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東京科学大(旧東工大) 工学院 電気電子系 専門科目 2025年実施(2026年度入学) 院試 過去問 解答例・解説(解説8項目)

解説8項目の分野は電磁気学・回路4項目、数学2項目、量子力学2項目です。留数定理、静電場、フェルミ・ボース統計などが出ています。解説はすべて、途中式と最終答は大問1問ぶんを公開しています。PDFの収録範囲は商品ページで確認できます。問題本文は含みません。

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数学 第1問:微分方程式

連鎖律で落としやすい項

二階微分には Ytt(t′)2Y_{tt}(t')^2 に加え、Ytt′′Y_t t'' が現れる。 この項を落とすと、①に t′′t'' がなくなり、一階微分の項を消す条件を作れない。 また、式全体を (t′)2(t')^2 で割るので、QyQy だけでなく右辺 RR にも同じ分母が付く。

元の方程式への代入による検算

L=log⁡∣x∣L=\log|x|、G=−C1sin⁡L+C2cos⁡LG=-C_1\sin L+C_2\cos L とおくと y′=Gx,G′=−yx,y′′=−y−Gx2. y'=\frac{G}{x},\qquad G'=-\frac{y}{x},\qquad y''=\frac{-y-G}{x^2}. したがって x2y′′+xy′+y=(−y−G)+G+y=0x^2y''+xy'+y=(-y-G)+G+y=0 となる。 二つの解のロンスキアンも W{cos⁡L,sin⁡L}=cos⁡L cos⁡Lx−sin⁡L −sin⁡Lx=1x≠0 W\{\cos L,\sin L\} =\cos L\,\frac{\cos L}{x} -\sin L\,\frac{-\sin L}{x} =\frac1x\ne0 である。よって、得られた二つの解は各区間で線形独立であり、一般解を構成する。

積分定数と定義域

積分定数を 00 とする操作は、t′=0t'=0 を意味しない。 対数は log⁡∣x∣\log|x| とし、x<0x<0 でも実数値の変換を保つ。

解答

1)(a) 独立変数の変換

変換後の未知関数を YY と書き、y(x)=Y(t(x))y(x)=Y(t(x)) とおく。 t′=dt/dx≠0t'=dt/dx\ne0 である区間では、連鎖律から dydx=dYdtt′,d2ydx2=d2Ydt2(t′)2+dYdtt′′. \frac{dy}{dx}=\frac{dY}{dt}t',\qquad \frac{d^2y}{dx^2}=\frac{d^2Y}{dt^2}(t')^2+\frac{dY}{dt}t''. したがって、元の微分方程式の左辺は (t′)2Ytt+{t′′+P(x)t′}Yt+Q(x)Y (t')^2Y_{tt}+\{t''+P(x)t'\}Y_t+Q(x)Y となる。(t′)2≠0(t')^2\ne0 で割り、問題の表記に合わせて YY を yy と書き直すと d2ydt2+t′′+P(x)t′(t′)2dydt+Q(x)(t′)2y=R(x)(t′)2. \frac{d^2y}{dt^2} +\frac{t''+P(x)t'}{(t')^2}\frac{dy}{dt} +\frac{Q(x)}{(t')^2}y =\frac{R(x)}{(t')^2}. よって、空欄は ①=d2tdx2+P(x)dtdx,②=(dtdx)2. \text{①}=\frac{d^2t}{dx^2}+P(x)\frac{dt}{dx},\qquad \text{②}=\left(\frac{dt}{dx}\right)^2. 右辺を含む係数の xx は、変換後には必要に応じて逆関数 x=x(t)x=x(t) を代入して読む。

1)(b) 一階微分の項を消す変数

空欄①を 00 とする条件は t′′+P(x)t′=0. t''+P(x)t'=0. ここで v=t′≠0v=t'\ne0 とおけば v′v=−P(x),log⁡∣v∣=−∫P(x) dx. \frac{v'}{v}=-P(x),\qquad \log|v|=-\int P(x)\,dx. 対数を積分したときの加法定数を 00 とし、v>0v>0 の取り方を選ぶと t′=exp⁡ ⁣(−∫P(x) dx). t'=\exp\!\left(-\int P(x)\,dx\right). さらに積分し、加法定数を 00 と選べば、求める変数の一つは t=∫exp⁡ ⁣(−∫P(x) dx) dx t=\int \exp\!\left(-\int P(x)\,dx\right)\,dx である。内側の積分を H(x)H(x) と書けば、これは H′=PH'=P、 t′=e−Ht'=e^{-H}、t′′=−Pe−Ht''=-Pe^{-H} を満たすため、①が消えることが直接確認できる。 なお、tt の向きを逆にした −t-t も同じ条件を満たす。 t′t' 自体を 00 とすることは、変数変換の条件に反する。

