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大阪公立大学 院試 過去問 解答例

大阪公立大 理学研究科 数学専攻 数学 2026年度2次募集 院試 過去問 解答例・解説(全4問)

全4問。微分積分・解析1問。テーマタグは2件(固有値・固有ベクトル・一様収束)。2025年度春入学と共通のテーマは固有値・固有ベクトル。

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解説4問と大問1問の途中式・最終答(全4問)
解答PDFに収録
途中式と最終答(最終答つき4問)
問題本文
非収録

大阪公立大 数学 2026年度2次募集 院試 過去問の出題内容(全4問)

この4問の分野は微分積分・解析1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問—固有空間分解—あり
第2問微分積分・解析積分と陰関数・一様収束条件付き収束に関する注意 / 陰関数の 2 階微分で書くべきことあり
第3問—Hausdorff 距離三角不等式の見方あり
第4問—指数分布の最小値確率収束で書くべきことあり

この年度の解説には典型ミス3件・検算2件が付いています。

2026年度2次募集の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度

この年度は2問に2テーマが出ています。

前年度(2025年度春入学)との違い

大問数
2025年度春入学 20問 → 2026年度2次募集 4問
両年度に出たテーマ
固有値・固有ベクトル
2026年度2次募集で新しく出たテーマ
一様収束
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第1問 — 固有空間分解

方針

行列全体が対角化可能かどうかを調べる必要はない。問われているのは、与えられた ベクトル vv が固有空間の和に入ることと、そのベクトルに対する TnT^n の値である。 したがって、固有空間を求めた後、vv を固有ベクトルの線形結合に分解すれば十分である。

典型ミス

固有値 11 の代数的重複度は 22 であるが、固有空間は span⁡{(010)} \operatorname{span}\left\{\begin{pmatrix}0\\1\\0\end{pmatrix}\right\} の 1 次元だけである。ここで「重複度が 22 だから固有ベクトルが 2 本ある」と判断すると、 後半の分解が破綻する。

検算

求めた答えを直接代入して確認すると、 A(010)=(010),A(11−1)=(33−3)=3(11−1). A\begin{pmatrix}0\\1\\0\end{pmatrix} =\begin{pmatrix}0\\1\\0\end{pmatrix},\qquad A\begin{pmatrix}1\\1\\-1\end{pmatrix} =\begin{pmatrix}3\\3\\-3\end{pmatrix} =3\begin{pmatrix}1\\1\\-1\end{pmatrix}. また n=1n=1 の式は T(v)=(1215−12) T(v)= \begin{pmatrix}12\\15\\-12\end{pmatrix} を与え、実際に Av=(12,15,−12)TAv=(12,15,-12)^T と一致する。

解答

行列を A=(10−2−21−4003) A=\begin{pmatrix} 1&0&-2\\ -2&1&-4\\ 0&0&3 \end{pmatrix} と書く。

固有値

特性多項式は det⁡(A−tI)=det⁡(1−t0−2−21−t−4003−t)=(3−t)(1−t)2 \det(A-tI)= \det\begin{pmatrix} 1-t&0&-2\\ -2&1-t&-4\\ 0&0&3-t \end{pmatrix} =(3-t)(1-t)^2 である。したがって固有値は t=1,t=3 t=1,\quad t=3 である。ただし、固有値 11 の代数的重複度は 22 である。

固有空間

t=1t=1 に対して A−I=(00−2−20−4002) A-I=\begin{pmatrix} 0&0&-2\\ -2&0&-4\\ 0&0&2 \end{pmatrix} であるから、(A−I)x=0(A-I)x=0 は z=0,x=0 z=0,\qquad x=0 を与える。よって E1=ker⁡(A−I)=span⁡{(010)}. E_1=\ker(A-I)=\operatorname{span}\left\{ \begin{pmatrix}0\\1\\0\end{pmatrix}\right\}.

t=3t=3 に対して A−3I=(−20−2−2−2−4000) A-3I=\begin{pmatrix} -2&0&-2\\ -2&-2&-4\\ 0&0&0 \end{pmatrix} であるから、(A−3I)x=0(A-3I)x=0 は x+z=0,x+y+2z=0 x+z=0,\qquad x+y+2z=0 を与える。したがって x=−z, y=−zx=-z,\ y=-z であり、 E3=ker⁡(A−3I)=span⁡{(11−1)}. E_3=\ker(A-3I)=\operatorname{span}\left\{ \begin{pmatrix}1\\1\\-1\end{pmatrix}\right\}.

