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東京大学 院試 過去問 解答例

東大 工学系研究科 応用化学専攻 一般教育科目 化学 2021年度 院試 過去問 解答例・解説(全3問)

全3問。化学3問。テーマタグは1件(カルノーサイクル)。

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解説3問/全3問
解答PDFに収録
途中式と最終答(最終答つき3問)
問題本文
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東大 一般教育科目 化学 2021年度 院試 過去問の出題内容(全3問)

この3問の分野は化学3問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問化学物理化学答案作成上の注意あり
第2問化学無機化学答案作成上の注意あり
第3問化学有機化学答案作成上の注意あり

この年度の解説には検算3件・典型ミス3件が付いています。

2021年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度

この年度は1問に1テーマが出ています。

テーマこの年度全体の出題実績他大学の直近出題
カルノーサイクル第1問9大学・22問

第1問 — 物理化学

方針

本問は、公式をそのまま使うだけでなく、式の符号と物理的意味を言葉で説明する力を問うている。実在気体では b−a/(RT)b-a/(RT) の符号、カルノーサイクルでは断熱過程から等温過程の体積比をそろえること、速度論では観測速度式の極限を読むことが中心である。

検算

水素とメタンの判定では、aa の単位が bar L2 mol−2\mathrm{bar\,L^2\,mol^{-2}}、bb の単位が L mol−1\mathrm{L\,mol^{-1}} であるため、a/(RT)a/(RT) は bb と同じ L mol−1\mathrm{L\,mol^{-1}} になる。単位がそろうので b−a/(RT)b-a/(RT) の大小比較が意味を持つ。

窒素酸化物の ΔG∘\Delta G^\circ 計算では、ΔS∘=−147 J K−1 mol−1=−0.147 kJ K−1 mol−1\Delta S^\circ=-147\ \mathrm{J\,K^{-1}\,mol^{-1}}=-0.147\ \mathrm{kJ\,K^{-1}\,mol^{-1}} と直してから代入する。ここを直さないと TΔS∘T\Delta S^\circ が 10310^3 倍ずれる。

[4]

典型ミス

カルノーサイクルの低温等温過程で、Q2Q_2 を符号付きの熱量として扱うか、放出熱の大きさとして扱うかを混在させると効率の符号を誤る。答案では「放出する熱の大きさ」を Q2>0Q_2>0 と定義してから η=(Q1−Q2)/Q1\eta=(Q_1-Q_2)/Q_1 と書くとよい。

速度式では N2O2 の消費項に [数式] と [数式] の両方を入れる。k2k_2 の逆反応だけを落とすと、O2 濃度依存性を使った律速判別ができなくなる。

答案作成上の注意

自発性を示す小問では、数値計算の最後に ΔG∘<0\Delta G^\circ<0 と標準状態での結論を明記する。速度論の小問では、定常状態近似の式を 1 行書いてから速度式へ進むと、導出の根拠が採点者に伝わりやすい。

物理化学の途中式・最終答をPDFで見る

第2問 — 無機化学

方針

無機化学の横断問題では、まず形式電荷と酸化数を固定すると答案が崩れにくい。結晶では切片、電池では電子数、錯体では酸化数と配位子供与電子数を先に整理する。

検算

ダニエル電池の計算では、0.965 A0.965\ \mathrm{A} を 1010 分流すと電子量はちょうど 6.00×10−36.00\times 10^{-3} mol になる。銅析出は 2 電子還元なので、銅はその半分の 3.00×10−33.00\times 10^{-3} mol である。ここで 2 で割ることを忘れると、質量が 0.382 g0.382\ \mathrm{g} となり 2 倍の誤答になる。

有機金属錯体の電子数は、A、B、C、D がすべて 16 電子になる。16 電子錯体でそろうことは、数え間違いの検算にも使える。

典型ミス

[CrO4]^2- を dd-dd 遷移で説明してはいけない。Cr(VI) は d0d^0 であり、色の起源は酸素からクロムへの電荷移動遷移である。

内圏型電子移動の速度順では、単にハロゲン化物の大きさだけを書くより、橋かけ配位子形成、分極性、Co--XX 結合の切れやすさを結びつけて説明するとよい。

答案作成上の注意

ミラー指数では、面の切片を言葉で説明してから逆数を取ると採点者に判断過程が伝わる。有機金属の電子数では、酸化数法と中性配位子法を混在させない。答案内で一つの数え方に統一することが重要である。

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第3問 — 有機化学

方針

有機化学の答案では、選択性がどの段階で決まるかを明確にする。命名では最長鎖、番号、置換基名、不斉中心の順に処理する。反応機構では、位置選択性、立体選択性、速度論支配と熱力学支配を分けて書く。

検算

化合物 B の命名では、右から番号を付けた場合の置換基位置が 2,4,72,4,7、左からでは 2,5,72,5,7 である。最初に異なる位置で 4<54<5 なので、4-ethyl-2,7-dimethyloctane となる。

Wittig 生成物では、アルデヒド炭素とイリド炭素がアルケンの 2 炭素になる。エステルカルボニル炭素を 1 位として数えると、二重結合は 6 位、メチル置換基は 8 位にあるため、methyl 8-methylnon-6-enoate と確認できる。

典型ミス

1-フェニルプロピンへの HCl 付加では、位置選択性と E/ZE/Z 選択性を混同しやすい。まず塩素がフェニル側のアルケン炭素に入る骨格を決め、その後で初期生成物 C と最終生成物 D の E/ZE/Z 関係を考える。

F の合成で Friedel--Crafts アルキル化を最初に使うと、プロピル基が ortho/para 配向性を示して目的の meta 体が主生成物にならない。meta 配向性のアシル基を一時的に利用することがこの合成の要点である。

答案作成上の注意

反応機構を文章で補う場合も、どの結合ができ、どの中間体を経由するかを式で示すとよい。1H^1\mathrm{H} NMR の立体配置判定では、単に「NMR でわかる」と書かず、アルケンプロトン間の 3J{}^3J 値の大小を具体的に書く。

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