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東京大学 院試 過去問 解答例

東大 情報理工学系研究科 知能機械情報学専攻 知能機械情報学 2016年度 院試 解答例・解説

東京大学 情報理工学系研究科 知能機械情報学専攻 知能機械情報学 2016年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針と確認点を解説。全3問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。

最終更新:

1 — 必答問題:衝突・情報量・電動機

衝突問題の立て方

衝突時間は短いため、重力の力積は無視し、床からの衝撃だけを考える。 摩擦なしなので水平衝撃はなく、跳ね返らない条件は接触点の鉛直速度が0という拘束になる。 衝突前後で力学的エネルギーは保存しないため、エネルギー保存を使わない点が重要である。

相互情報量の確認

独立なら I(A;B)=0I(A;B)=0 になる。本問では同時分布が完全な積分布ではないため小さい正値になる。 小数計算では、まず度数表を作り、最後に H(A)+H(B)H(A,B)H(A)+H(B)-H(A,B) を使うのが安全である。

2016年度は公開から時間が経過しているため、解答・最終答まで全文公開しています

棒の質量を mm、長さを ll、床との角を θ=π/3\theta=\pi/3 とする。 衝突直前、重心速度は鉛直下向きに v0v_0、角速度は0である。 床は摩擦なしなので、衝撃は鉛直方向にだけ働く。棒の下端が跳ね返らないため、 衝突直後の下端の鉛直速度は0である。

重心まわりの慣性モーメントは IG=112ml2. I_G=\frac{1}{12}ml^2. 床から受ける鉛直衝撃を JJ とすると、重心の鉛直速度は Vy+=v0+Jm. V_y^+=-v_0+\frac{J}{m}. 下端は重心から rx=l2cosθ r_x=-\frac{l}{2}\cos\theta だけ水平方向に離れている。角速度を反時計回り正で ω+\omega^+ とすると、 重心まわりの角運動量変化より IGω+=l2cosθJ. I_G\omega^+=-\frac{l}{2}\cos\theta\,J. また下端の鉛直速度条件は Vy++ω+rx=0. V_y^+ + \omega^+ r_x=0. これらを解くと J=mv01+3cos2θ, J=\frac{mv_0}{1+3\cos^2\theta}, ω+=6v0cosθl(1+3cos2θ). \omega^+ = -\frac{6v_0\cos\theta}{l(1+3\cos^2\theta)}. θ=π/3\theta=\pi/3 では cosθ=1/2\cos\theta=1/2 だから ω+=127v0l. \omega^+=-\frac{12}{7}\frac{v_0}{l}. 負号は時計回りを表す。角速度の大きさは 12v07l \frac{12v_0}{7l} である。

観測数は24個である。情報源Aでは1が16個、0が8個なので PA(1)=23,PA(0)=13. P_A(1)=\frac23,\qquad P_A(0)=\frac13. したがって H(A)=23log22313log213=log23231.580.67=0.91. H(A) = -\frac23\log_2\frac23-\frac13\log_2\frac13 = \log_2 3-\frac23 \simeq 1.58-0.67 =0.91.

情報源Bでは1と0が12個ずつであるから H(B)=1.00. H(B)=1.00.

同時分布の度数は N11=10,N10=6,N00=6,N01=2 N_{11}=10,\quad N_{10}=6,\quad N_{00}=6,\quad N_{01}=2 である。従って H(A,B)=1024log210242624log2624224log2224. H(A,B) = -\frac{10}{24}\log_2\frac{10}{24} -2\cdot\frac{6}{24}\log_2\frac{6}{24} -\frac{2}{24}\log_2\frac{2}{24}. 与えられた近似値を用いると H(A,B)1.82. H(A,B)\simeq 1.82. よって相互情報量は I(A;B)=H(A)+H(B)H(A,B)0.91+1.001.82=0.09. I(A;B)=H(A)+H(B)-H(A,B) \simeq 0.91+1.00-1.82=0.09.

