東京大学 院試 過去問 解答例
東大 理学系研究科 化学 2024年度 院試 解答例・解説
東京大学 理学系研究科 化学 2024年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針と確認点を解説。全6問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。
最終更新:
設問ごとの解法方針と確認点を公開しています。
続きの途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。
第1問 — 物理化学基礎
符号の検算
水素原子の は負である。一方,電子間反発は正のエネルギーなので, の形になる。この符号を確認しておくと,ヘリウムの変分計算で 安定化と不安定化を取り違えにくい。
有効核電荷
変分パラメータ は,実際の核電荷ではなく,遮蔽を平均化した有効核電荷である。 電子間反発を入れると より小さくなる,という物理的な向きまで書けると答案が締まる。
第2問 — 物理化学標準
解離平衡の分圧
総物質量が に増える点が最重要である。ここを落とすと と の分母が消え, の式がずれる。
相律と Clapeyron 式
相律は自由度の数を与え,Clapeyron 式は共存線の傾きを与える。水の固液線では という例外的な符号が本質である。
第3問 — 有機化学基礎
構造式問題の数え落とし
の非環式異性体では,まず直鎖 pentene を二重結合位置で分け, 次に methylbutene 骨格へ移る。pent-2-ene だけ を別に数える。
付加反応の共通点
エポキシドの塩基性開環とブロモヒドリン生成は,この基質では同じ結合関係に落ちる。 ただし機構は異なり,前者は の SN2 型開環,後者はブロモニウムイオンへの 水の攻撃である。
第4問 — 有機化学標準
合成スキームの戻し方
未知の出発物は,生成物から最後に作った結合を切り戻すと読みやすい。Scheme I では Boc 保護,Sonogashira,ベンジル位アルキル化が順に書かれているため, 2-bromo-6-methylaniline へ戻せる。
禁制反応の説明
「禁制なのに進む」問題では,まず許容・禁制の単語を正しく言い切り,その後に 歪み解放,立体拘束,高温などの駆動力を書く。理由だけを書いて symmetry の判定を 省くと点を落としやすい。
第5問 — 無機・分析化学基礎
結晶場図の描き方
四面体では が低く が高い。八面体と上下が逆になる点を確認する。 平面四角形では が突出して高く, が反磁性になりやすい。
配位水の酸性度
金属イオンの電荷が大きいほど,配位水の O--H 結合は分極する。裸の水と比べるだけでなく, Co(III) と Co(II) の電荷密度の差を説明に入れる。
第6問 — 無機・分析化学標準
錯体異性体の分析
光学異性体には円二色性,CO を持つ幾何異性体には赤外分光が使いやすい。設問で 候補が複数ある場合は,対象錯体のどの対称性差を読んでいるかまで書く。
ZnO の伝導
Al ドープでは「Al が電子を一つ余分に出す」ことが n 型の本質である。温度依存は キャリア密度と移動度のどちらが支配するかを言葉で補足すると,記述答案として安定する。