2)(a) 対数変数への変換

x≠0x\ne0 なので、与えられた方程式を x2x^2 で割ると P(x)=1/xP(x)=1/x、Q(x)=1/x2Q(x)=1/x^2、R(x)=0R(x)=0 となる。 一階微分の項を消す条件は t′′+1xt′=0. t''+\frac{1}{x}t'=0. 前問と同様に積分すると、加法定数を 00 として log⁡∣t′∣=−log⁡∣x∣. \log|t'|=-\log|x|. したがって t′=1/xt'=1/x という取り方ができる。もう一度積分すれば t=log⁡∣x∣. t=\log|x|. 実際、正負いずれの xx に対しても、00 をまたがない区間上で t′=1x≠0,t′′=−1x2,t′′+1xt′=0 t'=\frac1x\ne0,\qquad t''=-\frac1{x^2},\qquad t''+\frac1x t'=0 となる。x<0x<0 の区間では log⁡x\log x ではなく log⁡(−x)\log(-x) を用いる。

2)(b) 一般解

(t′)2=1/x2(t')^2=1/x^2 であるから、変換後の方程式は d2ydt2+y=0. \frac{d^2y}{dt^2}+y=0. その実数値一般解は y=C1cos⁡t+C2sin⁡ty=C_1\cos t+C_2\sin t である。元の変数に戻すと y(x)=C1cos⁡(log⁡∣x∣)+C2sin⁡(log⁡∣x∣). y(x)=C_1\cos(\log|x|)+C_2\sin(\log|x|). ここで C1,C2C_1,C_2 は実定数であり、x>0x>0 または x<0x<0 の各区間で定める。 x=0x=0 は元の条件から除かれているため、両区間の積分定数を一致させる必要はない。

最終答

①=t′′+P(x)t′,②=(t′)2,t=∫e−∫P(x) dx dx. \text{①}=t''+P(x)t',\qquad \text{②}=(t')^2, \qquad t=\int e^{-\int P(x)\,dx}\,dx. t=log⁡∣x∣,y=C1cos⁡(log⁡∣x∣)+C2sin⁡(log⁡∣x∣),x≠0. t=\log|x|,\qquad y=C_1\cos(\log|x|)+C_2\sin(\log|x|),\quad x\ne0. 一般解の定数は、00 をまたがない各区間ごとに選ぶ。

数学 第2問:複素数と複素関数

累乗と対数で偏角の扱いを分ける

整数乗では偏角に 2π2\pi の整数倍を足しても結果は変わらない。 2)では結果の偏角を指定範囲に戻す。3)では対数の枝を指定していないため、 指数関数で同じ値になる 2πk2\pi k の違いをすべて残す。

線積分の実部と虚部による検算

z=x+iyz=x+iy とすると (zˉ+2) dz=(x+2) dx+y dy+i{(x+2) dy−y dx}. (\bar z+2)\,dz =(x+2)\,dx+y\,dy+i\{(x+2)\,dy-y\,dx\}. 実部の積分は [(x2+y2)/2+2x](1,1)(2,3)=15/2[ (x^2+y^2)/2+2x]_{(1,1)}^{(2,3)}=15/2 である。 指定線分は y=2x−1y=2x-1、1≤x≤21\le x\le2 なので、虚部の積分も ∫12{2(x+2)−(2x−1)} dx=5\int_1^2\{2(x+2)-(2x-1)\}\,dx=5 となる。

