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東京都立大学 院試 過去問 解答例

都立大 理学研究科 数理科学専攻 数学 2025年度夏季 院試 解答例・解説

東京都立大学 理学研究科 数理科学専攻 数学 2025年度夏季の院試 過去問について、設問ごとの解法方針・部分点の置き所を解説。全13問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。

最終更新:

設問ごとの解法方針・部分点の置き所を無料で公開しています。

完全な途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。

1 — 線形代数

方針

前半は連立一次方程式そのものである。後半の交わりは、片方の部分空間の表示ともう片方の部分空間の表示を等置し、係数の自由度を調べるのが最も確実である。

検算

求めた x=(4,1,1)Tx=(4,-1,-1)^T について 4a1a2a3=(6112) 4a_1-a_2-a_3 =\begin{pmatrix}6\\1\\1\\2\end{pmatrix} となるので、確かに bb と一致する。また 4a1a2=a3+b=(7233) 4a_1-a_2=a_3+b=\begin{pmatrix}7\\2\\3\\3\end{pmatrix} であるから、このベクトルが V1V_1V2V_2 の両方に属することも直接確認できる。

典型ミス

V1V2V_1\cap V_2 を求めるとき、a1,a2,a3,ba_1,a_2,a_3,b の4本の一次関係だけを求めて終わると、交わりのベクトルそのものを書き落としやすい。答案では、係数の自由度から次元を述べ、さらに実際の基底ベクトルまで明記する。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

2 — 線形写像

方針

部分空間 VV の不変性は、基底ベクトルの像が再び VV の一次結合で書けることを示せば十分である。対角化は固有値の重複度と固有空間の次元を分けて確認する。

試験で書くべきポイント

Av1Av_1Av2Av_2 を具体的に計算し、 Av1=v1,Av2=2v1+2v2 Av_1=v_1,\qquad Av_2=2v_1+2v_2 と書くところが中心である。ここを書けば、f(V)Vf(V)\subset V と表現行列 BB の両方が自然に出る。

典型ミス

固有値 00 の代数的重複度は2である。ここで固有ベクトルを1本しか取らないと、誤って非対角化可能と判断してしまう。零固有値の固有空間が2次元であることを明示するのが安全である。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

3 — 多変数微分積分

方針

指数因子は常に正なので、停留点は指数因子を除いた偏微分方程式から求める。最大値の存在は、無限遠で ff00 に近づくことを示して閉円板上の最大値問題に帰着する。

鞍点の確認

(0,1)(0,1) の近くで xx 方向を見ると f(x,1)=(2x2+1)ex21=e1(1+x2+O(x4)) f(x,1)=(2x^2+1)e^{-x^2-1} =e^{-1}(1+x^2+O(x^4)) となり増加する。一方で yy 方向には y=1y=1 で局所最大になる。したがって (0,±1)(0,\pm1) は極値ではない。

典型ミス

停留点の値だけを比べて「最大値」と書くには、最大値の存在の議論が不足する。多変数関数では、無限遠での挙動を必ず確認する。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

4 — 関数項級数

方針

各点収束では xx を固定するため、n6x4n^6x^4 の指数減衰が効く。一様収束では xxnn に合わせて動かせるため、最大値付近を追う反例を作る。

なぜ gg を使うか

x>0x>0 に対して fn(x)=g(n3x2)n2x3/2 f_n(x)=\frac{g(n^3x^2)}{n^2x^{3/2}} と書ける。これにより、固定した xx に対して n2\sum n^{-2} で比較できる。

典型ミス

各点収束の比較で得る上界には x3/2x^{-3/2} が含まれる。この上界は xx に依存するため、一様収束の証明には使えない。むしろ x=0x=0 付近で山が鋭くなることが、一様収束を壊している。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

5 — ジョルダン標準形

方針

ジョルダン細胞の個数は、各固有値に対する固有空間の次元の和である。まず固有多項式を見て、1個のジョルダン細胞だけで済む可能性があるかを調べる。

検算

a=2a=-2 のとき χA(t)=(t+1)4\chi_A(t)=(t+1)^4 である。また rank(A+I)=3 \operatorname{rank}(A+I)=3 なので固有空間は1次元である。4次行列で固有空間が1次元なら、ジョルダン細胞は1個でなければならない。

典型ミス

固有多項式が (t+1)4(t+1)^4 であることだけでは、ジョルダン細胞が1個とは限らない。必ず dimker(A+I)\dim\ker(A+I) を確認する。逆に、ここではそれが1なので、サイズ4のジョルダン細胞1個と結論できる。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

6 — 可換環

方針

イデアル積と共通部分の基本関係は、まず IJIJIJ\subset I\cap J を示し、逆向きは 1=u+v1=u+v という表示を使って示す。これは互いに素なイデアルの標準手法である。

設問の注意

極大イデアル MM と別のイデアル JJ について、J⊄MJ\not\subset M なら M+J=RM+J=R である。しかし JMJ\subset M の場合は M+J=MM+J=M であり、互いに素とは限らない。したがって、設問の文言をそのまま読むと反例がある。

試験で書くべきポイント

最後の具体例では 1=x+y(x+y1) 1=x+y-(x+y-1) を一行で示せば I+J=RI+J=R が分かる。あとは IJIJ の生成元を書けばよい。最小生成系である必要はなく、「一組」を求める問題ではこの4元表示で十分である。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

