東京大学 院試 過去問 解答例
東大 情報理工学系研究科 創造情報学専攻 創造情報学 専門科目 2024年度 院試 解答例・解説
東京大学 情報理工学系研究科 創造情報学専攻 創造情報学 専門科目 2024年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針と確認点を解説。全3問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。
最終更新:
設問ごとの解法方針と確認点を公開しています。
続きの途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。
第1問 — 最尤推定と混合正規分布
方針
前半は最尤推定の標準計算である。対数を取ると積が和になり,正規分布では二乗和を最小にする 平均と,その平均まわりの平均二乗偏差が現れる。分散の推定量で分母を にする点は, 不偏推定量との混同が起きやすい。
EMの見方
混合正規分布で難しいのは,各観測値がどの成分から来たか分からないことである。EM法は, この不明な割当を責任度 という軟らかい重みで補い,重み付きの単一正規分布 推定へ分解する方法と見ればよい。Eステップは割当の推定,Mステップは重み付き平均と 重み付き分散の再計算である。
採点上の注意
Jensenの不等式を使う箇所では, を導入してから と書き直す一行が重要である。この一行がないと, なぜ下界が補助関数になっているのかが伝わらない。また,混合比の更新では の制約を忘れず,ラグランジュ未定乗数または正規化の議論を添えるとよい。
第2問 — ハミング距離検索と専用回路
方針
検索前処理の問題では,表を大きくすると一回の検索は速くなるが空間が増える。長さ の 全ビット列を直接見る表は速い一方で の欄を持つ。長さを半分に分けると空間は まで落ちるが,候補が 程度残るので照合が必要になる。
半径1検索の考え方
全体で1ビット以下しか違わないなら,前半か後半のどちらかは必ず完全一致する。この必要条件で 候補を拾い,最後に厳密な距離を計算する。これは「拾い漏らしをしない粗い条件で候補を作る」 という近傍検索の基本形である。
回路の注意
ハミング距離回路は,不一致ビットを数える加算回路である。最初に各ビットでXORを作り, その後は1の個数を足し上げる。4ビットでは最大値が4なので3ビット出力が必要であり, 最高位の桁上がりを落とすと距離4を表せない。
第3問 — 情報システム用語の説明
方針
用語説明では,最初に一文で定義し,続けて仕組み,最後に利点や注意点を書くと答案が安定する。 単語の日本語訳だけではなく,どの入力に対して何を出す技術なのかを明確にするとよい。
選択の理由
上の4項目は,いずれも短い行数で具体例や計算量上の特徴を書きやすい。動的計画法は状態遷移, BNFは生成規則,キャッシュは遅延削減と一貫性,-近傍法は距離尺度と の選択という 採点されやすい観点を含められる。
典型ミス
動的計画法を単なる再帰,BNFをプログラムそのもの,キャッシュを常に正しい複製,-近傍法を クラスタリングと書くと不正確である。用途だけでなく,内部で何を保存し,何を比較し,どの条件で 性能が変わるかを一つ添えると説明の説得力が増す。