年度 7問
2020年度で新しく出たテーマ
固有値・固有ベクトル・木構造・二分探索木
2019年度の解答例

静岡大学の公式過去問

公開年度範囲
2019〜2026(CS情報科学。2021〜2026は各1本、2019・2020は情報科学基礎/情報科学の2本構成)
公式の解答例
非公開(問題冊子のみ)
英語の扱い
英語の扱いは募集要項で年度別に確認。公式過去問ページは専門科目PDFをプログラム別に公開。
院試hubの最終確認
2026-07-05
静岡大学の公式過去問PDF