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東京都立大学 院試 過去問 解答例

都立大 理学研究科 数理科学専攻 数学 2025年度冬季 院試 過去問 解答例・解説(全4問)

全4問。微分積分・解析2問・線形代数1問。テーマタグは4件(線形空間・基底・固有値・固有ベクトル・重積分と極座標)。2025年度夏季と共通のテーマは線形空間・基底・固有値・固有ベクトル・一様収束。

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収録6年度分の解答PDF:東京都立大学 理学研究科 数理科学専攻 数学(¥3,200・紙面見本あり)

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解説4問と大問1問の途中式・最終答(全4問)
解答PDFに収録
途中式と最終答(最終答つき4問)
問題本文
非収録

都立大 数学 2025年度冬季 院試 過去問の出題内容(全4問)

この4問の分野は微分積分・解析2問・線形代数1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問—線形写像—あり
第2問線形代数固有値と対角化対角化条件の見方 / 余因子行列の扱いあり
第3問微分積分・解析広義積分比較の注意 / 二重積分の検算あり
第4問微分積分・解析べき級数絶対値が出る理由 / 一様収束の検算あり

この年度の解説には試験で書くべきポイント4件・典型ミス3件・検算2件が付いています。

2025年度冬季の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度

この年度は4問に4テーマが出ています。

前年度(2025年度夏季)との違い

大問数
2025年度夏季 13問 → 2025年度冬季 4問
2025年度冬季で新しく出たテーマ
重積分と極座標
2025年度夏季のページを見る

第1問 — 線形写像

方針

線形写像かどうかは,まず定数項と2次以上の項が消えるかを見る。本問では第1成分の x2x^2 の係数だけを確認すればよい。表現行列を作ったあとは,R3\mathbb{R}^3 から R4\mathbb{R}^4 への写像なので,単射性は3本の列の一次独立性で判定する。

検算

b=−1b=-1 のときだけ全ての3次小行列式が0になる。実際,このとき (3,−1,1)T(3,-1,1)^T が核に入るので,階数は3ではない。逆に b≠−1b\ne -1 なら det⁡A{1,2,4}=−(b+1)≠0\det A_{\{1,2,4\}}=-(b+1)\ne0 で,階数3がただちに従う。

典型ミス

b≠−1b\ne -1 の場合に V={0}V=\{0\} だからといって V+W=R3V+W=\mathbb{R}^3 としてはいけない。この場合の和は WW そのもので, 2本の一次独立なベクトルで張られる平面にすぎない。b=−1b=-1 の場合も,核の生成ベクトルが すでに WW に含まれているため,次元は増えない。

試験で書くべきポイント

小行列式を一つだけ計算して b≠−1b\ne -1 を示すだけでは,b=−1b=-1 のときに本当に階数が 落ちることの確認が弱い。全ての3次小行列式が b+1b+1 を因子にもつこと,または b=−1b=-1 で明示的な核ベクトルを示すことまで書くと答案として安定する。

解答

第1成分だけが線形性に関わる非線形項を含む。そこは a(x2+x+2y−z)−x2=(a−1)x2+ax+2ay−az a(x^2+x+2y-z)-x^2=(a-1)x^2+ax+2ay-az であるから,線形写像であるためには,またそのときに限り a=1 a=1 である。

このとき標準基底に関する表現行列は A=(12−123−3162b+538b) A= \begin{pmatrix} 1&2&-1\\ 2&3&-3\\ 1&6&2b+5\\ 3&8&b \end{pmatrix} である。

単射性は列ベクトルが一次独立であること,すなわち rank⁡A=3\operatorname{rank}A=3 と同値である。3行を選んで作る小行列式を調べると det⁡A{1,2,3}=−2(b+1),det⁡A{1,2,4}=−(b+1),det⁡A{1,3,4}=0,det⁡A{2,3,4}=−5(b+1). \begin{aligned} \det A_{\{1,2,3\}}&=-2(b+1),& \det A_{\{1,2,4\}}&=-(b+1),\\ \det A_{\{1,3,4\}}&=0,& \det A_{\{2,3,4\}}&=-5(b+1). \end{aligned} したがって,少なくとも一つの3次小行列式が0でないための必要十分条件は b≠−1 b\ne -1 である。

最後に,ker⁡f=V\ker f=V とおく。b≠−1b\ne -1 なら V={0}V=\{0\} なので, 与えられた2次元部分空間 WW との和は高々2次元であり,R3\mathbb{R}^3 にならない。

b=−1b=-1 のときは V=span⁡{(3−11)} V=\operatorname{span}\left\{ \begin{pmatrix}3\\-1\\1\end{pmatrix}\right\} である。一方,WW の生成ベクトルを w1=(−111),w2=(−321) w_1=\begin{pmatrix}-1\\1\\1\end{pmatrix},\qquad w_2=\begin{pmatrix}-3\\2\\1\end{pmatrix} と書くと, (3−11)=3w1−2w2 \begin{pmatrix}3\\-1\\1\end{pmatrix} =3w_1-2w_2 であり,V⊂WV\subset W である。よってこの場合も V+W=W≠R3 V+W=W\ne \mathbb{R}^3 となる。

最終答

a=1a=1。表現行列は A=(12−123−3162b+538b) A= \begin{pmatrix} 1&2&-1\\ 2&3&-3\\ 1&6&2b+5\\ 3&8&b \end{pmatrix} であり,ff が単射であるための必要十分条件は b≠−1b\ne -1 である。 また V+W=R3V+W=\mathbb{R}^3 となる bb は存在しない。

