大阪大学 院試 過去問 解答例
阪大 情報科学研究科 専門科目(情報工学) 2022年度 院試 解答例・解説
大阪大学 情報科学研究科 専門科目(情報工学) 2022年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針と確認点を解説。全7問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。
最終更新:
設問ごとの解法方針と確認点を公開しています。
続きの途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。
第1問 — アルゴリズムとプログラミング
基準値の位置に注目する
この実装は降順整列であり, 条件が `>' である点が重要である. 基準値と等しい要素は左側へ移されないので, 同じキーを持つデータの相対順序が基準値交換で壊れ得る.
交換回数の数え方
自己交換も関数 `swap' の呼び出しであるため, 回数に含める. 最悪入力で長さ の分割ごとに 回呼ばれることを押さえると, 合計は等差数列の和として一気に求められる.
第2問 — 計算機システムとシステムプログラム
セマフォ値の符号
セマフォを整数として実装すると, 正の値はすぐ利用できる資源数を表し, 負の値はその絶対値だけ待ちプロセスがいることを表す. 操作で負になったプロセスは待ち, 操作で待ちプロセスが1つ起こされる.
競合による更新消失
は1つの代入文に見えるが, 機械的には読み出し, 演算, 書き込みに分かれる. 排他制御がないと, 2つのプロセスが同じ値から同じ新値を作り, 片方の更新が結果に反映されない. これが で を超えない理由である.
第3問 — 離散構造
グラフ化して考える
この問題では「共通約数を持つ」を辺に置き換えると見通しがよい. 偶数全体は必ず clique になるため下界に使いやすく, 共通約数ごとに倍数集合を数えると上界に使いやすい.
極限評価の勘所
はおおよそ の量なので, は の量になる. したがって, の2次の係数だけを押さえれば, の極限の上下界が得られる.
第4問 — 計算理論
スタックの意味を決める
PDAの遷移は暗記で埋めるより, スタックトップを「どちらの記号が何個余っているか」と読むと自然に決まる. 反対側の記号を読めば pop, 同じ側の記号を読めば push である.
空スタック受理と prefix-free
決定性PDAの空スタック受理では, ある語を受理した瞬間にスタックが空になる. その語を真の接頭辞として持つ語も受理しようとすると, 受理後にさらに計算を続ける必要があり, 決定性と空スタック受理の性質に反する. ここが問(4)の中心である.
第5問 — ネットワーク
距離ベクトルの伝播
距離ベクトル型では, 1ステップで1ホップ先の情報が伝わる. 5ノードリングではノード1から最遠のローカルネットワークまで2ホップなので, 時刻2で全宛先の最短経路がそろう.
prefix code と一意復号可能性
瞬時復号可能性は接頭辞関係だけで判定できる. 一意復号可能性はそれより弱い条件なので, prefix code でない符号も一意復号可能であり得る. はその例である.
第6問 — 電子回路と論理設計
相互インダクタンスはT型へ直す
結合インダクタをそのまま扱うと節点方程式が見えにくい. T型等価回路へ置き換えると, 今回は となり, 節点 側と 側が独立な一次回路として読める.
位相条件の読み方
と の電位が等しくなる条件は, 2つの分圧比が等しいことに尽きる. その条件で入力電流をまとめると一次遅れの形になり, 45度条件は とすぐ分かる.
第7問 — 数学解析と信号処理
部分分数分解の意味
各項 は時間領域では に対応する. したがって, 部分分数分解はフィルタを一次モードの和に分けていると見ればよい.
IIR と FIR の違い
IIR は過去出力を再利用するので少ない次数で鋭い特性を出しやすい. 一方で, フィードバックがあるため安定性と量子化誤差が問題になる. FIR は次数が大きくなりがちだが, 実装上の頑健さを説明できる点が答案の要点である.