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東京都立大学 院試 過去問 解答例

都立大 理学研究科 数理科学専攻 数学 2026年度夏季 院試 過去問 解答例・解説(全13問)

全13問。微分積分・解析2問・情報1問・線形代数1問。テーマタグは7件(固有値・固有ベクトル・線形空間・基底・重積分と極座標)。2025年度冬季と共通のテーマは固有値・固有ベクトル・線形空間・基底・重積分と極座標。

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収録6年度分の解答PDF:東京都立大学 理学研究科 数理科学専攻 数学(¥3,200・紙面見本あり)

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解説13問と大問1問の途中式・最終答(全13問)
解答PDFに収録
途中式と最終答(最終答つき13問)
問題本文
非収録

都立大 数学 2026年度夏季 院試 過去問の出題内容(全13問)

この13問の分野は微分積分・解析2問・情報1問・線形代数1問・微分方程式1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問—線形写像—あり
第2問線形代数固有値—あり
第3問—極値境界の確認あり
第4問微分積分・解析広義積分端点 0 の扱いあり
第5問—標準形—あり
第6問—可換環(2) の要点あり
第7問—曲面符号の確認 / 最小値の見方あり
第8問—位相連結性の注意あり
第9問微分積分・解析ベクトル解析向きの確認あり
第10問—複素積分円弧積分の評価あり
第11問微分方程式常微分方程式—あり
第12問—二部グラフ不等式の核心あり
第13問情報アルゴリズム—あり

この年度の解説には典型ミス10件・検算5件・試験で書くべきポイント2件が付いています。

2026年度夏季の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度

この年度は5問に7テーマが出ています。

前年度(2025年度冬季)との違い

大問数
2025年度冬季 4問 → 2026年度夏季 13問
2026年度夏季で新しく出たテーマ
ジョルダン標準形・直交対角化・コーシーの積分定理
2025年度冬季のページを見る

第1問 — 線形写像

方針

条件 txAx=0{}^t xAx=0 は AA の成分に関する 1 本の線形条件である。したがって WW は 33 次元部分空間であり、成分を置いて基底を作るのが最も確実である。

検算

BB については実際に B(21)=(2kk)=k(21) B\begin{pmatrix}2\\1\end{pmatrix} =\begin{pmatrix}2k\\k\end{pmatrix} =k\begin{pmatrix}2\\1\end{pmatrix} である。この確認をしておくと、(1) の計算で Bx=kxBx=kx を安心して使える。

典型ミス

tBAB{}^tBAB の型を見誤って BAtBBA{}^tB としてしまうと、(1) の証明が崩れる。ここでは tx(tBAB)x=t(Bx)A(Bx) {}^t x({}^tBAB)x={}^t(Bx)A(Bx) という括り方が採点上の要点である。

解答

  1. A∈WA\in W とする。Bx=kxBx=kx であるから tx(tBAB)x=t(Bx)A(Bx)=t(kx)A(kx)=k2 txAx=0. {}^t x({}^t B A B)x ={}^t(Bx)A(Bx) ={}^t(kx)A(kx) =k^2\,{}^t xAx=0. したがって tBAB∈W{}^t B A B\in W である。
  2. A=(abcd)A=\begin{pmatrix}a&b\\ c&d\end{pmatrix} とおくと txAx=(2,1)(abcd)(21)=4a+2b+2c+d. {}^t xAx=(2,1) \begin{pmatrix}a&b\\ c&d\end{pmatrix} \begin{pmatrix}2\\1\end{pmatrix} =4a+2b+2c+d. よって W={A∈M2(R)∣4a+2b+2c+d=0} W=\{A\in M_2(\mathbb{R})\mid 4a+2b+2c+d=0\} であり、例えば A1=(100−4),A2=(010−2),A3=(001−2) A_1=\begin{pmatrix}1&0\\0&-4\end{pmatrix},\quad A_2=\begin{pmatrix}0&1\\0&-2\end{pmatrix},\quad A_3=\begin{pmatrix}0&0\\1&-2\end{pmatrix} は WW の基底である。 この基底に関して f(A)=tBABf(A)={}^tBAB の表現行列を求める。B=(k−24−1k+2)B=\begin{pmatrix}k-2&4\\-1&k+2\end{pmatrix} とすると、直接計算により f(A1)=(k2−4k)A1+8kA2+8kA3,f(A2)=−kA1+(k2+2k)A2+2kA3,f(A3)=−kA1+2kA2+(k2+2k)A3. \begin{aligned} f(A_1)&=(k^2-4k)A_1+8kA_2+8kA_3,\\ f(A_2)&=-kA_1+(k^2+2k)A_2+2kA_3,\\ f(A_3)&=-kA_1+2kA_2+(k^2+2k)A_3. \end{aligned} したがって表現行列は (k2−4k−k−k8kk2+2k2k8k2kk2+2k) \begin{pmatrix} k^2-4k&-k&-k\\ 8k&k^2+2k&2k\\ 8k&2k&k^2+2k \end{pmatrix} であり、その行列式は k6 k^6 である。よって ff が同型でないのは k=0k=0 のときに限る。