留数の符号と円の内外

5)、6)の関数は z+32z2−3z−2=1z−2−12(z+1/2) \frac{z+3}{2z^2-3z-2} =\frac1{z-2}-\frac1{2(z+1/2)} と部分分数分解できる。円外の z=2z=2 の項の積分は 00、円内の項の係数は −1/2-1/2 なので、反時計回りでは −πi-\pi i となる。 なお、無限遠点も考える場合には z=1/wz=1/w を代入した w(1+3w)/(2−3w−2w2)w(1+3w)/(2-3w-2w^2) は w=0w=0 に正則に延長でき、極は増えない。

展開の中心と収束範囲

7)では、z=−1z=-1 にある極が主部 −1/{2(z+1)}-1/\{2(z+1)\} を生む。 もう一つの特異点 z=1z=1 は中心から距離 22 にあるため、等比級数の収束範囲が ∣z+1∣<2|z+1|<2 となる。中心を除く条件と、外側の収束半径をそれぞれ確認する。

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電磁気学 第1問:接地導体板と空間電荷

接地条件が電場の分配を決める

正のシート電荷の両側に、単独の無限平面と同じ大きさ σ/(2ε0)\sigma/(2\varepsilon_0) の電場ができるとは限らない。接地された導体表面にも電荷が誘導されるからである。2)で対向面に誘導される面電荷密度は σleft=ε0E1=−σ(L−a)L,σright=−ε0E2=−σaL. \sigma_{\rm left}=\varepsilon_0E_1=-\frac{\sigma(L-a)}L, \qquad \sigma_{\rm right}=-\varepsilon_0E_2=-\frac{\sigma a}L. 和は −σ-\sigma で、シート電荷を打ち消す。a=L/2a=L/2 のときに限り、左右の電場の大きさが等しい。a≪La\ll L では左板に誘導電荷が集中し、その近くの電場は σ/ε0\sigma/\varepsilon_0 に近づく。

ポアソン方程式による別の検算

3)の積分結果を、微分方程式から確認する。0<x<a0<x<a では ϕ′′=−ρε0,ϕin=−ρx22ε0+Cx, \phi''=-\frac{\rho}{\varepsilon_0}, \qquad \phi_{\rm in}=-\frac{\rho x^2}{2\varepsilon_0}+Cx, 電荷のない a<x<La<x<L では ϕ′′=0,ϕout=D(L−x). \phi''=0,\qquad \phi_{\rm out}=D(L-x). これらはそれぞれ ϕ(0)=0\phi(0)=0、ϕ(L)=0\phi(L)=0 を満たす。x=ax=a には面電荷がないため、電位に加えてその微分も連続であり、 −ρa22ε0+Ca=D(L−a),−ρaε0+C=−D. -\frac{\rho a^2}{2\varepsilon_0}+Ca=D(L-a), \qquad -\frac{\rho a}{\varepsilon_0}+C=-D. これを解くと C=ρε0(a−a22L),D=ρa22ε0L. C=\frac{\rho}{\varepsilon_0}\left(a-\frac{a^2}{2L}\right), \qquad D=\frac{\rho a^2}{2\varepsilon_0L}. したがって内部の電位は重ね合わせの結果と一致し、外側も ϕout(x)=ρa2(L−x)2ε0L \phi_{\rm out}(x)=\frac{\rho a^2(L-x)}{2\varepsilon_0L} となる。さらに a→La\to L とすると、全区間に一様な電荷がある場合の ϕ(x)=ρx(L−x)/(2ε0)\phi(x)=\rho x(L-x)/(2\varepsilon_0) が得られる。

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電磁気学 第2問:相互誘導と磁性体に働く力

閉路の誘導起電力と開放端子の電圧

ファラデーの法則の符号を確認するには、aからコイルを通ってbへ進み、端子間の短い隙間をbからaへ戻る閉路を取る。磁束の正方向は図の I2I_2 の右ねじ方向である。開放された理想導線では、電荷が分布して導線内の接線方向の全電場を打ち消す。端子間の隙間の寄与は Vb−Va=−vabV_b-V_a=-v_{ab} なので ∮E⋅dl=−vab=−dΦdt. \oint\boldsymbol E\cdot d\boldsymbol l=-v_{ab} =-\frac{d\Phi}{dt}. したがって vab=dΦ/dtv_{ab}=d\Phi/dt となる。測定用の接続線が余分な磁束を囲まない、原図の端子間の基準を用いている。端子aとbを逆に読めば答えの符号も逆になる。

