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静岡大 総合科学技術研究科 情報学専攻 情報科学 2023年度 院試 過去問 解答例・解説(全5問)

全5問の分野は数学1問です。ソートアルゴリズムが出ています。解説はすべて、途中式と最終答は大問1問ぶんを公開しています。残りは解答PDFに収録しています。問題本文は含みません。

最終更新:

第1問 — 数学・数理系

採点観点

二項分布は公式を暗記していてもよいが,指示変数で導くと期待値と分散の根拠が明確になる。 有限体では,係数が GF(2)GF(2) なので同じ項は足すと消える。通常の整数のように係数2を残さない。

典型ミス

α4=α+1\alpha^4=\alpha+1 を使わずに高いべきをそのまま扱うと計算が崩れる。また α10+1\alpha^{10}+1 の +1+1 は GF(2)GF(2) の加法なので,(α2+α+1)+1(\alpha^2+\alpha+1)+1 から 定数項が消える。

検算

α\alpha は GF(16)×GF(16)^\times の生成元として周期15を持つ。分母が α5\alpha^5 と分かれば, 逆元は α10\alpha^{10} である。分数部分は α11\alpha^{11},それを α12\alpha^{12} と足して 1になるため,最終結果は非零かつ最も単純な元である。

解答

問1 二項分布

ONになる事象数を nn とすると,nn はパラメータ N,pN,p の二項分布に従う。 指示変数 XkX_k を「kk 番目の事象がONなら1,OFFなら0」と定めると, n=X1+⋯+XN,Pr⁡(Xk=1)=p,Pr⁡(Xk=0)=q=1−p. n=X_1+\cdots+X_N,\qquad \Pr(X_k=1)=p,\quad \Pr(X_k=0)=q=1-p. よって E[Xk]=p,Var⁡(Xk)=pq. E[X_k]=p,\qquad \operatorname{Var}(X_k)=pq. 独立性より E[n]=∑k=1NE[Xk]=Np, E[n]=\sum_{k=1}^{N}E[X_k]=Np, Var⁡(n)=∑k=1NVar⁡(Xk)=Npq. \operatorname{Var}(n)=\sum_{k=1}^{N}\operatorname{Var}(X_k)=Npq.

p≪qp\ll q で,特に q=1−p≃1q=1-p\simeq1 とみなせるなら Var⁡(n)=Npq≃Np=E[n]. \operatorname{Var}(n)=Npq\simeq Np=E[n]. 標準偏差を σ=Var⁡(n)\sigma=\sqrt{\operatorname{Var}(n)} と書くと σ≃Np=E[n]. \sigma\simeq\sqrt{Np}=\sqrt{E[n]}. したがって,通常の用語で「分散」は期待値そのものに近づき,「分散値」を標準偏差の意味で 用いるなら,標準偏差が期待値の平方根に一致する。

問2 有限体

α\alpha は α4+α+1=0\alpha^4+\alpha+1=0 の根なので,GF(2)GF(2) では α4=α+1 \alpha^4=\alpha+1 である。これを使ってべきを簡約する。 kαk011α2α23α34α+15α2+α6α3+α27α3+α+18α2+19α3+α10α2+α+111α3+α2+α12α3+α2+α+1 \begin{array}{c|c} k&\alpha^k\\ \hline 0&1\\ 1&\alpha\\ 2&\alpha^2\\ 3&\alpha^3\\ 4&\alpha+1\\ 5&\alpha^2+\alpha\\ 6&\alpha^3+\alpha^2\\ 7&\alpha^3+\alpha+1\\ 8&\alpha^2+1\\ 9&\alpha^3+\alpha\\ 10&\alpha^2+\alpha+1\\ 11&\alpha^3+\alpha^2+\alpha\\ 12&\alpha^3+\alpha^2+\alpha+1 \end{array}

分子と分母を計算すると α9+α3=(α3+α)+α3=α, \alpha^9+\alpha^3=(\alpha^3+\alpha)+\alpha^3=\alpha, α10+1=(α2+α+1)+1=α2+α. \alpha^{10}+1=(\alpha^2+\alpha+1)+1=\alpha^2+\alpha. α2+α=α(α+1)=αα4=α5\alpha^2+\alpha=\alpha(\alpha+1)=\alpha\alpha^4=\alpha^5 であり, α15=1\alpha^{15}=1 だから (α2+α)−1=(α5)−1=α10. (\alpha^2+\alpha)^{-1}=(\alpha^5)^{-1}=\alpha^{10}. したがって α9+α3α10+1=α⋅α10=α11=α3+α2+α. \frac{\alpha^9+\alpha^3}{\alpha^{10}+1} =\alpha\cdot \alpha^{10}=\alpha^{11} =\alpha^3+\alpha^2+\alpha. 最後に α12+α11=(α3+α2+α+1)+(α3+α2+α)=1. \alpha^{12}+\alpha^{11} =(\alpha^3+\alpha^2+\alpha+1)+(\alpha^3+\alpha^2+\alpha)=1.