最終答

WW の基底の一例は {(100−4),(010−2),(001−2)}\left\{ \begin{pmatrix}1&0\\0&-4\end{pmatrix}, \begin{pmatrix}0&1\\0&-2\end{pmatrix}, \begin{pmatrix}0&0\\1&-2\end{pmatrix} \right\}。また、ff が同型でない kk は k=0k=0 のみ。

第2問 — 固有値

方針

対称行列の Rayleigh 商の問題である。固有値分解まで持ち込めば、最大値・最小値はそれぞれ最大固有値・最小固有値になる。

検算

例えば A(2−21)=−(2−21),A(122)=5(122) A\begin{pmatrix}2\\-2\\1\end{pmatrix} =-\begin{pmatrix}2\\-2\\1\end{pmatrix},\quad A\begin{pmatrix}1\\2\\2\end{pmatrix} =5\begin{pmatrix}1\\2\\2\end{pmatrix} となる。固有ベクトルの長さはいずれも 33 なので、1/31/3 を掛ければ単位ベクトルになる。

試験で書くべきポイント

R(Px)R(Px) の分母は PP が直交行列であるため t(Px)(Px)=txx{}^t(Px)(Px)={}^txx となる。ここを書かないと、固有値の重み付き平均に帰着した理由が不明確になる。

固有値の途中式・最終答をPDFで見る

第3問 — 極値

方針

円板上の多項式型関数だが、xx は x2x^2、yy は符号と y2y^2 に分けて扱うと計算が大きく減る。制約 u+v+w=1u+v+w=1 の下で uv3/2wnu v^{3/2}w^n を最大化する問題に変換するのが核心である。

境界の確認

境界で f=0f=0 になることを必ず確認する。内部の臨界点だけを計算して終わると、閉領域上の最大・最小の議論としては不足する。

典型ミス

y3y^3 のため最大値と最小値は対称に現れるが、v=y2v=y^2 に置いた後に符号を忘れやすい。絶対値の最大を出してから、y>0y>0 と y<0y<0 に戻すと安全である。

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第4問 — 広義積分

方針

この問題は「広義一様収束があると、極限と α\alpha 積分を交換できる」ことを確認してから、ガウス積分に適用する流れである。単に形式的に積分順序を入れ替えるのではなく、一様収束で誤差評価を入れるのが要点である。

端点 α=0\alpha=0 の扱い

(4) では α=0\alpha=0 を含む区間に直接 (3) を使えない。いったん [ε,t][\varepsilon,t] で計算し、最後に ε↓0\varepsilon\downarrow0 とする。この一手を入れると、仮定の区間 (0,∞)(0,\infty) との整合が取れる。

典型ミス

∫εte−αx2 dα=e−εx2−e−tx2x2 \int_\varepsilon^t e^{-\alpha x^2}\,d\alpha =\frac{e^{-\varepsilon x^2}-e^{-t x^2}}{x^2} であり、分母は x2x^2 である。符号と分母を誤ると最後の定数がずれる。

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第5問 — 標準形

方針

直交対角化は「実対称」と同値である。一方、直交相似でジョルダン形そのものに移せるかは、通常の相似より強い条件なので、フロベニウスノルムの保存を使うと候補を一気に絞れる。

検算

a=−1/3a=-1/3 を代入すると確かに AA は対称になる。a≠−1/3a\ne -1/3 では dim⁡ker⁡A=1\dim\ker A=1 なので、固有値 00 の幾何的重複度が 11 であり、対角化できない。

典型ミス

(3) で「相似ならよい」と考えると、すべての a≠−1/3a\ne-1/3 が候補に見えてしまう。問題は直交行列による相似であるため、内積やノルムを保存する条件を必ず使う。

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第6問 — 可換環

方針

これは中山の補題の有限生成イデアル版である。局所環の形ではなく、(1−y)(1-y) が II を殺す元として現れる形を、生成元の個数に関する帰納法で示す。

(2) の要点

x1=ax1+vx_1=ax_1+v として (1−a)x1∈JI′(1-a)x_1\in JI' を作るところが核心である。u∈I′u\in I' を u=bx1+wu=bx_1+w と書いた後、(1−a)(1-a) を掛けて x1x_1 の項を JI′JI' に落とし、最後に au∈JI′au\in JI' を足し戻す。

典型ミス

1−a1-a が可逆であるとは仮定されていない。したがって (1−a)x1∈JI′(1-a)x_1\in JI' から直ちに x1∈JI′x_1\in JI' とは言えない。証明では可逆性を使わず、u=(1−a)u+auu=(1-a)u+au と分解している。

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第7問 — 曲面

方針

曲面がグラフ z=z(x,y)z=z(x,y) で与えられているので、まず zx,zy,zxx,zxy,zyyz_x,z_y,z_{xx},z_{xy},z_{yy} を正確に出す。第 1 基本量、第 2 基本量、ガウス曲率はそこから機械的に計算できる。