直流モータでは、磁界中のコイルに電流を流すと、導体にローレンツ力が働き、コイルに回転トルクが 生じる。整流子は半回転ごとにコイル電流の向きを切り替え、トルクの向きが回転を継続する向きに 保たれるようにする。

誘導モータでは、固定子の交流電流が回転磁界を作り、その磁界が回転子に誘導電流を生じさせる。 誘導電流と磁界の相互作用でトルクが発生するため、回転子は同期速度より少し遅れて回る。 同期モータでは、永久磁石または界磁電流で作った回転子磁界が固定子の回転磁界に同期して回る。 定常状態ではすべりがほぼ0で、回転速度は電源周波数と極数で決まる。

最終答

ω+=127v0l(時計回り), \omega^+=-\frac{12}{7}\frac{v_0}{l} \quad(\text{時計回り}), H(A)0.91,H(B)=1.00,I(A;B)0.09. H(A)\simeq0.91,\quad H(B)=1.00,\quad I(A;B)\simeq0.09. 電動機の原理は、直流モータは整流子でトルク方向を保ち、誘導モータはすべりを伴い、 同期モータは回転磁界に同期する。

2 — 選択問題2A:磁気浮上とワイヤ駆動機構

磁気浮上の符号

問題文の線形化式をそのまま使うと、位置変化に対する磁力変化は Kxx-K_xx で表される。 座標軸の取り方によって伝達関数の符号は変わり得るが、答案では問題文の xx の正方向と 磁力式の符号をそろえて書くのが重要である。

直列弾性の意味

ばねを入れると、モータ位置と指位置の差がトルクになる。 これはSeries Elastic Actuatorの基本で、外力に対して柔らかく変位できるため、 接触作業や安全性が重要なロボットで有利である。

2016年度は公開から時間が経過しているため、解答・最終答まで全文公開しています

平衡点まわりの変位と電流変化を x,ix,i とする。磁力が fm=MgKxx+Kii f_m=Mg-K_xx+K_i i と線形化されているので、鉄球の運動方程式は Mx¨=fmMg=Kxx+Kii. M\ddot x=f_m-Mg=-K_xx+K_i i. 従って Mx¨+Kxx=Kii. M\ddot x+K_xx=K_i i. 入力を ii、出力を xx とした伝達関数は G(s)=X(s)I(s)=KiMs2+Kx. G(s)=\frac{X(s)}{I(s)}=\frac{K_i}{Ms^2+K_x}.

これは減衰のない2次系であり、固有角周波数は ωn=KxM \omega_n=\sqrt{\frac{K_x}{M}} である。低周波ゲインは Ki/KxK_i/K_x、共振付近でゲインが大きくなり、十分高い周波数では 40dB/dec-40\,\mathrm{dB/dec} で低下する。位相は低周波で 00^\circ、固有角周波数を越えると 180-180^\circ 側へ移る。

図2の剛なワイヤ機構では、最短時間制御はバンバン制御になる。 初期から中間時刻までは最大トルク +τmax+\tau_{\max} で加速し、その後 τmax-\tau_{\max} に切り替えて減速する。角速度は三角形状、角度は滑らかなS字状になる。

図3の直列ばね機構では、2本のばねの合成により、指に働くばねトルクを τs=2KR2(θ2θ1) \tau_s=2KR^2(\theta_2-\theta_1) と書ける。指の慣性モーメントを II とすると Iθ¨1=2KR2(θ2θ1). I\ddot\theta_1=2KR^2(\theta_2-\theta_1). 状態を x=[θ1θ˙1],u=θ2 x=\begin{bmatrix}\theta_1\\ \dot\theta_1\end{bmatrix}, \qquad u=\theta_2 とすれば x˙=[012KR2I0]x+[02KR2I]u. \dot x = \begin{bmatrix} 0&1\\ -\dfrac{2KR^2}{I}&0 \end{bmatrix}x + \begin{bmatrix} 0\\ \dfrac{2KR^2}{I} \end{bmatrix}u. 可制御性行列は C=[02KR2I2KR2I0] \mathcal C= \begin{bmatrix} 0&\dfrac{2KR^2}{I}\\ \dfrac{2KR^2}{I}&0 \end{bmatrix} であり、K>0, R>0K>0,\ R>0 ならランク2で可制御である。

モータ側プーリにブレーキをかけると θ2=0\theta_2=0 なので、 τs=2KR2θ1 \tau_s=-2KR^2\theta_1 という受動的な復元トルクが生じる。図2の機構でこれと同等の振る舞いを模擬するには、 τ=f(θ1)=2KR2θ1 \tau=f(\theta_1)=-2KR^2\theta_1 という位置フィードバックを加えればよい。

この制御器は、対象物をつかむ把持、衝突時の衝撃緩和、人と接触するロボット指の柔らかい接触、 位置誤差を許容した挿入作業などで有効である。

最終答

Mx¨+Kxx=Kii,G(s)=KiMs2+Kx, M\ddot x+K_xx=K_i i,\qquad G(s)=\frac{K_i}{Ms^2+K_x}, A=[012KR2I0],b=[02KR2I],τ=2KR2θ1. A= \begin{bmatrix} 0&1\\ -\dfrac{2KR^2}{I}&0 \end{bmatrix}, \quad b= \begin{bmatrix} 0\\ \dfrac{2KR^2}{I} \end{bmatrix}, \quad \tau=-2KR^2\theta_1.

