院試hub

東京大学 院試 過去問 解答例

東大 情報理工学系研究科 創造情報学専攻 創造情報学 専門科目 2022年度 院試 過去問 解答例・解説(全3問)

全3問。制御工学1問。テーマタグは4件(線形空間・基底・動的計画法・ニューラルネットワーク)。

最終更新:

このページで公開
解説3問/全3問(1,304字)
解答PDFに収録
途中式と最終答(最終答つき3問)
問題本文
非収録

東大 創造情報学 専門科目 2022年度 院試 過去問の出題内容(全3問)

この3問の分野は制御工学1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
1分離資源配分と動的計画法交換証明の意味 / 採点上の注意あり
2制御工学ACK制御とウィンドウ転送ウィンドウサイズの意味 / 採点上の注意あり
3情報システム用語の説明数式を入れる効果あり

この年度の解説には採点上の注意2件・典型ミス1件が付いています。

2022年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度

この年度は2問に4テーマが出ています。

1 — 分離資源配分と動的計画法

方針

この問題は,変数ごとに「次の1単位を入れたときの増分」が並んでいると見ると整理しやすい。 非増加性がある場合は,各列の上から順にしか選べないという制約付きで,大きな増分を rr 個 取ればよい。非増加性がない場合は,局所的に良い1単位を選んでも後で大きな増分が現れる可能性 があるため,合計量を状態に持つ動的計画法が必要になる。

交換証明の意味

最適性条件の左辺は「いま1単位足すなら得られる最大の利得」,右辺は「いま1単位抜くなら失う 最小の利得」である。左辺が右辺を上回るなら,抜いて足すだけで改善できる。逆に左辺が右辺以下 なら,どの実行可能解へ移るにも,足して得る利得が抜いて失う量を超えられない。

採点上の注意

貪欲法の正当性を「いつも最大を選んでいるから」と書くだけでは不十分である。各 di(a)d_i(a) が 非増加であるため,選んだ増分より後ろの増分が大きくならない,という点を明示してはじめて 交換証明または最適性条件につながる。

分離資源配分と動的計画法の途中式・最終答をPDFで見る

2 — ACK制御とウィンドウ転送

方針

方式1の本質は stop-and-wait である。1個のデータパケットを送った後,対応するACKが戻るまで 次を送れないため,短いパケットでも往復伝搬遅延が支配的になる。長距離で方式1が極端に遅いのは, 帯域が低いからだけでなく,送信機会を往復時間ごとに1回しか使えないからである。

ウィンドウサイズの意味

方式2では,帯域だけでなく帯域遅延積が重要になる。経路中に常時 RTrtR\,T_{\mathrm{rt}} bits 程度のデータを置けなければ,受信側は RR bits/sec で受け取り続けられない。64 KiBの窓は 近距離なら大きいが,500 msec級の遅延では小さく,帯域が余っていても速度が出ない。

採点上の注意

転送時間の式では,片方向のデータ送信時間だけでなく,ACKの戻り時間も入れる。特に m2/Bim_2/B_i と戻り方向の伝搬遅延を落とすと,方式1の速度を過大評価する。また,動画配信では 1接続のウィンドウ制約と,複数接続の総帯域制約を分けて確認する。

ACK制御とウィンドウ転送の途中式・最終答をPDFで見る

3 — 情報システム用語の説明

方針

用語説明では,定義だけでなく「どの問題を解くために使うか」を添えると答案が強くなる。 擬似逆行列は線形方程式と最小二乗,RNNは系列データ,KLダイバージェンスは分布のずれ, ホモグラフィーは画像中の平面対応,というように対応する応用を明確にするとよい。

数式を入れる効果

4行から8行程度の説明では,長い歴史的説明よりも,代表式を1つ示す方が採点者に理解を伝えやすい。 ただし式だけでは不十分で,擬似逆行列なら「最小二乗」,KLなら「非対称で距離ではない」, ホモグラフィーなら「同次座標とスカラー倍の同一視」まで書くと概念の範囲がはっきりする。

典型ミス

KLダイバージェンスを通常の距離と書く,RNNが単に深い全結合ネットワークだと説明する, 擬似逆行列を正則行列の逆行列だけに限定する,ホモグラフィーを任意の3次元変換と混同する, といった答案は減点されやすい。対象,数式,性質,応用を一つずつ入れると安定する。

情報システム用語の説明の途中式・最終答をPDFで見る

東大 創造情報学 専門科目 院試 過去問の収録5年度

  • 2026年度(全3問)

    論理回路と二進演算 / 通信遅延と指数バックオフ / 情報システム用語の説明

  • 2025年度(全3問)

    Webページ遷移と定常分布 / パケット通信とサーバ処理時間 / 情報システム用語の説明

  • 2024年度(全3問)

    最尤推定と混合正規分布 / ハミング距離検索と専用回路 / 情報システム用語の説明

  • 2023年度(全3問)

    DFAと二進整数の3分割判定 / IPv4アドレスと通信性能 / 情報システム用語の説明

  • 2022年度(このページ・全3問)

    分離資源配分と動的計画法 / ACK制御とウィンドウ転送 / 情報システム用語の説明