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東京大学 院試 過去問 解答例

東大 理学系研究科 化学 2024年度 院試 過去問 解答例・解説(全6問)

全6問。化学4問。テーマタグは2件(転位・熱力学第一・第二法則)。

最終更新:

収録3年度分の解答PDF:東京大学 理学系研究科 化学(¥2,180・紙面見本あり)

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解説6問と大問1問の途中式・最終答(全6問)
解答PDFに収録
途中式と最終答(最終答つき6問)
問題本文
非収録

東大 化学 2024年度 院試 過去問の出題内容(全6問)

この6問の分野は化学4問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問化学物理化学基礎符号の検算 / 有効核電荷あり
第2問化学物理化学標準解離平衡の分圧 / 相律と Clapeyron 式あり
第3問化学有機化学基礎構造式問題の数え落とし / 付加反応の共通点あり
第4問化学有機化学標準合成スキームの戻し方 / 禁制反応の説明あり
第5問—無機・分析化学基礎結晶場図の描き方 / 配位水の酸性度あり
第6問—無機・分析化学標準錯体異性体の分析 / ZnO の伝導あり

2024年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度

この年度は2問に2テーマが出ています。

第1問 — 物理化学基礎

符号の検算

水素原子の E1E_1 は負である。一方,電子間反発は正のエネルギーなので, −(5/4)ZE1-(5/4)ZE_1 の形になる。この符号を確認しておくと,ヘリウムの変分計算で 安定化と不安定化を取り違えにくい。

有効核電荷

変分パラメータ Z′Z' は,実際の核電荷ではなく,遮蔽を平均化した有効核電荷である。 電子間反発を入れると Z′=2Z'=2 より小さくなる,という物理的な向きまで書けると答案が締まる。

解答

  1. 円軌道の一周の長さが de Broglie 波長の整数倍であるから, 2πr=nλ=nhp. 2\pi r=n\lambda=n\frac{h}{p}. 円運動では p=mevp=m_{\mathrm e}v なので,角運動量は L=rp=nh2π=nℏ(n=1,2,…) L=rp=\frac{nh}{2\pi}=n\hbar \qquad (n=1,2,\ldots) に量子化される。
  2. En=−mee48ε02h21n2=−An2 E_n=-\frac{m_{\mathrm e}e^4}{8\varepsilon_0^2h^2}\frac1{n^2} =-\frac{A}{n^2} とおく。n=3n=3 から n=1n=1 への放出光のエネルギーは hν=E3−E1=A(1−19)=8A9=mee49ε02h2. h\nu=E_3-E_1=A\left(1-\frac19\right)=\frac{8A}{9} =\frac{m_{\mathrm e}e^4}{9\varepsilon_0^2h^2}. したがって λ3→1=hchν=9ε02h3cmee4. \lambda_{3\to1}=\frac{hc}{h\nu} =\frac{9\varepsilon_0^2h^3c}{m_{\mathrm e}e^4}.
  3. 水素様原子では核電荷が ZeZe になり,クーロン力が ZZ 倍になる。Bohr 半径の導出を 同じように行うと rn=n2Za0. r_n=\frac{n^2}{Z}a_0. 水素原子の 1s1s 半径 rH1sr_{\mathrm H1s} は a0a_0 なので,求める倍率は rnrH1s=n2Z \frac{r_n}{r_{\mathrm H1s}}=\frac{n^2}{Z} である。
  4. クーロンポテンシャルではビリアル定理により 2T+V=02T+V=0 であり, E=T+V=−T=V2 E=T+V=-T=\frac{V}{2} である。水素様原子の 1s1s 半径は a0/Za_0/Z なので,ポテンシャルエネルギーの大きさは 核電荷 ZZ と距離の 1/Z1/Z の両方から Z2Z^2 倍になる。よって EZ1s=Z2E1 E_{Z1s}=Z^2E_1 である。
  5. 波動関数の二乗と与えられた積分公式を用いると ⟨H12⟩=e24πε01π2(Za0)620π2(2Z/a0)5=58 Ze24πε0a0. \begin{aligned} \langle H_{12}\rangle &=\frac{e^2}{4\pi\varepsilon_0} \frac{1}{\pi^2}\left(\frac{Z}{a_0}\right)^6 \frac{20\pi^2}{(2Z/a_0)^5} \\ &=\frac58\,\frac{Ze^2}{4\pi\varepsilon_0a_0}. \end{aligned} ここで e24πε0a0=mee44ε02h2=−2E1 \frac{e^2}{4\pi\varepsilon_0a_0} =\frac{m_{\mathrm e}e^4}{4\varepsilon_0^2h^2} =-2E_1 だから, ⟨H12⟩=−54ZE1 \langle H_{12}\rangle=-\frac54ZE_1 となる。E1<0E_1<0 なので,反発エネルギー自体は正であることも検算になる。
  6. 試行関数の指数を Z′Z' としたとき,二つの電子の運動エネルギーは −2Z′2E1-2Z'^2E_1,実際の核電荷 ZZ による引力項は 4ZZ′E14ZZ'E_1 と書ける。また電子間反発は 前問で ZZ を Z′Z' に置き換えればよいので −(5/4)Z′E1-(5/4)Z'E_1 である。したがって E=(−2Z′2+4ZZ′−54Z′)E1. E=\left(-2Z'^2+4ZZ'-\frac54Z'\right)E_1 .
  7. E1E_1 は負であるため,極値条件だけを使えば ∂∂Z′(−2Z′2+4ZZ′−54Z′)=0 \frac{\partial}{\partial Z'} \left(-2Z'^2+4ZZ'-\frac54Z'\right)=0 でよい。すなわち −4Z′+4Z−54=0,Z′=Z−516. -4Z'+4Z-\frac54=0,\qquad Z'=Z-\frac{5}{16}. ヘリウムでは Z=2Z=2 なので Z′=2716=1.6875≃1.7. Z'=\frac{27}{16}=1.6875\simeq1.7 .
  8. Z′Z' が 22 より小さいのは,一方の電子が他方の電子を反発し,核電荷を部分的に 遮蔽するためである。独立な水素様電子として扱うより,電子は平均的に弱い有効核電荷を 感じる。