3 — 選択問題2B:線形識別とマージン

SVM型問題の解き方

マージン問題は、距離公式を一度導けばあとは制約付き最小化である。 miniyi(wxib)=1\min_i y_i(w^\top x_i-b)=1 と正規化すると、最大マージン化は w\|w\| の最小化に変わる。2次元の少数点データでは、どの制約が等号になるかを考えると 手計算で解ける。

2016年度は公開から時間が経過しているため、解答・最終答まで全文公開しています

識別面は f(x)=wxb=0 f(x)=w^\top x-b=0 である。法線ベクトルは ww なので、単位法線ベクトルは ww \frac{w}{\|w\|} である。

xix_i から識別面へ下ろした垂線の足を x^i\hat x_i とする。 xix^i=tw x_i-\hat x_i=tw と書ける。距離を ri=xix^ir_i=\|x_i-\hat x_i\| とすると、 ラベル yi{1,1}y_i\in\{-1,1\} を用いて t=yiriw t=\frac{y_i r_i}{\|w\|} と表せる。

また wx^ib=0,xi=x^i+tw w^\top \hat x_i-b=0,\qquad x_i=\hat x_i+tw より wxib=tw2. w^\top x_i-b=t\|w\|^2. したがって ri=yi(wxib)w r_i= \frac{y_i(w^\top x_i-b)}{\|w\|} である。

表1では (0,0):1,(5,0):1,(0,5):1 (0,0): -1,\quad (5,0):1,\quad (0,5):1 である。

w=(4,3), b=12w=(4,3)^\top,\ b=12 のとき、 yi(wxib)=12, 8, 3 y_i(w^\top x_i-b)=12,\ 8,\ 3 である。最小値は3、w=5\|w\|=5 だから δ=35=0.60. \delta=\frac35=0.60.

w=(1,1), b=3w=(1,1)^\top,\ b=3 のとき、 yi(wxib)=3, 2, 2 y_i(w^\top x_i-b)=3,\ 2,\ 2 である。最小値は2、w=2\|w\|=\sqrt2 だから δ=22=21.41. \delta=\frac{2}{\sqrt2}=\sqrt2\simeq1.41.

(0,0)(0,0) の制約から y(wxb)=1 y(w^\top x-b)=1 であり、これ以上最小値を大きくできない。残り2点でも最小値が1以上になるには 5w111,5w211 5w_1-1\ge 1,\qquad 5w_2-1\ge 1 が必要である。すなわち w125,w225. w_1\ge\frac25,\qquad w_2\ge\frac25. w\|w\| を最小にするには w=[2/52/5] w=\begin{bmatrix}2/5\\2/5\end{bmatrix} とすればよい。このとき yi(wxib)=1, 1, 1 y_i(w^\top x_i-b)=1,\ 1,\ 1 であり、 δ=1w=522. \delta=\frac{1}{\|w\|} = \frac{5}{2\sqrt2}.

条件 miniyi(wxib)=1 \min_i y_i(w^\top x_i-b)=1 のもとでは δ=miniyi(wxib)w=1w \delta=\min_i \frac{y_i(w^\top x_i-b)}{\|w\|} = \frac{1}{\|w\|} である。

表2の制約は b1, b\ge1, b12w1+12w21, b-\frac12w_1+\frac12w_2\ge1, 2w1b1, 2w_1-b\ge1, w2b1. w_2-b\ge1. w2=w12+w22\|w\|^2=w_1^2+w_2^2 を最小にする解は b=1,w1=1,w2=2 b=1,\qquad w_1=1,\qquad w_2=2 である。このとき各制約値は 1,32,1,1 1,\quad \frac32,\quad 1,\quad 1 で、すべて1以上を満たす。よって最大マージンは δ=112+22=15. \delta=\frac{1}{\sqrt{1^2+2^2}}=\frac{1}{\sqrt5}.

最終答

ri=yi(wxib)w,δ=miniri. r_i=\frac{y_i(w^\top x_i-b)}{\|w\|},\qquad \delta=\min_i r_i. 表1のマージンは 3/53/52\sqrt2。表1で b=1b=1 なら w=(2/5,2/5),yi(wxib)=(1,1,1). w=(2/5,2/5)^\top,\quad y_i(w^\top x_i-b)=(1,1,1). 正規化条件下では δ=1/w\delta=1/\|w\|。表2では w=(1,2),b=1,δ=1/5. w=(1,2)^\top,\quad b=1,\quad \delta=1/\sqrt5.

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