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早稲田大学 基幹理工学研究科 機械科学・航空宇宙専攻 専門科目 2025年度 院試 過去問 解答例・解説(全6問)

全6問の分野は力学3問、数学1問、制御工学1問です。留数定理、伝達関数、はりの曲げなどが出ています。2024年度と共通するテーマは伝達関数です。解説はすべて、途中式と最終答は大問1問ぶんを公開しています。残りは解答PDFに収録しています。問題本文は含みません。

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第1問 — 数学:逐次近似と複素積分

逐次近似の見せ方

最初の数項だけでなく一般項を書くと,収束先が明確になる。試験答案では「各有界区間で余項が 0 に収束する」と一言添えると,単なる推測でなく極限解を示したことになる。

極の選び方

実軸積分では上半平面に閉じるのが標準である。極は4個あるが,実際に留数和へ入れるのは上半平面の2個だけである。

解答

逐次近似

初期値問題 y′=f(x,y), y(0)=y0y'=f(x,y),\ y(0)=y_0 は y(x)=y0+∫0xf(t,y(t)) dt y(x)=y_0+\int_0^x f(t,y(t))\,dt と同値である。連続関数 φ\varphi が解であることは,この積分方程式を満たすことと同値である。

(a) f=x+y, y(0)=−1(a)\ f=x+y,\ y(0)=-1 では φ0=−1\varphi_0=-1 として φ1=−1−x+x22,φ2=−1−x+x36,φ3=−1−x+x424. \varphi_1=-1-x+\frac{x^2}{2},\quad \varphi_2=-1-x+\frac{x^3}{6},\quad \varphi_3=-1-x+\frac{x^4}{24}. 一般に φn(x)=−1−x+xn+1(n+1)!(n≥1) \varphi_n(x)=-1-x+\frac{x^{n+1}}{(n+1)!}\qquad(n\ge1) であり,余項は任意の有界区間で 0 に収束する。よって解は y=−1−x. y=-1-x.

(b) f=x(y+2−x2), y(0)=0(b)\ f=x(y+2-x^2),\ y(0)=0 では φ1=x2−x44,φ2=x2−x624,φ3=x2−x8192. \varphi_1=x^2-\frac{x^4}{4},\quad \varphi_2=x^2-\frac{x^6}{24},\quad \varphi_3=x^2-\frac{x^8}{192}. 一般に φn(x)=x2−x2n+22n(n+1)! \varphi_n(x)=x^2-\frac{x^{2n+2}}{2^n(n+1)!} であり,これも任意の有界区間で x2x^2 に収束する。したがって解は y=x2. y=x^2.

留数計算

F(z)=1z4+1 F(z)=\frac1{z^4+1} と読む。特異点は zk=exp⁡(iπ+2kπ4)(k=0,1,2,3) z_k=\exp\left(i\frac{\pi+2k\pi}{4}\right)\qquad(k=0,1,2,3) であり,いずれも単純極である。留数は Res⁡z=zkF(z)=14zk3. \operatorname*{Res}_{z=z_k}F(z) =\frac1{4z_k^3}. 上半平面の極は eiπ/4,ei3π/4e^{i\pi/4},e^{i3\pi/4} である。半円積分を用いると弧の寄与は 0 となり, ∫−∞∞dxx4+1=2πi(14e3iπ/4+14e9iπ/4)=π2. \int_{-\infty}^{\infty}\frac{dx}{x^4+1} =2\pi i\left(\frac1{4e^{3i\pi/4}}+\frac1{4e^{9i\pi/4}}\right) =\frac{\pi}{\sqrt2}.

最終答

逐次近似の極限は (a) y=−1−x, (b) y=x2(a)\ y=-1-x,\ (b)\ y=x^2。また ∫−∞∞dxx4+1=π2. \int_{-\infty}^{\infty}\frac{dx}{x^4+1}=\frac{\pi}{\sqrt2}.