最終答

二項分布について E[n]=Np, Var⁡(n)=NpqE[n]=Np,\ \operatorname{Var}(n)=Npq。p≪qp\ll q では Var⁡(n)≃E[n]\operatorname{Var}(n)\simeq E[n],標準偏差は Var⁡(n)≃E[n]\sqrt{\operatorname{Var}(n)}\simeq\sqrt{E[n]}。有限体計算の値は 11。

第2問 — ソフトウェア系

採点観点

分類問題では,Pr⁡(X∣クラス)\Pr(X\mid\text{クラス}) だけでなく,事前確率を掛けて Pr⁡(クラス∣X)\Pr(\text{クラス}\mid X) を比較する。クイックソートでは,枢軸の添字 vv 自体を 再帰対象から除くことが重要である。

典型ミス

条件付き独立は「属性同士が無条件で独立」という意味ではない。各クラスを固定したうえで 積に分解する。また,先頭枢軸のクイックソートで整列済み入力を与えると,分割が均等になる のではなく,最も偏る。

検算

Pr⁡(X∣M‾)\Pr(X\mid\overline{M}) は Pr⁡(X∣M)\Pr(X\mid M) より大きく,さらに非哺乳類の事前確率も 大きい。したがって事後確率で非哺乳類が大きくなることは自然である。5文字の最小回数は, 長さ5で1回,左右の長さ2で各1回なので,これより少ない2回にはできない。

ソフトウェア系の途中式・最終答をPDFで見る

第3問 — ハードウェア系

採点観点

論理回路では,真理値表から最小積和形までをつなげて示す。NAND回路は,積和形の各積項の 否定をNANDで作り,最後のNANDで和に戻すという構成が明快である。半精度では,指数の バイアスを引くことと,仮数の隠れた先頭1を忘れないことが重要である。

典型ミス

半精度で 0.0750.075 を10倍してから丸める場合と,0.0750.075 を先に切り捨ててから10倍する 場合は結果が異なる。後者では 0.750.75 より少し小さい値になるため,仮数部が 1000000000\texttt{1000000000} ではなく 0111111111\texttt{0111111111} になる。

検算

桁上がり CC は A+B≥4A+B\ge4 のとき1である。例えば A=1,B=3A=1,B=3 では1, A=2,B=2A=2,B=2 でも1,A=3,B=0A=3,B=0 では0となり,表と式の両方に一致する。

ハードウェア系の途中式・最終答をPDFで見る

第4問 — OSとネットワーク

採点観点

サブネットでは,プレフィックス長から範囲と個数を出す。平均アクセス時間では,条件付きの ヒット率であることを反映し,RAMミスはキャッシュミスの中の1\%として扱う。リンクの問題では, 静的にすべてを組み込む方式と,実行時に共有ライブラリを結合する方式の違いを説明する。

典型ミス

/19/19 は第3オクテット単位で32刻みであり,96から127までを含む。100はこの範囲内である。 また,10 msを10 nsや10,000 nsとして扱うと平均時間が大きくずれる。単位換算を先に行うと 計算ミスを防げる。

検算

割り当て済み範囲は第3オクテットで 00--6363,9696--127127,128128--255255 である。 残るのは 6464--9595 の32個分の第3オクテットであり,全体256個分のうち32個分なので 32/256=12.5%32/256=12.5\% とも確認できる。

OSとネットワークの途中式・最終答をPDFで見る

第5問 — ヒューマンサイエンス系

採点観点

体温問題では,測定器が何を測っているか,発熱の医学的意味,体温の変動要因を分けて述べる。 検査問題では,感度の高さだけで判断せず,低い事前確率と偽陽性率を含めて陽性的中率を計算する。

典型ミス

感度 99.90%99.90\% を見て「陽性なら99.90\%使用者」と解釈するのは誤りである。 これは Pr⁡(+∣U)\Pr(+\mid U) であって,求めたい Pr⁡(U∣+)\Pr(U\mid +) ではない。母集団での使用率が 0.08\%と非常に低い場合,偽陽性の人数が真陽性の人数を大きく上回る。

検算

10万人を考えると,使用者は約80人で,そのうち陽性は約80人である。一方,非使用者は 約99,920人で,偽陽性は約7,994人である。陽性者全体は約8,074人なので,真の使用者の割合は 約80/8,074,すなわち約0.99\%となる。

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年度別の解答例(8年度)

  • 2026年度(全5問)

    オートマトンと行列式 / 探索・再帰・機械学習 / 数表現と論理回路

  • 2025年度(全5問)

    形式言語と固有値 / 計算量・再帰・学習 / 数表現・PSW・論理簡約

  • 2024年度(全5問)

    数学・数理系 / ソフトウェア系 / ハードウェア系

  • 2023年度(このページ・全5問)

    数学・数理系 / ソフトウェア系 / ハードウェア系

  • 2022年度(全5問)

    数学・数理系 / ソフトウェア系 / ハードウェア系

  • 2021年度(全5問)

    数学・数理系 / ソフトウェア系 / ハードウェア系

  • 2020年度(全7問)

    情報科学基礎:数学CS / 情報科学基礎:アルゴリズムとデータ構造 / 情報科学基礎:論理回路と計算機基礎

  • 2019年度(全7問)

    情報科学基礎:数学CS / 情報科学基礎:アルゴリズムとデータ構造 / 情報科学基礎:論理回路と計算機基礎

2023年度の出題内容

全5問

この5問の分野は数学1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問数学数学・数理系採点観点あり
第2問—ソフトウェア系採点観点あり
第3問—ハードウェア系採点観点あり
第4問—OSとネットワーク採点観点あり
第5問—ヒューマンサイエンス系採点観点あり

2023年度の解説には検算5件・典型ミス5件が付いています。

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1テーマ

2023年度は1問に1テーマが出ています。

テーマこの年度全体の出題実績他大学の直近出題
ソートアルゴリズム第2問9大学・24問

前年度(2022年度)との違い

大問数
2022年度 5問 → 2023年度 5問
2023年度で新しく出たテーマ
ソートアルゴリズム
2022年度の解答例

静岡大学の公式過去問

公開年度範囲
2019〜2026(CS情報科学。2021〜2026は各1本、2019・2020は情報科学基礎/情報科学の2本構成)
公式の解答例
非公開(問題冊子のみ)
英語の扱い
英語の扱いは募集要項で年度別に確認。公式過去問ページは専門科目PDFをプログラム別に公開。
院試hubの最終確認
2026-07-05
静岡大学の公式過去問PDF