東京大学 院試 過去問 解答例
東大 情報理工学系研究科 創造情報学専攻 創造情報学 専門科目 2022年度 院試 過去問 解答例・解説(全3問)
全3問。制御工学1問。テーマタグは4件(線形空間・基底・動的計画法・ニューラルネットワーク)。
最終更新:
- このページで公開
- 解説3問/全3問(1,304字)
- 解答PDFに収録
- 途中式と最終答(最終答つき3問)
- 問題本文
- 非収録
東大 創造情報学 専門科目 2022年度 院試 過去問の出題内容(全3問)
この3問の分野は制御工学1問です。
| 大問 | 分野 | 主題 | 解説の小見出し | 最終答 |
|---|---|---|---|---|
| 第1問 | — | 分離資源配分と動的計画法 | 交換証明の意味 / 採点上の注意 | あり |
| 第2問 | 制御工学 | ACK制御とウィンドウ転送 | ウィンドウサイズの意味 / 採点上の注意 | あり |
| 第3問 | — | 情報システム用語の説明 | 数式を入れる効果 | あり |
この年度の解説には採点上の注意2件・典型ミス1件が付いています。
2022年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度
この年度は2問に4テーマが出ています。
| テーマ | この年度 | 全体の出題実績 | 他大学の直近出題 |
|---|---|---|---|
| 線形空間・基底 | 第3問 | 21大学・152問 | |
| 動的計画法 | 第1問 | 9大学・24問 | |
| ニューラルネットワーク | 第3問 | 4大学・9問 | |
| 特異値分解 | 第3問 | 4大学・6問 |
第1問 — 分離資源配分と動的計画法
方針
この問題は,変数ごとに「次の1単位を入れたときの増分」が並んでいると見ると整理しやすい。 非増加性がある場合は,各列の上から順にしか選べないという制約付きで,大きな増分を 個 取ればよい。非増加性がない場合は,局所的に良い1単位を選んでも後で大きな増分が現れる可能性 があるため,合計量を状態に持つ動的計画法が必要になる。
交換証明の意味
最適性条件の左辺は「いま1単位足すなら得られる最大の利得」,右辺は「いま1単位抜くなら失う 最小の利得」である。左辺が右辺を上回るなら,抜いて足すだけで改善できる。逆に左辺が右辺以下 なら,どの実行可能解へ移るにも,足して得る利得が抜いて失う量を超えられない。
採点上の注意
貪欲法の正当性を「いつも最大を選んでいるから」と書くだけでは不十分である。各 が 非増加であるため,選んだ増分より後ろの増分が大きくならない,という点を明示してはじめて 交換証明または最適性条件につながる。
第2問 — ACK制御とウィンドウ転送
方針
方式1の本質は stop-and-wait である。1個のデータパケットを送った後,対応するACKが戻るまで 次を送れないため,短いパケットでも往復伝搬遅延が支配的になる。長距離で方式1が極端に遅いのは, 帯域が低いからだけでなく,送信機会を往復時間ごとに1回しか使えないからである。
ウィンドウサイズの意味
方式2では,帯域だけでなく帯域遅延積が重要になる。経路中に常時 bits 程度のデータを置けなければ,受信側は bits/sec で受け取り続けられない。64 KiBの窓は 近距離なら大きいが,500 msec級の遅延では小さく,帯域が余っていても速度が出ない。
採点上の注意
転送時間の式では,片方向のデータ送信時間だけでなく,ACKの戻り時間も入れる。特に と戻り方向の伝搬遅延を落とすと,方式1の速度を過大評価する。また,動画配信では 1接続のウィンドウ制約と,複数接続の総帯域制約を分けて確認する。
第3問 — 情報システム用語の説明
方針
用語説明では,定義だけでなく「どの問題を解くために使うか」を添えると答案が強くなる。 擬似逆行列は線形方程式と最小二乗,RNNは系列データ,KLダイバージェンスは分布のずれ, ホモグラフィーは画像中の平面対応,というように対応する応用を明確にするとよい。
数式を入れる効果
4行から8行程度の説明では,長い歴史的説明よりも,代表式を1つ示す方が採点者に理解を伝えやすい。 ただし式だけでは不十分で,擬似逆行列なら「最小二乗」,KLなら「非対称で距離ではない」, ホモグラフィーなら「同次座標とスカラー倍の同一視」まで書くと概念の範囲がはっきりする。
典型ミス
KLダイバージェンスを通常の距離と書く,RNNが単に深い全結合ネットワークだと説明する, 擬似逆行列を正則行列の逆行列だけに限定する,ホモグラフィーを任意の3次元変換と混同する, といった答案は減点されやすい。対象,数式,性質,応用を一つずつ入れると安定する。
東大 創造情報学 専門科目 院試 過去問の収録5年度
論理回路と二進演算 / 通信遅延と指数バックオフ / 情報システム用語の説明
Webページ遷移と定常分布 / パケット通信とサーバ処理時間 / 情報システム用語の説明
最尤推定と混合正規分布 / ハミング距離検索と専用回路 / 情報システム用語の説明
DFAと二進整数の3分割判定 / IPv4アドレスと通信性能 / 情報システム用語の説明
2022年度(このページ・全3問)
分離資源配分と動的計画法 / ACK制御とウィンドウ転送 / 情報システム用語の説明