符号の確認

指定された法線は px×pyp_x\times p_y と同じ向きである。グラフ曲面では px×py=(−zx,−zy,1) p_x\times p_y=(-z_x,-z_y,1) なので、今回の法線の第 3 成分は正になる。ここで逆向きを取ると L,M,NL,M,N の符号がすべて反転する。

最小値の見方

KK は整理すると yy に依存しない。さらに a≥2a\ge2 では分子も分母も非負で、x=0x=0 で 00 を取る。a=1a=1 だけは x2a−2=1x^{2a-2}=1 となるため別扱いが必要である。

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第8問 — 位相

方針

XX は ℓ1\ell^1 ノルムの単位球面である。ユークリッド単位球面から各半直線に沿って拡大縮小する写像を作ると、同相性が自然に見える。

連結性の注意

n=1n=1 では X={−1,1}X=\{-1,1\} で連結ではない。設問の連結性は通常 n≥2n\ge2 の文脈で読む必要がある。n≥2n\ge2 なら、Sn−1S^{n-1} の連結性から直ちに従う。

試験で書くべきポイント

同相を示すときは、写像だけでなく逆写像も明示する。分母が 00 にならない理由、すなわち SS や XX が原点を含まないことも短く書いておくとよい。

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第9問 — ベクトル解析

方針

S2S_2 の面積分を直接計算するより、発散定理で境界全体の流束を出し、すでに求めた S1S_1 の寄与を引く方が速い。

向きの確認

(r1)x×(r1)y=(−2x,−2y,1)(r_1)_x\times(r_1)_y=(-2x,-2y,1) は上向きである。しかし S1S_1 は下側境界なので、DD の外向きは下向きであり、面積分では符号を反転して (2x,2y,−1)(2x,2y,-1) を使う。

典型ミス

交線の半径は r=1r=1 である。r2=2−r2r^2=\sqrt{2-r^2} を二乗した後、r4+r2−2=0r^4+r^2-2=0 から r2=1r^2=1 を選ぶ。負の解は r2r^2 として不適である。

ベクトル解析の途中式・最終答をPDFで見る

第10問 — 複素積分

方針

偏角 π/4\pi/4 の直線では z2z^2 の偏角が π/2\pi/2 になり、eiz2e^{iz^2} が e−s2e^{-s^2} に変わる。これがフレネル積分をガウス積分に接続する理由である。

円弧積分の評価

円弧上では絶対値が e−R2sin⁡2θe^{-R^2\sin2\theta} になる。sin⁡2θ\sin2\theta を θ\theta の一次関数で下から押さえることで、長さ RR の増加より指数減衰が勝つことを示せる。

典型ミス

C3,RC_{3,R} の向きは Reπi/4Re^{\pi i/4} から原点へ戻る向きである。ここで符号を落とすと、最後の eπi/4e^{\pi i/4} の符号が逆になり、フレネル積分の値が誤る。

複素積分の途中式・最終答をPDFで見る

第11問 — 常微分方程式

方針

右辺は「回転成分」と「半径方向の減衰成分」に分かれている。極座標に直すと、角速度は一定、半径はロジスティック方程式になる。

検算

r′=r−r2r' = r-r^2 なので、0<a<10<a<1 なら rr は増加して 11 に近づき、a>1a>1 なら減少して 11 に近づく。角度は θ=t\theta=t なので、解は原点の周りを一定角速度で回りながら半径 11 に近づく。

典型ミス

θ′\theta' の式では分母が r2r^2 である。rr で割ってしまうと角速度が rr に依存する誤った式になる。

常微分方程式の途中式・最終答をPDFで見る

第12問 — 二部グラフ

方針

行列の非零パターンだけを見る量が最大マッチングであり、数値の線形従属性まで見る量が階数である。そのため階数は最大マッチング数を超えられないが、非零成分の値によっては小さくなる。

不等式の核心

非零な小行列式を展開すると、少なくとも 1 つの置換項が非零である。その置換項に現れる非零成分は行も列も重ならないため、ちょうどマッチングになる。

典型ミス

(3) では零でない成分の配置だけでなく、行列の値による打ち消しを使う。全成分が 11 の 2×22\times2 行列は、辺は十分あるが行が従属なので階数が 11 に落ちる。

二部グラフの途中式・最終答をPDFで見る

第13問 — アルゴリズム

方針

漸化式は再帰木で各段の総和が nn になる型である。段数が log⁡4n\log_4 n なので全体は nlog⁡nn\log n になる。バブルソートの入れ替え回数は、比較回数ではなく反転数で数えるのが最短である。

検算

反転数は「左に大きい値、右に小さい値」の組の個数である。バブルソートの隣接交換は反転数を 1 だけ減らし、整列後の反転数は 0 なので、入れ替え総数と初期反転数は一致する。

典型ミス

最悪計算量を比較回数として数えると、今回の定義とずれる。設問では入れ替え回数を s(n)s(n) としているため、反転数に基づいて答える。

アルゴリズムの途中式・最終答をPDFで見る

都立大 数学 院試 過去問の収録6年度