第2問 — 力学:水平ばねで結合された二振り子

ばねの伸びは水平差だけが1次

鉛直方向の差は cos⁡θ1−cos⁡θ2\cos\theta_1-\cos\theta_2 であり2次以上である。微小振動のポテンシャルでは,ばね伸びを l(θ2−θ1)l(\theta_2-\theta_1) として扱えば2次精度で十分である。

同相モード

同相に動くとばねは伸び縮みせず,通常の単振り子の固有角振動数がそのまま現れる。逆相モードではばねが効くため高い固有角振動数になる。

力学:水平ばねで結合された二振り子の途中式・最終答をPDFで見る

第3問 — 熱力学:可逆カルノーサイクルとエントロピー

符号の整理

ここでは QH,QLQ_H,Q_L を吸熱量・放熱量の大きさとして正に取った。サイクル積分では,高温側は +QH/TH+Q_H/T_H,低温側は −QL/TL-Q_L/T_L と符号を付ける。この約束を明記すると混乱しにくい。

不可逆性の結論

可逆サイクルで 0 だった ∮δQ/T\oint\delta Q/T は,不可逆過程を含むと負になる。これが Clausius の不等式であり,状態量としてのエントロピー増大則につながる。

熱力学:可逆カルノーサイクルとエントロピーの途中式・最終答をPDFで見る

第4問 — 流体力学:Riemann不変量と管端流出

非定常膨張波と定常ノズルを混同しない

同じ圧力比でも,管端から出る非定常流れと定常ノズル流れでは支配条件が異なる。前者は特性曲線上の Riemann 不変量,後者は定常エネルギー式で速度が決まる。

音速の扱い

圧力から直接速度を出すのではなく,等エントロピー関係で音速 aa を先に更新する。u2=2(a1−a2)/(κ−1)u_2=2(a_1-a_2)/(\kappa-1) の形にすれば単位も確認しやすい。

流体力学:Riemann不変量と管端流出の途中式・最終答をPDFで見る

第5問 — 材料力学:半円弧薄肉断面と弾性支持はり

せん断中心の考え方

せん断中心は,外力によるねじりモーメントと断面内せん断流によるねじりモーメントがつり合う点である。公式だけを書くより,q=VQ/Iq=VQ/I からモーメントを積分する流れを示す方が安全である。

ばね反力は冗長反力

左端ばねの反力は静力学だけでは決まらない。曲げエネルギーとばねエネルギーを合わせて停留条件を使うと,互換条件を一行で処理できる。

材料力学:半円弧薄肉断面と弾性支持はりの途中式・最終答をPDFで見る

第6問 — 制御工学:3次遅れ系PI制御の安定余裕

位相条件を先に解く

安定限界ゲインは,位相が −180∘-180^\circ になる周波数を求めてから,その周波数で大きさが1になるように決める。ゲイン余有 6 dB は,限界ゲインのおよそ半分に設定することを意味する。

ナイキスト線図の描写

概形だけでなく,実軸交点が −1/2-1/2 であることを示すと「6 dB」の条件が図に反映される。軸範囲が指定された問題では,この交点と原点への接近方向を丁寧に入れる。

制御工学:3次遅れ系PI制御の安定余裕の途中式・最終答をPDFで見る

年度別の解答例(5年度)

  • 2026年度(全6問)

    数学:常微分方程式とラプラス変換 / 力学:鉛直ばね連成振動 / 熱力学:ディーゼルサイクルとブレイトンサイクル

  • 2025年度(このページ・全6問)

    数学:逐次近似と複素積分 / 力学:水平ばねで結合された二振り子 / 熱力学:可逆カルノーサイクルとエントロピー

  • 2024年度(全6問)

    数学:行列指数関数と複素対数 / 力学:二重振り子の微小振動 / 熱力学:アトキンソンサイクルとルノアールサイクル

  • 2023年度(全6問)

    数学 / 力学 / 熱力学

  • 2022年度(全6問)

    数学 / 力学 / 熱力学

2025年度の出題内容

全6問

この6問の分野は力学3問・数学1問・制御工学1問・熱・統計力学1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問数学逐次近似と複素積分逐次近似の見せ方 / 極の選び方あり
第2問力学水平ばねで結合された二振り子ばねの伸びは水平差だけが1次 / 同相モードあり
第3問熱・統計力学可逆カルノーサイクルとエントロピー符号の整理 / 不可逆性の結論あり
第4問力学Riemann不変量と管端流出非定常膨張波と定常ノズルを混同しない / 音速の扱いあり
第5問力学半円弧薄肉断面と弾性支持はりせん断中心の考え方 / ばね反力は冗長反力あり
第6問制御工学3次遅れ系PI制御の安定余裕位相条件を先に解く / ナイキスト線図の描写あり

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5テーマ

前年度(2024年度)との違い

大問数
2024年度 6問 → 2025年度 6問
両年度に出たテーマ
伝達関数
2024年度の解答例

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2026-09-26
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