与えられたベクトルの分解

ベクトル v=(47−4) v=\begin{pmatrix}4\\7\\-4\end{pmatrix} は v=3(010)+4(11−1) v =3\begin{pmatrix}0\\1\\0\end{pmatrix} +4\begin{pmatrix}1\\1\\-1\end{pmatrix} と書ける。右辺の第1項は E1E_1 に属し、第2項は E3E_3 に属するので、 v∈E1+E3 v\in E_1+E_3 である。

Tn(v)T^n(v)

固有ベクトル u1=(0,1,0)Tu_1=(0,1,0)^T, u3=(1,1,−1)Tu_3=(1,1,-1)^T を用いると v=3u1+4u3,T(u1)=u1,T(u3)=3u3. v=3u_1+4u_3,\qquad T(u_1)=u_1,\qquad T(u_3)=3u_3. したがって自然数 nn に対して Tn(v)=3Tn(u1)+4Tn(u3)=3u1+4⋅3nu3. T^n(v)=3T^n(u_1)+4T^n(u_3) =3u_1+4\cdot 3^n u_3. すなわち Tn(v)=(4⋅3n3+4⋅3n−4⋅3n). T^n(v)= \begin{pmatrix} 4\cdot 3^n\\ 3+4\cdot 3^n\\ -4\cdot 3^n \end{pmatrix}.

最終答

Spec⁡(T)={1,3},E1=span⁡{(010)},E3=span⁡{(11−1)}, \operatorname{Spec}(T)=\{1,3\},\quad E_1=\operatorname{span}\left\{\begin{pmatrix}0\\1\\0\end{pmatrix}\right\},\quad E_3=\operatorname{span}\left\{\begin{pmatrix}1\\1\\-1\end{pmatrix}\right\}, v=3(010)+4(11−1),Tn(v)=(4⋅3n3+4⋅3n−4⋅3n). v=3\begin{pmatrix}0\\1\\0\end{pmatrix} +4\begin{pmatrix}1\\1\\-1\end{pmatrix},\qquad T^n(v)= \begin{pmatrix} 4\cdot 3^n\\ 3+4\cdot 3^n\\ -4\cdot 3^n \end{pmatrix}.

第2問 — 積分と陰関数・一様収束

方針

(1) は分母・分子がともに同次式であるため、極座標で原点からの距離 rr の次数だけを取り出すのが最短である。 分母の角度部分 1−12sin⁡2θ 1-\frac12\sin 2\theta は常に 1/21/2 以上なので、原点以外で新たな特異性は生じない。

条件付き収束に関する注意

この積分では角度方向に符号が変わるので、単に「絶対値をつけた評価で発散する」だけでは 有限極限の不存在までは言えない。そこで α≥2\alpha\ge 2 では角度積分 CαC_\alpha が正であることを確認した。 特に境界値 α=2\alpha=2 を落とさないことが重要である。

陰関数の 2 階微分で書くべきこと

答案では fxx+2fxyφ′+fyy(φ′)2+fyφ′′=0 f_{xx}+2f_{xy}\varphi'+f_{yy}(\varphi')^2+f_y\varphi''=0 を明示するとよい。符号ミスは fy(1,0)=−3f_y(1,0)=-3 と fxy(1,0)=−πf_{xy}(1,0)=-\pi に集中する。最後に 2(−π)(−π3)−3φ′′(1)=0 2(-\pi)\left(-\frac{\pi}{3}\right)-3\varphi''(1)=0 まで書けば、採点者に計算過程が伝わる。