部分コアの近似と境界条件

3)では、各区間の内部で H≃nI3H\simeq nI_3 とする長いソレノイド近似を用いた。磁性体先端の遷移領域で実際に起こる磁束の曲がりや漏れを解いているわけではない。実際の境界では磁束密度の法線成分は連続であり、μ0μrnI3\mu_0\mu_rnI_3 と μ0nI3\mu_0nI_3 が同じ磁力線上の境界で不連続になるという意味ではない。

全区間を同じ磁束が通る閉じた磁気回路を別に仮定し、その磁気抵抗を直列に足すモデルは、ここで用いた区間ごとのコイルの近似とは前提が異なる。公式の出題意図はコイルの直列接続を指定しているため、その意図に対応する式を解答とした。端部や遷移領域の寸法・漏れ磁束を含む厳密な力は、この近似式だけからは決まらない。

固定電流では電流源の仕事も必要になる

一定電流のもとで WmW_m が挿入長さとともに増えることから、力を単純に −∂Wm/∂h-\partial W_m/\partial h とすると向きを誤る。電流源が磁場の増加分より多くのエネルギーを供給し、その差が磁性体を引き込む仕事になる。線形系では磁気余エネルギー Wm′=WmW'_m=W_m を使い、 Fh=∂Wm′∂h∣I3 F_h=\left.\frac{\partial W'_m}{\partial h}\right|_{I_3} と求めても同じである。

極限と単位による確認

θ=π/2\theta=\pi/2 ではコイル2を貫く磁束がなく、相互インダクタンスと端子電圧はともにゼロになる。μr→1\mu_r\to1 では真空のコイルのインダクタンスに戻り、磁性体に働く力はゼロになる。I3I_3 の向きを逆にしても力の向きは変わらない。また dL3/dhdL_3/dh の単位は H/m\mathrm{H/m} なので、I32(dL3/dh)/2I_3^2(dL_3/dh)/2 は J/m=N\mathrm{J/m}=\mathrm N となる。h=0,lh=0,l の端点近くでは、無視した端効果が重要になり得るため、一定の力をそのまま端点の外まで延長しない。

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電気回路 第1問:等価電源とRL過渡応答

二つの切替で初期電流が異なる

最初の接続では未励磁のコイルをつなぐので初期電流は0である。 6)では直流定常状態から切り替えるため、初期電流は0.4 A0.4\,\mathrm Aとなる。 電源を外した瞬間に電流まで0と置くと、コイル電流の連続性に反する。 なお、接続前のコイルに別の初期電流が与えられる設定なら、4)の初期値はその値を保つ。 ここでは、そのような初期励磁は指定されていない。

電圧とエネルギーによる検算

切替後のa--b間電圧は、負荷から元の抵抗網へ流れ戻る向きを考えると Va−Vb=−(4 Ω)i. V_a-V_b=-(4\,\Omega)i. 一方、負荷側では Va−Vb=(1 Ω)i+(0.05 H)didt=(1 Ω)i−(5 Ω)i=−(4 Ω)i V_a-V_b=(1\,\Omega)i+(0.05\,\mathrm H)\frac{di}{dt} =(1\,\Omega)i-(5\,\Omega)i=-(4\,\Omega)i となり一致する。電流が正でも、放電中の端子電圧は負になり得る。 時定数はL/R=0.05/5=0.01 sL/R=0.05/5=0.01\,\mathrm sで、指数の符号は負でなければならない。 切替直後の磁気エネルギーは W(0)=12Li(0)2=12⋅0.05⋅0.42=0.004 J. W(0)=\frac12Li(0)^2=\frac12\cdot0.05\cdot0.4^2 =0.004\,\mathrm J. 全抵抗での消費エネルギーも ∫0∞5{0.4e−100t}2dt=5⋅0.16200=0.004 J \int_0^\infty5\{0.4e^{-100t}\}^2dt =\frac{5\cdot0.16}{200}=0.004\,\mathrm J であり、エネルギー収支が一致する。