最終答

L=nℏL=n\hbar,λ3→1=9ε02h3c/(mee4)\lambda_{3\to1}=9\varepsilon_0^2h^3c/(m_{\mathrm e}e^4), rn/rH1s=n2/Zr_n/r_{\mathrm H1s}=n^2/Z,⟨H12⟩=−(5/4)ZE1\langle H_{12}\rangle=-(5/4)ZE_1。 変分法では Z′=27/16≃1.7Z'=27/16\simeq1.7。

第2問 — 物理化学標準

解離平衡の分圧

総物質量が a(1+ξ)a(1+\xi) に増える点が最重要である。ここを落とすと pAp_{\mathrm A} と pBp_{\mathrm B} の分母が消え,KpK_p の式がずれる。

相律と Clapeyron 式

相律は自由度の数を与え,Clapeyron 式は共存線の傾きを与える。水の固液線では ΔVfus<0\Delta V_{\mathrm{fus}}<0 という例外的な符号が本質である。

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第3問 — 有機化学基礎

構造式問題の数え落とし

C5H10\mathrm{C_5H_{10}} の非環式異性体では,まず直鎖 pentene を二重結合位置で分け, 次に methylbutene 骨格へ移る。pent-2-ene だけ E/ZE/Z を別に数える。

付加反応の共通点

エポキシドの塩基性開環とブロモヒドリン生成は,この基質では同じ結合関係に落ちる。 ただし機構は異なり,前者は Br−\mathrm{Br^-} の SN2 型開環,後者はブロモニウムイオンへの 水の攻撃である。

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第4問 — 有機化学標準

合成スキームの戻し方

未知の出発物は,生成物から最後に作った結合を切り戻すと読みやすい。Scheme I では Boc 保護,Sonogashira,ベンジル位アルキル化が順に書かれているため, 2-bromo-6-methylaniline へ戻せる。

禁制反応の説明

「禁制なのに進む」問題では,まず許容・禁制の単語を正しく言い切り,その後に 歪み解放,立体拘束,高温などの駆動力を書く。理由だけを書いて symmetry の判定を 省くと点を落としやすい。

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第5問 — 無機・分析化学基礎

結晶場図の描き方

四面体では ee が低く t2t_2 が高い。八面体と上下が逆になる点を確認する。 平面四角形では dx2−y2d_{x^2-y^2} が突出して高く,d8d^8 が反磁性になりやすい。

配位水の酸性度

金属イオンの電荷が大きいほど,配位水の O--H 結合は分極する。裸の水と比べるだけでなく, Co(III) と Co(II) の電荷密度の差を説明に入れる。

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第6問 — 無機・分析化学標準

錯体異性体の分析

光学異性体には円二色性,CO を持つ幾何異性体には赤外分光が使いやすい。設問で 候補が複数ある場合は,対象錯体のどの対称性差を読んでいるかまで書く。

ZnO の伝導

Al ドープでは「Al が電子を一つ余分に出す」ことが n 型の本質である。温度依存は キャリア密度と移動度のどちらが支配するかを言葉で補足すると,記述答案として安定する。

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東大 化学 院試 過去問の収録3年度

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