一様収束の核心

この関数列は各段階で前段階との差を最大でも半分に縮める構造を持つ。 したがって、関数列そのものを直接推測する必要はなく、差分列 fk−fk−1 f_k-f_{k-1} を評価して幾何級数で押さえるのが安定である。試験では fn=f0+∑k=1n(fk−fk−1) f_n=f_0+\sum_{k=1}^{n}(f_k-f_{k-1}) という望遠和の形を書いてから Weierstrass の判定法につなげると、論理が明確になる。

積分と陰関数・一様収束の途中式・最終答をPDFで見る

第3問 — Hausdorff 距離

方針

Hausdorff 距離の証明では、集合上の上限・下限が実際に扱える値であることを保証するために コンパクト性を使う。特に、d(a,B)=0d(a,B)=0 から a∈Ba\in B を導く部分では、 「下限が 0」だけでは不十分で、連続関数がコンパクト集合上で最小値をとることが必要である。

三角不等式の見方

δ(A,B)\delta(A,B) は「AA の各点から BB までの最悪距離」である。 AA から CC へ行くには、まず BB に近づき、そこから CC に近づくと考えると δ(A,C)≤δ(A,B)+δ(B,C) \delta(A,C)\le \delta(A,B)+\delta(B,C) が自然に出る。ただし答案では、d(a,B)d(a,B) を実現する ba∈Bb_a\in B の存在を一言書くと コンパクト性の使いどころが明確になる。

典型ミス

dH(A,B)=0d_H(A,B)=0 から A=BA=B を示すとき、 δ(A,B)=0\delta(A,B)=0 だけでは A⊂BA\subset B しか言えない。 必ず δ(B,A)=0\delta(B,A)=0 も使って逆向きの包含を示す必要がある。

検算

AnA_n は有限集合なので各点そのものは離散的である。しかし Hausdorff 距離では集合全体の近さを測るため、 格子間隔 1/n1/n が 0 に近づくにつれて、有限集合 AnA_n は連続区間 [0,1][0,1] に近づく。 この例は、点の個数が変わってもコンパクト集合列としては収束し得ることを示している。

Hausdorff 距離の途中式・最終答をPDFで見る

第4問 — 指数分布の最小値

方針

指数分布の最小値では、生存関数を使うと計算が短くなる。 Pr⁡(Z>z)=Pr⁡(X>z, Y>z) \Pr(Z>z)=\Pr(X>z,\ Y>z) と書くことで、独立性からただちに指数関数の積に分解できる。

WW の意味

WW は「どちらが先に起きたか」を表す指示変数である。指数分布の競争では、 先に起きる時刻 ZZ は率の和 λ+σ\lambda+\sigma の指数分布になり、 どちらが先に起きたかの確率は率の比 λλ+σ,σλ+σ \frac{\lambda}{\lambda+\sigma},\qquad \frac{\sigma}{\lambda+\sigma} で決まる。ここで ZZ と WW が独立になるのは、指数分布の無記憶性に対応する典型的な性質である。

典型ミス

第 (2) 問で Pr⁡(W=1)=σλ+σ \Pr(W=1)=\frac{\sigma}{\lambda+\sigma} としてしまうミスが多い。W=1W=1 は XX が先に小さく出る事象であり、率が大きいほど早く発生しやすいので Pr⁡(W=1)=λλ+σ \Pr(W=1)=\frac{\lambda}{\lambda+\sigma} である。直感的にも、λ\lambda が大きいほど XX の平均 1/λ1/\lambda は小さい。

確率収束で書くべきこと

最後の設問は大数の弱法則として片付けてもよいが、試験答案では Chebyshev の不等式を使って 定義に直接戻ると安全である。 Var⁡(Tn)=1nλ2 \operatorname{Var}(T_n)=\frac{1}{n\lambda^2} まで示せば、任意の ε>0\varepsilon>0 に対して上界が 00 に収束することが一行で分かる。

指数分布の最小値の途中式・最終答をPDFで見る

大阪公立大 数学 院試 過去問の収録6年度