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電気回路 第2問:理想オペアンプと周波数応答

図2.1と図2.2は同じ低域通過回路ではない

図2.1では接地側のR0R_0とC0C_0が並列で、そのインピーダンスは Zg=(1R0+sC0)−1. Z_g=\left(\frac1{R_0}+sC_0\right)^{-1}. 非反転増幅回路の式1+R0/Zg1+R_0/Z_gからもH1=2+sR0C0H_1=2+sR_0C_0となる。 直流利得は2で、理想モデルの高周波利得は増大する。 実際のオペアンプの有限な帯域幅による制約は、この理想化された設問では扱わない。

図2.2のC1C_1を接地コンデンサと読み違えると、伝達関数の一次項が変わってしまう。 節点vxv_xと出力の電位差を使い、C1C_1電流をsC1(vx−vout)sC_1(v_x-v_{\mathrm{out}})と書くことが重要である。

低周波・高周波・単位による検算

図2.2では直流でコンデンサが開放となり、入力電流が0なので抵抗で電圧が降下せず、 H2(0)=1H_2(0)=1となる。高周波では二次項が支配し、 H2(jω)∼−1ω2R1R2C1C2. H_2(j\omega)\sim-\frac{1}{\omega^2R_1R_2C_1C_2}. したがって利得は周波数の二乗に反比例し、位相は−180∘-180^\circへ近づく。 RCRCは時間の単位を持つため、分母のjωRCj\omega RCと ω2R1R2C1C2\omega^2R_1R_2C_1C_2はいずれも無次元である。 また、2)の等しい素子値ではω0=1/(RC)\omega_0=1/(RC)とおくと3)の形と一致する。

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量子力学・物性基礎 第1問:ボーア模型と発光波長

空欄を導く計算

力の大きさについて mv2a=e24πε0a2,mva=nh2π \frac{mv^2}{a}=\frac{e^2}{4\pi\varepsilon_0a^2}, \qquad mva=\frac{nh}{2\pi} を連立する。後式からv=nh/(2πma)v=nh/(2\pi ma)なので、前式へ代入して n2h24π2ma3=e24πε0a2,an=ε0h2πme2n2 \frac{n^2h^2}{4\pi^2ma^3} =\frac{e^2}{4\pi\varepsilon_0a^2}, \qquad a_n=\frac{\varepsilon_0h^2}{\pi me^2}n^2 を得る。与えられた定数から a1=(8.85×10−12)(6.63×10−34)2π(9.11×10−31)(1.60×10−19)2=5.3096…×10−11 m≃0.0531 nm. a_1= \frac{(8.85\times10^{-12})(6.63\times10^{-34})^2} {\pi(9.11\times10^{-31})(1.60\times10^{-19})^2} =5.3096\ldots\times10^{-11}\,\mathrm m \simeq0.0531\,\mathrm{nm}.

全エネルギーは運動エネルギーとクーロンポテンシャルエネルギーの和で、 E=12mv2−e24πε0a=−e28πε0a. E=\frac12mv^2-\frac{e^2}{4\pi\varepsilon_0a} =-\frac{e^2}{8\pi\varepsilon_0a}. a=ana=a_nを代入すると En=−me48ε02h21n2. E_n=-\frac{me^4}{8\varepsilon_0^2h^2}\frac1{n^2}. 放出光のエネルギーはhν=Eq−Ep>0h\nu=E_q-E_p>0なので、 ν=me48ε02h3(1p2−1q2). \nu=\frac{me^4}{8\varepsilon_0^2h^3} \left(\frac1{p^2}-\frac1{q^2}\right). q>pq>pのとき括弧が正になることが、遷移方向と符号の検算になる。

波長の数値は問題の定数で揃える

波長計算では、与えられたRH=1.10×107 m−1R_{\mathrm H}=1.10\times10^7\,\mathrm{m}^{-1}を一貫して用いた。 より多くの桁を持つ別の定数で計算した値を途中に混ぜない。 RHR_{\mathrm H}の単位がm−1\mathrm{m}^{-1}なので、逆数で波長を求めてから 1 m=109 nm1\,\mathrm m=10^9\,\mathrm{nm}で換算する。