7 — 曲面論

方針

第1基本量が ds2=4(1+u2+v2)2(du2+dv2) ds^2=\frac{4}{(1+u^2+v^2)^2}(du^2+dv^2) という形になることが本問の核心である。これは平面の計量に正のスカラーを掛けた形なので、長さは変わるが角度は変わらない。

検算

p(u,v)p(u,v)(2ur2+1)2+(2vr2+1)2+(r21r2+1)2=1 \left(\frac{2u}{r^2+1}\right)^2+ \left(\frac{2v}{r^2+1}\right)^2+ \left(\frac{r^2-1}{r^2+1}\right)^2=1 を満たす。したがって曲面は単位球面上にあり、得られる計量がステレオ投影の標準形になることとも整合する。

典型ミス

角度保存を示すとき、内積だけを比較して終わってはいけない。分母のノルムにも同じ倍率がかかることを示し、余弦が一致するところまで書く。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

8 — 距離空間

方針

d1d_1 は和の距離、d2d_2 はユークリッド型の距離である。両者の位相の比較は d2d12d2 d_2\le d_1\le \sqrt2\,d_2 の一行に集約される。

直積位相との比較

直積位相の基本近傍は U×VU\times V である。距離球と直積型の開集合が互いに含み合うことを、点ごとに示せばよい。

典型ミス

位相の一致を示すとき、開集合全体を直接比較しようとすると煩雑になる。各点の近傍基、すなわち開球の包含関係を使うのが簡潔である。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

9 — ベクトル解析

方針

前半2問は成分計算で確実に示す。最後は、体積積分を発散定理で境界積分に変換し、球面上で f\nabla f が法線方向を向くことを使う。

検算

DD は半径 r\sqrt r の閉球である。境界上で f=2(x,y,z)\nabla f=2(x,y,z) は外向き単位法線 n=(x,y,z)/rn=(x,y,z)/\sqrt r と平行であるため、任意のベクトル FF に対して F×fF\times\nabla f は接方向を向く。したがって法線成分は 00 になる。

典型ミス

最後の積分で div(rotF)=0\operatorname{div}(\operatorname{rot}F)=0 を直接使おうとしても、被積分関数は rotFf\operatorname{rot}F\cdot\nabla f なのでそのままでは合わない。div(F×f)\operatorname{div}(F\times\nabla f) に変形するのが要点である。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

10 — 複素解析

方針

分母 e2πiz1e^{2\pi iz}-1 は整数点に単純零点を持つため、長方形内の整数値の和を留数で拾える。上下の水平線では指定された幾何級数展開を使い、ff の極 ±i\pm i の留数へ変換する。

向きの注意

C3C_3 は右から左へ進む。展開式にも負号があるため、左から右向きの直線積分に直すと符号が打ち消される。この符号を落とすと最終的に cothπ\coth\pi ではなく誤った双曲関数が出る。

検算

数値的には πcothπ121.0767 \frac{\pi\coth\pi-1}{2}\approx 1.0767 であり、初項からの部分和 12+15+110+117+ \frac12+\frac15+\frac1{10}+\frac1{17}+\cdots と整合する。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

11 — 常微分方程式

方針

方程式の係数が多項式なので、べき級数を代入して係数比較する。偶数次と奇数次が分離するため、初期条件 a0,a1a_0,a_1 から2つの基本解が自然に得られる。

整数でない条件

ν\nu が非負整数の場合、片方の級数が途中で止まってエルミート多項式になることがある。本問では ν\nu は整数でないので、一般には無限級数として書くのが自然である。

典型ミス

収束半径を示すとき、係数 ana_n そのものではなく、項 anxn a_nx^n の比を調べる必要がある。偶数列と奇数列を分けて比を取れば、任意の固定 xx に対して比が 00 に収束することが分かる。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

12 — 組合せ

方針

漸化式は「最後の項」に注目する。和の公式は「22 を何個使うか」に注目する。どちらも、順序を区別する条件を自然に反映している。

検算

n=4n=4 では公式から (40)+(31)+(22)=1+3+1=5 \binom40+\binom31+\binom22=1+3+1=5 である。実際、1111,112,121,211,221111,112,121,211,22 の5通りである。

典型ミス

22kk 個あるとき、残りの和は n2kn-2k なので 11 の個数は n2kn-2k 個である。総項数を nn として (nk)\binom nk としてしまう誤りが多い。正しくは総項数 nkn-k から 22 の位置を選ぶ。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

13 — 離散数学

方針

このアルゴリズムは通常の積の値そのものではなく、「正の寄与が存在するかどうか」を保存している。非負整数という条件により、和が 00 であることと各項がすべて 00 であることが同値になる。

アルゴリズムの意味

固定した i,ji,j に対して、cijc_{ij}aik>0 a_{ik}>0 となる kk に対応する bkjb_{kj} の最大値である。したがって cij=0c_{ij}=0 とは、そのような kk について bkjb_{kj} がすべて 00 であるという意味である。

典型ミス

通常の行列積では aika_{ik} の値そのものが重みとして効くが、アルゴリズム PP では aika_{ik}00 か正かだけを見ている。そのため具体例では ABAB の第2行が (2,0,2)(2,0,2) になる一方、CC の第2行は (1,0,1)(1,0,1) になる。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

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