第2問 — 固有値と対角化

方針

固有値が指定されている問題では,まず特性多項式の係数比較を行うのが最短である。 特に本問では (t−1)(t+1)(t-1)(t+1) が因子として現れるため,残りの2次式だけを比較すれば b,cb,c が決まる。

対角化条件の見方

重複している固有値は −1-1 だけである。固有値 1,21,2 の固有空間は少なくとも1次元 ずつあるので,対角化の可否は −1-1 の固有空間が代数的重複度2に届くかどうかだけを 見ればよい。したがって rank⁡(A+E)=2\operatorname{rank}(A+E)=2 を調べる問題に帰着する。

余因子行列の扱い

余因子行列は正則行列に対して A~=(det⁡A)A−1\widetilde A=(\det A)A^{-1} と書ける。ここで det⁡A=2\det A=2 なので,各固有値上で 2/t2/t と一致する2次多項式を補間すればよい。 対角化可能性を仮定しているから,固有値上で一致すれば行列に代入しても一致する。

検算

a=−2a=-2 のとき、示した二つのベクトルはどちらも (A+E)v=0(A+E)v=0 を満たし、互いに一次独立である。したがって −1-1 の固有空間が確かに二次元であることを確認できる。

典型ミス

最小多項式に (t+1)2(t+1)^2 を残してしまうミスが多い。これは対角化できない場合の ジョルダンブロックを反映する因子であり,本問の(iii)では a=−2a=-2 が仮定されている。 したがって重複固有値であっても,最小多項式には一次因子 t+1t+1 が一回だけ現れる。

試験で書くべきポイント

係数比較で b,cb,c を決めた後、対角化条件では重複固有値 −1-1 の固有空間だけを調べる、と書くと答案が短くなる。余因子行列は (det⁡A)A−1(\det A)A^{-1} に直してから固有値上の補間で処理する。

固有値と対角化の途中式・最終答をPDFで見る

第3問 — 広義積分

方針

広義積分は,問題のある場所を分けるのが基本である。三角関数の積分では sin⁡x\sin x が0になる x=0x=0 だけが問題になる。二重積分では,原点の特異性と 帯状領域の無限遠の両方を確認する必要がある。

比較の注意

α<0\alpha<0 のときは,正の数に負の冪を取るため,不等号の向きが反転する。 例えば sin⁡x≤x\sin x\le x から (sin⁡x)α≥xα(\sin x)^\alpha\ge x^\alpha が従う。 収束側を示すときには下からの評価ではなく,上から CxαCx^\alpha で押さえることが 必要である。

二重積分の検算

β\beta が大きいほど原点で発散しやすく,小さいほど無限遠で発散しやすい。 したがって答が 下限<β<上限 \text{下限}<\beta<\text{上限} という形になるのは自然である。原点で β<1\beta<1,無限遠で β>1/2\beta>1/2 と 役割を分けて覚えると混同しにくい。

試験で書くべきポイント

帯状領域は全平面ではないが,原点近くでは半円盤と同程度の領域を含み,またそれに 含まれるため,極座標による判定が使える。無限遠では yy が 0<y<10<y<1 に制限されて いるので,実質的には1次元の積分 ∫∞x−2β dx\int^\infty x^{-2\beta}\,dx が支配する。

広義積分の途中式・最終答をPDFで見る

第4問 — べき級数

方針

偶数階の階乗だけが現れる級数なので,cosh⁡\cosh と cos⁡\cos に結びつけるのが核心である。 x≥0x\ge0 では cosh⁡x\cosh\sqrt{x},x≤0x\le0 では cos⁡−x\cos\sqrt{-x} になる。 特に nx2≥0nx^2\ge0 なので,後半では常に双曲線余弦の表示を使える。

絶対値が出る理由

tanh⁡(n x)\tanh(\sqrt n\,x) は,x>0x>0 では1へ,x<0x<0 では −1-1 へ近づく。 これに前の xx が掛かるため,極限は xx ではなく ∣x∣|x| になる。 x=0x=0 も別に確認しておくと,点ごとの極限の記述が完全になる。

一様収束の検算

極限関数 ∣x∣|x| は無限大で大きくなるため,一見すると全実数上の一様収束は怪しく見える。 しかし差は ∣x∣{1−tanh⁡(n ∣x∣)} |x|\{1-\tanh(\sqrt n\,|x|)\} であり,大きな ∣x∣|x| では tanh⁡\tanh が指数的に1へ近づく。この指数減衰が ∣x∣|x| の増大に勝つため,全実数上でも一様収束する。

典型ミス

f(nx2)=cosh⁡(n ∣x∣)f(nx^2)=\cosh(\sqrt n\,|x|) と書いたあと,絶対値の微分で場合分けを複雑に しすぎることがある。 cosh⁡\cosh は偶関数なので cosh⁡(n ∣x∣)=cosh⁡(n x)\cosh(\sqrt n\,|x|)=\cosh(\sqrt n\,x) としてから微分すれば,x=0x=0 も含めて 自然に処理できる。

試験で書くべきポイント

一様収束の判定では、点ごとの極限だけでなく上限ノルムを評価する。 sup⁡x∈R∣gn(x)−∣x∣∣≤Cn \sup_{x\in\mathbb R}\bigl|g_n(x)-|x|\bigr|\le \frac{C}{\sqrt n} まで書けば、全実数上での一様収束を明確に示せる。

べき級数の途中式・最終答をPDFで見る

都立大 数学 院試 過去問の収録6年度