量子力学・物性基礎 第1問:ボーア模型と発光波長の途中式・最終答をPDFで見る

量子力学・物性基礎 第2問:真性半導体のキャリア濃度

近似の条件を保つ

フェルミ分布と1−f1-fの関係は厳密である。一方、2)の指数分布への置き換えは E−EF≫kBTE-E_{\mathrm F}\gg k_{\mathrm B}Tという条件で用いる近似である。 3)〜5)も問題で与えられた非縮退近似の範囲での結果となる。 伝導帯の全積分で2)を使うには、帯端でも EC−EF≫kBTE_{\mathrm C}-E_{\mathrm F}\gg k_{\mathrm B}Tであることが必要になる。 価電子帯側の正孔濃度の指数近似には、対応して EF−EV≫kBTE_{\mathrm F}-E_{\mathrm V}\gg k_{\mathrm B}Tを用いる。 フェルミ準位が帯内や帯端近くにある場合に、これらの近似をそのまま適用しない。

フェルミ準位の符号と濃度を検算する

NC=NVN_{\mathrm C}=N_{\mathrm V}なら対数項が0となり、EFE_{\mathrm F}は禁制帯の中央になる。 NC>NVN_{\mathrm C}>N_{\mathrm V}なら対数項は負なので、フェルミ準位は中央より低くなる。 伝導帯側の状態数が多い分、電子の占有確率を下げる向きに動くと考えても整合する。 得られたEFE_{\mathrm F}をnn、ppのそれぞれに代入すると、いずれも4)のnin_iになる。

有効状態密度の係数と単位

変数変換では平方根からK1/2K^{1/2}、微小エネルギー幅からKKが生じ、合わせて T3/2T^{3/2}依存性が現れる。 問題で与えられた状態密度の前係数をそのまま積分しているので、最終結果へ別途縮重度を掛けない。 また、me∗kBT/ℏ2m_e^*k_{\mathrm B}T/\hbar^2の単位はm−2\mathrm{m}^{-2}であり、 その3/23/2乗でNCN_{\mathrm C}は濃度の単位m−3\mathrm{m}^{-3}を持つ。

量子力学・物性基礎 第2問:真性半導体のキャリア濃度の途中式・最終答をPDFで見る

年度別の解答例(6年度)

2025年実施(2026年度入学)の出題内容

解説8項目

この8問の分野は電磁気学・回路4問・数学2問・量子力学2問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
数学 第1問数学微分方程式連鎖律で落としやすい項 / 元の方程式への代入による検算あり
数学 第2問数学複素数と複素関数累乗と対数で偏角の扱いを分ける / 線積分の実部と虚部による検算あり
電磁気学 第1問電磁気学・回路接地導体板と空間電荷接地条件が電場の分配を決める / ポアソン方程式による別の検算あり
電磁気学 第2問電磁気学・回路相互誘導と磁性体に働く力閉路の誘導起電力と開放端子の電圧 / 部分コアの近似と境界条件あり
電気回路 第1問電磁気学・回路等価電源とRL過渡応答二つの切替で初期電流が異なる / 電圧とエネルギーによる検算—
電気回路 第2問電磁気学・回路理想オペアンプと周波数応答図2.1と図2.2は同じ低域通過回路ではない / 低周波・高周波・単位による検算—
量子力学・物性基礎 第1問量子力学ボーア模型と発光波長空欄を導く計算 / 波長の数値は問題の定数で揃える—
量子力学・物性基礎 第2問量子力学真性半導体のキャリア濃度近似の条件を保つ / フェルミ準位の符号と濃度を検算する—

同じテーマを出した他大学・他年度

5テーマ

2025年実施(2026年度入学)は4問に5テーマが出ています。

前年度(2024年度)との違い

大問数
2024年度 4問 → 2025年実施(2026年度入学) 8問
2025年実施(2026年度入学)で新しく出たテーマ
留数定理・静電場・フェルミ・ボース統計・オペアンプ回路・ローラン展開
2024年度の解答例

東京科学大学の公式過去問

公開年度範囲
主に2021〜2025年実施(数学系は2020〜2024年実施)
公式の解答例
非公開(問題冊子のみ)
英語の扱い
2027年4月・2026年9月入学の理工学系修士は、数学系を除きTOEIC L&R・TOEFL iBT・Home Editionの外部スコアを使用。数学系は独自英語筆答が必須で、外部スコアによる免除はありません。提出期限は系別です。
院試hubの最終確認
2026-10-15
東京科学大学の公式過去問PDF