早稲田大学 基幹理工学研究科 機械科学・航空宇宙専攻 専門科目 2024年度 院試 過去問 解答例・解説(全6問)
全6問の分野は力学3問、数学1問、制御工学1問です。固有値・固有ベクトル、伝達関数、固有振動数と振動系などが出ています。2023年度と共通するテーマは固有値・固有ベクトル、伝達関数、固有振動数と振動系です。解説はすべて、途中式と最終答は大問1問ぶんを公開しています。残りは解答PDFに収録しています。問題本文は含みません。
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第1問 — 数学:行列指数関数と複素対数
行列指数の証明
相似変換と無限級数の相性を使うだけである。各べきで が消えることを明示すれば十分で,対角化可能な場合は指数関数が固有値ごとに作用する。
対数の多価性
の本質は偏角が だけ不定である点にある。値を求める問題では,一般の と主枝 を混同しないことが重要である。
解答
行列指数関数
行列指数関数は で定義される。正則行列 について であるから 定数行列 に対する初期値問題 の解は 相異なる固有値 と固有ベクトル を持ち, とおくと したがって
2次元の具体例を と読むと, である。よって 初期値 に対して
複素対数
正則性の必要十分条件は, が1階連続偏微分可能で Cauchy--Riemann 方程式 を満たすことである。極座標では となる。
複素対数は であり,主枝は である。したがって は多価関数であり,原点を囲む領域全体では一価正則な枝を取れない。ただし負の実軸などを切断した単連結領域では主枝 が正則である。
曲線 を正向きに一周する積分は
最終答
複素対数は ,主枝は 。
第2問 — 力学:二重振り子の微小振動
下側質点の速度
下側質点の水平変位は であるため,運動エネルギーに交差項が出る。この交差項を落とすと固有振動数が大きく変わる。
モードの物理像
低周波モードでは2本の糸がほぼ同じ向きに揺れ,下側質点の振幅が大きい。高周波モードでは2本が逆向きに揺れ,中央の関節付近で曲がるような形になる。
第3問 — 熱力学:アトキンソンサイクルとルノアールサイクル
アトキンソンの特徴
アトキンソンサイクルでは膨張比が圧縮比より大きく取れる。これにより膨張仕事を長く取り出し,定圧放熱に入る温度を下げられるため,効率式に が現れる。
比熱の使い分け
定容過程では ,定圧過程では を使う。熱量計算で比熱を逆にすると,効率式の先頭係数 が逆数になってしまう。
第4問 — 流体力学:積分形保存式と後流運動量
検査面の向き
流入は ,流出は正で数える。符号を統一すれば,上下境界を通る質量流量も連続式から自然に求まる。
抗力は速度欠損で決まる
圧力が上下流で等しいとき,物体抗力は後流で失われた 方向運動量流束として表せる。式 は,速度が一様流 に戻れば抗力が 0 になることも示している。
第5問 — 材料力学:薄肉圧力容器
薄肉仮定
半径方向応力を無視し,膜応力だけでつり合いを取るのが薄肉圧力容器の基本である。円筒では円周方向応力が軸方向応力の2倍になる。
厚さを変える理由
同じ内圧でも円筒と球殻の半径方向伸びは異なる。接合部で伸びを合わせないと曲げが発生するため,膜理論で得た伸びから厚さ比を決める。
第6問 — 制御工学:一次遅れ系のPI制御応答
標準2次形への整理
PI制御を一次遅れ対象にかけると閉ループ分母は2次になる。分母を で割ってから を読み取ると符号ミスが少ない。
ゲイン線図の特徴
低周波では積分動作により目標値への追従性が高くなる。 が大きいと積分作用が弱く始まり,折点が低い に現れるため,3本の曲線の違いは零点位置の違いとして説明できる。
年度別の解答例(5年度)
数学:常微分方程式とラプラス変換 / 力学:鉛直ばね連成振動 / 熱力学:ディーゼルサイクルとブレイトンサイクル
数学:逐次近似と複素積分 / 力学:水平ばねで結合された二振り子 / 熱力学:可逆カルノーサイクルとエントロピー
2024年度(このページ・全6問)
数学:行列指数関数と複素対数 / 力学:二重振り子の微小振動 / 熱力学:アトキンソンサイクルとルノアールサイクル
数学 / 力学 / 熱力学
数学 / 力学 / 熱力学
2024年度の出題内容
全6問
同じテーマを出した他大学・他年度
4テーマ
2024年度は3問に4テーマが出ています。
| テーマ | この年度 | 全体の出題実績 | 他大学の直近出題 |
|---|---|---|---|
| 固有値・固有ベクトル | 第1問 | 25大学・544問 | |
| 伝達関数 | 第6問 | 12大学・113問 | |
| 固有振動数と振動系 | 第2問 | 16大学・71問 | |
| 偏微分可能性と連続性 | 第1問 | 9大学・12問 |
前年度(2023年度)との違い
- 大問数
- 2023年度 6問 → 2024年度 6問
- 両年度に出たテーマ
- 固有値・固有ベクトル・伝達関数・固有振動数と振動系
- 2024年度で新しく出たテーマ
- 偏微分可能性と連続性
早稲田大学の公式過去問
- 公開年度範囲
- 2024〜2027年度(現行一覧。大学は過去3年分の公開と案内)
- 公式の解答例
- 一部の年度・科目のみ公開
- 院試hubの最終確認
- 2026-09-26